BanG Dream!~隣の天才~   作:TRcrant

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大変お待たせしました。
第130話になります。


第4章『雨の日の流れ星』
第130話 就任


5月の大型連休も終わり、季節はいよいよ梅雨の時期に差し掛かろうとするこの頃。

僕は、ライブハウスCiRCLEの前まで来ていた。

 

「……さて、行くか」

 

軽く自分い気合を入れつつ中に足を踏み入れた僕を待っていたのは

 

「あれ? 美竹君。いらっしゃい」

 

いつものように受付に立っている”元”先輩の月島さんだった。

 

「すみません。今日、Roseliaと約束をしてるんですけど、どのスタジオにいるかわかりますか?」

「あー、そういうことだったんだね。話は聞いてるよー。ちょっと待っててね」

 

(一体どういう説明をしたんだろ?)

 

Roseliaのメンバーが練習しているスタジオの場所を確認する月島さんを、僕はそんな疑問を抱きながら見ていた。

 

「お待たせ~。Roseliaが今いるスタジオはCスタジオだよ」

「ありがとうございます。それでは――「一つだけいいかな?」――はい?」

 

スタジオの場所を教えてもらい、月島さんに一礼して彼女たちのいるスタジオに向かおうとした僕を、月島さんが呼び止めてきた。

 

「どうしてここのバイトを辞めたのかな? あの時も理由を教えてくれなかったから、気になっちゃって」

 

ばつが悪そうに聞いてくる月島さん。

 

(そういえば、あの時って確か……)

 

『一身上の都合でここで働けなくなったので、やめさせてください』

 

思い返してみると、ちゃんと理由を言ってなかった

 

「そんな大した理由でもないですよ。単に家庭の事情ですから」

「そっか……あ、ごめんね、引き留めちゃって」

 

残念そうで、どこかほっとした様子の月島さんに、もしかしたら自分が原因で辞めたのだと思っていたのではないかと感じたが、僕はあえてそのことに触れなかった。

僕は、もう一度月島さんに一礼すると、再びその場を後にする。

今度は呼び止められることはなかった。

 

 

 

BanG Dream!~隣の天才~   第4章『雨の日の流れ星』

 

 

 

「失礼します」

「あぁっ! ムングロの一樹さんだ! 本物だよ、リンリン」

「やっと来たわね。30分の遅刻よ」

 

入るや否や紫色の髪の少女の興奮した感じの声と、遅刻を咎める湊さんといった、対称的な反応が返ってきた。

 

「遅れてごめん。ちょっと野暮用があってね」

 

野暮用のヒントは今日の日直が日菜だったことだ。

後は察してほしい。

 

「えっと、最初に自己紹介とかしておいたほうがいいと思うんだけど」

「それもそうね。お互いに知らない人もいるわけだし」

 

キーボードの少女とか、ドラムの少女とかは特に。

さすがに自分のことは知っていて当然という痛い考えはないので、まずはお互いの名前を知るのが一番だ。

 

「それじゃ、自分から。今日から皆のコーチ?……をすることになった美竹一樹です。得意な楽器はギターだけど、人並み程度であれば基本的にどの楽器も演奏できるので、微力ではあるけどサポートをしていきたいと思います。どうぞ、よろしく」

 

軽く一礼する僕に、温かい拍手が送られる。

 

「おー、一樹君が畏まってるのって新鮮な感じだね~」

 

リサさんからはニシシというからかいの意味を込めた笑みもついてきたけど。

 

「それじゃ、次は私たちの番ね。私は―――」

 

こうして次々とRoseliaのメンバーたちが自己紹介をしていく。

とはいえ、湊さんと紗夜さんにリサさんは知り合いなので、あまり必要性がなかったりもするが。

 

「それじゃ、次は私の番だね。私は宇田川 あこって言います! ドラムをやってますっ!」

「宇田川さんだね……宇田川?」

 

紫色のツインテールの髪型の少女……宇田川さんの名前を聞いた瞬間、僕の中で引っ掛かった。

 

(宇田川って、もしかして巴さんの妹か? いや、同姓という可能性もある)

 

僕の知り合いに、彼女と同じ苗字を持つ人物がいるのだ。

 

「あの、あこ何かしましたか?」

「あ、いや。そういうわけじゃないんだけど……一つ聞きたいことがあるんだけど、いい?」

「は、はい。いくつでもいいですよ!」

 

とりあえず、僕の中で引っ掛かっているであろう原因とみられる疑問を、彼女にぶつけてみることにした。

 

「宇田川さんって、お姉さんとかいる? 赤い髪で名前が……巴っていうんだけど」

「えぇ!? おねーちゃんのこと知ってるんですかっ!?」

 

どうやら本当に巴さんの妹だったようだ。

 

(そういえば、巴さんもドラムをやっている妹がいるって言ってたっけ)

 

「知ってるも何も、妹の幼馴染だから、その関係で知り合ったんだけど。いやいや、世界って狭いね」

「それじゃ、おねーちゃんが言っていたギターがすごくうまい先輩って、一樹さんだったんですねっ」

 

それはどうやら向こうも同じようで、僕の名前は言っていなかったみたいだが、僕のことは話していたみたいだ。

 

(よく言われているとはいえ、直接言われると照れるな)

 

表舞台に出始めてかなり経つが、いまだに直接褒められたり称賛の言葉を投げかけられると照れてしまうのは治らない。

まあ、それが普通ではあるんだけど。

 

「お姉さんからよく、自慢の妹がいるって聞いてたから。いやー、まさか宇田川さんのことだとは」

「ありがとうございます。あの、私のことは”あこ”でいいですよ。苗字だとおねーちゃんとごっちゃになっちゃうので」

「そ、それじゃ……お言葉に甘えてあこちゃんって呼ばせてもらうね。あと、それだったら敬語もいいからね」

 

彼女の姉には既に名前で呼んでいたりするんだが、あえて言う必要もないので、黙っておくことにした。

 

「わ、私……は、白金燐子です。き、キーボードをやっています」

 

最後に黒髪の少女……白銀さんの自己紹介で最後となった。

 

(しかし、こうしてみるといろいろと難しそうだな)

 

今からやること、そしてこれからやるであろうことを考えると、少々やりづらいところもあるが、一応何とかなるだろう。

 

「最初に、僕のコーチの方針について話しておくけど、基本的に僕はみんなの演奏中に見つけたミスや問題点のうち、ある程度しか指摘しない」

『えぇっ!?』

 

僕の宣言に、皆が驚きの声を上げる。

 

「ちょっと待って! あなたはRoseliaのコーチなのよ? それなのに全部言わないというのはコーチの役割を放棄してるわ」

「湊さんの言う通りです」

 

そして湊さんと紗夜さんから非難の声が上がる。

でも、それは想定の内だ。

 

「まあまあ、話は最後まで聞いて。ちゃんと理由を言うから」

 

僕は両手で彼女たちを落ち着かせるべくジェスチャーをしながら、僕は続きを口にする。

 

「昔、練習の時にすべて指摘する形の練習方式をとっていたんだけど、それをやった結果、皆を廃人寸前のところまで追い込んだっていう一件があるんだ」

「は、廃人!?」

「そんな、まさか。全部を指摘しただけで……」

 

僕の説明に驚きをあらわにする者、信じられない者と反応が分かれる。

 

(まあ、普通はそうだよね)

 

普通は全部を指摘しまくったところで、そこまでなるほどの事態にはならない。

だが、それを起こしたのが僕という人間だ。

 

「美竹君、貴方の言うことは悪いけど信じられないわ」

 

そんな湊さんに、僕は”あまり気が進まないんだけど”と前置きを置いたうえで、彼女たちにそれを持ち掛ける。

 

「その練習、今やってみる?」

 

と。




改めまして、投稿予定日を延期してしまい申し訳ありませんでした。
原因はこの後触れるアンケートの準備作業が完了していなかったためです。

さて、今回のアンケートは、タイトル通り『読みたい話はどれか?』です。
こちらに上がっているのは、本作では省略(もしくは書かない予定)の話です。
皆さんがお読みになりたい話をお選びください。
最も票を獲得した一つの話を執筆いたします。

タイトルだけで内容が分からない(内容が知りたい)という方あらすじのほうを活動報告にて掲載しておりますので、”『BanG Dream~隣の天才~』でのアンケートのあらすじ紹介”をご覧ください。
なお、一番最後の項目で最も票を獲得した場合はすべての話を執筆・投稿いたします。

今回のアンケートの実施期間は未定ですが、6章が終わるまでを予定しております。
皆様の貴重な一票をお待ちしております。

読みたい話はどれ?

  • 1:『昼と夜のChange記録』
  • 2:『6人目の天文部員』
  • 3:『イヴの”ブシドー”な仲良し大作戦』
  • 4:『追想、幻の初ライブ』
  • 5:一つと言わず全部
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