波打ち際のオルタちゃん   作:ちゅーに菌

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どうもちゅーに菌or病魔です。

ライザーさんごめんよ……ゴメンだで……。イッセー強くすると真っ先に君が被害者になるから……。







赤龍帝

 

 

 

 

「大丈夫?」

 

 

 私は明く、眩しいぐらいに太陽が注ぐ場所に来れた。

 

 

 でも――全然足りなかった。

 

 

 寒い、痛い、苦しい、冷たい、湿っぽい。

 

 色々な嫌な感覚が身体を蝕み、私は固いコンクリートの地面に踞りながらガチガチと震える。

 

 見れば全身の傷から血が出ていて、私の身体を赤く染め上げていた。爪が何枚も剥がれていたことに今さら気づき、湿っぽいのは海水のせいではなく、私の血液のせいだったことにも気づく。

 

 

 "死ぬ"

 

 

 そう、強く考えた。

 

 そして、恐れるより、悲しむより、嘆くよりも早く、私は憤慨した。

 

 沢山見たいものがあった、溢れるほどやりたいことがあった、一杯食べてみたいものだってあった、ただ人間になりたかった。

 

 それなのに……何故、私が死ななければならないのか――と。

 

 神を恨み、怨み、呪い、慟哭しようとした。

 

 しかし、ふざけるなと一言言いたいだけの体力すら私には残っていなかった。

 

 その代わり震える手で何かを掴んだ感覚がした。

 

 次第に視界がボヤけていく、死がもうすぐそこまでやって来ている。

 

 

 

「そっか、君は強い人だね。そんなに生きたいか」

 

 

 

 そんな中で私は、手に伝わるとても温かい感覚に気が付き、それを求めた。放さぬようにある限りの力でぎゅっと握り締める。

 

 

 

「じゃあ、特別だ――」

 

 

 

 私は全身をとても温かい感触が包み、胸の中に赤熱しているように熱い何かが入り込んだことを感じた。

 

 でもそれは嫌な感覚ではなくて、不思議と心地好く、いつの間にか身体中の嫌な感覚が無くなり、徐々にボヤけていた視界が戻った。

 

 その時、私は初めて"神様"を見ました。

 

 

 

「"俺の炎"を少しだけ分けてあげる」

 

 

 

 その日、私は命をもらいました。

 

 

 

「君ならきっと――"俺とは違う炎"になる」

 

 

 

 そして――あなたに恋をしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、好きにさせて貰うわね」

 

 レーティングゲーム開始と共にそれだけ言ってジャンヌは一人で消えていった。

 

 部長はもし危なくなったらジャンヌを助けられるようにと、ジャンヌにも通信器具を渡そうとしていたが、そんな暇もない間にジャンヌは消える。

 

 そして、レーティングゲームの作戦などを部長らと話し合っている時にそれは起こった。

 

 

[ライザー・フェニックス様の"騎士"、戦闘不能!]

 

 

 グレイフィアさんのライザーの眷属の脱落を告げるアナウンスのすぐ後に、校庭と新校舎が急に燃え上がったんだ。それも天を貫くような炎の柱が全体を囲むように幾つも噴き上がっていた。ライザーも炎を使うが、修行中にずっと見てきた俺たちは間違いなく、ジャンヌの仕業だと確信する。

 

 そして、同時に――。

 

「なんてことだ……あの人は僕らとの修行中にこんなにも手加減をしていたのか……」

 

「にゃぁ……」

 

 ジャンヌが俺たちが考えていたより、遥かに実力者だったということも思い知らされた。

 

 心配なんて始めからいらなかったのだろう。

 

 そんな考えに答えるように直ぐに続いて、戦車や兵士が落ちていくアナウンスが流れる。

 

 それを唖然としながら聞いていた俺だったが、ふとひとつの疑問が生まれた。

 

 

 "あれ……? これ、ジャンヌに全部持ってかれるんじゃね?"

 

 

 流石にそれは貴族的に大問題なことは俺でもわかる。周りを見ると皆似たような様子だ。

 

 疑問は焦燥に変わり、ジャンヌはこちらにとっては仲間というより競争相手だったということに気が付き、俺たちは慌ててライザーたちの元へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジャンヌの奮闘を見てか、ライザーの眷属たちもこちらに向かっていたようで、旧校舎と新校舎の間の屋外で直ぐに鉢合わせすることになった。

 

 向こうには戦車、僧侶、騎士がひとりずつと、兵士が三人の計6人で来ている。

 

 それに比べてこちらは俺と木場と小猫ちゃんを前衛に、後衛に部長と姫島先輩、その更に後ろにアーシアの6人だが、これぐらい前衛だけで蹴散らさなければならないな!

 

 俺は木場たちと目配せし、即座に3人の兵士の元に向かった。木場と小猫ちゃんもそれぞれ自分の駒と同じ駒の元に向かっている。

 

『いいかイッセー? 攻撃の基本は攻めか守りだが、攻めの方は余程一撃に自信があるか、上手くないと難しい。それにお前の神器はスロウスターターだ。だから、とりあえずお前に与える課題はこれだ』

 

 俺はチェーンソーを構えて向かってくる双子のロリっ娘と、この前やられた棍使いの童顔少女を見据えながら葵と修行したことを思い返していた。

 

 先に来るのは……棍使いの少女だ!

 

 

『まず、俺の攻撃をよく見ろ。それが出来たら避けるか受け流せ。最後に可能なら隙を突いて殴るか蹴れ。カウンターは相性がいい、存分にお前の神器の性能を引き出せるハズだ。え? 無理? ああ、そうか、なら死ぬだけだな』

 

 

「はっ!」

 

 短い声と共に棍使いの少女は俺に棍を突き出して攻撃してきたが、俺はそれに対して非常に強い困惑を感じていた。

 

 え……? 遅っ!? その上、大降り!? 葵なら避ける必要すらなく、後出しなのに意味わからないレベルで遥かに速いジャブを急所に叩き込むぐらい出来るだろうな……というか、何度もされた。されまくった!

 

 俺は棍を引き寄せ当たる直前に避けながら、腰を落として拳を引き絞る。

 

 

『お前の神器は籠手だ。その形状による最大のアドバンテージってなんだと思う?』

 

 

 それは――"どのタイミングでも拳に装備出来る"ことだ!

 

「な……!?」

 

 俺はカウンターとして繰り出した拳が当たる寸前に赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を装備し、一切勢いを殺さないまま棍使いの少女の腹をぶん殴った。

 

「うおぉぉ!!」

 

「がぁッ!?」

 

 そのまま有らん限りの力で棍使いの少女を弾き飛ばし、チェーンソーを持った双子の片方に当てる。

 

「ネル!? ミラ!?」

 

 残ったチェーンソーを持った少女は驚いた様子で、隣を向き、俺の方を見ていない。

 

 いや、流石にそれはダメだろ……。

 

 俺はチェーンソーを持ったよそ見をしている少女に迫り、掬い上げるようにその脇腹にブーステッド・ギアを叩き込んだ。

 

「あが……ッ!?」

 

 短い悲鳴と共に新校舎の壁まで飛んでいくのを確認し、最後に無傷なハズのもう片方の双子の少女のところに向かい、踵を振り上げた。

 

「いっつぅ……もうなんなのよも――ぐう゛ぇ!?」

 

 地面に座り込み、立ち上がろうとする双子の少女の首筋に踵落としを放った。結果は"小さなクレーター"が出来て、双子の少女の上半身が埋まる。

 

 そして、ほぼ同じタイミングで3人の兵士はダメージによって強制的に転移させられた。

 

 ……………………え? お、終わり……全員一発?

 

Boost(ブースト)!!』

 

 全部終わってから遅れて、ブーステッド・ギアの倍化が発動する音が響く。周りを見れば木場も小猫ちゃんも既に倒しており、俺よりも早かったようでこちらを見ていた。

 

 グレイフィアさんのアナウンスが流れる中、木場は嬉しそうにニコニコしているが、小猫ちゃんはジト目で俺を見つめていた。

 

「小さな女の子相手に容赦無さ過ぎてドン引きです……」

 

「ちょ……!? それは流石に仕方なくないですか!? 葵は"常にトドメを刺す気でやれ、手加減なんて始めから考えるな"って言ってたし……それに――死んでなきゃ大丈夫でしょ!?」

 

「え?」

 

「え……?」

 

「い、イッセー……あなた……」

 

 ニコニコしている姫島先輩以外の皆からの視線がとても温かく、それでいて哀れなものを見るような視線に変わった気がした。

 

 しかし、その理由がわからずにいると、そう言えば洋服破壊(ドレスブレイク)を試していないままだったことに気が付き、残った十二単を着た僧侶の娘を見つめる。

 

 その娘は目の前で起こったことが信じられないように呆然としていた。

 

 とりあえず試合中にぜったいに魔法を試したかった俺は、手をワキワキさせながら迫る。

 

「ヒィッ!? な、何をするおつもりですの……!? やめ――」

 

 その直後、虚空に十二単が派手に破れる音と、か細く甲高い悲鳴が響き渡った。

 

 

[ライザー・フェニックス様の"僧侶"、戦闘不能!]

 

 

 やっぱり小猫ちゃんから見た俺の評価は地に落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「馬鹿な……こんなことが……」

 

 俺たちが相手をしたライザーの全ての眷属が戦闘不能になった後、とても驚いた様子のライザーが新校舎から出て来た。

 

 心なしか趣味の悪い赤スーツとボタンを止める気の余り無いTシャツがくたびれて見えるぜ。

 

「お、お兄様!?」

 

「レイヴェル!?」

 

 すると、ライザーの妹が新校舎の窓から飛び出して来てライザーの背中に隠れてガタガタと震える。それは到底戦えるような状態には見えなかった。

 

「あ、あ、あ……あんなの人間じゃない……人間である筈がありませんわ!」

 

 その直後、ライザーの妹が出て来た新校舎の窓がある側、半分の校舎が巨大な火柱を横に倒したようなとんでもない爆炎に包まれ、跡形もなく消し飛んだ。

 

 更にそれどころか校舎のコンクリートや鉄骨は融解しており、赤熱したマグマみたいな状態で辺りに散らばり、残った校舎の断面はまるで地獄のようだった。

 

 

「あら、皆さんお揃いのようですね?」 

 

 

 そのマグマの上をまるで水面を歩くキリストのようにジャンヌは歩いてこちらに向かって来る。

 

 

「じゃあ、お茶会でも始めますか? フェニックス様?」

 

 

 その表情は明らかにライザーを見下し切ったものだとわかったが、悪魔よりもずっと悪魔らしい何かだと感じ、俺でも恐怖を覚えた。

 

 そして、同時に確信を持ってジャンヌならライザーをサクッと倒せてしまうんだろうなと感じた。

 

 ライザーを倒すために作戦を皆で考えもした。けれど、今はそれではダメだ。こんなアッサリとした決着を望んではいない。こうなったら……どうせなら――"俺が終わらせるべき"だと思うんだ。

 

「ライザー……一騎討ちをしよう。今度こそ、ぶん殴ってやる」

 

 手加減はするなと言われたけど、勝ち方に拘るなとは葵に言われてないしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 旧校舎と新校舎との間で対峙し、部長たちとジャンヌとライザーの妹は成り行きを眺める形になった。

 

 ライザーは意外にもすんなりと一騎討ちを受け入れた。少なくともジャンヌが動かないという確証が得られるならなんでもよかったのかもな。

 

 まあ、そりゃそうだ。人間があの強さなんて幾らなんでも予想外過ぎるだろうしな……。

 

 となるとまだ、ライザーは俺を敵と見ては無いのかもしれない。

 

 それは大きな間違いだと教えてやる!

 

「これがテメェの言う……豚に真珠だ!」

 

Welsh Dragon over booster(ウェルシュドラゴンオーバーブースター)!!!!』

 

 ブーステッド・ギアの宝石が輝き、真っ赤な全身鎧――赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイメイル)が装備される。

 

「鎧!? 赤龍帝の力を具現化したのか!?」

 

 まあ、これでも――明らかに手加減してる葵相手に30秒ぐらいしか持たないんだから辛いぜ……。

 

 でも初めてライザーが俺に対してまともに意識を向けたことで少し気分がよかった。

 

 

『あ、そうだ。いいもの貸してやろう。俺がぶん殴られるからちゃんと返せよ?』

 

 

 俺は修行が終わった直後に労いの言葉と共に葵に貸された布で包まれたとあるモノを掌から取り出し、聖なる力を完全に抑え込んで隠蔽出来ると葵が言っていた布を外して、"ソレ"のチェーン部分を持つ。

 

 

『じゃーん、"聖女マルタ(母さん)十字架(ホーリークロス)~!"』

 

 

 それは見ているだけで全身に悪寒が走り、ビリビリとした感覚を常に感じる程にも関わらず、どこにでもあるような質素で小さな十字架のペンダントだった。

 

「ま、まま、ま、待て待て待て……なんだその悪魔が間違っても持ってはいけない物体は……? どう見ても聖遺物級だろ!?」

 

「待ってイッセー……まさか!?」

 

 ライザーの驚愕は当然のこと、部長たちとジャンヌまで驚いている。まあ、葵から密かに渡されたからな。

 

 そして、俺はそれを――確りと握り締めた。

 

「うぉおぉぉぉぉぉぉ!!!?」

 

 鎧越しでも掌どころか全身が焼けるような感覚がする。実際手からは煙が上がり、多分籠手の中は見ない方がいいような状態になっているだろう。

 

 だが、こんなもん……。

 

「部長の心の痛みに比べたらこんなん屁でもねぇよ……行くぞライザァァァ!!」

 

「くッ!?」

 

 背中の噴出口から魔力を吹かして飛び上がり、宙に浮いているライザー目掛けて突っ込んだ。

 

 ライザーは苦悶の表情を浮かべながらでも炎の翼から巨大な炎を形成して、それを俺に向ける。

 

「どこまでも単純な野郎め……フェニックスの業火の前に燃え尽きろ!」

 

 ライザーから大き過ぎて炎の壁に見える程の業火が放たれ、このままではマトモに突っ込むことになるだろう。

 

 だからなんだ!

 

 俺はライザーの炎の中に突っ込んだ。当然、鎧越しに全身を焼かれ、とてつもない熱さが襲う。

 

 でもこんなん……葵の炎に比べたらぬるま湯もいいところだぜ! 葵だったら俺は一瞬で蒸発してらぁ!

 

 そして、一直線に業火を抜け、十字架を持った拳を引き絞りながらライザーの眼前に出た。

 

「よう、色男」

 

「ヒィッ!?」

 

 ライザーは悲鳴を上げながらも俺に殴り掛かって来たため、俺はライザーの拳に合わせて、十字架を持った拳をぶつける。

 

「ぎゃぁあぁあぁぁぁあぁぁ!!!?」

 

 結果、押し負けたのはライザー。ライザーの腕は煙を上げ、指は全てあらぬ方向に曲がりながら再生する様子もない。

 

 それどころかライザーにとって想像絶する激痛だったのか、精神ダメージがデカ過ぎたのか、炎の翼が消え、地面に叩き付けられるように墜落してしまった。

 

 俺は腕を押さえながら踞るライザーの前に降り立ち、少しだけ待ってやった。相変わらず俺の片手からは煙が上がっているが、もう感覚も薄くなってきたので今更気にすることでもない。

 

「ま、待て……待ってくれ……この婚約は悪魔の未来のために必要で大事な――」

 

「ライザー、俺が言いたいことはひとつだけだ」

 

 俺は途中で泣き言を言い始めたライザーの言葉を遮る。

 

 そして、拳を開き難くなってきたので、俺はもう片方の手で十字架を持つ拳を開き、十字架を地面に落とすと、再び握り締めて拳を作り、全力で振りかぶった。

 

 

 

 

 

「死なないだけ……マシだと思いやがれぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!」

 

 

 

 

 

 俺の拳はライザーの頬に突き刺さり、その衝撃は学校を模したフィールドを、文字通り半壊させる程巨大なクレーターを作った。

 

 

 

 

 

 







そろそろ邪ンヌとイチャラブしたい(発作)



~アイテム説明~

聖女マルタの十字架(ペンダント)
教会垂涎の聖遺物。マルタが自宅にいるときにいつも身に付けている銀のペンダント。しかし、愛宕家では立川の聖人宅並みに何でもかんでも聖遺物になりやすいため、愛宕家の聖遺物自体はわりとありふれたものである。故に他にも聖なる包丁とか、聖なる眼鏡とか、聖なるスマートフォンとか、聖なるパソコンとか、聖なるアヒル隊長とか色々ある。


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