BanG Dream!~隣の天才~   作:TRcrant

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というわけで始まりました本作の第1話目です。

この章はある意味プロローグのようなものなので、話の展開が非常に速いです。
原作キャラが一切登場しませんが、追々ちゃんと出ますので、お楽しみに。


それではどうぞ


序章『そして伝説へ』
第1話 始まり


そのきっかけが何だったのかは全く覚えていない。

気が付けば僕たちはそこに集まっており、気が付けば僕たちはそれを手にしていた。

でも、一つだけ言えることがある。

それは――――――

 

 

 

 

 

BanG Dream!~隣の天才~   序章『そして伝説へ』

 

 

 

 

 

「よし、今日もいい感じっ」

「何寝言を言ってやがんだ」

 

音の余韻が残る中、一人ガッツポーズをして感想を口にする短めの黒髪の少年……佐久間(さくま) 啓介(けいすけ)の言葉に、金髪の少年……田中(たなか) 聡志(さとし)が、ため息安尻にきつい言葉を返す。

 

「まあまあ、感想を言うくらいはいいじゃない。な、裕美」

「う、うん。だから二人とも喧嘩は」

 

空気がぴりついたのを察してか、腰元まで伸びた長い黒髪の少女森本(もりもと) 明美(あけみ)が仲裁する中、おろおろとしている銀髪の少女中井(なかい) 裕美(ゆみ)は、二人を止めようとしていた。

 

「別に喧嘩なんかしねえよ。ただ、能天気な啓介に注意しただけだ。なあ、和樹はどう思うんだよ?」

 

手にしていたスティックで頭を掻きながらばつが悪そうに言う聡志は、それまで静観していた僕に振ってくる。

 

「んー。能天気なのはよくないとは思うけど……まあ、こいつの能天気はいつものことだし、いちいち反応していたら日が暮れちゃうと思う」

「ひどっ!」

 

啓介のツッコミに部屋を笑い声が包み込む。

そんな僕たちに声をかける人がいた。

短めの黒髪の男性、名前を奥寺(おくでら) 竜平(りゅうへい)……僕の父でもある。

 

「皆。そろそろ休憩にしてはどうかね? お茶を用意してるから、キリのいいところで来なさい」

「いつもご馳走になってすみません」

 

森本さんの言葉に、手を振ることで答えながら父さんは部屋を後にしていく。

 

「それじゃ、休憩にしよっか」

『うん(おう!)』

 

森本さんの呼びかけに全員が頷くと、男である僕たちを先頭に、階段を上って部屋を後にする。

階段を登り切った場所はリビングとなっており、テーブルの上にはすでに僕たちの分のグラスが用意されていた。

僕たちは話し合うわけでもなく、席に着くとグラスに入っている冷たいお茶を飲み干した。

 

「それで、さっきの曲だけど、全体的にはまとまってた感じだったよ」

「ああ。啓介のキーボードの音色はよかったぞ。上達してるじゃないか」

「そう言う聡志だって、ドラムの力強い音がクールでかっこよかったぞ」

 

一息ついた僕たちが始めたのは、先ほどの練習の反省会だ。

僕たちが地下室(僕たちは練習スタジオと呼んでいる)でやっていたのは、音楽の練習だ。

学校の授業に向けてのものではなく、僕たちはバンドとして活動しているのだ。

すると、気になったことでもあったのか、父さんが僕たちの座るテーブルのほうへと近づいてきた。

 

「それで、出来のほうはどうだ?」

「バンド名も決まったし、衣装も用意できた。あとはこのエントリーシートを送れば応募完了かな」

 

僕たちが、これから応募しようとしている場所。

そこに立つことこそ、僕たちバンドメンバー全員の共通する目的だ。

名前は『FUTURE WORLD FES.』

出場するためのコンテストではプロでも落選が当たり前の、まさに頂点とも言っても過言ではないイベントなのだ

ちなみに、僕たちはこのコンテストは、初挑戦だ。

いや、そもそも人前でライブをやったことすら一度しかないのだ。

だからこその、挑戦なのだ。

 

「どれどれ……曲目は、『You should get over me』か。フェスでは何の曲を演奏するつもりだ?」

「これだよ」

 

父さんの質問に答える代わりに、僕は手元に置いてあった楽譜を手渡す。

それを目にした父さんの目の色が、見る見るうちに険しくなっていく。

 

「このレベルの曲をここに持ってくる……なるほど、最初は小手試しとばかりにライトな感じの曲を……本番ではヘビーなものを演るってことか」

 

父さんには僕たちの思惑などお見通しのようで、僕たちは顔を見合わせて苦笑いする。

 

「やれるのか?」

「そんなの聞くまでもないよ。ね?」

 

全員に聞いてみると予想通り、頷いて答えてきた。

 

「それならいいが。で、衣装のほうは?」

「これを全員で」

 

そう言って取り出したのは白装束だ。

フード付きのそれは着ることによって顔はおろか、体型すらもわかりにくくさせる代物だ。

 

「俺はサングラスとかでも良いって言ったんすけどね」

 

この衣装案を出したときに、最初に反対してきたのは田中君だった。

それでも、この衣装ではない理由を説明したらわかってくれたようで、渋々ではあるが賛成してくれた。

尤も、説明などしなくても田中君には僕の思いが分かっていたかもしれないけど。

 

「……なるほど、あの時(・・・)のことがいまだに忘れられないんだな」

 

父さんのその言葉で、僕はその時のことを思い出してしまった。

 

 

 

僕がバンドを結成して1年が経ったある日、父さんの勧めで参加したライブでのこと。

そのライブは結成したての無名なアマチュアバンドのみで行われる小規模なライブであり、注目度も低いものだった。

所謂、ライブができればそれでいい的なもので、参加していたほかのバンドも悪い言い方だが、聞くに堪えないひどいものだった。

そのライブで、僕たちがステージに立った時のあの仕打ちは、きっと死んでも忘れられないだろう。

 

「おいおい、子供じゃねえか」

「遊びだったら家でやったらどうだ?」

 

他のバンドから浴びせられる罵詈雑言の数々。

 

「君たちが出てもいいところではないよ。さ、おうちに帰りなさい」

『あははは』

 

最終的には演奏すらさせてもらえず、PAのその一言で僕たちは笑いものになりながらステージから降ろされた。

その時の怒りが元となり、この衣装案となって出てきたのだ。

 

 

 

「さあ、休憩は終わりだ。こっからはリフレッシュだ。ということで」

 

森本さんが僕たちに差し出してきたのは5本の箸。

 

「今日こそ、俺が主役だぁ!」

「俺は何でもいい」

「わ、私は目立たないのが」

 

それぞれが森本さんの手から箸を一本一本取っていく。

 

「ほい、一樹」

 

残り二本になったところで、僕は森本さんに促されて適当に箸をとった。

森本さんが握っていた部分には”ドラム”と書かれていた。

 

「あちゃー、今日は俺がベースか」

「俺はキーボード……ふむ、悪くはない」

 

僕たちがやっていたのは、楽器入れ替えのくじ引きだ。

 

『同じ楽器をやっていたらマンネリになる。リフレッシュがてらほかの楽器を弾けばいい練習にならない?』

 

という啓介の提案で始まったこの催しは、練習の時に必ずやっている恒例行事となっていた。

クジによって、この後の練習で演奏するパートが決まるというもので、特にこれといった狙いなどはない。

担当する楽器ではないので、うまく演奏するのはかなり難しいが、いい気分転換にはなっている。

ちなみに今回は、僕がドラムで、森本さんは僕が担当しているギター。

田中君がキーボードで啓介はベース、中井さんはボーカル兼ギターだ。

 

「練習するのはいいけど、早めに切り上げろよ」

 

父さんの注意にみんなで返事をしながら、僕たちは練習スタジオへと向かっていく。

これが僕たち”HYPER PROMINENCE”の、いつもの練習風景だった。




今回出てきた楽曲名は実際に実在する曲ですが、作曲者(アーティスト)は架空の物です。
正しくは下記の通りとなります。

『You should get over me』 アーティスト:Jessica Wolf
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