Fate/Grand Order ~Guardian of History~   作:沖田侑士

3 / 7
序章 特異点F「炎上汚染都市 冬木」
第1節 「燃える街」


ギリシャ神話に名高い三姉妹。元々はオリュンポスの神々より古い土着の神で、大地に関係の深い神性。地母神。

三姉妹はもともと同じ存在であり、コピー、クローンと言ってよい。しかし、末妹のみがコピーミスとして誕生し、本来「完成した女神」として生れ落ちるはずが、「成長」してしまう。個性を得た末妹の影響で、姉達もまたある程度の個性を獲得してしまう。

ただし、姉の二人の繋がりは未だ深く、以心伝心を通り越した共同体という状態。多少の差はあれ、基本的な性格・感性は一緒であり、上の姉は自分自身を「私」と呼ぶのと同様、下の姉のことも「私」と呼ぶ。

女神アテナの不興を買って「形なき島」に追放された末妹に付き合い、姉妹だけで島で暮らすようになる。

 

 

 

『私』は満足していた。

 

追放された妹と共に暮らした島。静かで、小さくて、3人で暮らすにはちょうど良い孤島。

 

女神として『愛されるだけ』だった私を、私たちを求めてやってくる勇者たち。

 

時々そういうのが訪れては駄妹が石にする。

 

そんな時々は煩い場所だったけど、過ごすにはちょうどいい場所だった。

 

でも…永くは続かなかった。

 

それでも後悔はしなかった。一つになるなら。『私』も同じ考え。

 

ばらばらになった今では、願い事はただ一つ。

 

『再び一緒に…。』

 

いいえ、叶う筈もない。だから願いなんて一つもない。

 

そう、思ってる。

 

 

 

『本当にそれでいいのか?』

 

…誰?

 

『さぁな。俺もあんたが誰だか知らねぇ。でもちょっと声が聞こえたもんで。お邪魔したかな?』

 

…いいえ。ここは私しかいないから。声が聞こえた事で少し、びっくりしたの。普通はありえなくてよ?

 

『そうなのか? 俺は通りすがりの者だ。つっても、気が付いたらここにいたし、すぐに行かなくちゃならねぇ場所がある。とはいえ、なんか寂しい声がきこえたからよ。可愛らしい声がさ。つい声かけちまった。』

 

そう。なら、そちらに行くといいわ。大事な用事があるのでしょう?

 

『まぁな。…さっき言ってた話、叶うといいな。時間があれば、俺も手伝ってやったんだが…如何せん時間が無くて難しそうだ。』

 

…あなたは、あなたのやるべきことをやりなさい。それが、貴方の使命でしょう? ここはあなたのいるべき場所ではないわ。

 

『使命、か。別に、使命でもなんでも、俺はやりたいことをやってるだけなんだがな。ま、機会があったらあんたの探している人、一緒にさがしてやるよ。っと、向こうに光が見える。あっちが出口か。そんじゃぁね。姿の見えない可愛らしい声の方。』

 

…なんだったのかしら。ここに何かの意思が入ってこれるとは思えないのだけど。

 

…何かしら。この感覚。懐かしい…そんな、なにか…。

 

…光? 先ほどのなにかの通った後のようだけど。今ので道が開いたのかしら。

 

ふふ、どんな愚か者で哀れな人か、見てみるのも一興かしらね。

 

 

 

それが、私とマスターの出会いだった。本人は気づいてないようだけど、私は気づいている。

あの時に声をかけた人は間違いなくあなた。

 

「お? アサシンか。ん? でもこれ女神って見えるぞ?」

 

ぱっとしない、良くも悪くもない顔。そう、それがあなたの顔なのね。

そして、あなたこの世界の人じゃないの。アークス? 宇宙の…世界の守り人かしら。

ただの人ではなさそうね。すこし、興味が湧いたわ。

 

「ふふ、女神を顕現させるなんて。愚かで面白い人ね。あなた、お名前は?」

 

それが、あの人と私の出会い。それが、始まり。

叶う筈の無い願いであると知っていた私の考えを覆したあの人を知った始まり。

 

 

 

 

「どうした? オキ君。」

アインスがふらりとしたオキを心配そうに見た。近くにいるオレンジ髪の少女藤丸立香も心配そうに顔を覗きこんでくる。

「ああ、大丈夫だ。少し、頭に痛みが走っただけだ。今は特に支障はない。」

「オキさん、ご無理はなさらないように。何かがあれば私がお守りしますから。」

白衣姿だった少女は鎧を身に着け、大きな盾を武器として立夏を守る紫髪の少女マシュも気にかけてくれる。

「異世界の戦士だからって無理は禁物なのはどこでもいっしょのはずよ。あまり前に出ない。」

銀髪の少女オルガマリーも厳しい言葉使いではあるが気にはかけてくれているようだ。

オキ達、アークス達はオメガ世界に入った直後、オキが助けたという藤丸立香というオレンジ髪の少女、紫髪の少女マシュ、そして銀髪の少女オルガマリーと出会った。

初めは警戒されていたものの、一番初め、オキが初めてオメガ世界に入った場所『人理継続保障機関フィニス・カルデア』内部で起きた事の事実と、実際に助けたという事。更に、いつの間にかオキを含むハヤマ、ミケ、クロノス、シンキ、アインスの6人が『マスター』としてカルデア側に登録されていた

人類の未来を語る資料館。時計塔の天体科を牛耳る魔術師の貴族である、オルガマリーの父、マリスビリー・アニムスフィアが創立した未来を保障するための機関。

アニムスフィア家が管理しており、アニムスフィアの使命、一族をかけて成しえる命題、冠位指定グランドオーダー“この惑星の人類史の保障”を成しえる組織。

魔術だけでは見えず、科学だけでは計れない世界を観測し、人類の決定的な絶滅を防ぐ為の各国共同で成立された特務機関。それが『人理継続保障機関フィニス・カルデア』である。

謎の爆発で壊滅的被害を受けたカルデア内ではわずかな生存者で何とか復旧を急いでいる。

そんな中で、レイシフトが行われてしまった。

「人類の歴史が途絶える未来が見えた。」

レイシフト。難しい構造までは話を聞いただけでは理解できなかったオキだが、シンキが教えてくれた。

「簡単に言えばタイムスリップに近いモノよ。厳密には違うけど。」

時間に関して詳しいクロノスも補足に加わる。

「歴史は枝分かれしている。マスターは知っているよね。その枝分かれっていうのは、一度別れてしまうとその先の未来で何があっても過去の時間が分かれることはない。一度決まった過去は変わる事はない。でもここはその枝分かれが、起きてしまった。その為未来が無かったことになってしまう。そういう枝分かれしてしまうIfの直前に時間跳躍(タイムトラベル)と並行世界移動のミックスを行って簡単な時間旅行をするってこと。」

未来の歴史が途絶えている。ソレを観測したカルデアは『特異点』と呼ばれる歴史の途絶え、人類の滅亡に関連する歴史が改変されてしまった場所を特定。レイシフトを行いタイムスリップして原因を究明、解決する事を行う筈だった。

オキが到達した直後に起きてしまった爆発が無ければ。

本来なら適性ある人物しかできない特殊な儀式のようなモノ。だが、それを聞くと適性があってもおかしくはない。

「それなら適性抜群ですね! 何度もマターボードで繰り返し過去へさかのぼったのがこの方ですから!」

オキの胸から飛び出した小さな存在、妖精姿となってオキについてきたハイ・キャスト シエラ。

守護輝士の専属オペレーターのシエラはこの『オメガ世界』の内部に入ってからもオラクル側からの連絡ができる様に自分の分身を作成、オキに忍ばせておいたそうだ。

オメガ世界到着直後に信じようとしないオルガマリーの目の前に飛び出してオキ達の行ってきた【深遠なる闇】浄化にどれだけの苦労とどれだけの彼らの活躍があったかを力説した結果、オルガマリーは折れたのである。

「…♪」

かわいい!と目を輝かせながら近寄る立香。

「フォウ!」

「フォウさんも気になってしょうがないみたいですね。」

白いモフモフの小さな4足動物。名前をフォウと呼ぶらしくカルデアの内部にてペットとして生きているそうだ。

「妖精連れてるし、本当に異世界の住人なのかしら…。でもマスター登録はされてるっていうし…。ってことはサーヴァントじゃない。でも、さっきの化け物相手でも怖気ずに戦ってるし…。ああ、レフ。あなたがいれば…。Dr.ロマニ、準備はできてるの?」

異世界からの到来者、アークス、守護輝士だと素直に話した。隠しても仕方がない上、最初から信じてくれるとは元より思っていない。相変わらずオルガマリーは警戒しているものの、爆発から身を挺してかばってくれた事はどうやら記憶にあるらしく、少なくとも感謝だけはあるようだ。

化け物。人の骨の形をしていて、それでいて竜の頭のような頭部を持った動く骸骨。

立香やマシュと再会した際にその骨どもから救った際の戦いっぷりを見ていたからだろう。

デミ・サーヴァントとなったマシュ。サーヴァントと人の融合体となった彼女の身体能力でもかなり苦戦は強いられる相手だという。

サーヴァントとは。ここからが大事だ。オキが今目の前にしているのはマシュが融合し命を取り留めたという『サーヴァント』つまり使い魔の召喚サークルだ。このレイシフトで本来ならばマスターはサーヴァントを召喚し、使役、運用して化け物どもが出てくれば戦い、敵対勢力があればそれを攻略し、何が何でも歴史を元の戻す事を行う筈だった。

だが現在ではそのマスターも立香。そして異世界から来たのにもかかわらず、なぜか登録されているオキ達アークスの6名。

爆発直前にマスター登録されたのが立香君以外に7名いる。Dr.ロマニがそう言った。

現在の壊滅的な被害を受けたカルデアにいる数少ない生存者であり一番上の階級者。所長という立場であるオルガマリーは何故かレイシフトしている為カルデア内部の指揮は取れない。よって彼が代わりに指揮を行っている。

「さぁ、はじめなさい。マスター適性があるなら、できるはずよ。」

霊脈。その土地の力が一番溜まっている場所。アークス流に例えるならばフォトンが一番溜まっている場所という事になる。

確かに普段よりフォトンの量が多いとシエラも観測している。

そしてここで行おうとしているのが『サーヴァント』の召喚である。

7人のマスターが7騎のサーヴァントを召喚しこの燃えている崩壊した日本の都市『冬木』で事件の究明を行う筈だった。

『セイバー』『ランサー』『アーチャー』『キャスター』『アサシン』『ライダー』『バーサーカー』。

Aチームに所属する7人のマスターがそれぞれを担当するはずだった。

しかし今ではそれもできない。立香と、オキ達6人。そしてもう一人登録されているというまだ見ぬマスターの計8名で進む必要がある。

「…。」

立香は魔術師としても素人であり戦いなんてもってのほかという事もあり、オキ達が代わりに召喚することになった。

オルガマリーから受け取った虹色の刺々しい石を握りしめ、マシュの持っていた盾に召喚システムが組み込まれているというそのサークルに石を投げいれた。

「なんだ…? 頭に、何かが…。」

オキの頭の中に新たな知識が入り込んでくる。痛みはない。違和感もない。すんなりと、まるで元からあったかのようにオキ自身の知識として記憶に入り込んできたソレは『アサシン』を示していた。

「お? アサシンか。ん? でもこれ女神って見えるぞ?」

見える、いや分かる名前は女神を示している。彼女がどのような存在か。その知識が入ってくる。

そして薄い紫の長いツインテール、白い綺麗な薄いドレスを着た少女は優しく微笑んだ。

「ふふ、女神を顕現させるなんて。愚かで面白い人ね。あなた、お名前は?」

女神ステンノ。オキのサーヴァントとして顕現す。




ドーモ、みなさん。ごきげんよう。
本編が始まりました。これから宜しくお願い致します。
いろいろ設定が雁字搦めのおかげで前作より改変するのが難しいFGOですが、まぁ困ったときのフォトン万能説で押し通しますので、ご承知おきを。

さて、早速サーヴァントの召喚でアサシン、ステンノを召喚です。
彼女が主人公オキのメインサーヴァントとしてグランドオーダーを達成することになります。何故ステンノを選んだかって? 一番好きだからだ!
我がカルデアのステンノはLv100宝具5スキルマです。
(フォウマは先にマシュに行いました)

もちろん他のメンバーも召喚します。誰が誰を召喚するかは次回にわかりますので、もしよろしければ誰が誰を召喚するかを予想してみてください。

それでは次回またお会い致しましょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。