「なぁ、そのインベイダーって奴はモノクロカラーだったりするか?」
「あぁ」
「インベイダーは姿を自由に変えられるんですか?」
「僕が自分の居た世界で戦ったインベイダーは、進化の過程で姿が変わると言っていた」
「なるほど進化の『過程』か······。過程という言葉が引っかかるな」
「俺もそう思う。多分、過程ということはその進化に必要な『物』があったってことだ」
「物か······、心当たりがある。お前達がインベイダーと呼んでいた敵、前に空から降ってきてな、その時に剣崎と戦ってブレイドの力と、ついでに始の力を吸収していた」
「やっぱりか。鍵、インベイダーの進化にはやはり何らかの要因があると見て良さそうだ」
「だな」
「その時に偶然、敵が現れたからか、カリスに変身した相川さんがやって来て、そして暴走して、その隙に逃げられました」
「なるほどな······。フィリップ、逆探知出来そうか?」
「あぁ、というか今出来た。これは、今回もまた強そうなやつだね」
「場所は?」
「ここからバイクで五分、割りと近い。行き先は僕が案内するから、急いで移動してくれ!」
フィリップは何もないところに白い空間を開き、その中に入って脳内に直接指示する。
フィリップを除いた俺達三人は、それぞれのバイクに跨がって急いで現場に向かった。
「クソ、もう侵略が始まってる!フィリップ、奴の場所は!?」
「上空、真上だ!何とか回避してくれ!」
「マジかよ······!」
俺達は空から落ちてくる謎の飛来物体を回避するためにその場から離れた。やがてその飛来物体は土煙をたてて地面に墜落し、その中から出てきた。突如飛来してきた物体にも驚いたが、それよりももっとこちらの目を引くものが、上空に現れた。
「攻撃、失敗。これにより相手の行動パターンを学習。そして攻撃の精度を強化。次は外さない」
「行動パターンを学習······?いや、そんな事よりアレは······!」
「早めに倒さないとまずいですね······!」
「フィリップ、変身しよう!この状況はヤバい!」
「分かってる!」
(なんで、なんでモノリスが······!)
俺はフィリップを呼び出し、それぞれ変身した。
今回のインベイダー、ビートルアンデッドの姿をしている、ビートルインベイダーと呼ぼう。ビートルインベイダーは再び飛び立ち、宙に浮くモノリスを背に、上空からの滑空攻撃を仕掛ける。
「二回目来るぞ、回避するんだ!」
今度は皆余裕を持って回避出来たが、俺だけは回避せず、ガンブレードキーで構えをとってビートルインベイダーがガンブレードキーに衝突した瞬間を見切ってカウンターアタックを繰り出した。
「悪いけどな、あんまりお前に構ってる時間は無いんだ!」
「攻撃、再び失敗。腹部の装甲に損傷を確認。また、変身による行動パターンと身体能力の変化を確認。変身者は四人。これにより単独での迎撃は不可能と判断。インベイダー百体の軍勢を召喚。多勢に無勢でいこう」
百体、ビートルインベイダーは確かにそう言った。聞き間違いなんかじゃない。今まで俺は多くのハーフインベイダーと戦闘を繰り広げ、そして勝利してきたが、数が数だけに結構骨が折れそうだ。
「おいゲート、指示をくれ!俺達はお前に従う!」
「アイツは百体って言った!それに対して俺達は四人、つまり一人二十五体だ!頼めるか!?」
「任せてください!」
俺達は一つにまとまっていたその場から走りだし、それぞれの戦場に向かった。百体、一人二十五体にしてもかなり多い。しかし丁度良い機会だ、俺はWの世界で手に入れた新たな力を試すことにした。
「お前らちょっと邪魔だ!」
そう言って俺はガンブレードキーに「ウェポンライドキー」を刺し、それを回した。
[Ride Wepon!Accele!]
するとウェポンライドキーがアクセルの専用武器、「エンジンブレード」に変形し、地面に突き刺さった。俺は地面に突き刺さったそれを左手に持って引き抜き、二刀流の構えをとった。
「いいねこれ!竜、セリフ借りるぞ。振り切るぜ!」
俺はアクセルの決めセリフを言って、ハーフインベイダーに攻撃を開始した。エンジンブレードは普通に地面にめり込む程の重さで、更にアスファルト等を切れる切れ味を持つ。その為、当たるとめちゃくちゃ痛い上にかなりのダメージを喰らう。
「せいっ!やぁっ!はぁっ!さすがエンジンブレード、めっちゃ強い!」
中途半端に生み出されたハーフインベイダー程度なら一撃で倒せる。因みにガンブレードキーもそれと同じかそれ以下程度のスペックで、自分で言うのもなんだがかなり強い。
「ていっ!せいっ!とりゃぁっ!よし、あと半分!」
剣の力が二倍近くあるからと言うこともあるかもしれないが、かなりのペースで殲滅している。残りの半分も疲弊している。やるなら今だ。俺はエンジンブレード変形させ、ホルダーを開く。
「フィリップ、サイクロン貸してくれ!」
「あぁ、使いたまえ!」
フィリップは俺にサイクロンメモリを投げ渡し、エンジンブレードのホルダー部分でキャッチする。サイクロンメモリはホルダーに刺さり、待機音声が流れ出す。エンジンブレードを元に戻し、ガンブレードキー・ブレードモードにもアビリティライドキーを刺す。
[Ride Abirity!Joker!]
二つから待機音声が流れ、必殺技を発動させる。
[サイクロン!マキシマムドライブ!]
[Joker!MaximamWorldBreak!]
必殺技が発動し、俺はそれに合わせてハーフインベイダーを切る、切る、切る。サイクロン、ジョーカー、アクセル、ゲート。この四人のライダーの力が合わさって威力は絶大なものとなった。全てのハーフインベイダーを切ったところでエンジンブレードは消えて元のウェポンライドキーへ姿を戻し、その中からサイクロンメモリが出てきて俺の手の上に着地する。
「最高!」
俺がそう言い捨てると後ろで爆発が起こり、ハーフインベイダー二十五体は全滅した。俺は使ったサイクロンメモリを元の持ち主に投げて返した。フィリップはそれをキャッチし、そのまま右腰のホルダーにサイクロンメモリを刺した。
「いくよ」
[サイクロン!マキシマムドライブ!]
フィリップは風の力で上空に舞い、体勢を整えて敵の軍勢の中へ急降下して飛び込んだ。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
地球の重力に合わせ、風の力で強化されたキックの威力はとてつもないもので、着地した周囲に緑色の風、サイクロンを起こした。ハーフインベイダー達はサイクロンの威力で爆発して全滅した。
「こっちも終わった」
「よし!二人ともそっちは?」
「俺はあとコイツだけだ!問題ない!」
「俺もです!もう終わります!」
二人は自身のもつラウザーにカードをスキャンして必殺技を発動し、残りのハーフインベイダーを片付けた。
「終わったぞ!」
「こっちもです!」
「ナイス!後はお前だけだぞインベイダー!」
「仮面ライダーの殲滅、失敗。自身が行くしか無いと判断。よって攻撃を開始する」
こちらに向かってくるビートルインベイダーを迎撃するためにその場から走りだした。しかし俺達は見誤っていた。コイツの力と、コイツがブレイドから吸収した力を。
「クソ、なんだコイツ!めちゃくちゃ硬いな!まるで<ジョーカーを殴ってるみたい>だ!」
「ジョーカーを殴ってる······、お前まさか!」
合点が行った。ジョーカーが二体存在しているにも関わらず、なぜモノリスが出現したのか。剣崎一真と相川始の共通点を考えてみれば、至極単純なものだ。橘さんは最初、「剣崎と始から力を奪った」と言っていた。つまり─────
「良いのか?俺が奴から吸収した力は<ジョーカー>。もし俺を倒せば奴らは再び暴走し、そして争いを繰り返すだろうな。そして今の俺は、不死生命体アンデッドとほぼ同義の存在だ」
ビートルインベイダーが二人から奪ったのは、ジョーカーとしての力だったのだ。この世界には今、ジョーカーは一体しか存在していない。
「待て、今ジョーカーを吸収したと言ったか!?」
「そんな、まさか······!」
「そうだ。ここで俺を倒さずに見逃せばブレイドとカリスの暴走が無くなることを俺が保証しよう」
「クソッ!」
「なんで、こんなのって······!」
ギャレンは近くにあった建物の壁を殴って悔しさを
「おいどうしたんだ二人とも!しっかりしろ!」
「すまないゲート、俺には、いや俺達には、アイツを倒すことが出来ない······!」
「アイツを倒したらまた剣崎さんと始さんがまたジョーカーに······!俺にはそんなこと出来ません!」
「マジかよ······!フィリップこれってさ、俺達絶賛大ピンチってヤツじゃね?」
「違いないね······。でもこの状況をひっくり返す方法が、無いわけでもない」
「マジか!教えてくれ!」
「あぁ。ただし、成功確率が凄く低い上に、時間制限もある。僕らだけじゃ無理だ」
「分かったから早く言えって!」
俺はフィリップの背中を叩いて急かした。
「せっかちだなぁ、君そう言うところ翔太郎に似てるよ。作戦はこうさ」
フィリップは俺の耳元で、ビートルインベイダーに聞こえないように作戦を話す。
「流石フィリップ、やっぱりお前天才だよ!」
「どうも」
俺はフィリップの元を離れ、急いで二人の元へ走る。
「二人ともこっちに来てくれ!話がある、フィリップがいい作戦を思いついたんだ!」
二人はしぶしぶだが、俺の話を聞くために俺の方に近づいてきた。
「わざわざ本当に倒す必要なんてない、お前らが今までやって来たやり方で良いんだよ!」
「なるほど、作戦は理解した。しかしそんなに上手くいくのか?」
「俺もそこが疑問です。第一、今ここに剣崎さんは······」
「俺のことを呼んだか?」
俺が二人に作戦を説明していると、「二人の男」が背後から現れる。
「剣崎······!」
「剣崎さん!それに始さんも!もう大丈夫なんですか!?」
「あぁ。それに、始と一緒に居ても全く暴走しない」
「良かった。アイツが言ってたことは本当だったのか」
「な、希望はあるだろ?」
「そうだな······」
「橘さん、作戦は聞きました。俺がアイツを<封印>すればいいんですよね?」
「そうだ。でも出来るか?」
「ベルトがあれば!」
「あっ、そうかすまん。お前のベルトだ」
「始さんも。これ返します」
「ありがとう」
二人がベルトを腰に巻く。ついに二人揃っての変身だ。
「「変身!」」
[Turn Up.]
[Change.]
二人は肩を並べ、それぞれ仮面ライダーブレイドと仮面ライダーカリスに変身した。
「こうして並んで立つのなんて久しぶりじゃないか?」
「そうだな、行こう!」
「あぁ!」
「俺達も行くぞ!」
「「了解!」」
俺達は二人に続いてその場から走り出す。この世界に、ついに六人の仮面ライダーが揃った。
「えっ、ビートルアンデッド!?なんで、だって俺は変身して······」
「剣崎一真、奴は君と相川始からジョーカーの力を吸収してビートルアンデッドに擬態した偽物、インベイダーで、「僕達の」敵だ!奴は自分でアンデッドと同義の存在と言っていた。アンデッド封印が専門の、君達の力を借りたい、良いかな?」
「分かった!」
俺達はビートルインベイダーを囲んで、ビートルインベイダーが逃げられないようにした。
「理解不能。さっき言っただろう、俺はアンデッドと同義の存在で、倒すことは不可能。もし仮に倒せたとしても、力がブレイドに戻り、また二人が争いあうだけだ、と」
「なるほど、なら行動不能にすれば良いって訳だ」
「何?」
「俺達が今までどうやってアンデッドと戦ってきたのか知らないのか?ならそれで良い」
「やはり理解不能、どういう意味だ?」
「鍵、奴のあのバックルを見るんだ」
「あれは······!」
「あぁ、全てのアンデッドに共通して装着されているバックルだ。奴のアンデッドと同義という言葉が本当ならば、あのバックルが開いたときに彼らの力で封印出来る。ついでにジョーカーの力も二体分一気に封印されて一石二鳥だ。そしてジョーカーの力は剣崎一真と相川始、仮面ライダーブレイドと仮面ライダーカリスから吸収している。つまりスペードの力を持つ剣崎一真なら奴を封印出来る。しかし、彼は今ここに居ない······」
(そして俺は今ここにいる。奴が気絶してバックルが開いたところを始と一緒に奴を封印すれば一緒にジョーカーも封印される。やってやる······!)
ブレイドは走り出し、ビートルインベイダーに斬りかかる。
「ウェイッ!ウェイッ!ウエェイ!」
ビートルインベイダーを三連続で斬りつけ、ラウザーのデッキを展開し、二枚のカードを取り出し、ラウザーにスキャンする。
[Thander,Srash,LiteningSrash]
「はぁぁぁぁぁぁぁっ!」
ブレイドが、コンボ技の「ライトニングスラッシュ」を繰り出し、それに続いてギャレンがラウザーのデッキを展開し、二枚のカードを取り出してそれをラウザーにスキャンする。
[Fire,Drop,BerningSmash]
「火傷には気を付けろよ?」
ギャレンがラウザーの銃口から火の大弾を打ち出し、情熱の炎をぶつける。
「睦月!」
「はい!」
レンゲルもラウザーのデッキを展開し、カードを取り出してラウザーにスキャンする。
[Brizerd,Bite,BrizerdClash]
絶対零度の如き冷気を発しながら、杖を前に構えてビートルインベイダーをそれで殴る。
「始さん!」
「任せろ!」
[Tlnead,Chop,SpiningWaib]
分裂させたカリスアローを構え、それにエネルギーをまとって連続技を繰り出す。
「次!」
「武器が無いな、流れ的に武器で行きたいのだけれど······」
「使うか?」
俺はそう言ってウェポンライドキーでエンジンブレードを呼び出し、それをフィリップに渡す。
「いいね」
[サイクロン!マキシマムドライブ!]
エンジンブレードに強力な緑色の風をまとい、それでビートルインベイダーを斬りつける。
「後は頼むよ、鍵」
「分かった!」
俺は元の姿に戻ったウェポンライドキーをフィリップから受け取り、ドライバーのゲートライドキーをガンブレードキーに刺し変えた。刀身にありったけの力を全力の一撃を斬り込む。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
この一撃でついにビートルインベイダーが倒れ、ベルトのバックルが開く。
「行動、不能。身体に大きな損傷あり。修復作業、開始。失敗。自らの大きな疲弊により自己修復が不可能と判断······」
「今だ剣崎一真、相川始!奴のバックルが開いた!」
「あぁ!」
「分かっている!」
ブレイドとカリスは鎖が交差した絵が書かれたラウズカードをビートルインベイダーの開いたバックルに同時に投げつけた。二枚のラウズカードは見事にバックルに刺さり、それぞれのラウズカードにジョーカーの力が封印された。ジョーカーの力を失ったビートルインベイダーは、ダメージに身体が耐えきれなかったのか、爆発四散して自分の世界を崩壊させた。ビートルインベイダーの爆発とともに爆風が発生した。その爆風に乗せられて、ライドキーが飛んできた。
「これは、ブレイドとカリスの力······!」
「色々ありがとう、もし良かったらまたこの世界に来てくれ」
「あぁ、こちらこそありがとうな、インベイダーの封印を手伝ってくれて」
「いいよ別に。おかげでジョーカーの本能で暴走することも無くなった。な?」
「あぁ。本当にありがとう、助かった」
「もし何かあったら俺達を呼んでください!力になります!」
「じゃぁその時は遠慮なく頼らせてもらうよ。行こうか、鍵」
「あぁ待ってくれ、最後にどうしても気になる事があるんだ」
「気になる事?」
「あぁ。あの時俺は、普通に変身してお前達と共に戦った訳だが、ジョーカーの力を失ってる以上、俺が変身出来るハズは無いんだ。なぜ俺は変身出来たんだ?」
「あーそれね、俺の仕込み。上手くいって良かったよ」
そう言うと俺は金色に輝くライドキー、ディケイドライドキーを相川始に見せる。フィリップはカラクリが分かったようで、すぐに反応してくれた。
「なるほど、彼の力を使ったのか。ディケイドの力は破壊そのもの、道理を破壊する事も難しくないだろうね」
「そういう事!」
「道理を破壊······?まぁ、つまりお前のお陰で変身出来たと言う事だな。ありがとう」
「気にしないでよ。んじゃ、今度こそ行くよ。じゃぁな皆!」
俺はライドキーで扉を開き、元の世界へと帰った。