波打ち際のオルタちゃん   作:ちゅーに菌

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どうもちゅーに菌or病魔です。




愛宕式更生プログラム

 

 数年前、とある施設内にて。

 

 閉鎖れたその場所は現在、けたたましいサイレンと共に赤いランプが回り、一目で異常自体だと理解出来る状態になっていた。

 

 更に各ブロックで火の手が上がり、辺りをより赤く染めている。炎に対してスプリンクラーが作動しているが、まるで効果があるようには見えなかった。

 

「クソッ……!? いったいなんなんだ!?」

 

 その中をここの施設の研究員たちが駆け、そのリーダー格の男が唾を飛ばしながら叫ぶ。その表情は恐怖と焦燥に歪んでいた。

 

 ほんの数分前まではいつもと変わらない状況だった。しかし、どこからか現れた決して消えずにただ燃え広がるだけの炎によってこのようになったのである。

 

 燎原の火、まさにその言葉の通りであろう。

 

「あれは……」

 

 すると研究員らは廊下の突き当たりの角から見知った顔の女性聖剣使いが出て来たことを確認し、安堵の表情を浮かべる。

 

 彼女はかなり名の知れた天然の聖剣使いであり、その実力は確かなものであった。

 

 よく見れば女性聖剣使いは息を荒げ、研究員らから見えない方向を睨みながら聖剣の切っ先を向けていたが、それに研究員らが気づくことはなく、声を掛けた。

 

「!? ダメこちらに来ては――」

 

 女性が意識をそちらに向け、そこまで呟いた瞬間、女性のいた区画ごと火柱を横に倒したような業火が伸びる。当然、その炎に飲み込まれた女性は聖剣ごと跡形もなく消失した。

 

 その光景に研究員らが絶句していると、火柱が現れた方から小学生か中学生程の年齢に見える少年が歩いて出て来たことに気がつく。

 

 少年は髪の色が青み掛かった黒髪であり、()()はなかったため、この施設の人間でないことは理解できた。

 

 また、少年の手には"白髪をした少年より遥かに小さな少女"が眠ったまま抱かれていることにも気がつく。

 

 

「よかった」

 

 

 少年は朗らかな笑みを浮かべながら研究員らに近寄る。そして、細く開かれた瞳を見開くと言葉を紡ぐ。

 

 

「あなたたちで最後だ」

 

 

 その直後、研究員らの視界が真っ赤に染まり、そこから先は何もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「ヒヒヒ――」

 

 

 最早、燃えていない場所を探す方が難しい程、辺り一面が燃え盛り、真っ赤に染められた地獄の中で小さな少女を抱く少年は笑う。

 

 そして、ボツリと呟いた。

 

 

「ジャンヌ……君の痛みも……嘆きも……怒りも……全部全部……燃やすからね」

 

 

 その言葉の直後、炎は更なる勢いと熱を増し、施設の壁や鉄骨ごと何もかもを燃やし、融解させ、塵へと変わっていった。

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?」

 

 何もかもが燃え、黒か赤い色に変わった施設跡で、少年は首を傾げていた。

 

 その目線の先にはこの施設だった場所で唯一燃えずに残った成人男性が入る程の大きさのカプセルがひとつだけ残っていることに気がつく。

 

 少年が近寄ってみるとカプセルの足元に結界系の神器の残骸が転がっており、そこまでして厳重に守り通したかったモノであったということがわかる。

 

 不思議な様子で少年はカプセルについた黒い煤を手で払い、中身を確認する。

 

 すると中には"黒髪と白髪が入り交じった頭髪をした男性"が眠るように浮かんでいた。よく出来てはいるが、一目で少年はそれを命が始めから入っていないただの肉々しい人形であることに気がつく。

 

 そして、カプセルに張り付いていたプレートを見付け、それを読み上げる。

 

「"シグルド 生体データ用サンプルクローン"……?」

 

 少年は言葉の意味がよくわからず首を傾げる。しかし、少なくともかなり整った顔立ちや、スタイルをしており、人間としてはかなり上等に見えることと、単純に魂のない脱け殻としての理由価値があるのではないかと思い描いた。

 

 そして、唇に指を当てながら何か思い付いたかのように笑顔になった。

 

 

 

人型の身体(いれもの)欲しがってたし、"スルトさん"にでもあげるか」 

 

 

 

 それだけ呟くと、一陣の風が吹いた後、少年の姿もカプセルも跡形もなく消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハムちゃん達の散歩中に聖剣を拾うということがあったため、少しだけ早く散歩を切り上げて家に帰った。

 

 天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)はエクスカリバーの中でもかなり使いやすい聖剣のため、かぐやちゃんにあげたら喜ばれるだろうか。ジャンヌは聖剣嫌いだからな。

 

「帰ったぞ」

 

「お帰りなさ――」

 

 玄関扉を開けるとすぐにジャンヌが駆け寄って来た。料理中だったのか、エプロン姿であり大変グッと来るが顔には出さない。

 

 ちなみにジャンヌさんとジャンヌちゃんとヲ級ちゃんは一度教会の方に顔を出すついでに夜までお出掛けしているので家に人間はジャンヌしか居ない。

 

 しかし、そんなジャンヌの視線は何故か俺の手に釘付けであった。

 

 …………ああ、そう言えば術で隠してたが、"頭"持ったままだったな。

 

「ごめんごめん、人間の頭部(コレ)は捨てて来る」

 

 そう言って海にでも捨てて来ようと翼を出した瞬間、ジャンヌは口を開いた。

 

 

 

「ソイツ……"フリード"じゃない!?」

 

 

 

 どうやらジャンヌの知り合いだったようだ。

 

 え? マジか。じゃあ、蘇生させるわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 "シグルド機関"

 

 かつての教会の戦士育成機関の一つであり、英雄シグルドの血を引く者の中から、魔帝剣グラムを扱える真の英雄シグルドの末裔を生み出すことが目的であった。

 

 しかし、ジークフリートという完成形が誕生し長年の宿願が達成されたこともあり、子孫達がどこまで出来るのかを試す機関へと方針を転換したのである。

 

 特に宿願成就の後は倫理的に問題のある行為も数多く行われ、他の聖剣や魔剣の因子を確実に持っていたであろう、歴史の英雄のクローンの作製にも手を出していた。

 

 そこで研究者の戯れによって産まれたのが、ジャンヌ及びジャンヌちゃんだ。故に二人とも赤子から発達の経過を得ずに産み出されたため、外見年齢よりも実年齢がかなり若い。まあ、幸いにも()()()()時にジャンヌちゃんは培養槽にいる状態で発見したので、機関については知らないも同然だということだろう。

 

 俺が殺した青年――フリード・セルゼン及び、その妹のリント・セルゼンはその機関で行われた実験で産まれた試験管ベビーであり、ジャンヌの知り合いだったとのことである。機関の出身者の証である白髪が真実だと告げていた。

 

 まあ、そんなこんながあったにせよ――。

 

 

 

「いやー、まさか。姉御の恩人だったなんて思いもしやせんでしたわ。失敬失敬、なんというか流石っスね。ボクちん死んだことすらわかりゃしやせんした」

 

 

 

 無茶苦茶キャラ立ってるなこの人……。

 

 蘇生して、ジャンヌが少し対応したらすぐにこれである。ある意味、大物かも知れない。

 

 ちなみにジャンヌは元々の性格のためか、シグルド機関では子供たちを束ねており、ぶっきらぼうながら常に気にかけつつ、最後には自身にほぼ全ての監視の目や警備を向けている間にフリードくんとその妹を含む子供たちを脱出させたらしい。聖女かな?

 

「あのー、それでわたくしめの聖剣ちゃんを出来れば返して欲しくてですね……」

 

「教会から奪われた奴だよなこの聖剣(コレ)?」

 

「へい、その通りでございますわ」

 

 はーん、そうか。やっぱり奪われた奴がここにあるのか。

 

「じゃあ、返すね」

 

「ありがとうごさいやす!」

 

 俺はフリードくんに天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)を返した。

 

「待て待て待て待て!」

 

 すると何故かフリードくんとの間にジャンヌが割り込んで来て聖剣を取り上げる。

 

 フリードくんと二人で目を丸くしながらジャンヌを見ていると、頭を抱えた様子で口を開いた。

 

「どうして今の会話で何も疑問に持たず聖剣を返したのよ……?」

 

「え? だって俺、教会の天使とか人間の個人とかはそんなに嫌いじゃないけど、教会自体は大っ嫌いだよ? だってシグルド機関でジャンヌを酷い目に会わせたし」

 

 もちろん、個人なのでジャンヌさんとか四大天使の方々とかは別である。彼女らがシグルド機関や他の施設のようなことをするわけもない。しかし、特に闇に生きる人間という生き物は個ではなく、群れで見た瞬間に、とてつもなくおぞましく愚劣な生き物へと変貌する。

 

 ましてや、教会はそれを悪と自覚せず、正義や教義の名の元にやっているため、一番質が悪い。故に何も知らず、知ろうともせずに働いている"教会の聖剣使いを見掛ければ俺が直々に殺してしまう"かもしれないな。

 

 まあ、シグルド機関は()が全部燃やしたからいいけど。その時にジャンヌちゃんを回収して、スルトさんの依り代見付けたんだっけな。懐かしいなあ、もう何年前だろうか?

 

「だから教会の利益になるようなことは極力したくないなぁ……」

 

「さっすが、姉御の旦那! 話がわかる!」

 

 この通りフリードくんも大絶賛である。ならば別にいいであろ――。

 

「よくない」

 

「すみませんっ!」

 

 ジャンヌにエクスカリバーの刃の腹で頭を殴られた。

 

「全く……それは私の復讐であってあなたには――」

 

「家族の痛みは俺の痛みだ」

 

 俺はジャンヌの言葉を遮ってそう言葉を吐き、更に続ける。

 

「俺にとっては誰が傷つこうが死のうが知ったことじゃない。生きてなければ俺が生活する上で面倒だっていうなら蘇生させるし、問題の解決の手伝いもする。だが、死んでいることでどこかの誰かが得をするような奴はそのまま死なせておく。だから俺にとっては家族が全てだ」

 

 だから俺にとっては、家族と友人だけが大切なものだ。他の有象無象を全て焼き尽くしてでも絶対に守り、共に痛みを嘆く。それ以上にこの力を使う理由が必要だろうか。

 

「それに俺はジャンヌとなら地獄の業火にだって焼かれても構わない」

 

 …………言ってから思ったが、俺の炎が地獄の炎より温度が低いとは到底思えないのであまり意味のない宣言だったな。

 

「そ、そう……」

 

 するとジャンヌは何故か顔を赤くして、ばつが悪そうに目線を反らす。

 

 ジャンヌと話している間、何故か家族の下り辺りからフリードくんは明るい様子が落ち着いて静になり、苦虫を噛み潰したような表情を今もしていた。何かわからないが、家族絡みであるのかも知れないな。

 

「まあ、いいわ……それよりリントはどうしたのよ?」

 

 話を変えたジャンヌ。しかし、それを言われた瞬間、フリードくんはピシリと固まった。

 

 そして、暫くして頭をポリポリと掻いてから動き出す。

 

「えーと…………てへっ☆」

 

「よし、アンタの性格から考えてだいたいの事情は察したわ」

 

 ジャンヌは最小限の動作と足の運びでフリードくんを床にねじ伏せた。

 

「止めてっ! 私に乱暴する気でしょう!?」

 

「ちょっとマモル」

 

「はい」

 

「コイツの性根を叩き直すから()()()なしで鍛えてやりましょう」

 

「へ……?」

 

 フリードくんのすっとんきょうな声が響いた。

 

 え? 別にいいけど……俺との修行なんかでそうそう鍛え直せるものなのだろうか。それは普通の他の人がするような修行よりは少しハードかもしれないとは思うが……。

 

「あら、随分楽しそうなことをしていますね?」

 

 するとひょっこりと冥府のメイド――エーリスさんが現れる。

 

 彼女、余程の冥府が暇なのか、何故かこの前家に来てからずっと滞在しているのである。まあ、これまでの食客とは違い、普通に有能なメイドであるエーリスさんのお陰でジャンヌの負担がかなり減ったので願ったり叶ったりなのだがな。

 

「マモル、どこかいく?」

 

「Aaaaa――?」

 

 更にオーフィスさんとティアマトさんも現れ、何やら連れて行って欲しそうな目でこちらを見ていた。

 

 うーん、折角だから――。

 

 ()でやるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでセラフィックゲート(ここ)に来たわけね?」

 

 イセリアさんのお部屋(セラフィックゲート最深部)に来た訳を説明しつつ場所を化してくれないかと頼んだ。

 

「もちろん、いいわよ! というか面白そうね、私も混ぜなさい!」

 

 セラフィックゲートの主からの承諾も得たので、イセリアさんが暴れても原型を留めているこのエリアでフリードくんを鍛えることにした。

 

 ジャンヌは紐で縛っていたフリードくんの拘束を解き、聖剣を返すと口を開いた。

 

「いいですか、フリード? 私があれほど憎かった天使や教会の連中、ついでに悪魔と関わりながらも普通に過ごせている理由を教えてあげましょう」

 

 その言葉の直後、ジャンヌの目からスッとハイライトが消え、ドロリとして黒々と濁ったものが見えた。

 

「そんなの……そんな小さいことッ……どうでもよくなったからよ!?」

 

 フリードくんに順番待ちするように俺、ティアマトさん、オーフィスさん、イセリアさん、エーリスさんの順で行儀よく並んでいた。

 

 という訳でまず俺からだ。とりあえず"10回交代"である。

 

「どうしてこうなった……」

 

 聖剣を握りながら呆然とするフリードくん。気のせいか、その足は若干震えているような気がしないでもない。

 

 俺は異空間から咎人の剣 神を斬獲せし者を抜き出して構えた。

 

「なにそれこわい」

 

 咎人の剣を見ながらそう言葉を漏らすフリードくん。

 

「いやいやいやいや……あんなの"グラム"がおもちゃじゃないですかやだー!」

 

「行くぞ?」

 

 その言葉と共に天狗の神通力のひとつ、"縮地"でフリードくんの背後に現れ、脳天から叩き斬った。

 

 当然、遅れて血渋きが吹き出し、綺麗に真っ二つになった身体はそれぞれ若干異なったタイミングで地面に崩れ落ちる。

 

「まず、"1回"だな」

 

 うんうん、10回交代だからな。さあ、蘇生させてやろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フリードくんの特訓は以外にもとてもバランスが良いものであった。何せ担当が被っていないからである。

 

 俺は剣術を担当。ティアマトさんは泥から即席で黒い生き物を大量に作って集団戦を担当。オーフィスさんは竜らしい圧倒的な重さと速さによる全く技量を持たない一撃を担当。イセリアさんは魔法と光力による面攻撃を担当。エーリスさんは……なんなんだろうな。

 

 ジャンヌはそれらをひきつった表情で眺めている。

 

 

 まずはティアマトさん。

 

 

『Aaaaa――』

 

「じょ、冗談じゃ――アア゛!?」

 

 ティアマトさんの黒い生物がフリードくんを取り囲み、肢体の関節を本来動かない方向に曲げまくった後、飽きたのか首を引きちぎって殺していた。

 

「ほい、蘇生ね」

 

 指を鳴らし、フリードくんの死体に火を灯すと瞬時に甦る。そして、またティアマトさんの黒い生物が殺到し、フリードくんは聖剣で応戦する。

 

 約30秒後、フリードくんの聖剣が、中々硬そうなティアマトさんの黒い生物の攻撃を受け過ぎてへし折れたため、天閃の能力が止まり、そこに雪崩れ込んだ槍のような数多の腕に全身を串刺しにされて殺された。

 

「ほいほい、蘇生と聖剣の鍛え直しだね」

 

 フリードくんを蘇生させ、ついでに折れたラピッドリィに火を入れて瞬時に鍛え直す。ほぼ同時に完了し、蘇生したフリードくんはラピッドリィを拾い、再び無尽蔵に湧く黒い生物の群れと対峙した。

 

 

 次にオーフィスさん。

 

 

「いく」

 

「う――」

 

 とんでもない速度で接近したオーフィスさんは正面から聖剣ごとフリードくんを殴る。あまりもの破壊力故、フリードくんは原型を留めず血染みに変わった。聖剣もキラキラと粉状になって宙を漂っている。

 

「次」

 

 俺は指を鳴らしてフリードくんを蘇生させ、聖剣に火を入れて打ち直した。

 

 ちなみに火之迦具土神は当たり前だが、火の神であり、鍛冶の神としても崇められいる。そのため、鍛冶も得意だったりするのである。ジャンヌの剣と槍を打ったのも俺だしな。

 

 

 次にイセリアさん。

 

 

「我、久遠の絆断たんと欲すれば、言の葉は降魔の剣と化し汝を討つだろう」

 

「オイオイオイオイ……!?」

 

 何故か最初からクライマックス(発狂モード)で背後に女神のようなスタンド的なものが見えるイセリアさん。

 

 空には魔法によって生成された巨大な剣が回転し、フリードくんに狙いを定めていた。

 

「ファイナルチェリオ!」

 

 こんなの生きてるわけないやん。俺でも反らすのが精一杯だぞ。

 

「ガッツ」

 

 指を鳴らしてフリードくんを蘇生させ、木っ端微塵になった聖剣を打ち直した。

 

「うふふ、蹂躙はお好き?」

 

 生き返ったフリードくんは空を覆う程の光の槍を目にする。密度が濃すぎて最早光の空に見え、一本一本が魔王を一撃で浄化するような光力と威力を秘めたものである。

 

「ちょ……」

 

 なにか言う前にイセリアさんの光の槍はフリードくんを襲った。

 

「ガッツ」

 

 

 次にエーリスさん。

 

「一緒に遊びましょう……」

 

 ホワイトダスターという名前であるこぼした牛乳を拭いて放置した雑巾を持ちながら、ペイルフレイムなる青白い炎を5匹連れていた。

 

 ペイルフレイムから怒濤の魔法が嵐のように放たれ、フリードくんを追い立てつつ、エーリスさん自身は奇っ怪な行動をとっている。

 

「失礼いたします」

 

「ひぎゅっ!?」

 

 はたきで叩いたり、モップで掃除したり、お茶をぶっかけたりである。その全てで当たればフリードくんが死ぬのだからさながらファイナル・デスティネーションだ。

 

「ユニオン・プラム」

 

 とりあえず蘇生させてあげよう。

 

 

 最後に俺に戻って一周だ。

 

 

「しょ、正直……旦那が一番マシですぜ……」

 

「あ、やっぱり?」

 

 他の方々に比べたら全然優しいものな。

 

 俺は咎人の剣に炎を纏わせ、その場で横一文字に振るった。

 

「うぉっ!?」

 

 フリードくんは鍛えられ始めた反射神経で姿勢を倒す。

 

 その瞬間、フリードくんの鼻先を炎を纏った斬撃が通り過ぎ、対象を斬り損ねた攻撃はイセリアさんのお部屋の壁にぶち当たり、爆炎を上げながら壁に斬撃による線を刻んだ。

 

「ヤバ過ぎ――」

 

「よそ見しないの」

 

「がはっ!?」

 

 斬撃を放ち、フリードくんが避けた直後に縮地でフリードくんの背後に転移していた俺は背中から咎人の剣で刺し貫く。

 

 案外、これだけではまだ生きているので更に咎人の剣に炎を灯すと、瞬く間にフリードくんは燃え盛り、塵へと変わる。

 

 それを確認してから指を鳴らし、フリードくんを蘇生させた。

 

「ほら……俺の番は後、9回しかないんだから……もっともっと楽しもうよ?」

 

 そう呟くと順番をお待ちの他の方々は小さく笑い、楽しそうに目を輝かせていた。死んだ魚のような目をしたオーフィスさんですら器用にもそのままキラキラした目をしている。

 

 見ての通り、皆楽しんでいるし、フリードくんも修行になるからとてもいい環境だな。羨ましいぐらいだ。

 

 

 

「………………こ、こ、コイツら全員ぶっちぎりでイカれてやがる……!?」

 

 

 

 俺は乾いた声をあげるフリードくんに対して、再び咎人の剣を向けると今度は歩いてゆっくりと接近する。

 

 

「誰がここまでやれといった……」

 

 

 そんな中、呆然としたジャンヌの呟きが聞こえた気がした。

 

 

 

 







 世界最強クラスの者たちとの修行を意とも容易くつけるコネクションと行動力の持ち主にして、結局のところは楽しくてやっている(エンジョイ&エキサイティング)人間のクズ。




 あ、フリードくんは原作の没ルートのように仲間になりますのでご了承ください。なのでちょっと性格を矯正中です。次回は学校に聖剣使いが来る回となります。




~葵くんと愉快な仲間たちのスタンス~

葵くん
→死生観が完全に狂っている上、全く空気が読めない、ついでにあんまり他者の話も聞かないやべー奴

ティアマトさん
→そもそも生物としての枠組みが違うので人間は邪魔なら潰される虫程度の扱いをしている竜

オーフィスさん
→葵くんを元に社会の常識を学んでしまった可哀想な竜

イセリアさん
→バトルジャンキーにして戦争屋にして小心者の実力者というよくわからないやべー天使

エーリスさん
→常識は心得ていながら遊びで色々なことをする悪魔より悪魔なやべー犬。

ジャンヌ
→常識人

ジャンヌさん
→世界を海水で満たすのです……

ジャンヌちゃん
→常識人
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