シャルティアが精神支配されたので星に願ったら、うぇぶ版シャルティアになったでござる   作:須達龍也

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なんとか日刊、継続中です。

誤字報告を頂き、修正いたしました。


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「ガルガンチュアに起動を命じろ。ヴィクティムも呼び出せ。コキュートスが戻り次第、折角だ、全階層守護者で行くとしよう」

 

 

 

 テンションあげて臨んだんだが、わかっちゃあいたけど、思ってたよりもコキュートスの雰囲気が重い。

 こちらとしては、多分負けるだろうなと思ってたし、シャルティアの話でもそうだったので、コキュートスの敗北は予定調和だったのだが。

 あと、理解して、納得もしていたはずのアルベドの様子も、ピリピリとしていて、ちょっと怖い。そうあるべきとしての振る舞いなのか、素で腹を立てているのか、多分、後者っぽいなあ。

 だが、確かに敗北は敗北だ。不可避ではなく、対応によっては避けられたのも事実。敗北を喫する前に、コキュートスからの何かしらのアクションがあったならば、それは予定調和とは異なるが、悪くはないことだったはずだ。

 故に、叱り役のアルベド、フォロー役のデミウルゴス、そして取りまとめる俺、この三者がこの場に居るのは、必要なことなんだろう。

 

 ただ、シャルティア、コキュートスが何かを言うたびに、いちいちきょときょとと周りを窺うな。緊張感がなさすぎだ。

 

 コキュートスから、リザードマンの助命嘆願が出たのは、予定通りとはいえ、驚きだった。敗北を喫させられた相手、憎悪とまでは行かなくても、腹立たしい相手ではないのだろうか?

 そういえば、武人建御雷さんも、自分が負けた相手をよく褒めていたなと思い出す。それが性悪なコンボに嵌められた場合ですら、その流れへの誘導こそが見事だ…なんて言って笑っていたなと、懐かしい気持ちになる。

 

 さて、メリットの質問は少し意地悪だっただろうか。

 

 ただ、この質問は必要なんだ。感情的な、あるいはなんとなくの理由で、ナザリックの方針を決めるわけにはいかない。

 そこにどんなメリットが、どんな思惑…意図があるのか、それを理解すればこそ、反対の者も納得して行動することができる。

 最終的に多数決で決定はしたが、できるだけ納得できる意図の提示は、ギルドマスターとしての最低限の心がけだった。

 無論、頭ごなしの命令でも、守護者達は唯々諾々と従ってくれるだろう。しかし、そこに胡坐をかくことは許さない。アインズ・ウール・ゴウンを名乗る以上、絶対に許さない。

 

 デミウルゴスからの提案という形で、リザードマン達の支配が決定する。

 それと同時に、あらゆる指示、提案に対してその真意を問えと、厳命する。それが自分の首を絞めかねない命令であると思いつつも、アインズ・ウール・ゴウンを名乗る以上、絶対である。…そして、その名を返上するつもりもない。

 

 

 

 リザードマン達への挨拶と、四時間後の再戦を告げて、アウラ特製の擬似ナザリックへと到着する。

 俺としてはこういうところも悪くない…というか、むしろ落ちつくと思うのだが、アウラはどうも恥じているようだ。

 アウラの働きを褒めつつ、視線はあるものへと向かう。

 一言で言えば…

 

「…あれはなんだ?」

 

 白い玉座…非常に美しく、豪華なんだが、明らかに人骨らしきものが見られて、わずかに逡巡してしまう。

 ただ、まあ、デミウルゴスの様子を見るに、座らないと駄目だろうなと思っていたところで、いきなりシャルティアが部屋の中央へと進み出る。

 どういうつもりかと見つめていたら、そこで四つん這いになった。

 

 

「さあ、お座り下さいませ!」

 

 

 嬉々としてそう言うシャルティアに、白い椅子を見た時以上にひく。

 何を言っているんだ、こいつは…という思いは、横のアルベドからかすかに聞こえて来た、て、天才か…という声に、沈静化する。

「あー、シャルティアよ、なぜお前に座らなければならない」

 

「えっ、あの、罰…いえ、ご褒美を賜りたいでありんす!」

 

「褒美?」

「最初の報告の際に、アインズ様がおっしゃいました。望むままの褒賞を与えようと、そのご褒美を、今、頂きたいと存じます!!」

 あー、言った、言ったな。想像の斜め上にも程があるがな!

 さぁ、さあ! …とばかりにこちらを見上げてくるシャルティアに押されて、しょうがなく腰を下ろす。

「はぁん…」

 その嬉しそうな声に、ますますひく。

 こちらの世界の俺とあちらの世界の俺、それがどれだけ違うかはわからないが、こちらの世界とあちらの世界、ペロロンチーノの変態性だけは完全に一致したことだけは理解できた。

 

 理解したくもなかったがな!!

 

 アインズのお尻の位置を微調整するように、シャルティアの体が小刻みに動く。

 少々気分がくさくさしていたアインズが、動くなとばかりに、ピシリとシャルティアの尻を叩いた。

「っ! …はぁあぁん…」

 もっととばかりに、マッサージチェアのように動くシャルティアに対し、アインズはもう無の境地に至ったように遠くを見つめるだけだった。

 

 その後、アルベドが一時退室したり。

 それなりにまじめな話をしたり。

 リザードマンの交尾を鏡越しに見てしまったり。

 アウラとマーレの性教育について悩んだり。

 

 なんだかんだと約束の四時間が過ぎ、コキュートスとリザードマン達の代表の戦いが始まった。

 予想外に、コキュートスが手傷を負わせられた…などということもなく、想定通りのコキュートスの圧勝だった。

 

 その後は、コキュートスの成長が見られる対応に驚いたり。

 クルシュ・ルールーという白いリザードマンと取引したり。

 ザリュースというリザードマンで蘇生実験を行い、成功したり。

 

 全体的には予定通りに成功したと言えた。

 

 

 そうして、再び雌伏の時を過ごすなか、蠢動を告げる<伝言>が届く。

 

 

 

『セバス様に裏切りの可能性があります』




4巻は1話で終了。
というか、5巻もほぼ終わっているという。

誤字、よりによって本編からお借りした言葉という…せめて、そこは間違えるなよ…

誤字報告ありがとうございました。今後も宜しくお願いします。

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