BanG Dream!~隣の天才~   作:TRcrant

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第213話 訪問者

「え? 今日は誰もいないの!?」

 

翌日の放課後、Roseliaのバンド練習に顔を出していた僕は、休憩中に紗夜にぽつりと家に誰もいないことを漏らすと、紗夜と一緒に話を聞いていたリサさんが興味津々といった様子で話に乗っかってきた。

 

「そうなんだよ。両親は用事があって家を開けるみたいだし、妹は妹で友人の家に泊まるとかで」

「あー、そういえばモカが『蘭と一緒にパンパーティーをするんですよ~』って嬉しそうに言ってたっけ」

 

(何、パンパーテイーって)

 

リサさんが思い出したように言っている内容に、僕は考えを巡らせる。

いや、なんとなく意味は分かるのだが、一体何をするのかが謎だ。

 

「それじゃ、一樹君はお留守番ってわけなんだ」

「まあ、そうなるかな」

 

啓介たちの家にお世話になるのも気が引けるし、だからと言って家で一人というのは少々寂しいのもある。

これまで何気に誰かしら家にいるという状況に慣れているので、致し方がないと言えばそれまでなんだけど。

 

「……」

 

そんな中、正面に座る紗夜が何かを言いたげにこちらを見ているのに気が付いた。

恥ずかしそうに視線をそらしているその仕草は、本人にとって少し大胆なことか恥ずかしいことをお願いしようとしているサインなのは、付き合ってすぐにわかっていた僕が、紗夜に話しかけようかと思っていた時だった。

 

「それじゃあたし、今日一樹君の家に遊びに行っちゃおうかな☆」

 

リサさんがそんな提案をしてきたのは。

 

「はい?」

「ほら、よくよく考えると一樹君の家に遊びに行ったことってないし、親睦を深めるために……みたいな。夕食も作っちゃうよ~」

 

リサさんのウインクしながら話した内容は、色々とツッコミどころが満載だったが、夕食という単語に少しばかり心が揺れる。

料理はどちらかというとできるのだが、それでもリサさんが作るのに比べれば月とスッポンぐらいの差はあるし、それだけ魅力的な話だ。

 

(とはいえ、さすがに彼女だけはやばいか)

 

曲がりなりにも付き合っている彼女を差し置いてほかの女性を家に招くというのは、いかがなものかというのもある。

やましい気持ちなど微塵もないが、だからと言って問題がないわけでもない。

 

「でしたら私も一緒に行きます」

 

紗夜も誘おうと思った矢先に、本人から家に行くと言ってきた。

 

「べ、別に今井さんと一樹君とでやましいことをすると疑っているわけじゃなくて、今井さん一人に一樹君のことをお願いするのは申し訳がないと思っただけです」

「はいはい、わかってるって☆ それじゃ、行くメンバーはあたしと―――」

「リサ姉、どこかに行くの?」

 

リサさんが話をまとめようとしたところで、話を聞きつけたあこさんたちがこちらに近づいてきた。

 

「うん、そうだよ。実は―――」

 

そして、リサさんはあこさんたちに先ほどの話をすると

 

「なんだか楽しそう! リサ姉、あこ達も一緒に行っていい?」

 

と、あこさんたちも参加したいと言ってきたのだ。

 

「いや、行くのはあたしの家じゃないから、一樹君が良ければだけど」

「僕は別に構わないよ」

 

その一言がきっかけだった。

なし崩し的にあこさんと白金さんに湊さんも加わり、最終的にはRoseliaのメンバー全員の訪問が決まったのだった。

 

 

 

 

 

その後、練習も終わり一度家に帰る組とそのまま直行で僕の家に行く組と別れた。

後者は夕食の材料の買い出しの担当も兼ねている。

そしてこちらはリサさんに僕の二人だ。

残りのメンバーはいろいろな理由から自宅に戻ってから家に来るとのことらしい。

そんなわけで、近くのスーパーで僕たちは夕食の買い出しを行うことにした。

 

「一樹君は、何かリクエストある?」

「特にはないけど……人数も多いし唐揚げとかの揚げ物よりは肉じゃがやカレーみたいな感じの料理のほうがいいかな」

「りょーかい! じゃあ、アタシの得意な料理で行こうかな☆」

 

こうして次々に食材をかごに入れていくリサさん。

具材はジャガイモ、ニンジン豚肉等々。

 

「もしかして、肉じゃが?」

「正解☆ 和食っていいよね~」

 

リサさんは 見た目とは裏腹に和食料理などが好きらしい。

 

「そこの彼氏さんに彼女さん、今晩のおかずにゴーヤはいかがかな?」

「彼氏?」

 

どうやら野菜の試食コーナーだったようだが、店員の呼び方が問題だった。

店員は確かに、僕とリサさんに向かって彼氏彼女と言ったのだ。

 

「あはは、あたし達ってやっぱりそういう風に見えてるんだね~――――いな」

 

まあ、はたから見ればそう見えてもおかしくないのだが……僕的にはいろいろな意味でヤバイことでもあった。

 

「え、何?」

「あはは、アタシは彼女じゃないですよ~。でも、ゴーヤいただいますね」

「毎度ありっ」

 

最後のほうでボソッと何かを言ったような気がした僕は、何を言ったのかを聞こうとするが、それが分かったのかリサさんは笑顔で否定しながらゴーヤを手に取っていた。

確かに笑顔で否定してるけど、それだと全然否定しきれてないようにも思えるのだが……

そんなわけで、夕食の買い出しは無事(?)に完了した。

……ゴーヤの使い道を考えるという問題を抱えながら。

 

 

 

 

 

「お邪魔します」

「お邪魔しまーすっ」

「お邪魔、します」

 

その後、家で買った食材の整理をしていたところで、自宅に一度帰っていたあこさんたちが訪ねてきた。

次々に家の中にはいっていくので、家はあっという間ににぎやかになっていた。

 

「……お邪魔します」

「う、うん」

 

そんな中、最後に入ってきた紗夜さんの荷物の量は、あこさんたちのとは比べ物にならないほど多く感じた。

 

「荷物持つよ」

「ありがとう」

 

いったい何を持ってきたのかという疑問はあるが、とりあえず彼女から荷物を受け取って一緒に家に入った。

荷物も思ったよりも重くなかったのが、少しばかり気がかりではあったが。

こうして、僕たちは夕食の調理に取り掛かるのであった。




次回で、本章は終わります。
……状況によってはもう一話歩ほどズレる可能性もありますが(汗)
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