BanG Dream!~隣の天才~   作:TRcrant

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第228話 準備万端(だった)デート

今日は紗夜とのデートだ。

来たのは遊園地!

少し前にした紗夜と一緒に遊園地に行くという約束を果たすべく、気合は十分だ。

前回のミスは今回に活かし、今度こそ思い出に残る最高のデートにして見せるっ。

そのためのプランは完璧だ。

恥ずかしいのを我慢して、色々なアドバイザーにアドバイスをもらった僕の頑張りの成果を見せる時だ。

ちなみに、アドバイスとしては

 

『やっぱり、遊園地デートだったら男の子がエスコートしないとね♪』

 

という某ギャル風の少女の物や

 

『うーん、やっぱり観覧車は外せませんよね! 一樹さん、頑張ってデート成功させましょう! えい、えい、おー!』

 

という某バンドリーダーのアドバイスだったりする。

ちなみに、最後のは僕はやっていないのであしからず。

それは置いとくとして。

ともかく、気合も準備も万全だ。

なのに……

 

「うわぁ! ねえねえ、おねーちゃん、一君! あのアトラクション面白そーだよ!」

 

僕の前にいるのは、いつもより三割増しのハイテンションではしゃいでいる日菜さんの姿だった。

横にいるのは何とも言えぬ表情でぎこちない笑みになってしまっている紗夜だ。

僕たち二人が今思っていることは、もしかしたら同じことなのかもしれない。

 

「どうしてこうなった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これのきっかけは、約1時間ほど前にさかのぼる。

 

「一樹君、どうぞ」

「お邪魔します」

 

この日、僕は前に約束をしていた紗夜とのデートに先駆けて、彼女の家を訪れていた。

普通デートと言えば、どこかで待ち合わせるのが定番だが、紗夜の場合すさまじく早い時間に来ていたりするので、流石に待たせるのは忍びなかったため彼女の家で合流して一緒に行くという形にしたのだ。

僕も早く出でばいいと思うかもしれないが、どれだけ早く出ればいいのかの予想もつかない上に長時間待ち続けたことで、変に目立ちたくないという思いもあったりする。

とまあ、そんな理由で彼女の家にお邪魔することになったわけだ。

 

「そ、それではここで待っていてください」

「う、うん」

 

待つのは良いのだが、やはり付き合っている相手の家ともなると、色々と緊張する。

それが、前に食事をごちそうしてもらうために訪れている奴のセリフなのかとも思うかもしれないが、あの時と今回とでは状況が全然違う。

 

(と、とりあえず向こうについた後の計画でも……)

 

僕は気を紛らわせるべく、これから行く遊園地のパンフレットを取り出して計画を練っておくことにした。

本当はちゃんと練ってきていたのだが、念には念をだ。

今にして思えば、これが一番のミスだったのかもしれない。

 

「うーん! 今日はお日様がぴかーっと……あれ? 一君」

「日菜さん!? どうしてここにっ」

「ここ、あたしの家だよ?」

 

慌てた僕の口から出た馬鹿げた問いかけに、不思議そうに首を傾げながら、日菜さんからまさしくその通りな内容の答えが返ってきた。

 

「そういう一君は、どうしてここにいるの?」

「えっと……」

 

そして、至極尤もな疑問に、僕は言葉を詰まらせた。

ここで下手なことを言って日菜さんに興味を持たれでもしたら、後々面倒なことになるのは目に見えている。

 

「あれ? これって遊園地のパンフレットだよね? 一君、遊園地に行くの?」

 

僕が手にしていたパンフレットで遊園地に行くことがばれてしまった。

 

(やばっ)

 

日菜さんの目がきらめき始めたのを僕は見逃さなかった。

そして、こうなった彼女は非常に面倒なことを引き起こしてくれるということも、経験上分かっていた。

 

「あ、ごめん。急な用事を思い出し――「一樹君、お待たせ……って、日菜?」――……」

 

こうなったら逃げるしかないと、家を出ようとしたところで、運悪く支度を終えた紗夜がやってきてしまった。

 

「おねーちゃん? もしかして一君と一緒に遊園地に行くの?」

「え、ええ。そうよ」

 

紗夜の登場に驚きながらも問いかけた日菜さんの言葉に、すべてを察したのか、僕に恨めし気な視線を送ってくる。

 

(どうして話すのよ)

 

視線からは、そんな感じのことを言っていそうな気がした。

 

「それじゃ、あたしも――「日菜さんは今日はここでお留守番」――えぇ!? 二人だけでズルいよー!」

「ずるいって……」

 

予想通り一緒に来ようとする日菜さんに断りの言葉を告げたところ、怒られてしまったがそもそもこれはデートなのだ。

よって、ズルいも何もないのだが……

 

「日菜、我がまま言わないの。それに日菜、”今日は家でのんびりするぞー”って言ってたでしょ」

「うぅーー」

 

紗夜にたしなめられた日菜さんは、うめき声を上げながらこちらを恨めしそうな視線で見てくる。

 

(日菜さんは、放って行くか)

 

後々嫌味を言われそうだが、せっかくのデートを台無しにされてはたまったもんじゃない。

僕は紗夜と目配せをすると

 

「それじゃ、私たちは出かけるわね」

 

と紗夜が言って、その場を後にしようと背を向けた。

その時だった。

僕の右足が何かにつかまれたのは。

右足を見ると、そこにあったのは誰かの手だった。

それが誰の物かは言うまでもない。

 

「おねーちゃん! 一君! お日様がぴかってして気持ちいいよ! だから一緒に遊園地に連れていってよ~~っ」

 

よく見ると左手で僕の足を、右手で紗夜の足を掴んでいた。

そして、うつぶせになって、わけのわからないことを叫びながら、必死に動けないようにしていた。

翻訳すれば、”今日は外が気持ちよさそうだから、一緒に遊園地に連れて行こう”だろうか?

 

「日菜、いい加減にしなさいっ」

「嫌だ! 一緒に行くって言うまで放さないもんっ。うぅ~~~!!」

 

紗夜の言葉も全く意味をなさず、ただただ日菜さんが足をじたばたさせて駄々をこねるだけだった。

 

(というか、どこにこんな力がっ)

 

力に自信があるというわけではないけど全力で動かそうとしているのに全く僕の右足はびくともしない。

足をじたばたさせながら唸り声を上げる日菜さんの姿は、まさしく駄々っ子そのものであった。

 

「「……」」

 

そんな彼女の姿に、僕と紗夜はお互いに顔を合わせると

 

「「……はぁ」」

 

深いため息を漏らした。

こうして、僕たちのデートはなぜか日菜さんを連れての物へと変更されることになるのであった。




今回の元ネタは『ガルパピコ』のあの話だったりします。
さて、いよいよ紗夜ルートは次回で完結です!

次回では、本作の今後についての重要なお知らせがありますので、よろしければ最後までお読みいただければ幸いです。

それでは、また明日お会いしましょう。
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