もう分かりますよね?
「うーん······」
「どうしたんだい鍵?さっきから浮かない顔して」
「あぁいやさ、ちょっとシュンガの言っていた事が気になったんだよ。<スフィアアースにインベイダーが居る>ってな。でもあっちがあっちで解決するから別に良いか!」
「そんな事か。なら次の世界に行こう」
「そんな事って、流石にそれは無いだろ?」
「いや、僕から言わせればそんな事だね。事態は急を要する」
「ふぅん?次の世界は?」
「······ドライブの世界だ」
「最悪だぁ······」
ドライブの世界は、ロイミュードという機械生命体に人類がおびやかされ、そしてそれを滅する為に作られたのが仮面ライダーだ。結論から言えば、ある一人の熱血刑事と、その刑事が変身するための意思を持ったベルトによって、ロイミュードは全滅した。その後、程なくして仮面ライダーはそのベルトによって封印され、刑事は変身が出来なくなった。もう一人のライダーを除いて······。
「俺の記憶が正しければなんだけどさ、今ドライブの世界を守れるライダーって······」
「······一人だけだ」
「急ぐぞ!」
「あぁ!」
俺達は外に出て、俺はマシンゲーターに跨がり、フィリップは青白い空間の中に入る。目の前に扉を開き、そのままその中に入る。
「フィリップ、ナビゲート頼む!」
「あぁ!このまましばらく直進してくれ!」
「分かった!」
この「扉の中の世界」というのはとても広く、フィリップのナビゲート無しじゃ目的の場所までの移動すら困難だ。それに広いだけではない、扉も多いのだ。世界と世界を繋ぐための扉が。一度いったことのある世界であれば何とかなる。ライダーの世界だったらその世界のライダーのライドキーでマシンゲーターのエンジンをかければいいし、ライダーが居ない世界だったらアビリティライドキーの「サーチ」で探せばいい。だが、行ったこともない世界を一人で探せと言われると、正直言って無理である。実感がわかないかもしれないが、それが事実なのだ。
「あの扉の手前を左!あったぞ、あれだ!」
思い切りアクセルを回し、マシンゲーターを急加速させる。バイクに乗ったまま扉を突き破って外に出ると、もうインベイダーによる侵略が始まっていた。
「あぁもう何コイツら!ゼンリンシューター全然効かねぇし!進兄さんなんか知らない!?」
「俺に聞くな俺に!俺だって初めてだよこんな奴ら!」
「だよねっ!」
「フンッ。弱いな人間」
一人は天然パーマの髪型で、赤いTシャツの上に白いパーカーを着こなし、「ゼンリンシューター」という武器の前輪でインベイダーを攻撃し、もう一人は、ネクタイをしめた状態の白いワイシャツの上から、ボタンを締めずにスーツを着た刑事。そして今回この世界を侵略インベイダー、居たよ。しかし不思議に思ったのがインベイダーのそのシルエットだ。インベイダーは何かしらの力を吸収する事で本来の力を発揮し、そして進化、いわゆる完全態のようになる。なのにあのインベイダーのシルエットはおかしい。俺の記憶が確かなら、あのインベイダーの力の元となった奴は、今戦った刑事によって倒され、そして機能停止、いや、死んだはずだ。いや、一度復活してはいる。だがそれも長くは続かず、再び消滅しているはずだ。そしてそれらを踏まえた上でこの世界の時間を考えると、元となったソイツが今存在することは考えにくい。
「なぁフィリップ、アイツどうやって力を吸収したんだ?だってアイツの力って······」
明らかにハートだよな?
「あぁもう!コイツら倒しても倒しても湧いてくる!埒が明かない!」
「進兄さん下がってて、俺がやる!チェイス行くぞ!」
「······俺は、何をしてるんだろうな」
彼はバイクのマフラーを模した造形の青いベルト、「マッハドライバー炎」を腹に当て、ベルトのスロット部分を展開し、傷だらけの黒いミニカーならぬミニバイクを収納する。
[シグナルバイク!]
ロック風な待機音声が流れだし、白いパーカーの青年は変身ポーズをとる。
「レッツ、変身!」
ホルダー部分を収納し
[ライダー!チェイサー!]
変身に伴って再びロック風な音楽が流れる。青年の体に鎧がまとわり、仮面ライダーへと変身。
「追跡!撲滅!いずれもマッハ!仮面ライダ~、チェイサーマッハ!」
元の仮面ライダーマッハにチェイサーの要素が追加されたようなライダー、「仮面ライダーチェイサーマッハ」へと変身した。
「なるほどな。貴様、この世界のライダーだったか」
「この世界のってどーゆー意味!?」
「そのままの意味さ。どうせ直に邪魔者が来る、すぐに意味が分かるさ。フンッ!」
「うおぁっ!?」
ハートの姿をしたインベイダー、そうだな、「ハートインベイダー」としよう。ハートインベイダーは自身をゼンリンシューターの前輪で攻撃するチェイサーマッハを突き飛ばす。未知との戦いだ、こればかりはどうしようもない。
「フィリップ、俺達も行くぞ!」
「あぁ!」
いつの間にか隣にいたフィリップそう言うと、左側の斜め前からあの刑事が駆け寄ってくる。
「おいアンタら!ここは危険だ、早く避難しろ!」
「いや、俺達は避難出来ないっつーかしちゃ駄目っつーか······。なぁフィリップ?」
「僕に振るな!まぁ良い、行こう!」
「「変身!」」
俺達は目の前にいる刑事を無視して、仮面ライダーに変身する。
「マジか······」
刑事は俺達の変身を見て驚き、目を見開いて呆然と立ち尽くしている。俺達二人はその刑事を横切り、チェイサーマッハの戦っている戦場へと向かった。
「今度何!?援護!?敵対!?」
「来たな······」
立て続けに起きる訳の分からないこんな状況の為か、チェイサーマッハは警戒心を剥き出しにし、複数のハーフインベイダーを抑えたままこちらを見る。
「そんなに警戒しないでくれ、俺達は味方で、コイツらを専門的に倒してるライダーだ!」
「コイツらはハーフインベイダーと言う!それは倒しても呼び出しているリーダー格を倒さないと延々と増え続ける!」
「じゃぁあの黒いの倒さないといけない感じ!?」
「そーゆー事!」
「ほう?言うな人間。貴様らの相手はコイツらで充分だ」
ハートインベイダーはそう言い捨てるとハーフインベイダーを更に召喚し、その場から去ろうとする。
「待てインベイダー!お前は一体何からその力を吸収した!」
そう、ハートインベイダーが何から何を吸収する事で、あの赤く燃える炎の如し心をもつロイミュード、「ハートロイミュード」と同じ姿になるのか、これが一番の問題だ。そしてそんな俺の問いかけに対して返ってきた答えは······
「想像力と、記憶力と言うものを知っているか?」
「まさかお前······!」
「クックックッ······!じゃぁな」
ハートインベイダーは自身の目の前に紫がかった闇色の空間を開き、その中へと消えていった。ハートインベイダーのあの言葉、アイツの言うことが本当なのであれば、あの力は今戦っている白いライダーや、あの刑事の記憶や想像から生まれた事になる。
「クソッ、逃げられたか······!」
「それより今はコイツらを片付ける方が先だ!一体があの刑事の方へ向かった!」
「マジかっ、進兄さん一体そっち行った!」
「えっ!?いつの間に······!」
どうやら考え事をしていたよいで、チェイサーマッハの呼びかけでやっと現実に返った感じだった。
「クッソ、固いなコイツ······!」
刑事はすかさず自身が所持していた拳銃で対抗するが、それもむなしく、ハーフインベイダーにはほとんど効いていない。しかし刑事は逆に考えたのか、効いているという確信を得て更に発砲を続ける。後先考えず撃ち続けた為か弾切れを起こし、徐々に追いつめられていく。
「これは、不味いな······」
「進兄さん!」
「俺が行く!」
俺はとっさにその場から飛び出して走り出す。左腰からアビリティライドキーを取りだし、素早くガンブレードキーに刺し込んで「スピードフォーム」を発動する。
[Ride Abirity!Speed Form!]
「消えろ!」
刑事に迫るハーフインベイダーをガンブレードキーで一斬りすると爆発が起こり、そのハーフインベイダーは消滅し、同時にインベイダーとの戦闘も終了した。
「お疲れ。なかなかやるじゃん、アンタら」
「どうも」
「悪い、助かった。協力に感謝する!」
「いいよそんなの、困ったときはお互い様だろ?」
「そうか······、そうだよな······。アンタ達は仮面ライダーなのか?」
「まぁ、一応な」
「そうか、スゴいなアンタ達は······。折角だし、ここで立ち話もあれだから特状課まで移動しよう。色々話が聞きたい」
刑事はそう言って、俺達二人は話を聞くという名目で連行される事になった。でも待てよ?特状課って確か解散したはずじゃ······