作者の設定ミスで微妙にこれまでの話を少しだけ修正しております、すみません。あれですね、八重垣さんが殺られたのって作中10年ぐらい前の話だったんですね。原作の八重垣さんがイリナちゃんのことを知らなかったので勝手に産まれる前の話だと思ってましたわ(無知を晒す)
(ヤバイわ……これはヤバ過ぎる……)
学校終わりの放課後。オカルト研究部から私とマモルにも内容を知って貰った方がいいということで、いつもの部室に来たのだけれど、私は近年稀に見る緊急事態に陥っていた。
(ふざけんなっての!? 誰が来るか知らされてたら絶対マモルを行かせなかったわ!?)
まあ、マモルと接する上で"幾つか地雷がある"ことをリアスに知らせてなかった私の落ち度と考える他ない。
私は対面のソファーに座っている二人の女性を眺めた。
(マモル相手に"教会の聖剣使い"は闘牛の前に闘牛士立たせるようなもんでしょうが!?)
それは十字架を胸に下げ、白いローブを着込み、聖剣を持った教会の聖剣使いだったのだから。
そもそもマモルは基本的にマモル自身のことでは何をされてもほぼ怒らず、非常に穏和な性格よ。家族や友人に関しても少し傷つけられたり、笑いものにされたぐらいでは怒るようなこともない。割りと節度はあるのよ。
でも家族や友人が一線を越える程の身体や心の痛みを受けていると判断した場合は別。マモルは一瞬で修羅――いえ、燎原の火そのものになる。
教会の聖剣使いがマモルにとって地雷な理由は"私"だ。私がシグルド機関の出で、それを誰よりもマモルが知り、真摯に受け止めてくれているからに他ならない。
数多の犠牲の上に成り立ったか、何も知らず、知ろうともせず、盲目に神に使えるだけの聖剣使い共。ええ、そうね……私が殺してやりたいぐらいだもの。だからマモルは殺そうとする。他でもない私のために。
だからこそ、ここでマモルに教会の聖剣使いを殺させるわけにはいかない。彼はきっと本気で私と地獄に落ちてもいいと思っているのだから。
そんなことを考えながらリアスと聖剣使いたちとの会話を静観し、聖剣が奪われたことや、下らない覚悟を聞かされた後、髪に緑のメッシュが入った方の聖剣使い――ゼノヴィアはマモルに視線を向けて口を開いた。
(頼むからマモルの神経を逆撫でするようなことは――)
「聖女マルタ様の転生体の子に会えるとは光栄ですが、まさか悪魔側に与しているとは思いませんでしたね。どうですか? 今からでも
(死ね!)
何で地雷源でタップダンス決めてんのよコイツは!?
私が心のなかで毒突く中、マモルは会話の最初からずっと笑顔のまま黙っていたが、初めて口を開いた。
「ははは、別に悪魔に与している訳ではありませんよ。悪魔の友人もいるだけです。それと生憎、日本人は信仰には疎くてね。生活の中に宗教が根差しているもので、あまり一般の人間が何かを崇め奉ることはしないんですよ。12月24日にクリスマスを祝い、元旦に初詣のために神社に行く国民性は伊達ではないですよ?」
「そうですか……それは非常に残念だ」
とても良い切り返しで、ゼノヴィアの言葉を返したが、薄く開かれたマモルの瞳は一切笑っていなかった。絶対内心、腸煮え繰り返ってるわよあれ……。
それから直ぐに聖剣使いたちは帰ることになり、席を立ち、出口へと向かった。後は壁際にいるグレモリー眷属たちの横を通り過ぎるだけね。
(ふぅ……どうにかなっ――)
「もしやと思ったが、"魔女"アーシア・アルジェントか? まさか、この地で会おうとは」
(アンタ何してくれてんのよふざけんじゃないわよ!?)
マズい……アーシアは"私の親しい友人"だ。彼女が目の前で脅かされればマモルが動かない道理がない。
何か現在の状況を打破する方法は無いかと考えたけれど、全く思い付かないまま時が流れる。
「そうか。それならば、いますぐ私たちに斬られるといい。いまなら神の名の下に断罪しよう。罪深くとも、我らの神ならば救いの手を差し伸べてくださるはずだ」
(よし、コイツ殺そう)
私は怒り過ぎて逆に冷静になり、アーシアの前で戯言を抜かす、盲信者を縊り殺すために行動しようとし――。
「ヒヒヒ――!」
マモルの部屋に響き渡る程大きな笑い声と、隣で感じる熱の高まりによって、水を掛けられたように冷静になりそちらを見た。部屋にいる者は全て視線を向けている。
「神、神、救い、罪。要は殺したいだけなのにそんなに言葉を飾ることもないだろ?」
マモルはソファーから立ち上がると、歩いて聖剣使い達の前まで行く。その様子と言葉が豹変したため、聖剣使い達は驚いているわね。
「正直に言うとな。聖書は大好きだ。あれは読み物としても実に面白く、考えさせられることも多い。好きな一節だって幾つか暗記して覚えている」
マモルはそのまま言葉を続けた。
「例えばマタイによる福音書7章13節から14節。狭い門から入りなさい。滅びに通じる門は広く、その道も広々として、そこから入る者が多い。しかし、命に通じる門ははんと狭く、その道も細いことか。そして、それを見いだす者は少ない」
マモルが聖書の一節を読み上げている最中、この部室の悪魔たちが頭を押さえてダメージを受けていたので、知らない者でも聖書の引用だとわかることでしょう。
「まさに人生の教訓だな。俺も学ぶことが沢山ある」
「なら――」
「だが――」
マモルはゼノヴィアの言葉を遮ると、目を見開き、冷えきった瞳を向けた。
その様子にゼノヴィアは驚き、一歩足を引く。
「読み手は大嫌いだ。お前らみたいな聖書の教えを己のいいように曲解した奴らは特にな」
マモルはそのまま会話を続ける。
「お前らがどんな生まれと育ちだかは知らんが、少なくともジャンヌやアルジェントさん……それとよくは知らないが木場くんもか、彼らに比べれば平坦で天国みたいなものだろうさ」
マモルは三人に目を向けながらそう言った。
「なのに何様のつもりで他者を決め付け、心まで踏みにじっている? それも聖書の一節にあったか? 人間も悪魔も天使も堕天使も神も仏も関係ない……何も知らず、知ろうともせず、考えもしない――盲信者風情が調子に乗るなよ……?」
「なんだと……」
「流石に聞き捨てならないわね……」
ゼノヴィアだけでなく、もう片方のツインテールの聖剣使い――紫藤イリナも怪訝な表情を浮かべる。
しかし、最早マモルは止まる様子はない。
「そうだいいものを見せてやろう……」
マモルは異空間に手を突っ込み、勢いよくソレを引き抜いた。
「それは……失われた!?」
「ウソっ!? なんでこんなところに!?」
聖剣使いだけでなく、グレモリー眷属も目を見開いて驚いている。特に木場――もとい祐斗の驚きようは見ていて面白いほどね。
マモルは引き抜いた聖剣――"
「ここまで出向いて茶も飲まないで帰るというのも勿体ないだろう。少し、遊んで行かないか?」
◆◇◆◇◆◇
"
エクスカリバーから生み出された聖剣の1つで、伝説の魔物・上位神滅具の攻撃・魔法・物理法則といった様々な存在を意のままに操ることができる。7本のエクスカリバーの中でも最強とされ、長年行方不明とされていたエクスカリバーね。
そんなものが突然、目の前に現れたら教会の者なら誰だって血眼になるでしょう。
「さて、ゲームの内容を説明しよう」
私たちは球技大会の練習場に集まり、教会の聖剣使いのゼノヴィアとイリナ――そして何故かグレモリー眷属の祐斗もマモルを囲むように立っていた。
祐斗は教会の聖剣使い達の"先輩"だと語り、自身も参加したいとマモルに告げると、マモルは二つ返事でいいと答えたので参加している。
「ルールは簡単。俺の手からルーラーを落とすか、俺を殺せばそれをした奴にルーラーをあげよう。その代わり、俺も本気で相手をするから死んでも恨みっこ無しだ」
「それだけか……?」
ゼノヴィアはあまりの好条件に逆に聞き返していた。まあ、命程度で聖剣を拝領出来るなら安いものよね。特に教会の連中にとっては。
しかし、マモルは逆に捉えたようで少し考え込んでから口を開いた。
「じゃあ、俺は1分につき、1回しか攻撃及び反撃をしないことにしよう。そっちの方が長く楽しめるしな」
「は……?」
何故か更に縛り始めたことにゼノヴィアは声をあげた。マモルの奴、手加減は失礼らしいけれど、ゲームの縛りプレイとかは大好きですものねぇ。
「もちろん、あげたルーラーはどこに持って帰ろうが、その場で破壊しようが好きにして構わない。木場くん、それでいいな?」
「ああ……構わないよ」
祐斗が魔剣創造で両手に剣を造り出したことを皮切りに、教会の聖剣使い達はゼノヴィアが
「な、なあ……マモルは大丈夫なのか……?」
するとイッセーがそう話し掛けてきた。他の眷属も朱乃以外は不安そうな様子で私を見て来ている。
そういや、アンタらマモルが剣を振るうの一度も見てなかったわね……。
「大丈夫ですよ。というか、アイツが私の剣の師ですから」
「へー……え? マジで!?」
まあ、見てなさいとグレモリー眷属を嗜めながら私は意識をマモルに戻す。
「じゃあ、楽しもう」
その言葉が開始の合図になり、剣士たちが殺到した。
始めにマモルの元に届いたのは私が修行をつけている祐斗だった。ま、当然ですね。
彼の圧倒的な速さに教会の聖剣使い達は驚いているようだ。まあ、仮に今の祐斗と戦うことになっていたらアンタら二人相手で丁度いいぐらいじゃないかしら? まあ、祐斗が冷静な時に限りますけれど。
祐斗の魔剣とマモルの支配の聖剣が打ち合う。正確にはマモルが片手で持った支配の聖剣を盾にして両手にそれぞれ握られた魔剣による怒濤の攻撃を受けて流している。
左からの攻撃は右へ打ち払い、右からの攻撃は左に打ち払う。そして、両サイドから同時に行われる攻撃は少しだけ身を退いて避ける。マモルがしていることはただそれだけのことだが、それを片手の支配の聖剣のみで捌き切っていた。
多分、祐斗は力ではマモルに敵いようがないと判断し、手数で攻めているのね。悪くないわ。
「すごい……」
「ああ……」
出遅れた教会の聖剣使い達はマモルと祐斗の間で繰り広げられる純粋な技量による美しい殺陣に声を漏らす。
…………反撃を入れてないマモルって違和感しかないわね。多分、本気ならもう数回も死んでるわよ祐斗。
「剣が本当の武器……かいっ!?」
「ヒヒヒ、勘違いするな。剣も出来るだけだ」
そして、丁度1分の時間が経過した。
「な……!?」
次の瞬間、支配の聖剣に打ち付けた祐斗の両手の魔剣が
「な、何が起きたの……?」
リアスがそう呟いていたため、私は口を開いた。
「
結果、攻撃したのに魔剣が弾けたってワケ。ホント、あんなの鬼に金棒よねぇ……。元々マモルは天狗の神通力のプロフェッショナルだから、術に近い特性の方が相性いいんですもの。
「どうした? 俺はまだルーラーの真価を1%も見せちゃいないぞ?」
マモルはそう飛ばされた祐斗に問い掛けた後、静観していた二人の聖剣使いに声を掛ける。
「おいで」
それに答えるように教会の聖剣使い達はマモルに飛び掛かった。
大剣であるゼノヴィアの
「な……!?」
「うそっ!?」
真上から振り下ろされた能力を発動している破壊の聖剣を支配の聖剣の刃に沿うように斜めに受け止めながら、力を受け流して最小限の動作で弾く。それに加えて剣先が蛇のようにしなり、枝分かれしながら襲い来る擬態の聖剣の剣先を的確に打ち払うことを同時にやってのけるマモル。
たった一人。それも全く支配の聖剣の能力を用いずに他のエクスカリバーを十全に振るう二人の聖剣使いを防戦のみで圧倒している。
ほんと、アイツはなんでも出来るんだから……。
そして、開始してから2分の時が来た。
その瞬間、破壊の聖剣の能力が止まり、擬態の聖剣の枝分かれしていた剣先がバックに入れていたイヤホンコードのように絡まった。支配の聖剣によって能力を止めたのだろう。
それによって僅かに作られたマモルとってあまりに長過ぎる一瞬の時間で、ゼノヴィアの懐に入り込むとマモルは腹に膝を突き立てた。
「がぁっ!?」
「ゼノヴィア!?」
ゼノヴィアの身体が高く浮き上がり、地面に沈み、ゼノヴィアが気絶したということがわかった。遅れて破壊の聖剣が地面に叩き付けられる音が響き渡る。
蹴りしか使ってないわねアイツ……。
「へぇ……」
制御の戻った擬態の聖剣を構え、イリナは切っ先をマモルに向ける。マモルは何を思ったか、声を溢し、小さく笑っていた。
「一撃で意識を刈り取れるぐらいは強く蹴ったんだがね」
次の瞬間、マモルの頭上に3m以上ある巨大な魔剣を持った祐斗が強襲してきた。
「はぁぁぁぁ!」
「なるほど……これは反らせないな」
当然マモルはガードしたが、真っ直ぐに支配の聖剣だけを狙った祐斗の魔剣は氷の属性を帯びており、触れた瞬間に支配の聖剣に氷が接合して固定する。そして、魔剣全体の重みと悪魔の腕力で支配の聖剣を捩じ伏せようとしていた。
「でも――」
マモルは心底楽しそうに口を歪めた。
「半神との力比べは少し部が悪いぞ?」
「ぐっ!?」
マモルがこの試合でこれまで使わなかったもう片方の手を初めて使い、支配の聖剣の切っ先を素手で握り締める。そして、そのまま力を込めて逆に祐斗を押さえ込み始めた。
直ぐに拮抗し、更に形勢はマモルに傾く。そして、その瞬間に3分が経つ。
「いい
マモルの腕力に魔剣は砕け散り、祐斗の超近距離に迫ったマモルのボディーブローが炸裂し、祐斗はそのまま倒れ伏した。
「さて……じゃあ、後は君だけ。遊びは終わりにしようか」
大幅なハンデを付けたにも関わらず、たったの3分でゼノヴィアと祐斗を無力化したマモルは最後に残った。イリナに目を向けた。
"遊び"だからこそ、マモルは誰も殺さなかったのかしら? マモルにしては非常に穏便な様子に逆に不信感を抱いた。
待って……"終わり"ってことはッ!
「確か……"紫藤イリナ"と言ったか」
マモルがその言葉を紡いだ時、私の中でピースがはまる。
「ふーん、"紫藤"……"紫藤"ねぇ……」
マモルが最初から何をしようとしていたのか、いったい何に怒りの矛先が向いていたのか、ようやく理解した。
「父親は"紫藤トウジ"か?」
「どうしてパパの名前……」
時間を考えると丁度、4分が過ぎ去ろうともしていた。
(マズい……!?)
私は剣を引きずり出しながらマモルに向かって駆け出す。
「ああ、それはよかった――」
しかし、既にマモルは支配の聖剣を構え、踏み込む姿勢に入っている。
ダメ……ここからじゃ既に間に合わない……!
「たった今、殺す理由ができたところだ」
マモルはイリナの眼前に踏み込み、支配の聖剣を振り下ろした。
◆◇◆◇◆◇
「何をしているんですか先輩……?」
葵の支配の聖剣はイリナの眼前で破壊の聖剣を構えた者によって受け止められていた。
他でもない、葵自身が驚いた表情を浮かべており、その者の名を呟く。
「かぐやちゃん……」
それは一学年下の白髪の女子生徒――"八重垣かぐや"だった。
「こっそり見ていました。途中までは見ていて凄くよかったですけど、今何をしようとしました……?」
「…………俺は」
「少し頭を冷やしてください」
「………………むぅ」
葵は小さく唸ると支配の聖剣を引き、ポツリと呟く。
「悪かった」
葵は支配の聖剣を異空間に戻すと、その場から歩いて居なくなる。グレモリー眷属だけでなく、ジャンヌもその背中を見ていた。
かぐやは後ろを振り向き、女の子らしい朗らかな笑みを浮かべてイリナに語り掛ける。
「すみません。先輩は良い方なのですが、少し熱が入りやすいところがあるので」
「そ……そうなの……大変ね……」
葵の殺意と気迫に圧倒されていたイリナはそう返すことが精一杯であった。
その後、かぐやは拾って使用した破壊の聖剣を返却し、イリナは気絶した相方を連れながら駒王学園から去って行った。
◆◇◆◇◆◇
「まあ、こうなりますよね……」
かぐやはグレモリー眷属に任意同行で捕まり、オカルト研究部の部室に連れて来られていた。
リアス・グレモリーは、八重垣かぐやが愛宕葵や愛宕ジャンヌと同様に火之迦具土神が直々にサーゼクスに頼み込んで駒王学園に入学し、また半悪魔であるということは知っていた。
触らぬ神に祟りなし。それ故、これまで特に言及することもなかったのだが、少なくとも聖剣因子を持っている悪魔であったということで流石に黙認出来なかったのである。
また、今の部室内には珍しく葵の側にいない状態のジャンヌがいた。
「いいのよアイツは少し放っておけば。教会の連中と違って悪いことしてる自覚はあるんですもの」
理由についてはそう漏らしており、いつもより多少不機嫌な様子である。
「それであなたは何なのかしら?」
「何かですか……」
リアス・グレモリーの追求に口ごもるかぐや。目線をさ迷わせているとジャンヌと目が合う。面倒そうに溜め息を吐いたジャンヌは口を開いた。
「その娘はね。教会の聖剣使いと悪魔の間の子なのよ」
そのカミングアウトにグレモリー眷属は騒然となる。
特に思い詰めた顔をしていた木場祐斗が一番の驚きを見せていた。
「10年程前ね。かぐやの両親は二人で駆け落ちしたけれど、悪魔と教会両方に追われて一度は殺された。でも暫くしてから殺害現場を通り掛かった太郎坊さんが、面白半分で蘇生したのよ」
「本当になんでもアリね……」
リアス・グレモリーが染々とした様子でそう呟いた。
「死んだ扱いになったから両親は平穏に暮らし、子も授かりました。めでたしめでたし――」
無論、そこでは終わらない。
「と、なる筈だったんだけどね。マモルがその子の親の敵を見つけてしまったのよ」
「まさかイリナのお父さんが!?」
「ええ、そうね。反吐が出る話だけど、そう珍しい話でもないわ。駆け落ちする側も、殺す側もね」
ジャンヌはまた大きな溜め息を吐くと、また言葉を紡いだ。
「マモルが教会の聖剣使いにあんなに突っ掛かったのはもうひとつ理由があるわ。祐斗」
「なんだい……?」
「"シグルド機関"って知っているかしら? 私、あそこの
ジャンヌは自身の出生と経歴を語り始めた。
「じゃあ、マモルはジャンヌとかぐやちゃんのためにあんなにキレたのか……」
ジャンヌがシグルド機関についての話を終えた時、イッセーはそう呟いた。
「というよりも勝手に引火しただけよ……まあ、アイツらしいけどね。だから言っておくけど、マモルと本物の"教会の聖剣使い"を会わせるのは地雷よ。以後、気を付けるといいわ」
この件をこれ以上追求出来るものは誰も居なかった。世界の闇そのものであり、実行するかどうかは別としてマモルの怒りも理解出来る範疇であったからだ。
ジャンヌは話は終わったと言わんばかりに口を紡ぎ、バックから漫画本を取り出して読み始めた。
「ねえ……ちょっといいかしら?」
「はい?」
そんな中、リアス・グレモリーはかぐやに問い掛けた。
「あなたの両親は"10年程前"に一度殺されたのよね?」
「………………ええ、そうですね」
「失礼かもしれないけれど、いったいあなた今何歳なの……?」
そう問われたかぐやはピシリと固まり、余計なことを言ってくれたと言わんばかりにジャンヌに批難の目を向けるが、ジャンヌはどこ吹く風である。自分がマモルを止めれず、かぐやがマモルを止めたことに小さな嫉妬と、八つ当たりに近い仕返しかもしれない。
また、かぐやは駒王学園の一年生に比べてもかなり大人びた容姿をしているため、気になるところではあった。
ひょっとしたら随分歳上かも知れない。どちらかというとリアスはそう考えていた。
そして、かぐやは指と指をくっつけたり離したりを繰り返しながらポツリと呟く。
「私の……"かぐや"っていう名前は
かぐやは自身のカバンから紙とペンを取り出し、文字を書いて皆に見せた。
「"
かぐやは溜め息を吐きながら自身の豊満な身体を抱き締める。その様子をイッセーは食い入るように見つめ、小猫から白い目で見られていた。
「だからその……私……同世代に比べてものすごく身体の発育がよくてですね……実年齢はその……」
かぐやは顔を真っ赤にし、目を瞑りながら意を決した様子で口を開いた。
「……"9歳"……です……!」
その時、イッセーが"小猫ちゃんと真逆の属性だ!"等と宣い、小猫に殴られたという。
~葵くんの武器~
エクスカリバーから生み出された聖剣の1つで、伝説の魔物・上位神滅具の攻撃・魔法・物理法則といった様々な存在を意のままに操ることができる。7本のエクスカリバーの中でも最強とされるもの。元々、一応は術寄りの性能をしている葵が持つと歴代の使い手全てを鼻で笑えるようなとんでもない性能となる。葵くん自身まあまあ気に入っているので、手放したがらない。
ちなみにジャンヌさんに持たせている間、
~登場人物~
八重垣かぐや
"9歳"児。名前に神の名を刻み込んだばっかりに、2度と外せない火之迦具土神から豊穣の加護という名の呪いを掛けられた可哀想な少女。別に寿命が減ったりはせず、寧ろ長生きは約束され、両親の遺伝子から考える限り最高の性能を持った肉体が自然と形成される。しかし、成体までの成長速度にまで加護が作用しているため、高校生程の身体になるまでマトモに学校に通えなかったりした。