BanG Dream!~隣の天才~   作:TRcrant

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ついに始まりました第6章です。


第6章『New STAGE』
第151話 やばい先輩、優しい先輩


早速だが、みんなには先輩はいるだろうか?

どんな形でもいい。

バイトでも、学校でも何でもいい。

必ず先輩という存在はいるはずだ。

無論、僕にもいる。

 

「少年少女よ、大志を抱けっ! ふぉぉぉぉぉ!!!!」

 

ものすごくやばい先輩が。

 

 

BamG Dream!~隣の天才~   第6章『New STAGE』

 

 

暑さがさらに増し夏本番に突入した今日この頃。

テレビのニュースではしょっちゅう『十年に一度の暑さ』と報道しているが、一体いくつあるんだといわんばかりに同じようなフレーズを聞いているような気がする。

それはともかくとして、この日僕はゆり先輩に呼ばれて『江戸川楽器店』を訪れていた。

商店街の近くにある楽器店で、楽器関連の品ぞろえが非常にいいと評判のお店だ。

僕も弦や調湿剤を買うためによく利用している。

 

「あ、りぃ先輩」

「っと、美竹君か。ゆりだったらもう少しで来ると思うから、中でもぶらつきながら待ってね」

 

ここ、江戸川楽器店で働いていてGlitter*greenのメンバーでもある、りぃ先輩に言われた通り、僕は店内を見て回ることにした。

ちなみに、手にしているぬいぐるみ”デベコ”だが、彼女にとってとても大事なものらしく、”いたずらしないでね”と、満面の笑みで注意されたのはいい思い出だ。

その表情が一瞬どこかの元人気子役並みに恐ろしく感じたりしているのは余談だ。

そんなわけで、店内を見て回ったところその人物は現れた。

 

「うわ!?」

 

いきなり姿を現した肌色の髪の少女に、思わず声を上げながら数歩ほど後ずさってしまった。

この少女の名前は二十騎 ひなこ。

少し前に会ったりぃ先輩と同じ、Glitter*greenのドラマーだ。

その姿は大人しそうで、清楚な性格に見える。

僕も、最初はそういう印象だった。

だがそれは一瞬で跡形もなく崩れ去ることとなった。

 

「少年少女よ、大志を抱けっ! ふぉぉぉぉぉ!!!!」

 

大人しそうな姿からは想像ができないほどのハイテンションで叫び声を上げ始めたのだ。

 

(うるさ)

 

絶叫にも近いその声量に、思わず耳を塞いでしまった。

 

「マイダーリン、一樹君! ひなちゃんワールドにご招待~っ!!」

 

しかも変な呼び方までしてくる始末だ。

一応念のために言っておくと、ひなこ先輩とはそういった間柄ではない。

タダの知り合いというレベルなのだが、彼女のせいで何も知らない人からは誤解を受けそうになったことがあったような、なかったような。

しかも、本人に悪気がないから余計にたちが悪い。

 

(日菜さんで慣れているとはいえ、これまた凄まじいな)

 

僕は日菜さんという存在で、ある程度こういったタイプの人との接し方のコツはつかんでいるつもりだが、疲れることには変わりはない。

 

(僕もそういうのに興味がないといえばうそになるけど)

 

クラスメイトが恋人ができたという話を小耳にはさむたびに少しだけ考えてはしまうが、自分に話さなければいけないこともあるうえにそういう相手などいないという現実的な結論に行きつく。

 

(まあ、仮に僕が告白と化しても受け入れる人はいないか)

 

悲しきかな、僕も啓介と同様に年齢=彼女いない歴という状況だ。

それは置いておくとして、先ほどからハイテンションなひなこ先輩だが、このオチはもう決まっている。

 

「うっさい! 仕事中だっ!」

 

店の奥のほうから姿を現したりぃ先輩の一喝というオチが。

 

「怒られちゃった。ごめんねてへぺろっ☆」

 

かわいらしく舌を出すひなこ先輩は、彼女を知らない人から見れば男性の視線を集めること間違いなしだが、僕からするとものすごく疲れる。

 

「よ~し、よしよしよし」

「だぁっ、抱きつくな! 頭を撫でるな! ……です」

 

思わず先輩に対してため口になってしまったのを必死にごまかしながら、僕に抱き着く・・…というよりしがみつきながら頭を撫でまわすひなこ先輩にされるがままにされる。

というより、それしか選択肢がない。

なにせ、どう抗ったところで、逃れることは難しいのだから。

とはいえ

 

「あら、またやってるのね」

 

それは楽器店を訪れた二人によって終わりを告げられることになるが。

 

 

 

 

 

江戸川楽器店の出入り口付近には楽器のメンテナンスや査定などが行われている際に休めるようにと休憩スペースが設けられている。

そんな場所で、僕は先ほどここを訪れた二人と向かい合う形で腰かけていた。

 

「ごめんなさいね。大丈夫?」

「ええ。もう全然平気です。もう慣れたので」

 

僕の最後の言葉に、向かい側の席に腰かける二人は顔を見合わせて苦笑する。

 

「今日はわざわざお越しいただきありがとうございます。ゆり先輩、七菜先輩」

「ううん。気にしないで」

「ええ。私たちも予定がなかったから」

 

僕のお礼に穏やかな表情だったが、”それに”と、七菜先輩は言葉を区切るとその表情が一変する。

 

「私たち、グリグリへのお願いなのだから、来ないという選択はないわ」

 

この日、僕が先輩たちに呼び出されていたのは、この前のライブ……クライブが終わった時の頼み事に関係している。

”それは私だけじゃ何とも言えないかな”

ゆり先輩の返事によって、僕は七菜先輩を加えて改めて話をする機会を設けることになったのだ。

そして、それが今日になったというわけだ。

 

「それじゃ、美竹君。もう一度最初から話してくれるかしら」

「はい。今回、Glitter*greenの皆様にお願いしたい内容はあるバンドとの対バン……ジョイントライブを行っていただくことです」

 

七菜先輩に促されるように、僕はこの間ゆり先輩にした内容と同じことを話していく。

 

「相手のバンド名は”Roselia”……先輩方なら既にご存知だとは思いますが、高い技術力などでプロ顔負けの演奏を行うバンドです」

「うん、知ってるよ。確か、私の後輩が所属してるよね」

「一応聞くけど、向こう……Roseliaの皆さんの総意ですか?」

 

今や彼女たちの知名度もどんどんと高まりつつあるのが幸いして、どのようなバンドなのかを説明する必要はなかった。

だが、そんな中での七菜先輩の問いかけは、僕にとっては急所でもあった。

実は、とある理由でまだ彼女たちにはこのことを話していない。

 

「すみません。まだできていません。ですが、必ず全員を説得してライブを行えるようにいたします」

「…………」

 

ここはあえて正直に言ったうえで約束したほうが誠意を示せるかと思ったのだが、間違いだったのかと不安になる。

だが、もう後には引き返せない。

なるようになるしかない。

 

「七菜?」

「……ふぅ」

 

どれほど続いただろうか。

体感にして数十分にも思えた沈黙も、ゆり先輩の呼びかけをきっかけに終わりを告げる。

 

「いいわよ」

「……え?」

「ジョイントライブ、やらせてもらうわ」

 

一瞬聴き間違えたかと思ったが、もう一度言い直してくれた七菜先輩の言葉で、それが現実のものであると確認できた。

 

「……っ。ありがとうございます!」

「いいえ。実はRoseliaの皆さんとは一度一緒にライブをしてみたいと思っていたところなの。彼女たちの演奏を見て私たちも上手になりたいし。ただし、皆さんにはちゃんとOKをとること。それが条件よ」

 

”できる?”と聞いてくる七菜先輩に、僕は

 

「もちろんです」

 

と答えた。

こうして、RoselliaとGlitter*greenのジョイントライブ計画は静かに始まるのであった。




次章予告を書くのが遅れており、大変申し訳ありません。
後ほど追記で書く予定ですので、もうしばらくお待ちください。

読みたい話はどれ?

  • 1:『昼と夜のChange記録』
  • 2:『6人目の天文部員』
  • 3:『イヴの”ブシドー”な仲良し大作戦』
  • 4:『追想、幻の初ライブ』
  • 5:一つと言わず全部
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