Fate/Grand Order ~Guardian of History~   作:沖田侑士

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プロローグ 「深淵なる闇からオメガ世界へ」

オラクル船団。それは宇宙を漂い数多の星々を調査し長い長い旅を続ける大宇宙船団。その中にアークスはいた。

 

アークスとは『全てを喰らうモノ』であるダーカーと戦い、浄化する所謂戦士である。そしてそのダーカーを生み出している親玉、ダークファルス。その親玉を作りだし闇そのモノの元凶【深遠なる闇】。

 

これはアークスと【深遠なる闇】との戦い、全宇宙の歴史、光と闇の幾千年の戦いの最中に起きた無限にも広がる内の一つの可能性の物語である。

 

 

 

【深遠なる闇】浄化戦。アークスの最後の決戦として全勢力を投入した大決戦となった。

 

また、アークスだけではなく、惑星スレア、惑星地球、ファータ・グランデ宙域等多くの宇宙の者達が手を取り合い、宇宙滅亡の危機を救おうと奮闘した。

 

「あとはコイツで切ればいいんだな?」

 

アークス、オキ。オラクル船団の救世主と呼ばれる一人にして主戦力が一つ『守護輝士』のリーダー。数多くの試練、事件を乗り越え解決し、宇宙の闇、全てを喰らい尽くすモノ【深遠なる闇】浄化に欠かせない一人。

 

多数の絆を築き、幾千年にも及ぶ全宇宙の光と闇の一つの歴史の終止符を打つべくようやくここまでたどり着いた。

 

アークスの誇る技術で作られた決戦用移動要塞『フォートレス・ドラゴン』の背中にある決戦用フィールドに巨体の一部を横たわらせ、頭部をさらけ出しているは【深遠なる闇】のコアとも思える部分。そこに一人の黒き人物が融合し姿を見せていた。

 

ダークファルス【仮面】。過去と未来を歩んでいた別時間軸のオキ本人で、一つの結果として【深遠なる闇】から生まれたダークファルスの一つだ。

 

「眠らせてあげることが、できるんだよね? シャオ君?」

 

オキと共に刀を握る白き少女、マトイ。原初の星【シオン】が作り上げた全てを喰らう闇【ダーカー】殲滅用兵器として生み出された一つの人格『二代目クラリスクレイス』が本人。オキやその仲間たちが奮闘しなければ深遠なる闇は彼女が生る歴史だった。それを助けるべく何度も過去をさかのぼり、その結果を一人で成そうとした過去のオキは助けられぬ絶望からダークファルス【仮面】へと変貌した。そして仲間と共に歩んだ今の『オキ』はマトイを助けることに成功した。【仮面】である自分自身の自己犠牲と原初の星【シオン】の手助けによって。

 

「ああ、ヒツギの具現武装『天叢雲剣』に宿った浄化の力。それを丸々コピー、改良して作り上げたのがその刀だ。負の力を浄化する力がある。君たちの力が合わされば、【深遠なる闇】の浄化も可能なはずだ。」

 

原初の星【シオン】。宇宙の最初の星にして全てを知る意志ある【全知全能】。そのコピーとしてシオン自身に生み出されたシャオは彼女無き今、オラクル船団の中枢を担う。数か月前に起きたアークス襲撃事件。アークスを作ったフォトナーと呼ばれるモノたちが怠惰の果てに作り上げた人口のシオンのコピーを失敗作として異空間に破棄、別の宇宙空間にたどり着いたソレはマザーを名乗り惑星地球を作りあげ果てに、捨てた事への復讐としてアークスを襲った。

 

その際にオキと知り合いになったヒツギという少女が手にした力、フォトンに似て非なるエーテルから作られた具現武装。

 

その刀の力で闇の力、負の力を浄化しようと計画をたて、今に至る。

 

「全てを終わらせるぞ。」

 

「うん。やろう。」

 

オキとマトイは刀を二人で一緒に握りしめ、静かに、そしてできる限りのフォトンを込めた。

 

「「ああああああ!!!」」

 

眼を見開き、同時に【深遠なる闇】に融合する【仮面】へと刀を突き立てる。直後、甲高い音が鳴り響いた後にその力のぶつかり合いは周囲に衝撃波を飛ばした。

 

力のぶつかり合いはオキとマトイの持つ刀を弾き飛ばそうと抵抗する。二人は飛ばされまいと必死に抵抗した。

 

その時、ふっと力の感覚がオキの手からなくなった。いままで目の前にある壁に力を込めて手を押し付けていた感覚が急に壁が無くなったように抵抗が無くなったのだ。押し付けていた力を弱めることもできず、更に自分の身体を何かが引っ張るように吸い込んでくる。

 

「な、なんだ!?」

 

「オキ!?」

 

マトイは逆に弾かれるようにオキの反対側へと飛ばされる。二人の手は離れ、オキは【深遠なる闇】に吸い込まれるようにその身体を引っ張られながら意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いでっ!? ここは…?」

 

気が付けば多くの男女が並ぶ列の前に転がったオキ。さらにその真正面には一人の銀髪の少女が驚いた顔で立っていた。

 

「ななな…なんなの貴方は!?」

 

顔を真っ赤にしてこちらに歩いてくる少女。ざわめく周囲。

 

「えと、いや…ここどこ。」

 

全くもってわからない。なにかの施設だと思われる場所の広いホールのようだ。ホールの先、前側に巨大な星のモニュメントが光り輝いている。ホールの中心に立つと先ほどの少女がオキの前に立ち、ヒステリックに頭を抱えながら何かを叫んでいる。しかしオキはそんな声より、大きな衝撃を感じ取った。

 

その衝撃とほぼ同時に紫色の髪の少女が近寄ってこようとする。その少女にオキは目を向けた直後だった。

 

真下から来る衝撃。たった一瞬の出来事。アークスの感覚だからこそ分かる危機感。逃げるのは簡単だが、オキは目の前にくる紫髪の少女と先ほどから叫び続けている銀髪の少女を捕まえ、覆いかぶさりその衝撃を受けた。

 

 

 

ドォォォン!

 

 

 

巨大な爆発。最初の衝撃の直後に更なる爆発が数回。周囲にいた呆然と立ち尽くしていた男女は吹き飛び、銀髪の彼女が先ほどまで立っていた場所は特に大きな爆発で大きく吹き飛んだ。

 

爆音とともにオキの背中に受ける熱波と衝撃波。生身の人間であるならバラバラになっていただろう。

 

アークスの身体だからこそ受けきれた。いや、ここにもフォトンがあるからだろう。アークスの力の源でもあるフォトン。その元素は今となってもわかってはいないものの、【深遠なる闇】から生み出されたダークファルスやダーカーの持つ闇の力を中和する事の出来る唯一の力にして万能のエネルギー。自然に漂うエネルギーで機械的にとりいれた製品はオラクル船団の一般生活に普及している。だが、戦闘的かつ主導的に「製品・規格化されていないフォトン」を扱う才能に関しては持っていない者も少なからずいるため、「誰でも扱える」という訳でもない。まして強大なダーカーを相手に出来るほどの優れた才能の持ち主ともなればやはりかなり限られてしまう。その限られた持ち主こそがアークスである。自分の何十倍、何百倍もの大きさの化け物と戦うアークスはフォトンのお陰で戦えている。フォトンを扱える最大量が多ければ多い程その力は増す。

 

短時間なら、灼熱の溶岩につかろうが「熱い」程度であり、極寒の地を歩めば「寒い」程度。一、二発程度の爆発は特に問題ない。オキの扱えるフォトン量は平均的なアークスに比べて頭1つどころか3つ4つ飛びぬけている為よけいである。

 

「っぶねぇ…。一体なんだよ! 変な場所に飛ばされたと思ったらいきなり爆破! ったくアークスの身体じゃなかったら死んでたぞ。おい、大丈夫か!?」

 

紫色に光る短い髪は黒く薄汚れ、服は煤で黒ずんでいた。銀髪の少女も気を失いぐったりしている。

 

周囲に炎が回り、先ほどまでの綺麗だった室内が一瞬で廃墟と化した。

 

「っち。連絡もつかねぇ。ここどこだよほんと。」

 

シャオとも連絡がつかない。さっきまで一緒にいたマトイもいない。目の前には2人、気を失っている少女達に周囲には守れなかった男女が大勢吹き飛んで転がっている。頭上では線でぶら下がっているスピーカーから警報が鳴り響いている。

 

「ああもうくそったれが! 落ち着け、こんなのいつもの事じゃねぇか。まずはっと…。」

 

悪態をつきながらも、とにかく安全な場所へと銀髪の少女と薄紫髪の眼鏡少女を火の届かない壁際へ運び、他の息をしていそうな人たちも移動し始めた直後、ホールの大扉が勢いよく開いた。

 

「…!?」

「…生存者は!?」

 

オレンジ色のショートヘアの少女が惨状を目の当たりにし、駆け寄ってきた。

服装は周囲に転がっている人物たちと同じ制服を着ている。ここの関係者だろう。

それともうひとり、白衣を着た男性も一緒だった。

 

「あんたらここの人か!? すまないが手伝ってくれ! 俺一人じゃ運びきれん!」

 

二人は驚いた顔をしつつも、すぐに冷静となった彼女と男性はすぐに状況を察し手伝いを開始した。

 

だが、間が悪かった。開始したすぐ後に大きな瓦礫がオレンジ髪の彼女の上に落ちてくる。

 

オキは助けようと音と同時に走るが間に合わない。オレンジ色の髪の少女は瓦礫の下に重れた、とオキは思った。

 

「う…。」

「立香君!?」

 

うめき声をあげる薄紫色の髪をした少女は上から落ちてきた大きな瓦礫に埋もれていた。

 

脚を潰されているようで血が床に流れ始めている。先ほどまで気を失っていたこの少女は、気が付いた直後に今まさに瓦礫が上から落ちてこようとオレンジ色の少女を助けようとして押し出したはいいものの、彼女が埋もれてしまった。幸い体全てではなかったが、足が挟まれている状態はよろしくない。

 

「くっそ…重いなこれ…!」

 

何とか持ち上げようと頑張るオキ。思った以上にデカイし重い。だが、何とかなりそうだ。持ち上げた直後にオレンジ色の髪の少女が駆け寄ってきて、薄紫髪の眼鏡少女を引きずって引っ張り出す。足は潰れ、血が大量に流れている。このままでは命が危ない。

 

「先…輩。無事…だったん…ですね。よかった…。」

「救急箱があっちにあったはずだ! とってくる!」

 

白衣の男性は走り、向こうにあるという救急箱を取りに向かった。

自分よりもオレンジの少女を心配する薄桃色の彼女はニコリとほほ笑んだ。この状況で他人を心配するとは。なんとしても助け出さねばと力を入れ、回復テクニック、レスタをかける準備をしたオキ。

 

その時だ。

 

『システム レイシフト最終段階に移行します。

座標 西暦2004年 1月 30日 日本 冬木

ラプラスによる転移保護 成立

特異点への因子追加枠 確保。

アンサモンプログラム セット

マスターは最終調整に入ってください。』

一体何の話だ? 先程まで青かった星の球が真っ黒になっておりなにかがおかしい。

どう考えても不穏な空気しか漂っていない。

そして、みるみる真っ赤になっていく。まるで惑星アムドゥスキアの溶岩のように真っ赤だ。

『観測スタッフに警告。カルデアスの状態が変化しました。

シバによる近未来観測データを書き換えます。

近未来百年までの地球において人類の痕跡は発見できません。

人類の未来は 保証 できません。』

地球? あの地球のことか? ここは地球なのか? だがエーテルの存在が感じられない。地球であるならエーテルがあるはずだ。だがそれを感じ取ることができない。

「一体どういうことだ?」

『中央隔壁 封鎖します。館内洗浄開始まで あと 180秒です。』

背後にあった扉が壁によって封鎖される。

「壁が! こんにゃろ!」

エルデトロスを具現化させ、壁を切る。だがそれははじかれ、壁には小さな切り傷だけが残された。ものすごく硬い。並大抵の壁ではない。

『コフィン内のマスターのバイタル 基準値に達していません。 レイシフト定員に達していません。該当マスターを検索中…発見しました。

適応番号48 藤丸立香 更に適応者発見…該当名無し。新たなるマスター適正を確認。再設定。マスターとして設定します。アンサモンプログラム スタート。霊子変換を開始します。レイシフト開始まで3 2 1』

 

全工程 完了 ファーストオーダー 実証を開始します。

 

ファーストオーダー。ソレは確かにそういった。カウントダウンの直後に目の前が真っ白に光り輝く。

オキはそのまま意識が遠のいていった。

 

 

 

 

 

 

 

「っは!?」

 

気が付けばそこはいつもの艦橋の風景が広がっていた。管理者シャオに守護輝士専属オペレーターのシエラが驚いた顔でこっちを見ている。その前方にはマトイ、そして惑星スレアから連れてきた少女ユウキ、オキのサポートパートナーのアオイまでそろっていた事からそこがアークスシップだという事を認識した。

 

「オキ! よかった!」

 

マトイが、そしてユウキがオキに両方から抱き着く。近くにいたアオイもよかったと胸をなでおろしていた。

 

「ここは…。アークスシップか。」

 

「その通りだよ。一体君はどこにいってたんだ? ほんと唐突にどこかへ来ててはひょっこり現れるね。」

 

シャオが心配そうな顔で覗き込んだ直後、頭上から別の声が聞こえてきた。

 

「それは私が答えるよー。」

 

「誰だ!」

 

室内の空中に浮遊する一人の女性が一人。長く金色に輝く髪の毛に目が行く綺麗な女性。この艦橋には基本的に許可した者以外は入ってくれない仕組になっている。少なくとも知っている相手ではない。このような綺麗な女性をオキは知らない。

 

それなのにここにいるという事はシャオかシエラの知り合いか。いや、二人とも驚いた顔をしている。つまりは誰も知らない者という事だ。

 

「どうしたのオキ? 誰かそこにいるの?」

 

「私のセンサーには反応はございません。しかし、フォトンの量が普段と違う傾向を見せている部分がございますね。」

 

ユウキ、アオイは見えていないのか? ここまであからさまに怪しい者に対し、オキは構えを見せる。

 

「ああ、別に怪しい者じゃないよ。私はアルマ。初代クラリスクレイスと言えば、スパッとわかるかな?」

 

その言葉にオキが目を丸くする。オキの隣でマトイも驚いている。わからないはずもない。マトイは二代目クラリスクレイスだった者だ。その名を持ち初代と名乗る目の前で浮いているフワフワした女性が先代という事になる。

 

クラリスクレイスは元々、三大英雄の中の一つの称号のようなモノだと以前その名について調べていた時に同じく三大英雄、六芒均衡の1にしてオキ達、守護輝士を除いた最大戦力のトップ、レギアスに聞いたことがあった。

 

そしてその本当の名が『アルマ』という女性だったことも話していた。

 

「アルマ…そうだ思い出した。レギアスの旦那が言ってた初代クラリスクレイスの名前じゃねーか。でも、確か40年前にルーサーにアークスを盾に脅されて…。」

 

レギアスは言っていた。アルマ、彼女はフォトンを扱う事に長けており、テクニックマスターとも言われたほどの使い手だった。そしてその後の調査で分かった事が、その力に興味を持ったルーサーがアークスを盾に脅しをかけ、彼女アルマは自らを犠牲にその身をルーサーへと渡し、過酷な人体実験の果てに彼女は死亡した。しかし、その実験のデータによりアークスの第二世代が生み出され、40年前の【巨躯】襲撃により力を失いかけていたアークスは立ち直り、急成長を遂げたという皮肉さもあった。

 

「うん。私はすでに死んでいる。故人って奴だね。この姿もフォトンで作り上げているだけなんだ。ギー君、懐かしい名前。リーちゃんもスー君も元気かなぁ?」

 

ふんわりとした言葉はどこかマトイを連想する。

 

「えっと…ギー君、ああレギアスの旦那の事か。ってことはリー…リ、マリアの姐さん? じゃあスはカスラの旦那? いや、今のカスラの旦那は確か初代の…。」

 

クローンだと言おうとしてオキは首を横に振った。同じく六芒均衡の2にしてレギアスの腐れ縁ともいえる女性キャストのアークス、マリア。そして同じく三大英雄の一人六芒均衡の3、カスラ。現在オラクル船団にいるカスラは初代カスラのクローンであり、ルーサーがいずれ乗っ取る計画だったことを聞いたことがある。

 

「初代カスラは既に…。あんたがアルマっていうのが本当なら、あんたが生きてた時代の人は生きてんのはレギアスの旦那とマリアの姐さんだけだと思う。ああ、ジグのとっつぁんも40年前の話はしてたから知ってそうかな?」

 

「そう。みんな元気なんだね。よかったぁ。」

 

パンと手を叩いて笑顔になるアルマはオキ達の上をふよふよと浮いたままゆっくりと同じ目線に降りてきた。

 

「オキと、マトイ。だよね。シオンの中で君たちの事を見ていたよ。」

 

オキとマトイは驚いた。シオンの他にも『あの中』にいたのか。いやいてもおかしくはない。原初の星シオン。彼女の中にはたくさんのフォトナーの意識の融合体がいたのだから。

 

そして彼女は話を続けた。

 

「私はね、シオンつまりアカシックレコードの精霊だと思ってほしい。ルーサーの実験で死んじゃったけど、アカシックレコードへと導かれ精霊になったの。」

 

そして彼女は言った。宇宙に、危機が訪れていると。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルマの話を伝えるべく、オキは守護輝士である皆を集め、作戦会議を艦橋で行った。

 

アルマ曰く、エーテルとフォトンが干渉した影響がオラクル側の宇宙にも表れ、シオン=アカシックレコードの記録情報が具現化。さらにそこへ【深遠なる闇】が融合を果たし『オメガ』となったため、その危機を知らせるべくオキたちの前に駆けつけた。

 

『オメガ』とは。アルマが付けた仮称である。そして今現在の状況も踏まえて付け加えた。

 

現在オラクル船団は宇宙の中心部、かつて原初の星シオンがあった場所。そこに逃げ込みブラックホール化した【深遠なる闇】を観測している。そのブラックホールの肥大化は異常であっという間に全宇宙を飲み込んでしまうという。

 

アルマの力でソレをなんとか止めていると説明した。モニターには【深遠なる闇】であったブラックホールが大きな口を開くように真っ黒な姿を映している。

 

どうにか出来るのはアルマを認識出来る=シオンと繋がりのあるシャオ・シエラ・マトイ、そしてオキだけ…だというのだが。

 

「え? この浮いてる人?」

 

「どうも、アインスです。」

 

「ジー…。っち、なにも持って無さそうなのだ。」

 

「時間を止めたって…そんな簡単に…。」

 

『何かと思ったら(トリガー来たぞ!)(ファランクス!)そんなことかよ! ああー! めんどくせえトリガー引いちまった! (相手の動きが早まったぞ!)(足が速い! 加速する!)こっちは忙しいんだ! 見えるか見えねぇか? あぁ、見えるようになったじゃねぇか。(隣人よ。忙しい所悪いが、すまぬ外した)あぁ!? ちっくしょう氷牢はずし(プツン』

 

ハヤマ、アインス、ミケ、は彼女を認識できているようで、コマチは通信のモニター越しでも見えているそうだ。というかなんかむっちゃ忙しそう。そりゃそうか古戦場最終日だもんな。通信の後ろでは多数の人たちの騒がしい声が聞こえていた。なんか突っ込みを入れたい言葉で返してきたが、通信が切れてしまった上、彼の事だから考えるのをやめよう。

 

予想通りクロノスとシンキも認識できている。

 

「こんな感じかな。」

 

オキは事情を話し終え、これからいく場所の事を説明した。

 

これから行くはオメガ世界。アルマ曰く中でどのような事が起きているか分からないという。しいて言うならブラックホール、【深遠なる闇】、つまりはアカシックレコード=シオンが見ている『夢』だと言った。あの中で起きていることは今までアカシックレコードが見ている歴史の整理。宇宙全てに存在する『なにか』があの中で今ごっちゃまぜになっている。あの時聞いた『地球』という言葉は間違いではないが、違う場所である。

シエラに調べてもらった結果、地球は無事に顕在している。

こちらでの騒動でむこうの宇宙も認識したのだろうか。

とにかく『夢』とは記憶を整理するための行為。つまり歴史である。アルマ曰くあのブラックホールは歴史を食べ、無にしようとしていると説明した。

 

外に影響している事は中に影響する。つまり何もかもを無くそうとしている事が『オメガ世界』の中で起きようとしているし、逆にそれを止めれば外での影響もなくなるという事。そのために何が起きているか分からないその世界の中に飛び込んで原因を掴み取り、解決する必要がある。

 

「ふーん。なんか面白そうね。」

 

シンキ。オキと知り合って一緒にいるアークスの一人。そして間違いなくオラクル船団の最強にして最大の戦力を持つ個人。

 

容姿端麗、妖艶にして異性だろうが同姓だろうが姿、その性格に魅了する。出生不明の人物。

 

分かっているのはアークスとはまた別の力を持っている事。数多の武具、品物を保有している『王の財宝』と呼ばれる異次元の空間を保持している事。彼女がどこから来て、何ものなのかを時折酔った勢いでオキ達に話し、夢に見せてくれる程度で、その断片はあまりにも膨大で悠久の時を生きているという『観測者』である事。よって彼女に付いた名前が『魔神』である。

 

「どこにでもついていくさ。何か問題にぶち当たれば叩き切って進むまでだ。」

 

アインス。時空エネミーと呼んでいる『ニャウ』という異次元を行き来している不思議な生物によって別宇宙から呼び出された男。元はラグオルという場所から来た『ハンターズ』だという。アークスとして共に歩み続けオキやその仲間のハヤマと仲良くなり、今現在ではお互いに無くてはならない親友である。カタナ一本で、どんな難題であろうと切り進むその性格と強さは硬く、曲がらない。『隊長』と呼ばれるに相応しく、指揮から戦闘まで仲間を信じて突き進む男だ。

 

「オキ、そろそろステラの眼が治りそうなのだー。」

 

全く関係ない話をしているのはミケ。惑星ナベリウスの生態系の頂点に上り詰めた謎のアークス。アークスであるのに謎とは、と思うかもしれないが正直よくわかっていない。悪い人物でもないのでオキはそのまま一緒に行動している。実際ミケに助けられたことは結構あったりする。年齢性別不明、性格予測不可と謎の多い人物であり、普段からその小さな体に長いコートとフードをかぶり、時にはアークスのミニトロスーツを着込んで、笑っているのか、微笑しているのか、ほくそ笑んでいるのかがよくわからない。先述したようにナベリウスの生態系の頂点に立っており、ナベリウスに関係する生物はミケに頭が上がらない。理不尽な行動とその地獄のような行いからナベリウスの生物たちはミケを恐れている。だが、この行動は事実上ダーカーからナベリウス原生種を守る事につながっており、強く言えないのもまた事実である。ちなみによく被害にあっているのは『キマリ号』と呼ばれるファング・バンサである。このように意味不明な行動をとっているミケだが、子供たちには優しい姿も見せる。

 

ミケの言っていたステラとは、この間起きた地球騒動の際にどこからともなく助けてきた少女達の一人で、眼に鉛を入れられていた盲目の少女であった。オラクルの技術でも完全に眼を復活させることはできないものの、異物を完全に取り除き、疑似的ではあるが人口の眼をフォトンで作り上げ、体に慣らすことで目が見えるようにはできると医療担当のフィリアから聞いたことがある。

 

そのおかげもあってようやく眼が見えるようになりそうだ。嬉しそうなミケを見てオキもうれしくなる。ちなみにミケも一緒に行くそうだ。散々子供たちの話をした後についでにとぬかしやがった。

 

「マスターだけじゃ不安だからね。ついていく。僕もこの状況を間近で確認しておきたいし。」

 

クロノス。通称クロ。彼女もまたアークスであってオラクル出身ではない。時間の女神クロノスの加護を得た使いのひとり。まさに神に仕える天使。背中から生えている翼は本物で、空間認識を操作することで不可視化することもできる。

 

オラクルに現れた理由として時間を大きく変えている存在がその次元、宙域にいると判明し、別の次元、宙域から送り込まれるような形でオラクルへ来ることになった。その時間を大きく変えている中心人物がオキだ。

 

シオンの依頼。マターボードと呼ばれるモノを使って行っていた過去改変。これにより【深遠なる闇】となるはずだったマトイを救出し、オラクル船団だけでなく宇宙の滅亡となるはずだった歴史を改変し、現在に至った。

 

ある時に自分の正体をオキに話をしたとき『天使だろうと魔神だろうと、それが何であれ仲間にはかわりねーだろ。』と言われ、ぞれ以来ずっと彼らを慕っている。好物はメロンパン。嫌いなものはトマト。

 

『通信途切れちまったすまん。状況は理解した。(…曼荼羅!)(…タル・キャノン!)古戦場終わったらそっちに向かう…(ウンター…)(…ス・ネイル!)。もう少しで終わるからよ。(隣人よ、動きを止めたぞ。褒めよ。)あぁはいはい。よくやっ(ブツン』

 

通信の先から相変わらず忙しなく多くの声が入ってるのはコマチ。彼も出生不明なところがある若干中年の域に足を入れ込んでいる男性。シンキとはオキが出会う前からお互いを知っていたようだが、彼の過去は殆ど話を聞いたことが無いのでシンキ以上に不明である。どうやらアークスになる以前の記憶をぼんやりとしか思い出せないそうだ。オキのどんな相手だろうと一緒に戦った仲になった人物は仲間であるという懐を評価し、個人での行動が多かった彼は、オキを囲む仲間たちの輪に(強引に)入れられた。

 

現在はファータ・グランデと呼ばれる宙域で活動しており、絶えない騒動をオキ達と変わらぬその力で抑え込み、現在解決に奮闘中である。時折、唐突にかえって来てはオキ達の援護を行っている。

 

最近、地球での騒動時に戦ったデウスエスカを見てから彼の様子が時々おかしい。時折虚空を視てはぶつぶつと意味の分からない言葉をつぶやいている姿を見ている。本人曰く内側から何かが出て来そうな感覚だといい、どうやら記憶が戻りつつある可能性がある。少なくともその状態でも戦闘自体に支障はなく、危険ではないことが実験でわかったので(この時オキが試しに殴りに行ったら無意識に殴られた)とりあえずは放置している。

 

「任せるよ。リーダー。」

 

ハヤマ。前述した仲間たちと出会う前、マトイとも出会う前、アークスとなって初めてチームを組んだ腐れ縁。

 

どんなことであろうとお互いに助け合い、認め合い、背中を預けられる存在。オキの仲間たちの中で唯一のオラクル出身のアークス。オキ同様、フォトンを扱う技量が高く、その戦力はオキと同格レベル。特にカタナの扱いに長け、同じくカタナを扱うアインスとは気が合う。一般的なアークスかと思いきや、彼にも変な力がある。『異常生存体』と呼ばれるその不思議な体は異様なまでに幸運に恵まれているのだ。基本的には表に出てこないが、唐突に、ピンチの時、自らに起きている事象を都合のいい方向へ切り替わる。自分自身では否定しているものの、一緒に行動していればそれは嫌でも目についてくる。尚、ハヤマ自身制御できていない様子。

 

各々がそれぞれの思いをオキに伝え、オキは向かうメンバーをアルマへ紹介し、号令をかけた。

 

「向かうは【深遠なる闇】の中。何が起きるかわからないから、各自臨機応変に対応するように。尚、シンキはできるだけ力を抑える事。」

 

「えー、なんでー?」

 

文句言ってくるがダメなものは駄目だ。彼女の力は強力ではあるが、逆に強力すぎる。どのような事が起きるかわからない以上、彼女の力は押さえておくべきだと判断した。

 

「わかったわよー。」

 

ぶーぶーと非難するが、彼女の中でもそれは分かっているはず。オキはそれ以上を口出ししなかった。

 

「オッケー? じゃあ、始めるね?」

 

アルマの力により再び地面がうねる感覚を覚えつつ、かの地へと飛んだ。【深遠なる闇】の内部。その夢の中へ。

 




皆さまごきげんよう。
はじめましての方は初めまして。前作からの方はまたよろしくお願いします。
ようやく書き始めれましたFGO! 書きたかったんです!
既に読んでくれた方はわかると覆いますが多数の作品ネタが出てきます。
お見苦しいところが多々あると思いますが、これから宜しくお願いします。
できるだけ毎週土曜日に更新します。
では、次回にまたお会いしましょう。
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