波打ち際のオルタちゃん   作:ちゅーに菌

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 どうもちゅーに菌or病魔です。

 いやー、他の小説を更新するのとリアルが大変なので更新が遅れました。すみません。この小説は完結させたいと考えているので勿論、頑張らせていただきますよ。神器がアレなので新キャラを続々出せるような設定にしていますが、後とある天使様を一匹釣ったら一旦打ち止めになりますのでご了承下さい。

 ちなみに感想とか評価とかくれるこの作者はとても喜びます。それと感想にはポリシーとして全て返信させていただきます(現金な奴)



愛宕

 

 

 

「いやー、面識もないのに突然来てしまって申し訳ありません」

 

 そう言いながらテーブルを挟んで座る"愛宕葵"という男は、ライザー・フェニックスに、目を細めながらにこやかな笑みを浮かべていた。

 

「………………」

 

 彼の隣にはライザーの方を向かず、屋敷の外に見える黒紫色の空を眺めている銀髪の黒い美女がいるため、本人だという事は明白だ。

 

 最もそれ以前にグレイフィア・ルキフグスや、四大魔王と対峙した時と似たような感覚を彼からは覚えるため、否が応でも実力者だと言うことはわかる。

 

 彼の父親である人物は元の風来坊な気質から三大勢力どころか、他の神話体系とも広く深い交遊を持ち、更にその力から一目を置かれている存在なのだ。悪魔で言うところの超越者としての認識を全世界にされているというところであろう。

 

 当然、そのような存在の息子の来訪を無下にすることもし辛く、更にリアス・グレモリーとのレーティングゲームについての話ということで、ライザー・フェニックスが対応した次第である。

 

「グレモリーさんとのレーティングゲーム、楽しみですね。折角ですから、私とジャンヌも見に行くことにしたんですよ」

 

「そうですか」

 

 実際のところライザーは、葵とジャンヌが通う学校はサーゼクス・ルシファーの伝で駒王学園に入学したとあった為、あの学校に彼が居たということを後で知り、リアス・グレモリーと結婚した場合を考え、面識を持つ可能性を考慮して、挨拶に行けばよかったと多少後悔していたため、わざわざ向こうから出向いて来られたことは渡りに船といえた。

 

「今回来た件は悪いお話ではないと思います。そもそも、これは非公式のレーティングゲームですよね?」

 

「というと……?」

 

 葵は単純にレーティングゲームについて考えを述べる。

 

 王を含めず、女王9、戦車5×2、僧侶3×2、騎士3×2 、兵士1×9が悪魔の駒の価値だ。

 

 ライザー・フェニックスの駒の数は全て揃っている。 つまりは合計の最大値である40点ということになる。

 

 それに比べてリアス・グレモリーの駒は片方の僧侶は確実に出てこないことも勘定に入れると、女王、戦車、僧侶、騎士、兵士9個で合わせて、29点ということになる。

 

「…………確かにそうですが、それぐらいのことは公式戦ではザラに――」

 

「いや、だったら尚更フェアにやるべきでしょう? 非公式なんですもの。つまりは幾らでもハンデの付けようはあるんですよ? いやー、まさかまさか、公式戦にも一回も出たことのない新人の悪魔たちが、高々1週間修行するだけで11点もの駒の差が本気で埋まるなんて思っていないですよね?」

 

「…………何が言いたいのでしょうか?」

 

 その言葉にライザーは顔をしかめながら聞き返した。すると、葵は笑みを強め、嬉しそうに口を開く。

 

「はい、単刀直入かつ客観的に申しますと――」

 

 葵は少し間を開けてから言葉を吐いた。

 

「今のところ私の目には年上の悪魔男性が、年下のか弱い悪魔の女性を苛めているようにしか見えないんですよね。レーティングゲームの提案は向こうだったとしても、最低限の大人の対応を見せるべきなのは果たしてどちらなのでしょうか? 寧ろあなたは彼女に40:60程のハンデをつけてもいいのでは? とも思ってしまいますね」

 

「………………」

 

 その言葉にライザーは返す言葉を失った。少し考えて言葉を探している内に葵は再び、口を開く。

 

「少しお話を聞いて、観戦に行くただけの部外者の私ですらそう思うのですから、私と同じように実際会場に来た悪魔の方々はどう感じるのでしょうか? 来るのでしょう? あなたとグレモリーさんの試合に来賓の悪魔の方々が沢山」

 

「ぐっ……」

 

 その言葉にライザーは苦虫を噛み潰したような表情になった。つまり、こういいたいのだろう。"このままではフェニックス家の沽券に関わるのではないか?"と。

 

 返す言葉を探し、ライザーの脳裏に思い浮かんだ者はリアス・グレモリーらの部室に出向いた時の光景であった。

 

「……リアスは神滅具を抱えています。それだけで価値の差は埋められるでしょう……」

 

 苦し紛れとも言えるが、筋は通っていた。それほどまでに神滅具はレーティングゲームでも強大なものである。

 

「へー」

 

 それを聞いた葵は空返事のような素っ気ない言葉を返す、そして小さく笑い声を漏らしてから言葉を紡いだ。

 

「対面したときは随分、兵士の転生悪魔を貶しておいて、いざ勝負となればそれを持ち出すと……確か豚に真珠ではなかったんですか?」

 

「それは……」

 

 ライザーが呟いたところで、葵はこれまで笑みを浮かべており、見えなかった目を開く。そこには獄氷のように冷たい何かが宿り、ライザーを射ぬいていた。

 

「吐いた唾は呑めない。そうでしょう? 簡単なことです」

 

 まるでライザーはグレイフィア・ルキフグスや四大悪魔相当の者が放つ威圧感に押し潰されたような気分になり、肝を冷やした。

 

「それとも……もしやあなたは――」

 

 葵は溜め息をひとつ吐いてから重い口を開いた。

 

「不死身のフェニックスでありながら負ける可能性が少しでも上がる程度のことがそんなに恐ろしいのですか?」

 

 それを伝えた瞬間、ライザーは固まり、瞳は驚きに見開かれ、返答はライザーの瞳に宿る怒りと自尊心、そして決意が表している。

 

 葵はその様子に瞳を閉じ、再びニコニコと人当たりのよい笑顔を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、いうわけで、ライザー・フェニックスさんの希望で、ジャンヌが価値にして11相当の穴埋めとしてレーティングゲームに参加することになったからよろしくね」

 

「どういうことなの……」

 

「なんで私が……」

 

 合宿初日の夜に現れた葵は、相変わらずニコニコした笑みを浮かべながら言葉を締めると、隣でぼやいているジャンヌを、頭を抱えている部長の前に出した。

 

 部室に来た葵はそのまま軽く部長に挨拶してからソファーに座り、それに続いて葵の右隣にジャンヌが座った。当たり前のように部長とは接していて知り合いだということはなんとなく伝わってきた。

 

「ぶ、部長……葵って悪魔側の人間だったんですか……?」

 

 一年以上同じクラスの仲間でちょっとおっとりしているだけのイイ奴だったんだが……。

 

「いいえ、彼とその父親は勢力で言えば"日本の神話体系"ね。でもあんまりよくは思われていないらしいけど」

 

「そうなんですか……」

 

 なんだか、よくわからないなぁ……葵に聞くか。

 

「あらあら、お久しぶりですわね、葵さん」

 

「――!!」

 

 と思ったら話が終わることを待っていたかのようにするりと朱乃さんが葵の前に立ち、それを見たジャンヌは猫のように朱乃さんを睨んでいる。

 

「こんばんは、姫島さん。ジャンヌと一緒に俺も夕方まではここで修行の手伝いをすることにしましたので、よろしくお願いします」

 

「これは丁寧にどうも。うふふ、敬語なんてよろしいのに……どうぞ朱乃とお呼びくださいませ」

 

「ははは、一学年上ですからね。礼節は確りしないといけないと母に厳しく教えられましたから」

 

 どうやら葵は朱乃さんとも面識があるらしい。うーん……ちょっと待ってから聞くか。

 

 

 

 

 

「朱乃さんとの関係?」

 

 俺は話が落ち着いてから葵から直接話を聞いた。隣にいるアーシアも話を聞いている。

 

「別に大したことじゃないよ。家族ぐるみでたまに付き合いがあるってだけ。親父(オヤジ)が朱乃さんのお父さんと付き合いがあってな」

 

 葵の親父っていうと"太郎坊"さんかぁ……ああ、確かにあの人、人間っぽくない感じだったよなぁ……超イケメンだし他にも態度とか色々。

 

「それで昔、朱乃さんの父親が不在のときに朱乃さんとそのお母さんが襲撃されたことがあってだな」

 

「だ、大丈夫だったのか……?」

 

「大丈夫大丈夫。ああして朱乃さんは元気なんだよ」

 

 見ると威嚇するような様子のジャンヌに、姫島先輩は笑顔で睨み合っていた。その間には火花のようなものが見えそうだ。あ、いや、姫島先輩からはちょっと電気が溢れてて、ジャンヌから火がチラついている。

 

 げ、元気過ぎる……。

 

「丁度、親父と俺が遊びに来たときでね。襲撃してきた奴らは、コゲコゲにしつつわざと生かして帰らさせたひとりを除いて、全員親父が消し炭にしちゃったんだよな。ああ、でもちょっとだけ来るのが遅くて朱乃さんのお母さんは死んじゃったんだけど……」

 

「そ、そうなんですか……それは……」

 

 どうやら深刻な話だったようだ。酷いこともあるもんだと思っていると、アーシアの悲壮な表情を見た葵は首を傾げていて、それから納得がいったように手を打ち鳴らして口を開いた。

 

「ああ、朱乃さんのお母さんなら俺が生き返らせたからピンピンしてるぞ」 

 

「え……?」

「は……?」

 

 生き返らせ……なんて?

 

「親父と俺の炎は焼くこともそりゃあ得意だけど、創造することも得意だからねえ。死にたての人間ぐらい余裕で蘇生できるぞ」

 

「ま、葵さんって何者なんですか……?」

 

 アーシアが唖然とした表情で質問した。

 

「俺の父親は"愛宕山太郎坊天狗"、簡単に言えば"愛宕権現"、更に分かりやすく言うと――」

 

 葵は特に隠したような様子もなくいつも通りの口調で答える。

 

 

 

「"火之迦具土神(ヒノカグツチ)"だよ」

 

 

 

 俺は産まれてこの方でも10位に入るぐらい大声で叫び声を上げたと思う。

 

 

 

 







愛宕太郎坊
 修験道の祖たる天狗の筆頭である愛宕権現にして、火之迦具土神の化身その人。無論、その手に宿すは信仰にまでなった天狗の神験。 そして、その身に宿す力は伊耶那美を絶命させた炎。
 その類い稀な出生と経歴から太郎坊の性質は堂々とした子供ようであり、変わることは決してない。マイペースという意味合いでは息子の葵とそっくりである。


火之迦具土神
 神殺しの炎ばかりに注目されがちだが、伊邪那美が火之迦具土神を産んだ時に陰部が焼け、その後病床で苦しむ伊邪那美から六柱が生まれ、伊耶那美が火傷が元で死ぬと、伊邪那岐が伊邪那美の死に流した涙から一柱が生まれ、怒り狂った伊邪那岐が十拳剣(天之尾羽張)で火之迦具土神を斬り殺し、 十拳剣の先端からの血が岩石に落ちて三柱、刀身の根本からの血が岩石に落ちて三柱、柄に溜まった血が指の股から漏れて二柱の神を生み、 火之迦具土神の骸から八柱を生み、直接的に関わったものでも合計二三柱の神を生んでいる。
 とんでもない数の神を結果的に生み出した神であり、故にその力の象徴たる炎には神殺しの性質と、創造の性質を持つ。


愛宕葵
 要は正しく産まれた火之迦具土神の唯一の子である。愛宕権現から教えられた天狗の神験を持つと同時に、火之迦具土神の炎を受け継いでおり、神殺しと創造の権能を持つ。 が、本人としては本来の用途て使う気は更々ない。その上、とって置いてもどうせ使わないし、使わないと意味すらないという理由で、RPGとかでエリクサーを惜しみ無く使うタイプなので、魚のグリルやバーベキューやらに炎を使ったり、庭の穀物育成とかに権能をバンバン使って年中様々な作物を季節問わず収穫している。
 その異様にマイペースで動じない性格はある意味、父親の太郎坊と根っこの方では瓜二つである。


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