BanG Dream!~隣の天才~   作:TRcrant

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投稿するのを忘れておりました。
投稿が遅れてしまい、申し訳ございません。


第4話 策をねる者の末路

メンバを二班に分けるというのは、生存率を高めることができる有効な手段だ。

食材を上がす班に何かがあった際には待機しているメンバーが行動を起こすというのも理にかなっている。

……若干、物々しい雰囲気だなとは思ってしまうが。

そんなわけで、メンバーの振り分けを行うことになった。

 

「それじゃ、彩ちゃんはここで待っているとして、後二人どうしようか?」

「え? あの、どうして私は待機組前提になってるの? 私も探しに行けるよ」

 

日菜さんの言葉に、驚きながらも声を上げる丸山さんだったが

 

「うーん、何となく?」

「彩さんに何かあったら大変ですから。ジブンたちを信じて待っていてくれると嬉しいです」

「アヤさん、おいしい食材を一杯とってきますね」

 

もうすでにみんなの中では、丸山さんは待機班というのは確定のようだった。

 

「うぅ~……美竹くんなら私でも行けるって思うよね?」

 

何とも言えない表情で唸っていた丸山さんと目が合った僕に、話しが振られてきた。

 

(しかも、みんなからの圧がすごい)

 

度合いに差があれど、僕に向けられている丸山さん以外の視線は単純にこう言っていた。

 

『余計なことを言わないで』と。

「僕に聞くのは実に理にかなっているね。だったらわかるでしょ? 丸山さん」

 

僕はそこで言葉を区切ると

 

「諦めな」

 

一言で切り捨てた。

 

「ば、バッサリ……」

 

(いや、なんとなく丸山さんを行かせるとやばそうな気がするんだよね)

 

丸山さんとの交流がない僕でも、彼女に危うさを感じているのだ。

きっとほかのみんなが感じているそれは計り知れない。

とはいえ、僕もどれほどやばいのかはわかってはいないのだが。

というより、わかる時が来ないのを祈るばかりだ。

そんなわけで、丸山さんと後二人の待機組を決めることになったのだが……。

 

「それじゃ、私は彩ちゃんと一緒にここで待つわね」

 

と、白鷺さんが立候補してくれたことで、残りは一人となった。

白鷺さんなら大丈夫だろうと、特に異論はなかった。

 

(ここは男の僕の出番でしょ)

 

いくらなんでもここで待って女子たちが戻ってくるのを待つというのは、色々な意味でありえない。

そういう意味合いで、僕の食材を探す班は確実だと思っていたのだが……

 

「じゃあ、一君はここで待っててね?」

「え?!」

 

僕のそれは無情にも日菜さんの一言で打ち破られることとなった、

 

「そうですね。美竹くんがいてくれると安心っすね」

「いやいやいや! それはさすがにおかしいって。ここは男の僕が探しに行ったほうが危なくないでしょ」

 

流れ的に完全に僕の待機組が確定状態になっているのを打破しようと、僕は異議を唱えるが分は完全に悪い。

 

「美竹くん、ここはあきらめたほうがいいと思うよ?」

「それさっきの仕返しだよね?!」

 

先ほどの自分と同じ状況に僕が陥っているのがうれしいのか、もしくは自分の仲間だと思ったのか、丸山さんの表情はものすごく満面の笑みだった。

 

「わかった! だったらここはじゃんけんで白黒つけよう!」

 

そこで僕は打開策に打って出た。

それは、一か八かの賭けだったが、僕には負ける気はしない。

 

「じゃんけんで僕が勝ったら、探すメンバー。負けたら待機。これでどう?」

「美竹くん――「わかりました! その勝負受けて立ちますっ」――い、イヴさん!?」

 

説得をしようとしたのか、大和さんの言葉を遮るようにして威勢良く言い放った若宮さんは、一歩前に出てきた。

 

「勝負を挑まれたら立ち向かう。それがブシドーです!」

「あはは、なんだか面白そう!」

 

かくして、若宮さんとの一発勝負の幕が上がる。

 

「勝っても負けても、言いっこなしだ」

「はいっ。ブシに二言はありません!」

 

こうなったらすべては心理戦だ。

 

「僕はこの勝負で、”グー”を出すっ!」

「うわ……」

 

僕の繰り出した一撃に、誰かが軽く引いた感じの声を上げるが、そんなことは関係ない。

これは心理戦なんだ。

 

(今の言葉で、若宮さんは”グー”か”チョキー”を出してくるはずだ)

 

それなら、僕は”グー”を出せば負けることはない。

なぜなら、”パー”を出してしまえば、負ける可能性があるからだ。

裏を読めば読むほど、パー以外の手を出してくる可能性は高い、

 

「「じゃんけん……」」

 

そして、僕たちはお互いに手を出した。

僕は”グー”を、そして若宮さんは”パー”を。

 

「やりましたっ」

「なんで!?」

 

喜ぶ若宮さんとは対称的に、僕はショックを隠せないでいた。

 

(いやいや、そこで普通パーは出さないでしょ)

 

あの場面なら、パーを出せば負ける可能性があると思ってそれ以外を出すはずなのに。

 

「あはは、一君策に溺れたねー」

「う゛っ……」

 

日菜さんからの一言は、まさにトドメだった。

それでも本当のことだから何も言えない。

しかも、若宮さんは何もずるはしてない。

そもそも僕の姑息な心理戦を乗り越えて勝ったのだから、異論を唱えることなど不可能だし、する気もない。

 

「それでは、美竹さんはここでジブンたちを待っていてください」

「……はい」

 

こうして僕は、待機組になるのであった。

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