「なぁフィリップ、お前の邪魔になると思って今まで黙ってたけど、お前が作ってるそれってなんだ?」
「ビックリした······!鍵か、驚かさないでくれ······」
「驚かしたつもりは無いけど、なんかゴメンな······。で、一体何なんだよそれは?」
「これはライディングブレス。腕に
「なるほど······」
床に頭を強打し幻覚を見ていた俺は、どうやら暴走していたようで、それを止めるためにフィリップに気絶させられていた。目覚めると俺はソファの上で仰向けになって寝ており、そこから上体を起こして顔を横に向けると、ただの作業台と化した俺の机に座ったフィリップが、何やら装置みたいなものを作っていた。工作などに使う板を置き、その上に更に幾つかの、大小様々な金属パーツを置いている。更に様々な工具を置き、右手にプラスドライバーを持ち、左手に組み立て途中の何かを持っていた。物作りに集中している相棒の邪魔をするほど俺はバカではないので、俺は何を作っているのか聞きたかったが、フィリップが読んでいた本を手にとって時間をつぶす事にした。あのフィリップが読む本だから、結構
「戦闘データってことはさ、戦ってデータを集めれば良いんだろ?今までと同じ、インベイダーと戦って倒していけば良いわけだ、楽勝じゃん。手伝うよフィリップ、俺で良ければどんどん頼ってくれ」
「鍵、ありがとう。でもあまり頑張りすぎないでくれよ?」
「俺は頑張ってるんじゃない、やりたいからやってるんだよ。なりたかった仮面ライダーを全力でな」
「そうかい。なら、今回もその仮面ライダーを全力でやってもらおうかな。今回の世界は、仮面ライダービルドの世界だ」
「うそぉーん······めっちゃ最近に誕生したライダーじゃん······」
「あぁ。しかも今回世界に入りこんだインベイダーは、かなり厄介な力を吸収している。エボルトの力だ」
「フィリップ、俺さ、もう既に胃痛がするんだけど······」
「そうかい。それでもやるんだろう、仮面ライダー?」
「当たり前だ、行くぞフィリップ!」
「あぁ!」
俺達は家を飛び出し、何も無い場所に扉を開いた。フィリップは青白い空間の中へ、俺はマシンゲーターに跨がって開いた扉の中へ飛び込んだ。
「次はビルドの世界ですか。行きますよ、Mr.アラタ」
「出来れば僕を巻き込まないでほしいけど、やっぱり行くんだね······」
俺達の側に、あの怪盗ライダーが居たことにも気づかずに。
「クッソ!倒したはずなのに!なんでまたエボルトがいるんだよ!」
「お前にも分からねぇ事が俺に分かるかよ!知るか!」
「どうした?<この世界の仮面ライダー>はこの程度なのか?」
あぁ、もう始まってる。例の如くインベイダーとガーディアンの攻防戦が繰り広げられている。このビルドの世界は、桐生戦兎が無事に新世界を築き上げた世界らしく、スカイウォールもパンドラタワーも存在しない。人々の笑顔が絶えない、まさしくラブアンドピースを象徴した世界。だった。インベイダーが現れるまでは······。
「この世界の仮面ライダー!?どういうことだ!」
「仮面ライダーは俺達だぞ!」
「どういう意味かは、貴様のその足りない頭で考えてみるんだな。もっとも、貴様の相棒はもう察したみたいだけどな······。クックックッ!」
「おい戦兎、アイツの言ってることは本当なのか!?」
「分からない、と言えば嘘になる。俺達の今までの戦いで、パラレルワールドが存在することは分かっていた。もしそのパラレルワールドに俺達ではない、別の仮面ライダーが居たとしたら······」
「俺はその別の仮面ライダーを貴様らに言っているのだ。フンッ!」
「ぐっ!?ゴハァッ!?」
「万丈!」
正直、もう見てられない。膝で思い切り腹を蹴られ、腹を抱えながら地に膝をついた仮面ライダークローズの姿が痛々しすぎる。
「クックックッ······!弱いなぁ、仮面ライダー。俺の知る仮面ライダーはもっと強かったぞ」
「それは俺達の事かインベイダー!?行くぞフィリップ!変身!」
[World gate keeper!KamenRider Gate!foooo!]
「変身!」
[サイクロン!]
フィリップが青白い空間から出てきて、俺達はそれぞれゲートとサイクロンに変身し、俺は変身するなりいきなり攻撃を仕掛ける。フィリップはビルドとクローズの元へ駆けつける。
「はぁっ!」
「ぐっ!?出たな、仮面ライダーゲート!!」
「君達、二人とも大丈夫かい?」
「俺は良いが万丈がダメージを受けている!」
「俺は大丈夫だ戦兎。それよりアンタらはなんなんだ?いきなり後ろに扉が出てきて、その中から突然現れて、変身して!一体何者だよ!?アイツらはなんなんだ!?」
「事情は後で説明する。ただ一つ言えること、それは僕達が君達の敵ではなく、味方だということ。アイツの撃退に協力してくれないか?」
「······戦兎、俺はコイツの言うことに嘘は無いと思う。信じて良いんじゃねぇか?」
「······信じて良いんだな?」
フィリップはビルドの問いかけに対し、静かに頷く。二人のライダーが立ち上がる。
「分かった。その代わり、アンタが着けてるその腕のやつとベルトのUSBメモリみたいなやつ、俺の研究所で調べ、分解させてくれ!」
「······元に戻せるなら良いよ」
「任せろ!おし、行くぞ万丈!」
「おう!」
三人のライダーは元居た場所から走りだし、エボルトの姿をしたインベイダー、もといエボルトインベイダーに攻撃した。
「フム、気に喰わんな仮面ライダー共······。流石にこの数相手ではキツいか、ここは退くとしよう。貴様ら、俺の為に命を捨てろ!」
エボルトインベイダーは、背後に紫がかった暗い空間をいくつも開き、その中からハーフインベイダーを何体も呼び出した。
「ではな、仮面ライダー共。チャオ」
「待て、逃げるのか!」
「戦略的撤退と言ってくれよ、クククク······!」
そう言ってエボルトインベイダーは空間の中に入り込み、闇に呑まれていった。
「おいおい、結構な数居るぞこれ!こんなに数が多いなんて、ブレイドの世界以来じゃないのか?どうするフィリップ?」
「手分けして倒すしかなさそうだね······。あと鍵、Wライドキーを貸してくれないかい?戦闘データも取りたい」
「分かった」
俺はWライドキーを投げ渡す。フィリップは投げ渡したそれをキャッチし、自信の右腕に装着したライディングブレスに刺し、そして回した。
[W!]
「流石にまだこの段階か。でも、現段階でのポテンシャルがこれなら上等だな」
フィリップはライディングブレスを通してWライドキーの力を発動し、右手にサイクロン、左手にジョーカーの力をまとって打撃を繰り出す。
「せいっ!はぁっ!」
フィリップはハーフインベイダーを次々と倒していき、余裕の表情を見せる。
「僕自信が元々Wだったからかな?Wライドキーに対する適合率はかなり高いな」
「そんなことを言ってる
「分かった」
フィリップは再びWライドキーを回し、必殺技を発動した。
[W!MaximumFinish!]
フィリップはジャンプする構えを取り、ライダーキックの準備をする。右足に両手を置き、まとっていたサイクロンとジョーカーの力を流し込んで一つにすると、フィリップは大きく大ジャンプし、空中でライダーキックの体勢を取る。そのままハーフインベイダーの軍勢に向かって急降下した。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
複数体のハーフインベイダーにライダーキックが直撃し、フィリップが着地するとその背後で大爆発が起きた。
「ふむ、まだまだ改善の余地がありそうだね」
「チクショウ、カッコいいじゃねぇかフィリップ!二人とも、俺達も負けてられないぞ!」
「分かってる!決めるぞ万丈!」
「おう!」
俺はゲートドライバーのゲートライドキーを回し、ビルドとクローズはビルドドライバーのハンドルを回す。待機音声が止み、俺達の必殺技が発動する。
[[Ready Go!]]
[Ride Atack!]
[Volteck Finish!]
[Dragonick Finish!]
[Gate!World Finish!]
俺は地面から飛び立ち、目の前に何枚もの扉が現れ、その中をくぐっていくように。ビルドは足元の地面が台となり、キック台となるグラフが目の前に現れ、それに飛び乗って。クローズは自身の背後に現れた青い龍の吐き出す青い炎にのり、それをまとって。それぞれが相手にしていたハーフインベイダーに向かってライダーキックを繰り出す。ライダーキックは見事命中し、ハーフインベイダー達は全滅した。
「おっしゃ!全員ぶっ倒したぞ!案外楽勝じゃねぇか」
「いや、これは一時の応急措置みたいなものだ。アイツら、インベイダーはまた来るぞ」
「そう言えばさっきもインベイダーっていう言ってたな?教えてくれないか、お前たちがどういう仮面ライダーなのかを。信用していない訳じゃないが、俺達はもっとお前たちについて知るべきだと思ってる」
「当たり前だ。お前達がこの世界の仮面ライダーだからな、俺達について知る権利がある。全て話そう」
「よし、ここじゃあれだからついてきてくれ。俺達の秘密基地に案内する」
俺とフィリップはビルドの言う秘密基地とやらに向かう事となった。新世界を築いた事で秘密基地が喫茶店nascitaの地下という事は無さそうだが、果たしてその秘密基地とやらはどこにあるのだろうか······。
物語中に出てきた「ライディングブレス」ですが、ラウズアブゾーバーからラウズ部分が無くなって代わりに鍵穴が付き、ロストドライバーのディテールが合わさったようなものを想像して頂ければと思っています。