シャルティアが精神支配されたので星に願ったら、うぇぶ版シャルティアになったでござる   作:須達龍也

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ついに20話です。
まあ、一話一話が短いからなんですが、頑張ったなと自画自賛w


20

「何も起こらないといいのだけれど」

 

 

 

 その願いは、空しく空に響いた。

 

 

「やれやれ、行ったな」

 

「行きましたね。たとえワーカーとはいえ、同じ飯を食べた、そして今回の依頼における仲間です。無事に戻ってくると良いのですけど……モモンさんはどう思われますか?」

 

「……それは難しいだろうな」

 

 全員無事に戻ってきたら、作戦大失敗じゃないか。こんな不快な作戦を行って、更に失敗だなんて、何をやっているのかわからなくなる。

 どれだけの人間に慈悲をかけるかは、連中の今後の行動にかかってはいるが、誰一人帰還しない…その結果だけは変わらない。

「そういうつもりでいるべきだ。今回の遺跡は未発見のもの。どんな危険が待つかもしれない。下手な願いは自分を傷つけるからな」

「なるほど、そういう……ご心配ありがとうございます」

 

 こちらの発言を好意的に解釈して礼を言ってきた冒険者チームのリーダーと別れ、自分たちに割り当てられた天幕へと戻り、ナーベラルに指示を出して、ナザリックへと帰還する。

 

「お帰りなさいませ、アインズ様」

「ただいま、アルベド」

 あいさつを交わした後は、侵入者歓迎の注意事項などを話し合う。

 コストができるだけかからないようにすること。

 システム・アリアドネのこと。

「ああ、そう言えば、テストのほうはどうなっている? 例の減点方式のやつだ。ちっ、泥だらけの足で入ってくるんじゃない。全員一点減点しておけ」

「二十人足らずですからね、もちろん全員把握しております。ちなみに地上階の財宝に手を付けていた場合の減点はいくらにしておきましょうか?」

 

 

「無論、マイナス百点だ」

 

 

 

 

 

「老公、勿体ないじゃないですか? 墓地の捜索は別のチームがやっても良かったはずですよね?」

「勿論、その通りしゃ。とのチームも……あの糞チームは別しゃけと、能力に大きな差はないしゃろう。我々に出来ることは”ヘヒーマッシャー”も”フォーサイト”も出来るしゃろう」

 ならば、と言いかけた仲間の言葉を遮って、そのまま言葉を続ける。

「明日の優先捜索権を得たんしゃ。損はっかりしゃねーそ。それに明日は地表部の捜索も終わってるしゃろうから、下手したら一番最後のチームは、本当に何の利益も得られす、場合によってはヘースキャンプの警護という線もあるしゃろう」

「なるほど……」

「それに、儂かあの提案をしたとき、ヘッケランの奴はしまったという顔をしとったわ」

 奴のあの瞬間のやられたという顔を思い出して、思わず笑いがこみ上がってくる。

「大体、謎の遺跡に最初に侵入するのはちと危険か高すきしゃよ。モモンの勘もそう言っておるようしゃしな」

「フォーサイトの連中は、本当に地表部の霊廟の財宝は手付かずなんですかね?」

「そいつはこの後に確認すれはいい。そうたったら儲けもんしゃのう」

 儂のその言葉に、どっと笑いが起こる。

「モモンの勘通りに墳墓の主がいたとして、だったらフォーサイトだけは無事に帰れますかね?」

 その何ともおめでたい発想に、フンと鼻で笑う。

「人間相手たったらわからんか、こんな墳墓の主は人間なわけないしゃろう。アンテットかモンスターに決まっておるわ。そんなの相手にそんな言い訳は通用せんわ。侵入しないのかヘストしゃよ」

 少しばかりごねていた連中も、そこまで儂が言ったら納得したようだった。

「彼らは我々のカナリア。無事に生還してくれるとよいの」

 今はもう見えぬ連中の無事を、言葉だけで祈ってやる。

「彼らか生還したら、我々は明日の優先捜索権を得る。生還しなかったら、撤退の提案をする。まあ、地表部のお宝たけても、十分しゃろう」

 この話はここでおしまい。

 この後の…フォーサイト担当だった霊廟を確認した後の…話に変える。そうすると自然と話はモモンのことになる。

 奴のことを考えると、年甲斐もなく憧憬の念が沸くのを禁じ得ない。

「真のアタマンタイト級冒険者を幾人も見てきたか、モモンはその中ても別格しゃ。真の中の真とも言うへき気配を感したの」

「そうなんですか?」

「ああ、たからこそ軽くても揉んてもらうと良いそ? 儂か死んた後も、主らか冒険を続けるのてあれは、経験はきっと将来の宝になろう」

 儂の先達としての助言に、パーティの面々が茶化しながらも、頷いてくる。

 そんな折に…

 

「素晴らしいチームなのですね」

 

 突然、静かな女の声がした。

 見れば、先ほど降りてきた傾斜角の緩やかな階段の上、霊廟の入り口にメイド服を着た女性達が立っていた。その数は五人。

 誰もがあり得ないほど美しく、それがゆえに沸々と湧き出る違和感に…イヤな予感。

「主……何者しゃ? 見かけぬ顔しゃか……。ふむ。やはり隠し通路かあったのか……」

 うちの連中も声をかけるが、メイド達は特に反応を返さない。じゃが、このタイミングで出てきたのだ。ただの顔見せだけのはずがない。

「人数は互角……なんとかなるかの?」

 

 

「それにしても墓地でメイドって……センスを疑うな」

 

 

 突如、温度が下がった気がした。

 先ほどまでの無反応…逆に少しばかり友好的とすら感じていた雰囲気が一変した。

 

「マイナス一点ですぅ」

「………マイナス一点」

「墳墓への悪口が一点なんだから、それくらいでしょうね。気分的にはもっと取りたいんだけど」

「おめでとうっす! 今のでマイナス十点になったすよー」

 

 マイナス十点…一体何の話だ?

 

 

 

「はい、はい。何を言っているの、もう彼らはマイナス百点があるのだから、マイナス十点なんてとっくに超えているわよ」




パルパトラ~、アウト~!

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