ウェウェってGO!   作:九十九夜

11 / 12
実際良くああもうまく運用出来てるってすごくね?
初期カルデア。だって、ほら管制室爆破されてるってほぼほぼ制御不能ってことじゃ(ry


うちのカルデアなんかおかしくね?

ピーンポーンパーンポーン

『召喚システムフェイトよりサーヴァント反応を感知しました。マスター藤丸立花、至急召喚ルームに向かってください。繰り返します。―――』

 

食堂に鳴り響く軽快なチャイムと平静を保った音声に向かい合うように座ってお茶を啜っていた立花とマシュはしばしの沈黙の後、深いため息を吐いた。

 

「……また、来ちゃったね。マシュ。」

「はい。ついに来てしまいましたね。先輩。」

 

これから始まるのはサーヴァント召喚。普通なら戦力増強につながるのだから喜ぶべきことである。

だというのに二人の動作は重く、ぎっくり腰でももう少しましではないのかと思うほどにその動きは遅かった。

 

「……今度の被害者は、誰なんだろうね……。」

 

遠くで「わん!」と何かが元気よく鳴いた気がした。

 

 

***

 

 

シャンシャンシャンシャン

 

入室時、正確にはグランドオーダー開始からここ、ずっと回転を続けているフェイトを前に担当しているカルデア職員も、ロマニも、立花も、全員が全員死んだ魚のような目を向けている。

 

「今度は誰が出てくるんでしょうねー。」

 

「というか今回はちゃんと出てくるんですかねー。」

 

「ははは、大丈夫だよ立花君。今回はサーヴァント反応があったから君を呼んだんだ。こないだみたいに呼び符や貴重な石を無駄に不発召喚なんかにはさせないさ……あれ?まてよ、もしかしたらこないだの石分が今回の……?」

 

そう、何を隠そうこのフェイト。先程も言った通り絶えず稼働しており、止まること……サーヴァントや礼装を排出するという事がほぼ無い。石や呼び符を使えば一時は虹色の光に包まれたりと変化はあるモノの、再度回転が始まるのみだ。不発である。最初に星5というか規格外レアと星4が2体来てしまっていたこともあってかまさか俺のラックが低すぎて召喚にすら応じてくれなくなった!?と立花はかなり落ち込んだ。

が、それから数日後に奇跡が起こる。

その日の朝からフェイトの様子がおかしい(元々おかしいが)という事で点検に立ち寄っていたのだが、いきなり閃光が奔ったかと思うと緑のローブの誰かが召喚陣上に立っていた。

思わず呆ける立花を前にその人物は余裕ありげに召喚の口上を口にした。此処までは良かった。

 

「ほいほい。呼ばれたからにはそれなりに働きますよっとおおおお!?」

 

が、次の瞬間。男が口上を言い終わるかどうか辺りで再び陣が輝きだし、無理矢理再稼働し始めた。

突然のことに男がつんのめるかのように前方に跳躍して陣から出る。

出るのが少しばかり遅かったのかフェイトの回転に巻き込まれたらしきローブの布の端は焦げ付いていた。

あと少し反応が遅れた時のことを考えると背筋にゾッと冷たいものが伝う。

 

「だ、大丈夫?」

「あ、ああ。此処の召喚は随分変わってるんですね。」

 

皮肉る様な口調のわりに先程とは違う呆然とした表情で背後を見た男……ロビンフッドは現在、この前述した召喚システムによる慢性的な人員不足のためもあってか積極的にパーティーに加わり、今ではなくてはならないスタメンメンバーの一人である。

 

そんなことを遠い昔を懐かしむかのように思い出していた立花だったが、遂にフェイトから閃光が上がったことで気持ちを切り替える。次なる被害者のためにも。

そうして見えたのは青い衣服を身に纏った懐かしの―――。

思わず立花が目を見開いた。

対する相手は愛想のいい笑顔で口上を―――

 

「よう! サーヴァント・ラってうおおおおおおお!?」

 

……述べようとした瞬間例によって例の如くフェイトが動き出した。

このランサー……恐らく特異点Fでであったであろうキャスターと同一人物は敏捷が高かったが故か反射的に跳躍しようとしたらしい。が、まるで問答無用とでも言うかのように口上開始直後に再稼働が始まったために逃げ遅れたらしく、片足が中途半端な高さでフェイト内に引っかかってしまったようだ。

ルーンなのかその特徴的なスーツ故なのかやけどなどは無さげだが、それ以上に片足をフェイトに巻き込まれて空中を振り回されているその姿は酷く滑稽で、一同に同情を禁じ得ないものであった。

 

「ああああああああ!!」

 

「ね、ねえドクター。あれ……。」

 

「うん。一応不定期であるけれど、石を入れた分は必ず何かしら出ては来ているみたいだね。この法則性を解明すればきっと……!!」

 

「いやあの、そうじゃなくてあの人は、どうすれば。」

 

現実逃避気味に微笑みを浮かべるロマニに立花が恐る恐ると言った態で尋ねる。

と、彼はそんな微笑みのまま、えげつないことを口にした。

 

「ん?あー……残念だけど非常停止ボタンが例の爆発でオシャカになっちゃったから無理かなー。」

 

「え……。」

 

頑張れ!ランサー!!

 

 

 

***

 

 

「お疲れ様です。先輩。」

 

「マシュー!!」

 

召喚ルームの外で待っていてくれた健気な後輩に自然と頬が緩む。

さっきまで見ていた悲惨な光景が何処か遠くの出来事の様だ。

そんなことをだらしのない顔で考えていると向こう側から黒いコヨーテが姿を現した。

 

「あ!ウェウェ様!」

 

「わん!」

 

呼ぶと、嬉しそうに尻尾を振ってこちらへとやってくる姿に、立花は感慨深いものを感じた。

このコヨーテ……前述していた規格外サーヴァントなのだが。は、当初立花にされたことから酷く立花を警戒している節があり、牙をむかれかけたのも一度や二度では済まされない。

その度にそれとなく近くに待機していたイシスネフェルトが助け舟を出してくれていなければ今頃立花は無事ではなかっただろう。それが今では紆余曲折の末にこうして気安い(?)関係まで修復することが出来たのだから本当にイシスネフェルトには感謝である。

 

「今から管制室に行きますけど一緒に行きますか?」

 

返事をするかのようにパタパタと機嫌よさげに揺れる尻尾に思わず頬を緩めると一人と一匹を伴って立花は管制室へと向かった。

 

 

 

「……珍しく管制室に呼びだされたと思ったらこういうことだったのか……。」

 

目の前に広がる阿鼻叫喚の地獄絵図と、その中心となっているであろうカルデアス、だったコールタールの様なもので覆われた何か。コールタールの様なものは若干の粘度があるのか一定の間隔を空けてボタッボタッと下に落ちている。正直触りたくないというか触ってはいけない気がする。

そんなこんなでみんながみんなじりじりと間合いを取っていると、そんなことはお構いなしと言わんばかりに犬……ウェウェコヨトルがテコテコと近づいていった。

 

「ああ!ウェウェ様!危ないよ!!」

 

必死に止めようと呼びかけるも何があるかわからないため近寄ることが出来ず、更に言えばここの最高戦力でありいろいろと訳知り顔な彼に頼っていることもあって今回も彼ならなんとかしてくれるのではないかという期待を皆抱いた。

一方近づいていった本人はというと、本当に滴り落ちている場所ギリギリでその歩みを止めて鼻を近づける。

 

「ヘプシっ!!」

 

可愛らしいくしゃみをした。

と、同時に黒い何かがそれに誘発されたかのように蠢く。

もぞもぞと動いたそれはところどころに穴をあけると突如そこから何か音が鳴り響いた。

 

「メエェェェェェエッ」

 

可愛らしい羊のような鳴き声だが、何処か恐怖を感じさせる。

この場に居たら頭がおかしくなりそうだ。

その様子をじっと見ていたウェウェコヨトルはおもむろに口を開くと、その黒い塊の一部を、食いちぎった。

 

「ベエエエエエエェエっ!!」

 

先程とは比にならない絶叫染みた鳴き声が部屋を満たす。

しかしそんなこと知ったことかと言わんばかりに彼は捕食を続けていく。

だれかが慌てた様子で「イシスネフェルトさん呼んできます!」と部屋を出て行った。

 

 

***

 

 

 

「ああ、これは元はこの人の一部だったものですね。」

 

この人に任せておけば大丈夫ですよ。と、事も無げに肉塊を食いちぎってガツガツ食べているコヨーテの頭を撫でながら彼女は言う。夫婦というよりさながら飼い主とペットである。

 

「正確には第三妃……メルトアトゥムを娶る際に不要だった力の一部をどこぞの剪定事象……ああ、あそこはある種の■■■になったんでしたっけ?に不法投棄してきたやつの一部ですね。メソポタミアの神々と遊星の巨人を盛大に巻き込んだ処理の仕方に思わず僕もこの人を叱り飛ばしてしまいましたが……。」

 

綺麗に食べ終わったコヨーテは息を吐くと、すぐにその姿を変容させる。

 

「ごちそうさまでした。……なるほど、なるほど。向こうはそんなに面白いことになっているのか。」

 

「?面白い?」

 

「ん?ああ、小生個人としては鼻持ちならないところもあった故にどちらかと言えばざまあとかウケるーとかいう展開だったが。」

 

まあこの力を送ってきたのは系列は大体一緒でも余所だが。と付け足す様にいう。

一方のマシュと立花は聞きなれぬ単語の羅列に目を白黒させて首を傾げていた。

 

「せ、剪定、事象?」

「遊星の巨人……ですか?」

 

そんな二人の方に笑顔で近づいてきたウェウェコヨトルはおもむろに二人の頭にそれぞれ手を置くとクシャクシャと優しく撫でた。そのまま二人の頭を抱きかかえるかのように抱き締めて、耳元に唇を寄せる。

 

 

「クククッ。なあに、安心せよ。小生がいる限り人類(お前たち)をかの王を名乗るモノたちにも外側より来たる何かにも譲りなどしないとも。」

 

優しくも何処か甘やかで淫靡な声が鼓膜を擽る。

そして、二律背反の様にどうしようもない不安と、まるで内側からドロドロに溶かされているかのような気怠さも。

立っているのがやっと。立たなければ、立っていなければ。

何処か他人事のようにも思いながら立花が己を叱咤し、何とか踏ん張って声の方を見る。

と、ウェウェコヨトルが優し気に微笑んでいた。

男性のはずなのに、まるで母親の様な安心感のある優しい笑みだ。

 

「大丈夫、大丈夫だ。」

 

 

……人理修復はまだ始まったばかりだ。その筈である。

立花はおぼつかない思考の中でぼんやりとそんなことを考えた。

 




ちょい作者の他作品の事とか入れてるけど別に気にしなくていいです。
気にしなくていいったら気にしなくていいです。
作者が勝手に繋げてるだけだから。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。