BanG Dream!~隣の天才~   作:TRcrant

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ついに本作最後の章が始まります。


最終章『Moonlight Gloryよ、永遠に』
第234話 海外遠征


季節は12月も半ば。

この季節はいろいろなイベントがひしめき合っている。

クリスマスに大晦日に大掃除等々。

まさに今年の集大成的な月だ。

 

「それじゃ、皆さん。よいお年を」

 

そんなこの日、ついに学校は冬休みへと到達するのであった。

 

 

BanG Dream!~隣の天才~   最終章『Moonlight Gloryよ、永遠に』

 

 

終業式を終えた僕は、その足で芸能事務所を訪れていた。

 

「失礼」

「あれ、美竹くん?」

 

事務所の一室には、同じ事務所に所属するアイドルバンドの『Pastel*Palettes』のボーカルでもある丸山さんと

 

「あ、カズキさん! おはようございます!」

 

キーボードの若宮さんの姿があった。

他のメンバーは、用があってここにはいない。

少なくとも日菜さんは、やることがあるらしく、夕方までこれそうにない。

 

「美竹くんがここに来るなんて珍しいけど、どうしたの?」

「ちょっと若宮さんに用があってね」

 

いつも来ない僕の来訪に不思議そうに首を傾げる丸山さんに、応えながら彼女の前に移動する。

 

「私ですか?」

 

そして唐突に自分の名前を呼ばれた若宮さんは、驚きつつも用件を聞いてきた。

 

「実は、明後日から海外のライブツアーをすることになったんだ」

「海外!? すごい!」

 

僕の口にした”海外”という単語に反応を示す丸山さんは、ある意味正しい反応かもしれない。

 

「この前あったイベントの演奏が、海外で高く評価されたらしくて、試しに何か国かでライブツアーでもということになったんだ」

 

この間出たMSFの評判は僕の予想以上に高かったらしく、数か国のライブ会場を運営している人から、ぜひ自分たちのところでも演奏をしてほしいというオファーがあったのだ。

そこで、相原さんをはじめとしたスタッフの人たちがスケジュールなどの調整を行ってくれた結果、ライブを行う国は4か所ということになったのだ。

相原さんいわく、結成してからここまでの短期間で、海外でのライブを行うというのは異例なのだとか。

 

「それで、どこでやるの?」

「スタッフの人が選んでくれたんだけど、確か……中国、ニューヨーク、フィンランド、そしてイギリスかな」

「わあ! フィンランドでもやるんですねっ!」

 

自分の母国の名前が出たのがよほど嬉しかったのか、若宮さんは目を輝かせる。

 

「それで相談なんだが、この時期フィンランドに行く際に注意するべきこととかあったら教えてほしいんだ。服装なり持ち物なり、思いつくだけでもいいから」

 

僕の用というのは、フィンランドに行くにあたっての注意事項などを聞いておくことだった。

 

「そういうのってネットとかにもあるよ?」

「そういう物よりも、せっかく知り合いにその国の出身の人がいるんだから聞いておいたって損はないはずだよ。それに、現地の人でしかわからないこともあるかもしれないし」

 

決して、そういうことをする労力やお金などを惜しんでいるわけではない。

断じてだ。

 

「わかりました! ブシとして、カズキさんのお悩みを解決して見せますっ!」

「よ……よろしくお願いします」

 

(なんでここで武士なんだ?)

 

本当によくわからない人だなと思いつつ、僕は若宮さんからのフィンランドに行くにあたっての注意事項を教えてもらうのであった。

 

 

 

 

 

「ということで、明々後日から海外に行くことになった」

『そうですか。皆さんのあの演奏を見れば当然の結果ね』

 

そして夜、一足先に紗夜に海外へのライブツアーの話をすると、納得した様子の反応が返ってくる。

明日はRoseliaのバンド練習に付き合う予定なので、その機会に全員に説明しておくつもりなのだが、ここは恋人特権という奴だろう。

 

「まあ、色々と課題もできたことだし、いい機会だと思うよ」

 

あのMSFでは、言葉にはできないほどいい経験と刺激をもらった。

おかげで、これからの活動の方向性でいろいろと試したいことができたほどだ。

ただ、一番の収穫は今の右手の状態でも十分やっていけることが分かったことだろう。

とはいえ、ちゃんとリハビリのほうは続けていくつもりだけど。

 

『それで、日本に戻るまでどのくらいかかるの?』

「気候とかにもよるけど、予定では8日ほどらしい」

 

ライブの前日にその国に入国し、翌日のライブを終わらしたらその足ですぐにまた次の国に向かうというややハードスケジュールだ。

僕たちが学生で、あまり長い時間取ることができないためなのだが、かなり調整には苦労したようにも見える。

 

『そう……』

「紗夜?」

 

日数を聞いた紗夜の声が沈んだので、紗夜に声をかける。

 

「いえ……やはり長いなと」

『そっか……寂しい思いをさせるよね』

 

紗夜の言葉を受けて、そのことに気づく僕も、どうやら海外でのライブツアーで浮かれていたらしい。

少し自重しなければ。

 

「時差とかがあるから毎日は難しいかもしれないけど、電話してもいいかな?」

『もちろんよ。その国のこととか話してほしいわ』

 

そして僕の提案ですぐに明るい声に戻る紗夜もまた、分かりやすかったりする。

そこがかわいいんだけど。

こうして、紗夜との電話はしばらく続いたが、これまたいつもの時間で電話を終えた僕は、眠りにつくのであった。




タイトルがものすごくあれです。

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