仮面ライダーゲート   作:YOPPY1031

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過去最長······!


仮面ライダーアイン

「グリスライドキーかぁ、こりゃまた強力なライダーのライドキーを手に入れたな?」

 

「あぁ。彼のおかげで鍵を助ける事が出来た」

 

「そっか······。ありがとなフィリップ」

 

「どういたしまして」

 

ビルドの世界を()ち、数時間が経過した。俺達は戦兎達に言った通り、次の世界に来ていた。ライダーの居ない世界だが、インベイダーが侵略を開始しており、そして分かりやすく「活性化」していた。赤く発光したり、青く発光したり、黄色く発光したり。初めて見る傾向(けいこう)だが、さして問題にはならなかった。原因は2つある。まず一つ、活性化しているのは一部の能力だけであり、そしてそれらは微弱(びじゃく)なものであり、そして必ず弱点があった。赤く発光した奴は攻撃特化、青く発光した奴は防御特化、そして黄色く発光した奴は敏捷(びんしょう)特化、というような感じだ。攻撃特化は防御力を、防御特化は敏捷性を、敏捷特化は攻撃力を、それぞれ代わりに捨てていた。まさしくじゃんけんの法則だ。グーがチョキに強く、パーに弱い。チョキがパーに強く、グーに弱い。パーがグーに強く、チョキに弱い。この法則にフィリップが素早く気づき、勝利への最短ルートとなった。二つ目、エボルトインベイダーとサイクロンタイプグリスが非常に強かったこと。エボルトインベイダーと戦った後では、そこらじゅうにいたハーフインベイダーが地面でチマチマと頑張っている働きアリのように思えてくる。そしてそんな風に思わせるほどの力を持ったエボルトインベイダーを圧倒した仮面ライダーサイクロンの新フォーム、「仮面ライダーサイクロン タイプグリス」だ。サイクロンの元からある能力、更にロボットの力で敵を素早く分析、フィリップの明晰(めいせき)な頭脳と相まって、かなりハイスペックなライダーとなった仮面ライダーサイクロン。単純なハザードレベルだけで強さを測定したら力の(もと)となった仮面ライダーグリスは優に越えるだろう。グリスライドキーを使う人間がフィリップで本当に良かった。今思えば、仮面ライダーサイクロンはとても万能なライダーとなった。自らの風の力で攻撃力や敏捷性を強化でき、更にそこにグリスのアーマーの防御力が合わさったのだ。馬鹿正直な戦い方ではもう勝てる気がしない······。

 

 

 

「なるほど、グリスライドキーですか······。行きますよ、Mr.アラタ」

 

「······いつばれても知らないからな。頼むから僕まで巻き込まないでくれよ」

 

 

 

予告状 仮面ライダーサイクロン様

本日24時30分より「グリスライドキー」を頂戴するため、貴方様の元へ向かいます。

                              仮面ライダーアイン

 

 

 

「だってさフィリップ、どうする?」

 

「決まってる、迎え撃とう。前回は悔しくもクローズライドキーを奪われてしまったが、今度こそ······!」

 

「分かった。ゼッテェ借リヲ返シテヤル······!」

 

(そうか、そういえば前回アインが来た時大分悔しがっていたんだったね······)

 

 

 

深夜24時29分、予告した時間まで後一分、いよいよだ。

 

「鍵、いよいよ時間だ。覚悟は出来ているかい?」

 

「あぁ。さっさとあのクソアインの顔を拝んで、一発殴ってやらないと気がすまない!」

 

俺はあらかじめゲートライドキーをズボンのポケットの中に入れ、ゲートドライバーを上着の下に装着し、いつでも応戦出来るようにした。フィリップも既にロストドライバーを上着の下に装着し、ライディングブレスも右手首に装着し、いつでも仮面ライダーアインとの戦闘に入れるようにしている。対策をしているのか、グリスライドキーも既に右手に握っている。

 

「そうだね······。そろそろ来るよ!」

 

 

 

「Mr.アラタ、準備はよろしいか?」

 

「君がほとんどやるんだから、僕の場合準備もクソも何も無いだろ?」

 

「違いない······。行くぞ!」

 

 

 

「必ず我が物にして見せよう!」

 

「盗れるものなら盗ってみろ!」

 

「「仮面ライダー!」」

 

やがて壁にかかった時計の長針が6の数字を指し、予告の時刻となった。数秒後に玄関のチャイムが鳴り、警戒心を緩めることなく、しかし警戒心が悟られるようなことが無いように、そこへ足を運ぶ。

 

(仮面ライダーアイン、どう来る?)

 

おそるおそるドアの向こう側を見ると······

 

(いや前と同じなんかーい!バカなの!?アホなの!?流石に二度も同じ手に引っ掛からねぇわ!いやでもアインの事だ、きっとまた違う策があるんだ······!)

 

「宅急便です!判子をお願いします!」

 

(同じだよ~、前の作戦と全く同じだよ~本当にライドキー盗みに来たのかよコイツ~!)

 

アインの余りのバカさ加減に、俺は声にならない叫びを心の中で叫ばずにはいられなかった。だってコイツ前と全く同じ格好と作戦で来てるんだよ!?ただのバカでしょコイツ!

 

 

 

「ねぇアイン、本当にこの作戦で行くの!?正気!?絶対バレるヤツだよねこれ!」

 

僕、「怪条 アラタ(かいじょう あらた)」は今、自分の腰に巻きつく意思を持つベルトに対して怒っている。それも非常にだ。理由は直ぐに分かる。この後、ベルト本人がその理由を言うからだ。

 

「何を言うかMr.アラタ、これはあえての作戦なのだよ。あえて同じ作戦で行くことで、本当に同じ作戦なのだろうか?と猜疑(さいぎ)させ、悩みに悩ませそしてその間に頂く、という寸法ですよ」

 

「とかそれっぽく言ってるけど違うよね?僕知ってるよ?君昨夜(ゆうべ)さ、僕が寝てる間作戦を練ってたよね?その時僕聞いちゃったんだよね。予算、準備、面倒、この三つの単語。これだけ証拠並べてもまだしらばっくれるの?」

 

「さぁ行こうか」

 

「おい!」

 

ねぇ、見てくれたかな今のこのバカベルトの反応を!バカでしょ!もうバカ!僕はもう胃が痛いよ······。後になって僕たちがゲートとサイクロンに捕まるのは言うまでもない。

 

 

 

「いやぁこんな時間に荷物をすいません!ご苦労様です!」

 

偽業者という事は分かってはいるが、ここはあえて騙されてあげよう。そうする事で相手を油断させ、最後は見事に期待を裏切る、そう言う作戦だ。

 

「仕事なので大丈夫です」

 

「ちょっと待ってて、「今日は手元に判子がある」ので」

 

嘘だ。判子なんてものは最初からどこにもない。あるのはゲートドライバーとゲートライドキーだけだ。俺はあるはずもない判子を宅配業者の目の前で身体中を触って探しまわる。

 

 

 

(なぜ奥の方へ行かないのだ!?)

 

(逆に何でこの人が判子を探しに行く前提なの!)

 

(まぁ良い。Mr.アラタ、代わりなさい。時間が惜しい)

 

(分かったよ······)

 

僕は体の主導権を大人しくアインに(ゆず)り、僕は意識だけの存在となる。アインは相当な自信があるようだけど、僕はこれからどうなるか心配で心配でしょうがない。馬鹿なベルトを持つと本当に苦労するよ······。

 

(それでは行きましょう。グリスライドキー、私の元へ来い······!)

 

 

 

(フィリップ、宅配業者が下を向いた)

 

現在、俺は宅配業者の目の前で判子を探すフリをしている。そうしていると宅配業者はやがて帽子を深くかぶり、下をうつ向いた。

 

(顔を覗いて見てくれないかい?)

 

(分かった)

 

俺は脳内でフィリップに言われた通り、うつ向く宅配業者の顔を覗く。見ると宅配業者の目は極限まで見開かれており、そしてその瞳は深紅(しんく)に輝いていた。しかし顔を覗くこちらに気づく様子はなく、目の前で手を振ってみても気づく様子がない。裏が取れた。

 

(フィリップ、グリスライドキーは?)

 

(まだ大丈夫だ。何かあったのかい?)

 

(裏が取れた。コイツ多分今グリスライドキーを探してる。目が赤く光ってる)

 

(分かった。充分に注意するよ)

 

 

 

グリスライドキーが狙われた理由、それは間違いなくあの戦闘での活躍が原因とみて間違いないだろう。あのエボルトインベイダーを圧倒し、おそらく、力の元となった「仮面ライダーグリス」をも超えているであろうあの能力、これこそ今回狙われている原因だ。僕は前回の様な失敗を犯さないようにと、グリスライドキーは既に右手に握り持っている。しかし、どうやらそれも見つかってしまったらしく、手の中で明らかな違和感を覚えた。相変わらず僕はそこからどうすれば良いかわからず、どうにもできずにいる。

 

(くそっ!僕はまた・・・・・・!)

 

しかし前回のクローズと今回のグリスには、ある決定的な違いがあることが判明した。それは・・・・・・

 

[お前誰だ!?この中から出て行け!]

 

・・・・・・ライドキーに意思、または魂がやどっているかいないかだ。グリスライドキー、いや、仮面ライダーグリスはライドキーの中で反抗でもしていたのか、ライドキー本体から火花を散らし、僕の手中から離れ、やがてその違和感を完全に消し去った。

 

 

 

「・・・・・・まずい!Mr.アラタ、撤退です、逃げますよ」

 

(はぁ!?なに、失敗したの!?だから言ったのにこの作戦で行くのかって・・・・・・)

 

「予想外でした、まさかライドキー本体に意思があるなんて・・・・・・!」

 

「あれ、仕事放棄?駄目ですよそんなことしちゃ・・・・・・。判子見つかりましたよ?」

 

そう言うとフィリップが家の奥から出てきて、「これだろ?」と言わんばかりにグリスライドキーを見せつけた。俺達は隠すために着ていた上着のチャックを全開にし、戦闘態勢に入った。

 

「もう、逃がさねぇぞ、仮面ライダーアイン・・・・・・!」

 

「クローズライドキーは返してもらえなくても、借りはきっちり返させて貰うよ!」

 

偽宅配業者はしばらくとどまったあと、自分の持つ荷物を放り投げて遂に逃げ出した。

 

「待てっ!!」

 

「今度は逃がさない!」

 

俺とフィリップとアインによる三人の追いかけっこが始まる。さしずめ俺とフィリップが鬼で、アインが逃げる側だろうか。流石と言うべきか、アインは怪盗と名乗るだけあり足がとても速い。それに動きにまったく無駄が無いため余計にだ。だが俺達も負けてない。今までの戦いで(つちか)ってきた体力がここに来て役にたった。負けず劣らず、アインを1メートルたりとも離すことなく追いかけ続け、遂に行き止まりまで追いつめた。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ······。んっ······、今度こそ逃がしてたまるか!」

 

「悪いけど、大人しく捕まってもらうよ?」

 

「クックックッ······。クハハハハハハハッ!捕まる?私が?残念ですが、そうは行きません。私にも、目的があるのでね!」

 

そう言うとアインは自分の着ている服を「引き剥がし」、その下から更に新しい姿で俺達の前に現れた。黒い蝶ネクタイに白いスーツを身に(まと)い、その上から更に白いマントを羽織っている。頭には黒いリボンが走った白いハットをかぶり、左目の下に黒いダイヤのマークのタトゥーを入れていた。そしてその中のどれよりも目立つ「ある物」を腰に巻いていた。

 

「ゲートドライバー!?でも色も全然違うし、造形も微妙に違う······!」

 

「アインドライバーです。仮面ライダーの名は伊達では無いのですよ」

 

アインはズボンのポケットからライドキーを取り出し、それをドライバーに刺した。そして······

 

[Ride Change!]

 

「変身」

 

[World treasure hunter!KamenRider Ine!fuhahahahahahaha!]

 

仮面ライダーアインに変身した。

 

「かかってきなさい、仮面ライダー達よ!」

 

「フィリップ、ここは俺に行かせてくれ。アイツは俺がぶっ倒す!」

 

「······分かった。アインは君に任せるよ」

 

「あぁ、変身!」

 

すかさず俺も変身し、仮面ライダーゲートになる。

 

「おや、あなた一人ですか?」

 

「お前なんて俺一人で充分だ!グレードアップ!」

 

俺は右腰からWライドキーを取り出してゲートドライバーに刺し込んで、それを回して「仮面ライダーゲート タイプW」に変身する。

 

「なるほど······。せいぜい楽しませてください。グレードアップ!」

 

すると今度はアインも右腰からライドキーを取り出し、二つ目の鍵穴に刺し、それを回して······

 

[World treasure hunter!KamenRider Ine!Type Accel!]

 

「仮面ライダーアイン タイプアクセル」へと変身した。

 

「マジかよ······!」

 

「あなた達は気づいていませんでしたが、私はいつもあなた達と共に世界を巡っていました。W、ブレイド、ビルド、この三つの世界をね。もっとも、本命は全て持っていかれましたがね!」

 

コイツ、相当な手練れだな。しかし「三つの世界」か、この言い方だと、アインは「あの世界」を知らない事になる。この事黙っていよう。自分が有利になるために。俺達はガンブレードキーと「ガンブレードキーツヴァイ」なるものをぶつけ合い、火花散らしあう。お互いの強攻撃でお互いに大きく後ろに下がる。俺はその隙に素早くWライドキーとブレイドライドキーを刺し替えるが、アインも考えている事が同じだったようで······

 

「「グレードアップ!」」

 

俺はブレイドライドキーへ、アインは「ギャレンライドキー」へ刺し替え、それぞれ「仮面ライダーゲート タイプブレイド」と「仮面ライダーアイン タイプギャレン」に変身した。俺達は互角で、お互い一歩も譲らない。ずっとこの状態が続いている。アインが撃ってくる弾をブレイラウザーで切ったり、俺がブレイラウザーで切りかかるとギャレンラウザーで撃ち返してそれを防いだり。

 

「「グレードアップ!」」

 

再び俺達はビルドライドキーとクローズライドキーに刺し替え、それぞれ「仮面ライダーゲート タイプビルド」と「仮面ライダーアイン タイプクローズ」へ変身した。俺は「ドリルクラッシャー」などの科学の力を使った戦い方で、アインはお馴染みの肉弾戦で対抗する。

 

「これでお互い手持ちが無くなりましたね!」

 

「お前何か勘違いしてないか?俺が持ってる力がこれだけだとでも思ったか?」

 

「何だと!?」

 

右腰から「電王ブレイズライドキー」を取り出し、「仮面ライダーゲート タイプ電王ブレイズ」へ変身する。はずだった······。

 

「世界を越えて、俺、参上!ってあり?」

 

「はっ?」

 

「はっ?」

 

「はぁっ!?」

 

······そう、ご覧の通り、「モモタロスイマジン」が憑依(ひょうい)してしまったのだ。

 

「おい!お前モモタロスだろ!何で俺の中に入ってんだよ!」

 

「テメェは何で俺の名前を知ってるんだよ!つーかテメェ誰だ!」

 

「ちょっと待て!モモタロス、お前さ、契約者何人居る?」

 

「あぁ?二人だけど······」

 

「その二人目もう分かったわ······。俺は戸島鍵、仮面ライダーゲートの変身者だ。お前の二人目の契約者とは、まぁお友達だ。よろしくな」

 

「なるほど、だから俺を知っていたのか······。で、テメェは今どういう状況なんだ?見る限り、目の前に居る白い奴と戦っていたみてぇだが······。ぶっ倒しても良いのか?」

 

知り合いだから知ってる訳ではないが、まぁそう言うことにしておこう。そんなことを考えつつ、俺はモモタロスの問いかけに対して答える。

 

「出来るならな。行けるか?」

 

「あたりめぇだろ!俺を誰だと思ってんだ!」

 

「そうだな。そうだモモタロス、ちょっと主導権代われ。良いもの使わせてやる」

 

俺は主導権をモモタロスと代わり、ある物を取り出した。それは······

 

「仮面ライダーアイン、俺のこのタイプとこのメモリは知らないだろ?」

 

[ゲート!]

 

そう、「ゲートガイアメモリ」だ。俺はゲートガイアメモリを起動し、ゲートガイアメモリによって使用可能となった新しい武器を取り出した。そうだな、「ゲートガイアソード」とでも名付けよう。

 

「なんだ、私の知らないそのタイプとそのガイアメモリは!私が知らないものがあるなんて······!」

 

「いいかモモタロス、これを作った人間のかかげる言葉はラブアンドピースだ。私欲の為じゃなくて、愛と平和の為に使えるなら、この力を使わせてやる」

 

「分かった。お前達にも、自分の正義があるって事だな。よし、じゃぁ正義の為に、行くぜ行くぜ行くぜぇっ!!!」

 

 

 

その頃

 

「モーモーターロース!呼んでるのに何で来ないんだよ!あぁもうじゃぁウラタロス!」

 

呼んでも来ないモモタロスの代わりにウラタロスを呼ぶシュンガだった。

 

 

 

モモタロスが憑依したゲート、Mゲートは右手にガンブレードキー、左手にゲートガイアソードを持ち、二刀流の構えでその場から走り出す。やはりと言うか、元からあるモモタロスの身体能力が俺の体に反映され、更に「電王ブレイズライドキー」への適合率がとても高く、こちらが押している状況となった。

 

「くっ!イマジンの分際で、私に刃向かうなど、許しません!」

 

「悪ぃな、一時的にとは言え、愛と平和が宿主のご要望なんでな。とっとと決めさせてもらうぜ」

 

Mゲートはゲートガイアメモリを取り出すと、ゲートガイアソードの持ち手に付いたホルダーに刺し、持ち手のトリガーを引く。

 

[ゲート!マキシマムドライブ!]

 

両手に持った剣が刀身を同時に光らせ、必殺技を発動する。

 

「必殺、元祖俺の必殺技!ゲートバージョン!」

 

Mゲートは一気にアインのふところにつめよる。

 

「でぇい!」

 

一発目。

 

「であぁ!」

 

二発目。そして······

 

「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

三発目。最後の一撃で仮面ライダーアインを強制的に変身解除させ、俺達も分裂して変身解除した。

 

「ふぅ~暴れた暴れた······」

 

「さて、どうしてくれようか?俺ってば心が寛容だから顔面一発殴らせるで許してやってもいいよ?しかし······、モモタロスお前なぁ、体を乱暴に使いすぎ!これもう筋肉痛来るな、って分かるくらい体に違和感ある!」

 

「わ、悪かったな······」

 

「まったく······。でどうする?俺に一発殴られるか、また逃げるか。もっとも、こっちはモモタロスも入れて三人だ。逃げたところで、モモタロスに捕まってボコボコにされるのがオチだろうなぁ?クックックッ!」

 

分かってる、分かってるよ!自分でも引くぐらいに今の自分が超悪役だって事くらい!でもどうしてもこいつを殴りたいんだよ!分かるかなこの気持ち!

 

(アイン、僕に代わって)

 

「Mr.アラタ!?何を言っているのですかあなたは!今出たらあなたが危ないですよ!」

 

「Mr.アラタ」、アインは確かにそう言った。アラタとは誰だ?アインの常人としての本名か?しかしそれにしては誰かに話しかけているような喋り方だ。

 

(いいから代わって)

 

「ですがしかし······」

 

(代われって言ってんだろ!」

 

「ヒィッ!?」

 

やがて別人の声が聞こえてきて、人格が代わったように口調が変わり、自身の腰のアインドライバーを無理矢理引き剥がした。

 

「あの、すいませんでした!」

 

 

 

「なるほど。ベルトを装着することで体の主導権をそこのベルトと自由にかえることができて、怪盗として動く場合は主導権はアインが握っていたと?そう言うことで良いアラタ少年?」

 

「はい、本当にすいません······。あの、この程度では許されないと思いますけど、今まで盗ってきたライドキー全部返します!」

 

アラタ少年は罪悪感に耐えきれなかったのか、ライドキーを全部返すと言い出した。

 

「なっ!?正気ですかMr.アラタ!ライドキーをすべて渡すなど!」

 

「僕はいつだって本気だ。返すったら返す!」

 

「そんな······!」

 

二人(正しくは一人と一つか)がそんなやり取りをしていると、突然青白い空間を開いて、中からフィリップが出てきた。

 

「ありがたいが、その必要はない。君達が戦っている間、僕なりに「そのライドキーが使えるライダー」について調べてみた。するとこんなことが分かった。僕達ライダーには1号ライダー、2号ライダー、そして3号という概念が存在し、1号ライダーの力が秘められたライドキーは1号ライダーにしか、2号ライダーの力が秘められたライドキーは2号ライダーにしか、そして3号ライダーの力が秘められたライドキーは3号ライダーにしか使えない。そしてそれらの概念に関わらず使用可能なライドキーも存在する。そのライドキーを使用する人物のライドキーに対する適合率が高ければ使用することが出来る。僕の場合は元々Wだったため適合率が高く、そしてそれを使用出来た。君もそうだモモタロス。君は現に電王であるために使用できた」

 

「なるほど、さっぱりわかんねぇ」

 

「電王が電王の力を使えなきゃおかしいだろ?つまりそういうことだよモモタロス」

 

「あぁ、納得がいったぜ!」

 

しかしここで一つの疑問が頭に浮かぶ。フィリップは結局何が言いたいんだ?と。

 

「えっと、フィリップさん、でしたっけ?つまりどういう事ですか?」

 

アラタ少年が俺が聞きたかったことを聞く。フィリップのその口から出てきた答えは······

 

「まぁ、極論から言うと僕達にはどうあってもそれらのライドキーは使えないと言うことさ」

 

「そういうわけだ。このライドキーたちはお前の物だよ。ところでさアラタ少年······、そこのベルトにお仕置きしても良いかな?」

 

俺がにこやかな顔でそう聞くと、彼もまたにこやかな顔で答えてくる。心の底からの笑顔を全面に浮かべながら。

 

「あっ、本当ですか?是非お願いします!」

 

「あ、あのーMr.アラタ?これから私は一体どうなるのですか······ってぎゃぁぁぁぁぁぁ!?」

 

殴ってやりたかったが、そうすると拳が角に当たって痛いので地面に打ち付けることにした。今までために溜め込んできたストレスが一気に解放されていく。

 

「ざまぁ無いねアイン?」

 

アラタ少年は満面の笑みを浮かべたまま、アインを見つめる。

 

「ちょっ、Mr.アラタ!見ていないで助けなさい!」

 

「助け”なさい”?」

 

「た、助けてください!」

 

「まったく、しょうがないな······。鍵さん、もうその辺にしてやって下さい。こんなんでも、一応世界を共に旅してきた仲間なんで」

 

「分かった。その代わりって言ったらあれだけど、俺達と一緒に戦ってくれないか?」

 

「っ!はい!喜んでお手伝いさせて頂きます!」

 

「なぜこの私がこのような者達と······!」

 

「壊すよ?」

 

皆まで言わずともその言葉の意味が分かってしまったのか、アインは慌てて答える。

 

「分かりました分かりました!協力しますから!」

 

「それで良いよ。それじゃぁ僕らはこれで!鍵さん、アラタ少年だと堅苦しいんで、アラタって呼んでください」

 

「分かった。じゃぁなアラタ。また次の世界で」

 

アラタは俺達に背を向けて、目の前に扉を開いてその中へ消えていった。

 

 

 

「アイン、ルールを決めよう」

 

「ルール?」

 

「あぁ。変身して戦うときはこれからは基本的に僕がやる。アインは危なくなったら僕の代わりに体を動かして逃げるなりなんなりしてよ」

 

「分かりました。まだ死にたくないので、Mr.アラタの指示に従おう」

 

「素直でよろしい!」

 

 

 

その頃

 

「モモタロス、お前どこ行ってたの?」

 

「いや、これは、その」

 

「俺呼んだよね?来いって。おまけに鍵にまで迷惑かけてさ?」

 

「あっ、あのーシュンガさん?」

 

「歯ぁ食いしばれよ!」

 

ディフィリントライナー内で、モモタロスの悲鳴が響き渡るのだった······。

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