実力至上主義の教室と矮小な怪物   作:盈虚

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水泳とお昼と小テスト

 あの忌まわしき椎名・佐倉事件から3日が経過した。朝起きて手元の携帯を見ると、新着メールが3件あった。椎名からであった。『月長石』の読み込み具合、今日のオススメの1冊、そして今日こそは一緒にお昼を食べるまたは放課後に会おうという誘いの文だ。

 

 

 椎名と番号を交換して以降、毎日のように『月長石』の読み込み具合とオススメの1冊と、会談を要求してくる。特に最初にメールは凄かった。

 なんと今年のオススメの1冊、今春のオススメの1冊、今月のオススメの1冊、今週のオススメの1冊、今日のオススメの1冊の5通のメールが一遍に送られたのだ。あの時は恐怖に震えた。そして恐る恐る、お昼は昨日食べたばかりだからと断り、放課後はちょっとと断った。さらに『月長石』に関してはまだ読んでいないと返し、オススメ本に関しては見なかったことにした。

 それからは、毎日のように来るオススメ本紹介メールは見なかったことにし、『月長石』は最初の数ページだけ読み、「少し読みました、まだ序盤です」と返し、会合は拒否した。

 

 

 しかし、もはや椎名の忍耐力が限界に達したのだろう。今回の会合に関するメールは今までで一番気合が入っていた。何でもお昼を一緒に食べてくれるなら昼食代を出すという内容であった。

 ちなみに放課後に会ってくれるならアガサ・クリスティーの名作を貸してくれるらしい。こちらに何のメリットも無いところが実に椎名らしかった。

 

 なお、どちらも拒絶した場合は、放課後、Dクラスの教室に乗り込むという内容であった。今日は早退しようかな……いや、クラスポイントに影響が出そうなので、ここは勇気をもって昼飯を一緒に食べることにした。放課後だと何時まで拘束されるか分からないが、昼飯時間なら拘束時間は短い。実に合理的な判断であった。昼飯代に釣られたわけではない。

 

 椎名に「お昼を一緒に食べましょう!学食ですか?」と返しておいた。

 

 

***

 

 

 

 今日の午前中の授業は体育の水泳だった。おいおいまだ4月だぞ……と思ったが、教師は必要になるの一点張りだった。いや、夏でいいじゃん。と思った。

 せっかくなのでこの気分を共有しようと近くにいた綾小路の話しかけようと思ったが……やめた。なにかを考えているようだった。どうも、綾小路とはいつも間が合わない。仕方ないので、とりあえず授業を真面目に受けることにした。

 

 授業は幸いな事に室内のプールで行われ、プールの水も温かく、春でも気持ちよく入れた。一瞬見学の生徒たちが目に入った。女子の半数と男子の一部が見学であった。

 体調不良がこんな同時に発生するとは思えないので、純粋に参加したくないのだろう。まあ、生物的な理由もあるし、異性の肉体が近いのは嫌という理由もあるだろう。他にも泳げない人はきっと水の中ではかなり心理的な抵抗を感じるだろうし、仕方ない面もあるのだが……

 

 そこまで考えていると見学場所にいる佐倉がこちらに手を小さく振った。左右を見て、後ろを見るが俺しかいなかった。なんだか椎名みたいな動きをしてしまった……恥ずかしい。

 

 

――佐倉とはあの事件以降、教室以外で会うと偶に声を掛けられる。この数日話した感じ、おそらくマウントを取るのが趣味という訳ではなく、アレは完全に事故であったのだが……第一印象的に苦手意識がある。ちなみに教室にいるときは全く話しかけてこない。

 

 

 佐倉の方にそれとなく頷き、授業に集中する。といっても初めての水泳の授業なので水遊びみたいなものだったのだが……最後先生がとんでもない事をした。

 

 男女それぞれで50M自由形で1番早い生徒に5000プライベートポイントを贈呈するというものだった。なお遅い生徒は補講らしい。5000ポイントというのは中々心が躍る数字である。

 なぜなら、Dクラスのクラスポイントは平田の努力空しくついには30clとなってしまっている。この数日で何があったし。もはやこれは来月0ポイントが切実にあり得るのだ。ここで5000ポイントあればと思ってしまう……だが、正直、平田や須藤、そして高円寺といった面々に勝てる気がしなかった。

 とりあえず、ある程度頑張って、補講にならなければ良いかという気持ちでチャレンジすることにした。

 

 俺がいるグループでは須藤と綾小路が参加していた。近くで見たら綾小路はかなり筋肉質であった。きっと何か運動でもやっていたのだろう。堀北は興奮して綾小路の筋肉に触れている……あの2人はいつもあんな感じだ。付き合っているのだろうか?

 

 イチャイチャする2人は放っておき、水中に入り、スタンバイをする。綾小路が若干遅れ気味に水中に入り、1グループ全員の準備が整った。一応頑張るがどうなるか……

 

 先生の合図とともに泳ぎ出す。正直、泳いでいる最中に回りを観察する余裕はなかったが、最初の数秒で、左のレーンにいる須藤がすごい勢いで突き抜けていいったのは分かった。うん、どう考えても1位は無理だ。だが、補講を避けるため、クロールを続けた。無事壁にタッチすると、先生から「赤石、31秒」と告げられた。

 どうやら7人グループの中では3位と結構良いランクだった。ちなみに綾小路は思ったより遅く37秒である。その筋肉は飾りか?いや、水泳は普通なのかもしれない。40秒くらいまでなら高校生としては平均のラインだ。ただ、厄介なことに綾小路の方を見ているのがバレた。

 綾小路はこちらを見るとゆっくりと近づいてきた。ゴメンナサイ、その筋肉は飾りじゃないです。

 

「赤石、速かったな。水泳をやってたのか……?」

 

 どうやら怒ったわけではないようだが、何かを疑うようなそんな目をしていた。なので正直に答えることにした。

 

「小学生の頃スイミングスクールに行ってまして、といって水遊びの延長みたいなものだったので……競泳の選手とか水泳部の人には普通に負けると思いますよ」

 

 綾小路は納得したのか「そうか……」と言って決勝の試合を見に行った。決勝は平田・須藤・三宅・高円寺で行われたが、高円寺が圧倒的な力で一位となった。あの須藤を倒すとは……高円寺恐るべし。

 

 女子の部は正直、佐倉が参戦しない以上あまり知り合いがいなかった。一応番号を交換した櫛田が上位となっていた。彼女も平田と同じく何でもそつなくこなすタイプのようだ。

 1位は水泳部の小野寺だった。順当の結果である。また堀北は2位であった。やはり協調性以外に関して非常に優れた人物だと思った。未だに話したこともないが……今後を考えると、1度くらいは話をするべきだろうか?いや、何かあったら相方っぽい綾小路に頼めばいいか。

 

 

 

***

 

 

 

 そして、名残惜しくも水泳の時間が終わり、お昼休みが来てしまった。行きたくないと思っていたが、椎名からメールが届き、学食の近くで待っているとのことだった。

 覚悟を決めて行くと、椎名がこちらに手を振ってきた。うん。やっぱり見た目はとても可愛い。ふわふわした美少女だ。椎名の方へ向かい口を開く。

 

「今日は誘ってもらって、ありがとうございます。椎名さん」

 

 椎名はそれを聞くと、にっこりと笑って言った。

 

「いえいえ、私も赤石君と一緒にご飯を食べれて嬉しいです。ところで、今日のオススメの本は読んでくれましたか?」

 

 ひぇ、攻撃モードだ。

 

「いえ、その、すみません、中々忙しくて……」

 

 そう返すと、椎名は少し悲しそうな顔をした。やめろ、やめろ、罪悪感を感じる。

 

「そうでしたか……私のオススメの本の紹介は煩わしいでしょうか……?赤石君は初めてのお友達ですので、少し張り切ってしまって、迷惑のようでしたら言ってください。止めますから……」

 

 そう、申し訳なさそうな声で言った。声のトーンがいつもより低く、椎名からどんよりとした空気が流れてくる。やめろ、やめろ。

 

「いえ、その迷惑というわけではないのですが……流石に――」

 

 すべてを言い切る前に椎名はこちらの右手を両手て掴んで、顔を覗き込んできた。

 

「そうですよね!本を紹介されて迷惑のはずがありませんよねっ!ありがとうございます。赤石君。少し自分を見失いかけました!もう大丈夫です!」

 

 いや、大丈夫じゃねえから。

 

「いや、その椎名さん、つまりですね――ッ」

 

 なんとか軌道修正しようとしたが、時既に遅し、椎名はそのまま、花が咲くような笑顔をこちらに向けた。一瞬喉を詰まらせると、その隙に椎名は畳みかけるように言葉を紡いだ。

 

「はい。大丈夫です赤石君。無差別に本を紹介したりしません。ちゃんと人を選んで、その人にフィットするような本を選びます。赤石君が言いたいのはそういうことですよね?」

 

 違います。こちらが反論しようとするも、椎名は無意識なのかにぎにぎと両手で掴んだこちらの右手を揉み上げてきた。あ、なんかすごく変な感じ……目の前の純粋に喜んでいる椎名の顔が見えるのも相まって、謎の背徳感が込み上げてきた。

 

 しばらくすると椎名は手を離したが、あの柔らかい女の子特有の感覚は頭の中から離れなかった。

 

「赤石君?大丈夫ですか。顔が赤いですよ。お昼ご飯食べますか?」

 

 顔が赤いと、お昼ご飯食べるのか?と、思ったが、ある意味軌道修正の好機なので、椎名の意見に乗ることにした。

 学食に入ると、椎名は少し悩んだ後、魚の定食を選んだ。奢りだと、安いものを買うか高いものを買うか悩んだが、椎名と同じものを頼めば問題ないかと思い俺も魚の定食を選ぶ。

 

 椎名に代金を立て替えてもらって思ったことがある。まるで金がないヒモの彼氏みたいだと。……いや、別に椎名と付き合っているわけではないが、なんとなく気まずかった。

 しかし、椎名は俺のじっと顔を見ると「大丈夫ですよ。私はまだポイントに余裕がありますから」と言った。椎名はこういう時だけやけに鋭いのだ。……俺が単純なだけかもしれないが。

 

 

 2人用の席につくとさっそく食べ始めた。椎名は食事中はあまり話さないタイプのようで、お互い無言になりながら魚定食を食べた。

 ポイントを節約していたため、魚定食は普段の俺の昼飯と比べると少し高価であった。それゆえ、普段の定食より美味しかった。食べ終わると満足感がある。なかなか、幸せな気分だ。椎名さんは良い人だ。少しぐらいなら椎名さんのお話を聞いてもいいかもしれない。そう思っていると、こちらの考えを読んだのか、椎名が話しかけてきた。

 

「それで、『月長石』はどこまで読みましたか?」

 

 いきなりクリティカルな質問である。まだ数ページだよ。どう答えたものか……いや、椎名は相手が嘘を言うとそこをチマチマ攻めていくタイプだ。ネチネチではなくチマチマなのがポイントだ。

 ここは正直に、本読んでません。あと、しばらくは読みません。テヘペロで行こう。

 

「じ、じ、じ、じ、実は、ですね、あの、あれ、ですね。あれ、その、ちょっと、まだ、あれですよ、あれ」

 

 しまった、最初から躓いた。なんか、言いにくいのだ。悪い事を告白する子供のような気分だ。しかし、椎名はそれで察したのか、両手を伸ばし、こちらの両手を握った。椎名の左手がこちらの右手を指を通すように握り、椎名の右手がこちらの左手を同じように握った。いや、違う、これ全然察してなさそうだ。

 そう思っていると、椎名は優しい声音で、しっとりとこちらの目を見ていった。

 

「大丈夫ですよ。まだ序盤なんですよね。『月長石』は最初は難しいですけど、読めば読むほど面白くなっていきますよ。一緒にがんばりましょう。……そうです。今日放課後、私の部屋に来てください。本の読み方を教えてあげますから……ね」

 

 ひぇぇぇぇぇぇ。これ、あれだ、乱暴される女の子の気持ちだ。いや、野郎に襲わた事ないから分かんないけど。たぶんそんな感じだ。

 というより、椎名はまだ会って数回の男子を家に招くとか戦闘力高すぎないか?普通に怖いんだけど。それともコイツはいつもこうやって、相手を家に招いて、そこで邪な儀式で相手を推理小説中毒にしているのかもしれない。ブルブル、椎名、なんと恐ろしい。誰だコイツを良い人とか言ったのは。

 

「い、いえ、その、放課後はちょっと色々と立て込んでいて……お気持ちだけ受け取っておきます」

 

 だからその手を離せ。にぎにぎするな。椎名の指が細くて、滑らかで、なんか両手から変な気持ちになっていく。やめるな、あ、間違えた。やめろ、やめろ。やめろ。

 

 椎名に俺の思いが通じたのか、通じなかったのか分からないが、両手を一旦離した。危なかった、あと1分、にぎにぎされてたら、椎名の家に連れていかれていたかもしれない……

 

「遠慮しないでほしいのですが、仕方ありませんね。またの機会にしましょうね……」

 

 そう言いながら椎名は自身の両手を見て何度か手を握っては開いてを繰り返していた。なんか、仕草が可愛かったが、さきほどまでの流れを考えると、純粋に可愛いだけでは済まされないものを感じる。

 

「そ、そういえば、椎名さんはオススメの本をよく紹介されますが、椎名さん的には1番好きな本や1番好きなジャンルは何でしょうか?」

 

 これ以上自身の話をするのは危険すぎるので、こちらから攻撃をしかける。正直地雷感がある話題だが、本以外のイメージがあまり椎名にない。いや、Cクラスについて聞くべきだったか?次困ったら、Cクラスネタにしよう。

 

 「そうですね。私はやはり推理小説がジャンルとしては1番好きですね。他にも好きなジャンルはありますが、読んでいて最も本に引き込まれていく感覚が好きです。1番好きな本は迷いますね……赤石君の『月長石』もかなり好きですが、1番となると、悩みますが、ジョセフィン・テイの『時の娘』でしょうか?」

 

 椎名はいつものおっとりとした雰囲気に戻り話してくれた。でも、『月長石』は俺のじゃないからね。

 しかし、ウィルキー・コリンズとジョセフィン・テイか。まったくわからん。本を読まないからだろうが、推理小説作家というとアガサ・クリスティーぐらいしか思いつかない。世界史とかで出てきていればわかるのだが……そう思っていると、こちらの表情を読んだのか、椎名は微笑みながら、ゆっくりとした動きで、両手を近づけてきた。

 危ないと思い、素早くこちらも両手を遠ざける。それを見ると椎名は自身の両の掌をこちらに向けたまま2回ほど握り、さらにこちらの両手に近づけてきた。やめろ。

 

「あ、あの、椎名さん、さっきから両手掴むのは何なんでしょうか……?」

 

 一応聞いてみるが、椎名はその言葉が意外だったのか、目を何度かパチパチと瞬かせた。

 

「赤石君の反応が一番良かったので、こうやって両手を掴まれるのが好きなのかと思いましたが、迷惑でしょうか?」

 

 ゴクリ。す、好きじゃないから。

 

「迷惑という訳ではないですが、なんだかビックリします」

 

 そう苦言を呈すと、椎名は自身の両手を見て、そうですか、と呟いた。心なしか残念そうに見えたのは気のせいだと思いたい。しばらく、そんな椎名を眺めていると、ピクリと再び動き出し、こちらを見た。

 

「もう昼休みも終わりですね」

 

 時計を見ると確かにあと10分程度で終わるところであった。椎名と一緒にトレイと食器を下膳台に戻し、食堂を離れた。食堂を出ると、椎名は穏やかな表情で話しかけてきた。

 

「今日はありがとうございました。赤石君。学食は前々から興味があったので、とてもいい機会でした」

 

 あれ、てっきり使い慣れていると思ったが……違ったのだろうか?

 

「椎名さんってもしかして食堂を利用するのは初めてですか?」

 

 何となく気になって聞いてしまったが、悪手であった。というより椎名相手には悪手ばかり打っているきがする。

 

「ええ、この前、赤石君のために『月長石』を届けた時が初めて食堂に入った時で、何かを食べたのは今回が初めてですね」

 

 やめて、なんか罪悪感を感じる。すごい食堂で奢らせた感じになるから。いや実際そうだけど。やめて。やめて。

 

「ええっと、それは何か、すみません」

 

 そう言ってみるが、椎名はそれに対して、いえ、とだけ言っていつもの様なふわふわした笑みを浮かべた。やめろ、やめろ。読書アタックしてこないと余計に辛い。そう思っていると俺の気持ちを察したのか、椎名は「あ、」と呟くと、悪戯っぽく笑って、こう言い放った。

 

「では、私のことはひよりちゃんと呼んでください」

 

 やだ。それとこれとは話が別だ。

 

 そんなこんなで椎名と別れDクラスに戻った。

 

 

 

 

***

 

 

 

 午後の授業は茶柱先生の日本史のはずだったか、唐突に小テストに変更になった。なんじゃそりゃ。しかもその小テストは5教科分であった。皆が右往左往するなか、先生は淡々と小テストを配り開始を宣言した。Dクラスの面々は最初は唖然としているようだったが、諦めたのか問題を解き始めた。

 

 

 俺も目の前の問題を見て驚いている。マニュアルにはなかったことだ。クラスポイントやプライベートポイントの変動に関して一通り調べたがこの小テストについては記述がなかった。2学期の期末テストでは小テストを事前にセットで行うとあったが……

 

 これはクラスポイントに影響するのだろうか……?いや、それはないはずだ。それならばマニュアルに記載があるはずだ。

 

 なぜこんなに焦っているかというと、この問題は答えを入手していないからだ。最近はハッキングで答えを入手するのが日常化していたため、こういった突発的な事態には昔以上に弱くなっている。……いや、とにかく解こう。考えても始まらない。

 

 

 そう思い、解くこと15分。…………コレ、簡単すぎない?

 

 中学レベルの問題が半分以上、残る問題もほとんどが今までの授業を聞いていれば、普通にわかる。若干難しく復習しなければ解きにくい問題もあるにはある。おそらく抜き打ちだった事もあるだろうが、ほとんどの生徒が80点近くとれるだろう……

 しかし、最後の3問だけやけに難しいな。これは解ける自信がない。これは後回しで、残りの問題を完璧に、……完璧に?それはさすがにやりすぎか?おそらくこれはプライベートポイントとクラスポイントの両方に影響しない。それならばここでいい点をとるのは警戒を呼ぶのでは?

 ……いや、そもそも公開されるかわからないのにその心配はあまりに杞憂すぎるか?それにこの簡単なテストで意識して点を下げれば逆に目立つぞ。皆80点の中に60点がいると目立つのと同じだ。

 

 やはり、ここはできるだけ高得点を取っていいだろう。一応考えても分からない3問と、分かるけど難しい2問を間違えよう。これで5問間違い。いい線だろう。最後の3問はほとんどの人間が正解できないと仮定して、さらに2問ぐらいなら間違えるやつも結構いるだろうし、低すぎて目立つということはないはずだ。それに5問間違いで罰則を受けることもないだろう……おそらくこの解き方が一番安泰……だよな……?不安になってきたな……

 

 

 

 思考が何度も堂々巡りしたあたりで、茶柱先生から終了の合図があった。終了後小テストが回収されたのだが、そこで驚くべき会話が聞こえた。わからない。難しかった。という声がクラス中から聞こえた。……最後の3問だよね???、あ、違う、今、池が半分くらい何言っているかわからないとか言った。そして山内が同意。さらに須藤が、そんなにわかったのかお前ら、と言った。

 

 

 おいおいおいおいおいおい、お前ら死ぬわ。

 

 

 

 

 こうしてなんとも言えない。1日が終わった。

 

 

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