BanG Dream!~隣の天才~   作:TRcrant

270 / 302
第32話 駄々っ子

Pastel*Palettesと合同でライブを行う日程が決まった。

当初は8月中の開催から大幅にずれ込んで9月末になった。

この間もそうだが、Roseliaとのライブでもないんで、もはや時期にこだわる必要もないので、別にどうとも思わなかった。

そんなわけで、ライブに向けて、僕たちは動き始めた。

パスパレのほうでカバーする曲、僕たちがカバーする曲も決まり、ライブ開催に向けた準備は着々と進みつつあった。

そう、ある一つのことだけを除けば。

 

「いーやーだー!」

「ひ、ヒナさん落ち着いてくださいっ」

 

ここは、事務所のレッスンスタジオ。

いつもはCiRCLEなどのスタジオで僕たちは練習をしているのだが、今回はPastel*Palettesとの合同ライブということもあり、僕たちもここを使わせてもらうことになった。

別に、使用を禁じられているというわけではないが、こういう場所はパスパレなどのグループが使うべきだという僕たちの配慮などで、使うのを自粛していたのだ。

スタジオに空きがないときなどは、使わせてはもらっていたが、たいていはスタジオを借りている。

それはともかくとして。

今、僕の目の前で繰り広げられているのは、日菜がじたばたと駄々をこねているということだ。

……僕の腕を振り回して。

 

「一緒にやったほうがギュイーンってしてるんってするよ。だから一緒にやろうよ~っ」

「日菜ちゃん、これは仕事で遊びじゃないのよ」

 

もはやただの駄々っ子にしか見えない日菜の様子に、白鷺さんはため息交じりに注意するも、聞く耳を持たない。

 

「ひ、日菜ちゃん。気持ちは分かるけど、あまり我儘を言うのは……」

「むーっ! 彩ちゃんは一君と一緒にできるから、そんな風に言えるんだよっ!!」

 

なんだか修羅場になりかけているが、事の発端はすさまじいくらいに単純なものだ。

 

「まさか、バンドの編成を決めるので、こうなるとは、自分も予想していなかったです」

「………同感」

 

大和さんが苦笑しながら言ったとおりだ。

ここまで駄々をこねている原因は、特別編成のバンドメンバーだった。

子の合同ライブの目玉と言っても過言ではない特別編成のバンドによる演奏。

そのメンバーを決める時に、事件は起きたのだ。

当初、編成としてはパステル側(仮名)に丸山さん、僕、中井さん、若宮さん、大和さん。

ムングロ側に、森本さん、日菜、白鷺さん、啓介、田中君という形で暫定的ではあるが組み立てていた。

この編成に関しては双方ともに賛成だったので、このまま確定させるはずだった。

 

「えぇ~! あたし、一君と一緒に演奏したいっ」

 

と日菜が騒ぎ出し始めたのだ。

彼女の気持ちとしては理解できる。

恋人となって初めてのライブ、しかも特別編成ということもあれば、一緒の編成でライブをしたほうが彼女の言葉を借りるのであれば、”るんっ♪ とする”だろう。

僕としても、一緒に演奏したいという気持ちは山々だ。

だが、現実的には無理がありすぎるのだ。

もしそうすればパステル側はギターが2本になってしまい、ムングロ側がギターとボーカルを兼任することになる上に人数が少なくなる。

そういうこともあり、日菜には無理だと返したのだが、結果は知っての通り、駄々をこねられている状態だ。

 

(そろそろ練習を始めないとまずいんだよな)

 

楽曲のレベルはどちらも高めで、パスパレのメンバーは腰を入れた練習を求められる。

僕の計画では、既に練習を開始してそこそこのレベルにまで仕上げている段階だった。

だが、実際は練習すら始められていない。

 

(これ以上は流石にまずいな)

 

「わかった、わかりました!」

「ふぇ?」

 

僕がとるべき行動は一つしかなかった。

 

「編成を変える。日菜をこっち側にする」

「やったぁっ! ありがと、一君!」

 

日菜を僕たちのほうに移動させるという策しか。

 

「中井さん、向こう側でギターをやって。できる?」

「うん、頑張る」

 

続いて、中井さんをパステル側からムングロ側に移動させた。

これで人数の問題は解消できる。

 

「でも美竹君、裕美ちゃんがいないとベースがいなくなっちゃうよ」

「いや? いなくならないけど」

「……あぁっ! そういうことですね」

 

僕の言わんとすることが分かったのか、大和さんがなるほどと納得するが、丸山さんはわからなかったのか、首を傾げている。

 

「え? 麻弥ちゃん、どういうこと?」

「美竹君達、Moonlight Gloryの皆さんは、ギター以外の楽器を弾くことができるんです!」

「えっ! そうなの?」

 

大和さんのやや興奮気味な言葉に、信じられないと言わんばかりに聞いてくる丸山さんに僕は頷いて答える。

 

「厳密には、担当している楽器以外のレベルは、その楽器を弾いている人にはやや劣るけどね」

 

さすがにそれを極めている人と比べればやや劣りはするが、それでも演奏するのは可能だ。

そんなわけで、僕と中井さんが担当楽器を入れ替えることで、何とか丸く収まることができた。

 

「それじゃ、改めて練習頑張ろう」

『おー!』

 

丸山さんの号令に僕たちも続いて腕を振り上げる。

こうして、少々予定より遅れる形ではあるが、練習が幕を開けるのであった。

 

(今度、日菜にはちゃんと注意しておこう)

 

そんな僕の決意と共に。




紗夜ルートの最後らへんで出た日菜の駄々っ子がここでも登場です。

軽くプロットを立ててみましたが、今のペースでの投稿で、日菜ルート完結は5月ごろになります。
ちなみに、週4以下になった場合は6月ごろとなります。

続編については、時期を『ガルパにRASが実装された後』とさせていただきたいと思います。

それでは、また明日お合いましょう
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。