BanG Dream!~隣の天才~   作:TRcrant

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第74話 作曲

「―――以上が、僕の考えている計画」

 

僕が考えた今後の計画を聞いたみんなの表情は神妙な面持ちだった。

 

「さすがに、ちょっと無理がありすぎないか?」

「だから、随時修正を入れながら進めていくつもり」

 

成功すれば状況はよくなるが、失敗でもしたら悲惨な結果が待っている。

 

「とりあえず、僕たちのことはもちろんこの計画は、誰にも言わないようにして」

 

Pastel*Palettesのメンバーが、僕達が同じ事務所に所属していることを知られるのも極力避けたい。

理由は単純に、この計画のことを知られる可能性が減るからだ。

もし、ライブ前に僕たちとPastel*Palettesのメンバーが接触すれば、それだけこの計画を知られるリスクは増していく。

ただでさえ、メンバーの中に数名知り合いがいるんだ。

できる限り、そういったことは避けたいのだ。

 

「遅くなり申し訳ございません」

 

一通り話の区切りがついたところで、相原さんが申し訳なさそうな表情で入ってくる。

 

「俺では、連絡事項のほうを。まず、ライブの開催が決定いたしました」

『おぉー』

 

一体いつになれば、この感嘆の声を上げるのがなくなるのだろうか?

そう思ってはいるものの、やはりライブができるとなると、来るものがあるのだ。

 

「開催時期は約二週間後になります。会場の規模は」

 

(二週間後……Pastel*Palettesのお披露目ライブと同じ日程か)

 

僕たちのライブが資料で見たPastel*Palettesのお披露目ライブと同じ日でなければ、手放しで喜べたのだが。

そして、それはみんなも同じだったようで、日にちを聞いた瞬間、みんなの表情が一瞬こわばっていた。

 

(少しばかり、作戦を変えるか)

 

僕の計画を成功させるには、僕の予想通りの形に近づけるしかない。

その後、僕は軽く計画の変更を行いながら、相原さんの次回ライブの説明を聞くのであった。

 

 

 

 

 

「それじゃ、また明日」

「ああ、また明日」

 

いつものように、分かれ道で別れた僕は一人で自宅に戻る。

美竹家方面はみんなの家とは全く別の方角のため、どうやっても一人で帰る羽目になる。

別にそれが寂しいというわけではないが、なんだかなーと思っていたりもする。

 

「……とりあえず、電話だけでもしておくか」

 

僕は一人になったタイミングで、ある人に協力を頼もうとしていた。

僕はスマホを取り出すと、電話帳から目的の人物の番号に電話をかける。

その人は、数コールで電話に出た。

 

「あ、もしもし。私です。いつもご無沙汰しております。実は頼み合いことがありまして。……ええ。そうです」

 

僕は喜びに震えている電話口の人に、頼みたいことを告げる。

 

「ありがとうございます。それでは当日は、よろしくお願いします」

 

そして、快く引き受けてもらえたため、僕はお礼を言うと電話を切った。

 

(これで問題はない)

 

ライブが同じ日になった時にはびっくりしたが、やはり持つべきものは人脈だ。

僕の計画にそれほど手を加える必要がなくなったことは大きい。

 

(明日からは、ライブで演奏する楽曲の音合わせだし、頑張ろう)

 

いくら計画がうまくいっても、こちらの演奏で失敗すれば意味がなくなる。

計画通りに言っているのでいったん、パスパレのことは置いておくことにした。

そんなことを考えているといつの間にか自宅の玄関まで来ていたので、僕は自宅に入るのであった。

 

 

 

 

 

「Pastel*Palettesの楽曲か……ポップな曲調となると、やっぱり没曲か」

 

夕食を終え、お風呂に入って後は寝るだけとなった時、僕はPastel*Palettesの新曲について考えを巡らせていた。

倉田さんの要望は、明るくポップな感じの曲調だった。

僕たちが演奏しているのはどちらかというとクールな曲調がメインだ。

つまりは、僕たちが演奏するのに不適格な曲の集まりである没曲から引っ張り出すことになる。

 

「だとすると、大体この変かな?」

 

スマホを取り出して画面に表示された写真を見て、僕は楽曲決める。

その写真に映し出されているのは、僕が活けた花だった。

それぞれの花が自分を主張しており、明るく軽いイメージをもたらしたそれこそが、没曲のコンセプトだ。

 

(これを見ただけでメロディーが浮かぶんだから、我ながらすごいよなー)

 

他の人はどうかは知らないが、僕の作曲は少しだけ変わっている。

曲のコンセプトやメロディーでいいのが思い浮かんだら、花を活けていく。

その活けた花でメロディーをしたためておくのだ。

後は必要に応じて写真にとっておいた生け花の作品を見れば、メロディーが頭の中に入ってくるという寸法だ。

しかもこれならば、誰かに見られても意味が分からないので、曲を盗まれる心配もない。

さらに言えば、どう見ても生け花をしているようにしか見えないので、義父さんに怒られる心配もない。

そしてメロディーを思い出したら、次はそれを音にしていく。

それにはDTMを利用している。

パソコンを操作するだけで曲のメロディーが出来上がるのだから、なんとも便利な世の中になったものだ。

これが完成するのに約二日、そこから楽譜にしてもらったり、歌詞を入れてもらったりするのに約六日ほど。

一週間もあれば新曲が完成するのだ。

 

(さてと、ライブまでの間に、色々とやっておく必要もあるな)

 

Pastel*Palettesという名の爆弾を排除するためには、色々と準備が必要だ。

自分で宣言した以上、もう止めることはできない。

進むも地獄、退くも地獄であるならば進むしかない。

 

(CiRCLEのバイトがないから少し気が楽だ)

 

大きな変化というわけではないが、最近ではあるもののライブハウスCiRCLEのバイトを辞めた。

理由としては、家業との両立がやれなくなってしまったからだ。

バンド活動に加えてバイトに家業を同時にこなそうとするのは、さすがに無謀だ。

ということで、サポートミュージシャンの方だけを残してもらって、それ以外をやめさせてもらうことにしたのだ。

月島さんにはとても残念がられたが、義父さんとそういう約束をして、ここまで自由にさせてもらっているのだから仕方がないことでもあった。

 

「っと、もうこんな時間」

 

そんなことを考えながら作曲をしていたため、気づくといつもより少し遅い時間になっていた。

逆に、進捗状況は予想よりも大幅に良くなっていたけれど。

僕は慌ててデータを保存すると、眠りに就くのであった。

この日から、波乱続きの二週間になるとは僕ですら想像ができなかった。

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