Fate/Grand Order ~Guardian of History~   作:沖田侑士

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第4節 「冬木聖杯戦争の生き残り」

コマチが合流し、ライダーメドゥーサを召喚した直後。その男が顔を出した。

「よう。攻撃はしないでくれよ。敵対するつもりはねぇからよ。」

フードをかぶった男性の声が辺りに響いた。サーヴァントの反応あり。Dr.ロマニからの通信が入った直後に現れたサーヴァント。

この聖杯戦争参加サーヴァント、キャスターの枠で呼び出されたケルトの大英雄『クー・フーリン』。

「お前ら、この聖杯戦争の参加サーヴァントじゃねぇだろ? 見りゃわかるよ。できれば手を組もうじゃねぇか。もちろんこっちの情報はきっちり出すぜ。」

「いいんじゃない?」

オキ個人としては別に問題ないと判断したのでオルガマリーに進言した。正直彼一人でこのサーヴァントの軍勢相手にできるとは思えないし、万が一罠だったとしても何の利益もない戦いをするような人物でもないと思ったからだ。

『どうしてそう思うの?』

小さな声でオキの耳のすぐそばで聴き返してくるオルガマリー。息が耳にかかってくすぐったい。

正直、このサーヴァントの数を相手に喧嘩を売って得する事はほぼないに等しい。聖杯戦争についてはオルガマリーから聞いた通り聖杯という究極の願望機を巡って戦いを行う事。俺達がその願望機欲しさに横槍を入れない限り、向こうから喧嘩を売られない限り、こちら側が買う事はない。つまりこちら側に喧嘩を売ってきたサーヴァントは損しかないわけだ。

『俺なら横槍を入れれる力を持つ外部の人間と手を組み、残りのサーヴァントを蹴散らしたのちに聖杯を手に入れる。たぶんやっこさんはソレを狙ってるんだろう。立香はどう思う?』

『…。』

どうやら立香も同意見らしい。

「相談は済んだかい?」

「ええ。私達が求める情報はこの地の現在の詳細な状況。それを出せるなら手を貸してあげる。」

クー・フーリンはOKの言葉を出した。交渉は成立。今回の聖杯戦争について話をしながら、オキ達はクー・フーリンと共に元凶となる場所へと向かい始めた。

 

 

 

 

経った一晩。気づけば人間はいなくなり、サーヴァントだけになっていた。

最初に手を出してきたのはセイバーだ。この冬木の中心、心臓ともいえる大聖杯。その聖杯を自ら手にし、先にオキ達が倒したライダーを初め、参加していたサーヴァントを手駒にしていった。唯一クー・フーリンだけが残り、敵対していたという。

「聖杯から穢れた泥があふれ出た後に町は壊滅。大炎上ってわけだ。俺がキャスターじゃなく、ランサーで召喚されていたなら、もう少しまともにやりあえるんだがな。ま、あきらめるわけにもいかねぇと模索していたところにお前ぇさん達が現れたってこった。こんだけサーヴァントを使役してんだ。聖杯戦争とは別の目的でここに来たとすぐにわかったね。それで、声をかけたってこった。」

オルガマリーはソレをきいてぶつぶつと独り言を口にしつつ、現状の状況をまとめていた。

立香とマシュは今後も起きるであろう戦いに備えて未だ慣れないデミ・サーヴァントとしての身体を二人で見直していた。

「ランサーだったらもっと強いのか?」

「クー・フーリン。ケルト神話に出てくる英雄のことで、オキさんもご存じ『ゲイ・ボルグ』の使い手で有名な戦士です。スカーサハという師匠に戦い方からルーンの魔術まで教えられたと地球、スレア双方に神話として残っているようです。それぞれの違いは名前だったり、神話内での登場人物の若干の差異はありますが、ほぼ変わりがないのはステンノさんをはじめとするサーヴァントの皆さんと同じですね。」

シエラの説明にクー・フーリンが手を叩いた。

「俺の事が有名になってるってのは、聖杯とつながった時に得ることはできたが、ある程度は知ってるみたいだな。嬉しいもんだ。」

「クー・フーリン。なるほどな。光の御子か。」

「はぁ、キャスター適性もあったのですねぇ。」

「南蛮の槍使いか。」

ネロ、タマモ、ノッブを初め、サーヴァント達はクーの旦那を警戒しつつマスターとの間に入る。

ステンノは…動く気配無し。むしろメドゥーサで遊んでいる。あ、今度は竜牙兵の頭でお手玉し始めた。うまいな。

しかし、ゲイ・ボルグの使い手かあ。それに師匠の名前。オキ自身もよく知っている。一時期お世話にもなった人の名前だ。

「スカーサハ? あのスカーサハでいいのか?」

コマチが不思議そうな表情でシエラに聞き返した。そして案の定オキの予想した通り映像を出した。そこには小さな身長の銀髪の長い少女が映し出されていた。少女とは言うが、どこか高貴な感じを思い立たせる。ファータ・グランデ宙域の同名者だ。

「これだろ? 同じ名前でしってる。」

「あーこまっちー。クーの旦那が困ってるから混乱させない。えーっと何処から話したモノか…。」

オキは自分たちが異世界から来た者である事、その異世界の一部には別の場所で神話や伝説となっている人物と同名の者が多く存在している事を説明した。

「なるほどな。んじゃぁそのファータ…うんたらってところにいる師匠と同じ名前を持つ嬢ちゃんなんだな?」

まぁ嬢ちゃんと言われるほど幼くない方ではあるが、黙っておこう。

「ははは。こいつは傑作だ。まさか師匠と同じ名前のこんな可愛らしい嬢ちゃんがいるとは。外見は、うちの師匠とは大違いだな。こんな可愛いわけがねぇ。」

大笑いしながら腹を抱えるクー・フーリン。

「あまり笑っていると、貴方の師匠に刺されるわよ?」

シンキはクー・フーリンに微笑みながら忠告した。そんなバカなと言った直後、クー・フーリンは心臓を抑え、なにかに恐怖する表情に変貌した。

「…?」

「どうしました? クー・フーリンさん?」

立香とマシュが心配そうに顔を覗きこむ。

「いや…大丈夫だ。師匠め…。」

苦笑いしながら立香の頭を叩くクー・フーリン。クロノスとシンキは気づいていた。一瞬だけ、彼の身体を串刺しにした大量の紅い槍。どこからともなく現れたその気配は言葉から察するに彼の師匠とやらが放ったのだろう。次元を超えてまで気配だけとはいえ干渉するその存在はまさしく『影の国の女王』(スカサハ)である。

「槍か…槍ねぇ…。槍あればそのセイバーは倒せるの?」

「ん? そうだな。槍があれば一刺しで終わらせてやるよ。とはいえ今の俺はキャスターだ。槍は持ってきて…。」

「これしかないけど貸そうか?」

オキが差し出したのはオキの持ってきていた『ゲイ・ボルク』…の武器迷彩をかぶせたゲイル・ヴィスナー。アークスシップ内で定期的に変わるスクラッチと呼ばれるクジで手に入った武器迷彩のレア品。武器迷彩は武器単体として使えず、アークスが振るう武器の上にかぶせる、いわば身体を武器と例えると服のようなモノ。

紅いシンプルな槍。惑星スレアで知ったイメージを持ち帰ったオキが開発研究部に依頼して作ってもらったやつだ。

 

 

 

 

こいつら一体何者なんだ? 異世界から来たとか言ってたが…。

こいつの出した槍…俺の槍そのまんまじゃねぇか。中身は違うと言っていたが、ここまで似ていると逆に気持ち悪いな。

「ゲイボルクか。今相場いくらだ? 最近フリマみてねぇんだけど。」

「あー。俺も最近は見てないなぁ。多分90mは超えてんじゃない? エクスカリバーが確か120mだったか。」

「俺もってる。」

っな!? こいつら『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』も持ってるのか? いやいやいや、見た目が一緒なだけでまた中身が違うってだけだろ?

「オキー! みるのだー! バーサーカーにミケの『斧剣』を持たせて二刀流にしてみたのだー。これならバーサーカーがもっと強くなるのだー。」

「■■■■■■■■■■■■っ!」

げぇ! バーサーカー!? なぜここに…って、そういやこいつらの召喚したバーサーカーか。つーか、なんであいつの斧剣も持ってんだよ! なんだかうれしそうだなバーサーカー! おいこっちみて親指たてるな。おめぇそんなキャラじゃねぇだろ!

それに一番突っ込みたい人物はこの女か…。どこかで見たような金ぴかの何かを思い立てる…おい、その背中の空間の波紋はなんだ。まてなんだその武器の数々。こっちむけんじゃねーよ! にやけ面するな! こいつら何なんだよまったく!

槍は借りるぜ!

 

 

 

 

剣戟の音、銃の音、爆発の音。様々な音が協会に響いていた。

「ったくなんなのよこれ! 倒しても倒してもキリが無い!」

「マスター! 所長! 盾の外側に出ないでください! っ!」

マシュの盾に守られるオルガマリーの叫びも響いた。仕方がないだろう。協会の敷地に入るや否や、急に現れた多数の黒い靄を体に纏わせた異様な存在。

「きひ…きひひひ…。」

「コロス…コロ…ス…。」

「こいつらはセイバーの野郎が倒したサーヴァントのなれの果てだ! 相手してても邪魔なだけだ! 一気に押しとおるぞ! アンザス!」

クー・フーリンの呪文詠唱の直後に現れた多数の火の弾はサーヴァントのシャドウ、シャドウ・サーヴァントに飛び掛かり燃やしていった。とはいえあまりにも膨大な量の敵。何かを守っているようにも見えるその量はこの先にあるという大聖杯の存在がどれだけ大きいかを物語っていた。

「土方さん! 沖田君! お願いします!」

「おおおおおお!!」

「はぁぁぁぁぁ!!」

二人の剣豪とが叫びながら道を開く。その隙を見てネロとタマモが絶妙のコンビネーションで道を維持する。

ノッブが火縄銃を乱射し、溢れてくる雑魚を処理。それでもあぶれる敵をメドゥーサとステンノが片付け、後方でマシュが大盾で攻撃を防ぎ、ヘラクレス、ゴールデン、クロエが防いでいる最中に敵を払いのける。

悪くないチームワーク。サーヴァントの使役は初心者でありはするが、戦いにおいてはプロフェッショナル。的確に指示をし、サーヴァントを使役するオキや、指示を受け的確に攻撃をしていくサーヴァント達をマシュは見ていた。

「あーやっと休める! 猿! 茶を持ってこい!」

「いない人を呼ばないでください。はい、ノッブの分の飲み物です。ネロや玉藻さんもどうぞ。」

「うむ、頂こう。」

「ありがとうございます、マスター。」

シャドウ・サーヴァントの軍団をまき、一つのビルに入り込んだオキ達は一度休憩を取っていた。

サーヴァントには必要ないが、マスターには必要である。特にほぼ一般人の立香には過酷だろう。

ビルの窓の隙間からオキとクロノスがアサルトライフルを手に周囲の警戒をしている。

「ちょっと立香、マシュが落ち込んでいるわよ。マスターなら自分の使役するサーヴァントの状態ぐらいちゃんと把握しなさい。」

「…。」

わかったと言い、マシュに大丈夫かと座り込んでオキ達からもらった飲み物を飲むマシュの隣に立香は座った。

「マスター。…はい。大丈夫、と言えば嘘になります。サーヴァントの方々はオキさんをはじめとするマスターの指示を聞き、自らの力を存分に発揮されて戦っています。私は…まだうまく戦えていません。どうやれば、皆さんのお力になれるかなって、思いまして。」

マシュの中に入り込んだサーヴァント。それはカルデアで召喚された3基のサーヴァントのうち一人。マシュの状態が状態だったために緊急で問答無用での融合。その為マシュの命は救われたが、結果的にマシュはデミ・サーヴァントとしてなってしまった。

そしてそのサーヴァントの名前が分からない。名前が分からなければ、宝具も使用できない。マシュは宝具の名前も使い方も分からないのだ。

「それは違うぜ、嬢ちゃん。サーヴァントってのはなったその時から宝具を使えるようになる。それがどんな英霊であってもだ。まぁ気力が足りてねぇんだよ。どこかで魔力が詰まってるんだ。それを吐き出せばいい。」

「吐き出す…ですか?」

クー・フーリンが笑みを浮かべながらマシュ達に近寄った。

「そうだ。聞けば、その大盾。マシュ自身のモノじゃなく、その元になった奴のモノなんだろ? ってことは守るのが得意な奴だ。宝具も間違いなくそうだろう。だったら、嬢ちゃんが守りたいものはなんだ?」

質問され、マシュはマスターである立香を見る。

「私が守りたいのは…マスターである先輩です。」

「なら、ソレを常に意識しろ。何が何でも守り抜くと。その命に代えてでも守り抜くと。そうすれば、自ずと道は開ける。」

「…はい!」

そこへオキがクロノスと共にやってきた。

「旦那、今後はどうする? ここまで来て、やっぱUターンとか言うなよ?」

「笑わせんな。この聖杯戦争を終わらせりゃ、この地獄のような状態は終わる。よってセイバーを倒さなきゃならない。」

セイバーは大聖杯の懐に陣取っている。このままセイバーの所に行ってもいいが、その前にやらなきゃならない相手がいる。

先にランサーを坊主たちがつぶした。厄介の3基の内、これで2に減った。残りの2基はアーチャーとバーサーカー。

バーサーカーは今いるこの場所から山の中に入ったデカイ城の跡地にいる。こっちが手を出さなきゃ動くことはないが、セイバーの手駒なのは一緒だ。戦ってる最中にあいつを呼び出されれば厄介所の騒ぎじゃない。

次にアーチャー。大聖杯の下に向かう洞窟の入り口を守っている。あいつはセイバーの守護騎士と言ったところか。完全にセイバーの言いなりになってやがる。ったく、あのバカ野郎は一体何を考えているのやら。

「その…そのアーチャーって、友達だったのか?」

「…いいや、腐れ縁って奴さ。」

オキの質問に少しだけ笑うクー・フーリン。

アーチャーはクー・フーリンが受け持ってくれると言う。後はバーサーカーとセイバーを叩くチーム分けをする必要がある。

「バーサーカーなら、私達だけで充分よ。ね、バーサーカー。」

「■■■■■■!」

「なので、ミケ達が行ってくるのだー。そっちは任せたのだー。」

バーサーカーが立ち上がり、ミケとイリヤを肩に乗っけ歩き始めた。

「お、おい! 場所わかってんのか?」

「行かせてやんな。あの嬢ちゃんが一番知ってるからよ。」

「え…?」

「マスター、ミケ達だけじゃ心配だって、クロエがついていきたいそうだから、ボクも行ってくる。」

クロノスとクロエに許可をだし、オキは残ったメンバーでセイバー相手にすることを決める。

目指すは大聖杯。その先に待つは天国か、地獄か。その時には誰一人として知る由もなかった。

 

 

一人を除き…。

「ふふ。面白くなってきたわね。」

「大将、楽しんでんな。そう楽しがってちゃぁ、俺も一緒にワクワクしてくるぜ。」

「そうね、ゴールデン。楽しみで仕方がないわ。ふふふ。」

観測者シンキ。彼女だけが、先の道の末を見据えていた。

 

 




皆さまごきげんよう。
ソシャゲ版とアニメ版が混じって変なことになってますね。ギャグ部のノリはカニファンノリで進めますハイ。
さて今年も来ました『チェイテピラミッド姫路城』。私の作品でも出てきますが、よりひどいことになるのでオッキーには泣いてもらいます。楽しみにしていてください。
私はと言うと去年はメカエリちゃんを手にしたので、手にしなかった方メカエリちゃん二号機を手にしました。
無事ミッションも全て完了しました。今年のハロウィンは酒呑の配布。さてどのような物語になるか楽しみですね。
新規実装鯖も楽しみです。では次回にまたお会いしましょう。
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