Fate/Grand Order ~Guardian of History~ 作:沖田侑士
この人は一体何を考えてるのかしら。
マスターとして契約をし、サーヴァントとして女神である私を顕現させた彼の事を知るためにずっと観察をしていた。
異世界の住人だと、契約した時にその情報が入ってきたから、異質な存在だというのは理解していた。それにあのとき…。
次の目的地へと向かう為、マスターの仲間たちである他のマスターのサーヴァント達が警戒する中、移動を開始。燃える街、冬木の中を移動している最中感じたのは『ある懐かしい魔力』。そう、あの子がいるのね。だから私はちょっと驚かそうと、気配遮断をした。
本来ならば保有していないけど、サーヴァントとして召喚された時に付与されたスキル。まぁ私や私なら、そんなもの無くってもあの子の隙をつくのは簡単だけれど…。
案の定、あの子はいた。まったく…。私に気づかないなんて、いくら離れ離れになった期間が長いからって気づかないのは寂しいわ。
それに、あの子ったらいつのまにこんな骨の兵士を従えるようになったのかしら。私の許可なしに誰かから借りたのか、奪ったのか…。お仕置きが必要ね。
とか思ってた時に、あの人が動いた。あの子が攻撃の気配を出した途端、自ら攻撃を仕掛けに行った。
普通ならそんなことは考えない。サーヴァントがいるなら、サーヴァント相手はサーヴァントがするもの。
でも、彼はそんなことお構いなし。攻撃は受けきれている…。あの子の攻撃はどんなに勇猛な戦士であっても、どんなに屈強な勇者であっても受けきれるものはいなかった。それを受けきっている。でも、駄目ね。彼の攻撃は…通っていない。
魔力の形態が違うのね。仕方ない事だわ。受けきれるだけでも、すごい事だわ。ええ。
仕方ないわね。私が出るしかないかしら。ふふふ。さぁ
港部に到着した一行は異様な光景を目の当たりにした。石像の数々が並ぶ海沿い。数はゆうに50を超えているだろう。
ナニカから逃げ惑うように恐怖の表情をしたまま固まっているソレはまるで生きているかのよう。
「生きているかのよう、ではなくまだ生きていますよ。」
とある一つの石像の横に一人の長身の女性が降り立つ。フードをかぶっていても分かる長い髪。眼帯をして両目を塞いだ長身の女性。
サーヴァント達が一斉に円陣を組み、マスターたちを取り囲み防衛陣を組んだ。
「おやおや。これはまたかなりの御一行様ですね。…なるほど。あなた方はこの聖杯戦争外の方々のようで。」
クスリとほほ笑んだ眼帯の女性は横にあった石造の一つに手をかける。
「あなたはこの聖杯戦争の参加サーヴァントね? できれば話を聞かせてほしいのだけれど。マスターはいるかしら?」
オルガマリーの言葉の言葉にくすくすと笑い不気味な雰囲気を出している長身の女性は手をかけていた石造の頭を横に向けた。
「ええ。いましたよ。たったいま死にましたが。」
ゴキリと石の砕ける音と共に折れた頭は地面に落ち、砕け散った。
「敵対する気満々じゃのう。」
「しかしこの数を相手にしようと思っているのですか?」
ノッブと沖田の言葉の通りだ。いくら聖杯戦争に直に参加しこれほどの人数を石化する能力を持っているとはいえ、こちらも数では完全に勝っている。契約仕立てで完全に力が発揮できない状態とはいえ、多対1。普通なら勝てる要素はない。
「ええ。ですので、こちらも数で攻めさせてもらいます。」
長身の女性が指を鳴らした直後、道中もところどころで出てきた骨の兵士たちがわらわらと地面から現れた。
『急に魔力の数が増えた!? 所長! 立香! マシュ! 囲まれてる!』
ドクターが通信先で叫ぶ声が響いた。それくらい見ればわかると怒鳴るオルガマリー。数は石造よりも多い。
「まずいぞオキ君。我々の攻撃は通じないはずだ。それをこの数だ。」
「ああ。相手はやる気満々で話する気もなし。サーヴァントの数はこちらが完全に有利とはいえ、これだけの骨の兵士の数ときた…。」
アインスとオキは口で笑いながらもこの状況が圧倒的に不利であることを理解している。
周囲を囲む百はいるであろう、いやそれ以上かもしれない数の骸骨の兵士たち。この化け物相手にオキ達は既に攻撃を行っていた。
ここに辿り着く前に現れた骸骨の兵士たちが現れたるや否や、いつも通りに武器を振るって自らの身で攻撃を仕掛けていた。
だが、その攻撃はまったく通らなかった。革はあるのに中身が無い。まるで素通りしているかのような感触を感じたオキ達の攻撃は全く意味をなさなかった。
正確にはオキ達の武器から放つフォトンが全く歯が立たない状態になっているというのが正しいとシエラは解析した。
一番初め、オキ達が立香やマシュ、オルガマリーを助ける為に倒した骨の兵士たちには攻撃が効いた。しかしその後、サーヴァントと契約をしてからフォトンが効かない状態になっている。
とりあえず相手の攻撃は防御できる。星々と同じほどの巨体を持つダークファルス【巨躯】をはじめとする強力な敵と戦ってきたアークスだ。攻撃ができなくとも、防御が出来るなら負けだけは無い。
「ふふふ。さぁはじめましょうか。竜牙兵よ。やりなさい。」
竜牙兵と呼ばれる骨の兵士たちが一斉にオキ達へと攻撃を開始した。
「立香と所長とマシュを守れ! 彼女たちが要だ! ハヤマん! 援護!」
オキの指示に従いアインスやクロノスは自らが攻撃に出れないため、サーヴァントに攻撃指示を出す。
「は? あの人はもう…。ノッブ! 玉藻はリーダーの援護! あの人突っ込む気だ!」
「ワシに任せよ! 全て撃ちぬいてくれるわ!」
「マスターのリーダーは猪突猛進なんですねぇ。まぁ指示されたならしっかりやるのが良妻の務め。」
両手に火縄銃を握り、撃っては次、撃っては次と竜牙兵の頭を撃ちぬいていくノッブと火や水をその場にだし、燃やし、流しとオキの進む道を作っていく玉藻。
「ゴールデン。」
「おう、任せろや大将。」
バチバチと大きな鉞に稲妻を光らせ、薙ぎ払っていくゴールデンや素早い動きで竜牙兵を斬っていく沖田や土方。
「やあああ!」
それでも数の多さでこぼれも出てくる。サーヴァント達の横を運よくすり抜けた竜牙兵は大盾を振り回し立香やオルガマリーを守るマシュによって叩き壊されていった。
「この数をすり抜けてきますか。いいでしょう。どんなバカか知りませんが、お相手いたします。」
「っへ。攻撃が通るか…試すだけさ!」
スルリと何処にあったのか、何もない所から大きな鎌を取り出した女性のサーヴァントはオキのエルデトロスを大鎌で受けた。
「ほう…。なかなかの力。ただの人では無さそうですね。」
「まぁな…っち! 鎖鎌ときたか。」
ジャラジャラと周囲を走る鎖と大鎌は瞬く間に鎖でオキ達の周囲を囲んだ。
「…名前を聞いておこう。」
「名前、ですか。そうですね。ランサー、とだけ言っておきましょうか。」
ランサー彼女はそういった。鎖に大鎌を持ったランサーは笑みをこぼしながらオキへと攻撃を開始する。
猛攻。いろんな攻撃を受けてきたオキだが、ここまで素早く重い攻撃はなかなか受ける経験をしたことが無い。だが、受けきれないわけではない。
「…ふふ、へへへ。攻撃は通らねぇ。防御はできる。となるとサーヴァントで攻撃するしかないっか…こいつは残念だ。」
正直言って残念でしかない。サーヴァントとはここまで強いのか。受けきれないわけではないが、受けるしか手立てがない以上どうにもできない。自らの身で戦っては見たかったが、残念である。
「おかしなことをいう人ですね。少なくともあなたより、あちらの方を攻撃した方がダメージは大きそうですね。…血もおいしそうですし。」
ランサーは鎖の上を飛び跳ね、隙を突き、オキの横腹に狙いを定めて蹴りを放つ。
かろうじて反応できたオキは防御をするも、その防御ごと蹴り飛ばされランサーから離された。
「ちぃぃ…。こいつはまずいな…。」
武器をはじかれ、強力な蹴りで吹き飛ばされたオキの周りを竜牙兵が囲んだ。エルデトロスを振り回し、吹き飛ばしたが相変わらず攻撃がとおっていない為、吹き飛ばされただけでケタケタと骨同士がぶつかる音をたて笑っている。
「防御は認めましょう。私の攻撃を受け止めきれる技量や力はある。しかし、それが攻撃として通らなければ、意味がありません。」
ランサーは鎖鎌を多数だし、立香を狙う。
「マスター!」
マシュの大縦が飛んできた鎖鎌を防ぐも、そのパワーと数に押され気味だ。すぐさま盾は弾かれる。
「…!」
立香がマシュの名を叫び、彼女の身体を支えた。その隙を狙ってランサーは立香のそばまでやってくる。
「っく! 数が多すぎて…。」
「間に合わぬ!」
ハヤマやネロ達は多数の竜牙兵を相手にしている為間に合いそうにない。
「立香!! マシュ!!」
所長の叫び。オキの駆け出しも距離が遠く間に合いそうにない。ランサーの大鎌が立香とマシュに突き立てられそうになったとき。
「ふん。」
一人の男が大鎌を弾き上げ、腰に握り拳を添えた。
「急いで来たら早速やりあってんのか。」
「っ!?」
ランサーの腹部に拳が沈み込み、ランサーの腹から拳を抜き取ったコマチは突いた拳を見つめていた。
「コマッチー!」
「でたー! コマチの18番! パリィだー!」
ファータ・グランデ宙域での古戦場が終了し、リーダーの全員召集指示に従い、遅れてではあるがオラクル船団へと戻ってきた矢先だ。オメガ世界とかいう【深遠なる闇】だったアレがよくわからんごちゃまぜの世界になってしまったようで、その中にリーダーたちは向かったそうな。ニコニコと笑うアルマ。リーダーの行っていたマターボードでの歴史の分岐点での『仕事』。その際にちらちらと彼女の姿だけは見えていた。だが、リーダーたちは気づいていなかったらしい。
「あなたがコマチさんだねー。ふーん。あなたも大変だねー。」
全身を下から上へと眺めたアルマ。なんだ? 気になる部分でもあるのだろうか。
「まぁリーダーにつき従うだけさ。リーダーの下に向かわせてくれ。」
「はーい。それじゃあ頑張ってね。薪の火さん」
「あん?」
にっこりとほほ笑むアルマ。何か自分の事を知っているのだろうか。言葉と同時に目の前が真っ暗になる。
一つの火があった。それは大きくなり、そして次第に小さくなった。
その火は自分に近づき、そしてまた大きくなった。
火は次第にまた小さくなっていった。
記憶はここで途切れている。
リーダーの下に駆け付けた直後。いきなりのピンチだ。相変わらず喧嘩を売るのが早い人だ。いや、喧嘩を買うのが早い人と言うべきか。敵対しているのは、あれか。女か? 誰でもいい。敵対しているならば全てこの拳を腹に喰らわせるまでよ。
まて。なんだこの感触。女の体に自分の拳を入れたはずだ。だが感触が『ない』。まるでゴムボールに腕を突っ込んだようだ。
相手も驚いているのか拳を入れられた腹を見ている。ならば後ろからやってみよう。
「綺麗な動きで後ろに回ったー!」
「そして…。」
「「はいったー! ケツ掘り致命だー!」」
オキとハヤマの実況が周囲にこだまする。あまりの状況に周りもぽかんとこちらを見ている。
やはりおかしい。しっかりと腰から尻の付近の拳を思い切り埋め込んだはずだ。普通なら中身を引きずり出せるはずだがまったく感触が無い。一体なんだというのだ。
「っ!!」
逃げるか。そうはさせん。
「今のコマチ選手、綺麗に入りましたねぇ。どう見ますか解説のハヤマさん。」
「そうですね実況のオキさん。腹に致命からの感触を確かめてから、綺麗な動きでのバック取り。まさに流れるような動きでしたね。」
「おっと? どうやら感触がおかしいようだ。手を握っては広げを繰り返している。」
「尻を掘った直後にあの動作は、はたから見れば変態です。」
あの二人は…。しかたねーだろ。感触がおかしいんだからよ。もう一度だ。
逃げる相手の真正面から、後ろに突っ込む。
「ランサーやられまいとバックしながら逃げる!」
「しかしこれは…コマチ選手前から突っ込む気か! まさか、これは!」
真正面から突っ込み、即座にバックを取る。どこで覚えたのか、自分でも分からない。記憶が無くなっているからだ。
だが、身体が覚えている。人型相手だろうが、化け物相手だろうが、前と後ろという概念があるならどこにだって自分の拳を突き刺してやる。おら、もう一回突き刺してやる。
「「きまったー! ホモステップだーーー!」」
「これはひどい。」
「ははは。」
頭を押さえるクロノスにそのやり取りに笑うアインス。驚きを隠せない女性の敵性。とりあえず攻撃が通らないのは分かった。
仕方ない。ここからはリーダーに任せよう。
「どうすればいい。リーダー。」
気が付けばあれほどいた竜牙兵はいなくなっていた。
コマチの突拍子もない動きでランサーもオキを強襲したスピードある動きができずに地面に伏している。
攻撃は通らないにせよ、押し倒しやけりなど、表面上の接触はできるようで、コマチが蹴り倒した。
「どうすればいい。リーダー。」
何度攻撃を繰り出そうと全てはじかれ腹に拳を突き立てられ、直後に蹴り倒される。起き上がり逃げようとすれば後方に回り込まれ後ろから拳を突き刺される。そんなことを繰り返し行われればいくらサーヴァントでも冷静を保っていられないだろう。
「ぐ…く…こうなったら…!」
ランサーが眼帯に手をかける。目に何かしかけているのだろうか。コマチや周囲にいたメンバー、サーヴァント達が構える。
ひゅん…
「っきゃ!? …な、この…この痛み…。」
正に今眼帯を取ろうとランサーが手を上げようとした瞬間。何もなかった場所から一個の光弾がランサー目掛けて飛んで顔面にあたった。当たった直後、彼女はなにか恐ろしいものを見るかのように恐る恐る光弾の飛んできた方向をゆっくりと振り向いた。
「あらあら。私がここにいるのに気付かないだなんて、ダメね。ええ、ダメよ? いくら離れ離れになったのが長かったからと言って…。」
「そんな…嘘…。ですが…この感覚…この魔力…!」
光弾の主、ステンノがゆっくりとランサーに近づいた。危険と思ったオキだったが、ランサーの様子が何かおかしい。
他のサーヴァント達もそれに気づいている。ランサーが完全に怯えて固まっている。
「こんなにも、近くにいて…こんなにも分かり易い場所にずっと立っていたのよ? それなのに、気づかないなんて。ねぇ…どうしてかしら。…
「ううううう、上姉さま!?!?」
「メドゥーサ…。あのランサー、メドゥーサなのね? それなら納得がいくわ。」
クロエを初め、サーヴァント達はランサーがステンノを恐れはじめた事にようやく納得がいったらしく、他の敵性反応が無いかを警戒しながら、嬉しくて微笑みが止まらない姉とそのお仕置きに悲しく泣き声を上げる妹に生暖かい目で見守った。
「メドゥーサ。ギリシャ神話のゴルゴーン三姉妹の末女の事ですね。ゴロゴーン三姉妹の名前の由来となったゴルゴーンと言う魔物は彼女が生った事からと言われているほど有名な話のようです。ステンノさんはメドゥーサさんのお姉さんという事なります。ちなみに先ほどメドゥーサさんが眼帯を上げきった場合、魔眼を持っているそうで、その眼を見たものは忽ち石化する伝説があるため、私達も石化していたかもしれません…。」
シエラの説明に恐ろしい話が混じっていた。メドゥーサねぇ。この女性がステンノの妹さんか。
先ほどまでの凄みが一瞬にして小さくなりやがった。
「メドゥーサ!? これが?」
コマチが話を聞いて驚いている。ああ、そうか。そういえばコマチの所には…。
「メドゥーサって、これだろ? こんなスタイル抜群の姉ちゃんじゃねぇよ。俺の知ってるメドゥーサは。」
コマチがフォトンの空中映像投影をステンノと彼女の座る椅子になっているメドゥーサに見せた。
「いたね。そういえばコマッチーの所の騎空団にメドゥーサって名前の子。」
映像内では小さく気の強そうな少女がひらひらの付いたカラフルな衣装を身にまとい、歌い、踊りながら巨大な何かと戦っている姿が映し出されていた。
「あらあら。
「っひ…!」
たしか、歌って踊りながら戦える。何でもこなすのが私。とか言ってなかっただろうか。
オキ自身もコマチの所にいる多数の仲間たちとは交流があり、彼女の事も知っている。
「ほら、やってみなさい? できるのでしょう? むこうのあなたはできてるわよ?」
「あ、あの…上…姉さま…。」
顔を近づけていくステンノ。完全に怯えきっているメドゥーサ。正直かわいそうである。
「…あら。」
「あ…。えと…申し訳ありません…上姉さま…。どうやら…ここまでのようです…。再び会えて、嬉しかったです。上姉さま…。」
きえた。どうしてだろうか。光の粒子となってメドゥーサが消えてしまった。
「え…っと…。霊基を失ったのよ。どうしてかは…分からないけど…。座に帰ったのね。」
困惑しているオキに気づいたからか、オルガマリーが恐る恐る近寄って説明してくれた。目線の先にはステンノがある。彼女の『お仕置き』が厳しかっただからだろうか。真相は誰にも分からない。しかしそれでも最後の最後はメドゥーサもステンノにほほ笑んでいた。消えて行った粒子をじっと見つめるステンノを見ていたオキ。
「…クス。」
ステンノの眼がメドゥーサをお仕置きしていた時の眼ではなく、本当に優しい眼をしている事にオキは気づいた。
そういえば、メドゥーサだけでなく彼女、ステンノはバラバラになっていたんだったな。
嬉しかったのだろうか。ほんの少しの時でも妹に出会えて。
「ええ、大事な、大事な。愛しい妹よ。再開して嬉しくないなんて言わないわ。だって、2度と…出会う事はないと思っていたのだから。」
ふふっとほほ笑むその横顔は無邪気に喜ぶ少女の顔。本当にうれしかったのだろう。その嬉しい表情にオキも微笑む。
『と、とりあえず敵性反応は周囲には見当たらないよ…。落ち着いて態勢を…あれ? マスター反応が一人増えてる?』
Dr.の通信で7人追加されていたマスターの一人がその場にいるという。新たに現れたのはコマチだ。そして彼の手の甲には…
「あ? ああ、これ? 新しく実装されたボディペイントかと思ってた。令呪ねぇ。へぇ…。」
コマチが新しいマスターであるならば、彼もサーヴァントを召喚できるのだろうか。オキがその事をオルガマリーに聞くと、彼女はええと言うと、新たに見つけた龍脈を使い、オキ達が行った召喚と同様に行えば召喚できると話した。
「今度はどうなるのかしら…。流石に2基も3基も同時に出すのはやめてほしいわ…。」
『あ、あはは…。』
オキ達の動向に対してすでにあきらめムードとなったオルガマリーに対し、ワクワクしているのが表情だけでわかる立香。Dr.は通信先で苦笑気味である。
「…。」
「はい! 次はどなたが召喚されるのでしょうか。私も気になります。」
マシュの大盾を龍脈に接続。巨大な魔術サークルを浮かび上がらせ、コマチがその前に立った。
「これを投げ込めばいいんだな?」
「こまっちー。もしこう、イメージとか全くなくて、誰でもいいと言うのであれば一つ、お願いしたいんだが。」
「ん?」
オキはコマチに近づき、コマチに耳打ちした。ある英霊を召喚してほしい。今のコマチならできるはずだと。
いや、やっては見るけど期待はするな。そうコマチは眉を歪めながら召喚サークルの前に再び構えた。
「俺の運は武器運に今吸われてる。1点狙いとかできるわけねーよ。やってみるけどさ!」
コマチが虹色の魔石を盾の召喚サークルに投げ入れる。コマチがオキを向いて質問した。
ちなみにこれ天井無いの? ありません。
召喚サークルは強く光り輝きだし、召喚の成功が確認された。
『霊基確認。こちらでも登録できたよ。…このサーヴァントは…。』
「どうしたのDr.ロマニ? まさかまた女神とかいうんじゃないでしょうね…。」
召喚された人物はゆっくりと顔を上げる。紫色の腰まである長い髪。長身で美しいラインを描いた体つき。眼帯をして両目を塞いでいるが、それでも美人だと分かる整った顔。
「ま、間違っちゃいねぇか。一番知ってる女神さまがここにいるよな。どうよステンノ。ご期待には添えたかい?」
「あなた…そんな…まさか…。」
「あー…やっちまったー…。これでまた暫くクジ運ねーわ…。1点集中ビッタリビンゴだ、リーダー! あークラスはライダーだと。」
オキはコマチにお願いをした。彼は別に誰が来てもいいと言った。なので、もし可能ならばあるサーヴァントをイメージして召喚に応じてほしいと彼に依頼した。
その人物は、オキのサーヴァントであるステンノの大事な、大事な妹。
「…物好きな人ですね。生贄がお望みでしたら、どうぞ自由に使ってください。」
サーヴァント、ライダーとして召喚された彼女はその直後、もう2度と聞くことのないであろう声を再び聞き、嬉しさと恐ろしさでいっぱいになったそうな。ステンノが近づいていくにつれ、その女性は立っている足に力が入らなくなる。
それもそうだろう。2度と出会わないだろうと、もし出会ったら…なんて夢にも思う事の無かった上の姉との再会。
「そう。自由に使っていいのね。ふふふ。だったら…ねぇ。私がもらってもいいかしら。女神への捧げものとして。ねぇ、
皆さまごきげんよう。今回でアークス側7名全員がサーヴァントを召喚し終えました。
今回はコマチサイドをちょっとだけ入れました。彼の正体がこれでわかった人はあなたも立派な■■■■■■の住人ですね。
今後恒例にするつもりのシエラのちょっと聞きたい英霊のコーナーがちょいちょい、その直後にコマチが合流した為、ファータグランデにいるこんな神様等、物語の中に変なのが混じってきますが気にしないでください。作者側のちょっとした遊びです。
今作のこれ以降ではアークスサイドはしばーーーらく攻撃に回らずマスターとしてサーヴァントを使役していくことになります。じゃないとサーヴァントの意味がないですからね。とはいえ、いろんな意味で無双していきます。相変わらずのアークス汚い。
では次回またお会い致しましょう。次回はみんな大好き兄貴の登場です。