Fate/Grand Order ~Guardian of History~   作:沖田侑士

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第5節 「山の中の廃城」

炎上する都市の中心街から離れた寺院。キャスター、クー・フーリンはこの先に、この聖杯戦争の大本となる大聖杯があるという。

そしてその入り口となる洞窟があるのがこの寺院だ。すでに一部は崩れており、残っているのは外見だけ。しかしそれでも頑丈な柱が屋根を落とすまいとしっかりと建っているのが見えた。

「んで、ここにいるのが…。」

クー・フーリンが本堂の屋根の上を見る。そこには赤と黒い靄のようなどす黒い紋様を光らせる人物が立っていた。すでに弓矢を構えてこちらを狙っている。

オキはマシュに立香とオルガマリーを守るように屋根にやっている弓兵から目を離さずに右手で指示をし、盾を構えさせる。今の所見えているのは一人だけだが、横槍を入れられないようにハヤマやアインス達に周囲の警戒をお願いしている。

「キャスター。一人では敵わないと踏んで、増援を連れてきたか? 誇り高き戦士の志とやらはどうした。クー・フーリン。」

「っは。アーチャー、てめぇなんざ俺一人で充分よご当地サーヴァント。こいつらの相手はおめぇさんが大事に守っているその先にいるはずの、てめぇの主様だ。」

お互いに煽りの言葉を発するその姿をみて、やはり仲がいいのではと思ってしまうオキ。

「いけ、この先の洞窟の奥に、セイバーがいる。あいつを倒せば、このバカげた戦いは終わる。」

「了解した。負けるんじゃねぇぞ旦那。」

コツンと実際よりも大きく見える大英雄の背中を拳でつつき、オキを先頭にアーチャーを注視しながら森の中にあるという洞窟を一向は目指した。もちろん、アーチャーがそんなことを許すはずもなく弓をこちらに向けてくる。

「行かせると思うか?」

「そうはさせ…あん?」

アーチャーの攻撃を止めようと杖に魔力を回したクー・フーリンだったが、アーチャーの様子がおかしいことに気づく。

立香やオキ達を狙おうとしているアーチャーの弓は全く見当違いの場所を狙っている。そしてアーチャー本人は震えながら引いていた弓から矢を放った。

「…ああ。そういう。流石のお前も、女神の眼には勝てないか。」

ニヤニヤと笑うクー・フーリンは先に向かった立香たちの背中をみて何が起きたのかを把握した。

「ふふふ。」

「上姉さま、楽しそうですね。」

メデューサの肩に座り、微笑むステンノの眼は先ほどまで立香達を狙っていたアーチャーを映していた。ステンノの強力な魅了により、アーチャーは身体のいう事が効かなくなっていた。

「こんな奇妙で珍しい経験なんてできないでしょう? せっかくメドゥーサと同じサーヴァントとして召喚されたのだから、楽しまないと損でしょう? ねぇマスター?」

「ん? ああ、ステンノがずらしてくれたんだろ? サンキュー。ま、楽しんだもん勝ちなのは同意見だな。」

その言葉に笑みを浮かべるステンノ。それを横で見るメドゥーサは姉の見た事の無い上機嫌に不安がっていた。

難なく森を抜けた一行はクー・フーリンの言っていた洞窟を発見する。

「…。」

「そうね立香。間違いないわ。この先から異様な魔力を感じる。」

『こちらでも観測できてるよ。すごい量の魔力が下の方からあふれてきている。気を付けてください。』

入り口から少し入ったところまでを足の速い沖田とメドゥーサで調べてもらったが特に罠らしきものも無いようだ。

「オキ君、沖田君と土方さんを先頭に進もうと思うがどうだろう。」

「じゃあこっちのネロとタマモで殿務めるよ。ノッブは真ん中で援護射撃。」

「了解した。」「みこっと了解。」「うむ。ワシに任せよ」

沖田土方アインスを先頭に、ゴールデンとシンキ、マシュ立香オルガマリー、ノッブ、オキステンノ、メドゥーサコマチ、ハヤマタマモネロの順で洞窟を進んでいく。洞窟内は緩やかなカーブを描きながらの下り坂となっており、地底へと進む道があった。

 

 

 

 

 

炎上する冬木を背に、大きな足音を立てながら進むバーサーカー、ヘラクレス。その肩にはヘラクレスに憑く概念イリヤ、反対側にはミケがちょこんと座っていた。

その後ろ側を付いていくクロノスとアーチャー、クロエ。

市内を抜け、郊外へと出た一行は山の中へと入り、目指す目的地、郊外の城へとたどり着いた。

所々崩れてはいるが大きく、元は綺麗だとわかるほど立派な城が山の中に建っていた。

「大きいのだなー。」

「でしょう? ふふふ。」

自慢するように微笑むイリヤにクロエが質問した。

「この中に例のバーサーカーがいるってキャスターは言ってたわね。どんなサーヴァントがいるか、詳細は聞いてこなかったけど、貴方は知ってるんでしょう? そんな口ぶりだったし。」

「ええ。もちろんよ。知らないはずがないわ。だって、そうでしょう?」

眼を細くし、クロエを見て冷たく微笑むイリヤにクロエは目をそらした。

「マスター、どんな相手であろうとも、私はあなたに従うわ。指示を頂戴。」

「了解クロエ。なら上から入ろう。ミケはそのまま真正面から…いくもんね…。」

クロノスの話も聞かないままヘラクレスとイリヤ共にミケは足を進め城の中へと入っていこうとしている。クロノスはため息をつきながらクロエと共に空中へと飛び上がり、割れた窓から内部へと侵入した。




皆さまごきげんよう。今週は短めです。
なかなかこの時期は忙しいですね。FGOでもハロウィン始まりましたし。グラブルで戦う魔法少女コラボが終わったと思ったら、FGOで魔法少女が始まっていた。
相変わらずいろいろ突っ込みどころのあるストーリーですが、聖杯と酒呑配布はしっかり回収しておくとしましょう。オーロラ鋼もどこかでドロップするでしょうし。
では次回にまたお会いしましょう。

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