ウェウェってGO!   作:九十九夜

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zeroイベどのクエがどう繋がんのかわっかんね……泣。


嫁いだ娘が劇物を連れて出戻ってきた

「ぐっくそっ、戦車が足りん!!別動隊はまだか!!」

「そ、それがっ……先日の長雨のせいで地面がぬかるんでおりまだ……。」

「ほ、歩兵隊前えーっ」

「絶対に通すな!この際荷車でもいい!!道を塞げ!!絶対に通すなっ」

 

そんな伝令に怒鳴りつけているであろう指揮官たちを尻目に、不思議なことに剣戟による金属音は一切聞こえず打撃音がいくつも繰り返される。

 

「ふはははははっ。惰弱惰弱うっ!!」

 

それとともに聞こえる聞き覚えのある大声。

力強く何処か高貴ささえ感じさせるそれは戦場にて何度も自身たちの行く先を照らし導いた者と、認めたくはないが瓜二つであった。

ビョウッと一際強く吹いた風が、一瞬砂埃を浚い認めた気は無い現実がその姿を顕わにした。

 

「さあ、決死の覚悟で挑むがよい!戦士たちよ!!」

 

その男、地につくかとばかりに伸ばされた黒髪をまるで綱の様に首下で編んで括り。

その端麗な貌に填め込まれた金眼を太陽を思わせるかの如く煌めかせ。

その在り方の堂々たる様や、かつての若き太陽の王の生き写しの如き……

 

いや、いいや。如き、何ぞでは言い表せない。

 

 

「し、神官どもめ!!緊急の令だからと出向いてみればっ」

 

「これはどういうことか」と、若手はともかく戦場を駆け抜けてきた歴戦の古参たちは苦虫を噛み潰した顔をする。

彼らは神官たちからの依頼を受けて(正確には王がその依頼を受理して)「地下迷宮の化け物」とやらの脱獄に伴う捕縛、もしくは殺害の任を請け負ったのだ。

神官たちが珍しく熱心に男たちに頼みごとをした時点で、普段の高圧的な態度が、その余裕がなくなっていた時点で察しておくべきだったのである。

 

「……私たちは嵌められたのか」

「あれが、あれが化け物なものか!!むしろあれはっ……あれでは、我らが王の生き写しではないか!!」

 

古参のうちの一人が金切り声で言う。

 

「いったい!いったいどうしろというんだ!!」

 

 

 

***

 

 

 

ぐつぐつと子気味いい音を立てながら徐々にとろみの付いてきた鍋を確認しつつ、かき混ぜていた女性。イシスネフェルト改めネフェルティティは溜息を吐いた。

 

「ね……イシスネフェルト様っ。そのようなことは私たちがします故どうか……。」

「ああ、大丈夫です。むしろこれを僕がしないと奴がどうなるか……。」

 

そんな会話を顔見知りの侍女や料理人としているとガシャンとかバリンとかなにかが暴れているかのような音が遠くから響いてくる。

その音が響くたびに「あーまたやってるなー」と思いつつ半眼になってひたすら料理を作り続ける。罵声も同時に響いてくるが自分には関係ないと思い無視を決め込むことにした。

 

事は数日前に遡る。あの王女地下迷宮侵入事件を機にどうやらメルトアトゥムがウェウェコヨトルに惹かれてしまったらしく上の空になることが増えた。

そりゃ年頃になればそう言ったことに重きを置くようになるのは当然だろうし、それを利用して自己を高めたりというエネルギー的なメリットもあるのでネフェルティティも敢えて何も言わなかったし触れもしなかった。が、親兄弟はそうもいかなかったようだ。

王も兄たちも姉たちもやはりというかメルトアトゥム自身中身はともかく外見はネフェルタリにそっくりな美少女である。悪い虫が着くんじゃないかと心配ではあるし、且つ例え兄弟でも男どもに至っては見目の良い聡明な彼女を是非妻にと思っていたりするやつも多かった。

それをどこの馬の骨ともわからぬ輩に横から掻っ攫われるなど我慢できようはずもなかったのだ。

唯一実母であるネフェルタリだけは「政略も大事だけれど出来れば好きな人と添い遂げて欲しい。」と優しく見守ると宣言していたが、神官たちの口出しもあってそんなものは焼け石に水程度だった。

神官たち曰く王女は地下迷宮に住む怪物に魅入られてしまったのだ。おかわいそうに。

神々もお嘆きでしたよ。と悲し気に伝えた。

そこで地下迷宮の封印をもっと強固なものにしたいと王に持ち掛けた次第だった。

しかし、流石神王。彼はその辺とても苛烈だった。

彼が出したのはその怪物とやらを引っ立てて来いとか迷宮への神官の立ち入り許可なんかではない。

地下迷宮そのものというか、監獄そのものの焼き討ちだった。

で、可能な限り逃げ出してきた奴ひっとらえてこい、抵抗したらぶっコロっと。

色々ダイナミックすぎる。お前は織田信長か。などと間近で聞いていたネフェルティティは呆れたが、アレな神官たちは流石にそれはと焦ったのか何なのかネフェルティティにも飛び火……というか方向性を変えてきた。

 

「それもこれも、そこな女が手引きしたからなのですっ。」

「はあ。」

「なに?それは誠か、イシスネフェルト。」

「まあ、あえていうなら彼には(料理と武術の)実験台になってもらっているとしか……。」

 

そこに神官たちが「なんと!王に許可なく実験などと!やはりこやつは魔女だ!悪しき魔女に違いない!」とヒステリー気味に叫びだした。

早々に面倒になってきたイシスネフェルトは「なんかもう、それでいいです。」とでもいう様な態度でその場を粛々と進め、結局暇を出された。

というか取り敢えず王的には惜しい人材だしこの神官たちをどうにかするまでは保留といった所だったのだが、このご時世思い通りにならなかった人間がどういった行動をとるのかをいやというほど見てきた彼女としてはだるいことこの上なかったので引き留められてもやめるという意思を変えなかった。

結果、仕事を辞めて、彼女は無職になったのだった。

 

そうして彼女が真っ先に向かっていったのは……先ほど焼き討ち案の出た地下牢だった。

 

「ただいま。取り敢えず荷造りしましょうか。」

「おかえ、は?」

 

早々の荷づくり宣言に驚く相方を余所にてきぱきと作業を進めつつ冷静に先程の出来事を話す。聞いていた相方も大して驚くこともせずに作業を進めていった。

そのままウェウェコヨトルの力を頼りに王都を脱出して逃亡し、行く当てもなかったので適当にネフェルティティの故郷を目指した次第だった。

 

此処までをさらっと思い出したイシスネフェルトはまた溜息を吐く。

眼下では既に古代エジプトにはまだないであろうカレーが仕上がっていた。

 

ガッゴロゴロゴロと誰かが厨房へと転がり込んでくる。

 

「いかがなさったんですか?父上。」

「お……なっ……あ……げほっ」

 

それに振り返ることすらせずに平然とイシスネフェルトが問いかける。

対する男性……彼女の父親らしい。は、ガタガタと身震いしながら口を魚の様にパクパクと開閉させるだけだ。呼吸すらままならないらしく時折咳き込んですらいる。

そこに急いで侍女が水を持っていくと一気に飲み干した。

 

「おおおおおまえ、お前、一体何をっ」

 

父親がそのまま勢い余ってイシスネフェルトに駆け寄ろうとするもそれを本人に手で制される。

 

「聞きたいことがあるのはわかりましたが、そろそろお昼です。なので僕はこれで失礼します。」

 

そう、言いたいことだけを言って皿に何やらドロドロとしたお世辞にも食事とは思えないものと何やら変わった形のパン……?の様なものをバスケットにいれて持っていく娘に思考が追い付かない父親は取り敢えずこう叫んだ。

 

「あ、あの方にそのようなものを……こ、こらっ戻ってきなさい!!ネフェルティっイシスネフェルトおおおおおっ!!」

 

父親の怒号が響き渡るのとほぼ同時に屋外にてただ一人立っている相棒に女が叫ぶ。

 

「昼ごはんの時間ですよー。」

 

その言葉に男が振り返る。その瞳は爛々と、普段の3割増し位輝いていた。

どんだけ食い意地張ってんだと内心呆れつつもう一度叫ぶ。

 

「今日はカレーを作ってみましたー。」

 

言って、バスケットを高々と掲げる彼女の姿に、青年はその姿を一瞬でコヨーテへと変貌させて少女の元に駆けてくる。

ネフェルティティの周りをグルグルと回った後、肩に飛び乗ってキューキューと甘えたように鳴くコヨーテを撫でながら「さて、」と彼女は現場に向き直った。

 

「……まあ、見せしめにはなりますし、結局蘇生してあるんだから手出しは無用ですよね。」

 

辺り一面血の海。そこに転がる複数の心臓をぶち抜かれた身体。

しかし、不思議なことに徐々にその空洞が埋まっていることを確認した彼女はうんとひとりでに頷いてその場を後にした。

尚、その死に体の蘇生体は何処かから集まってきたコヨーテたちの群れの手によって何処かへと運搬されていったのだが、行先はたぶんネフェルティティにすり寄っていったコヨーテくらいしか知らない。

 

 

***

 

 

ある一人の男が頭を掻きむしっていた。

彼はイシスネフェルト。否、姉イシスネフェルトに扮しているネフェルティティの父親である。彼は今非常に焦っていた。

 

(なぜ、何故だ……おお、神よ、我が王よ。私が何をしたというんですか。)

 

正確には自分の娘が、だが、そもそも失踪した娘の身代わりにと他の娘をあてがった時点で非が無いとは言えなくなってしまっているので男に逃げ道はないのである。

それにしても綺麗になっていたなと現実逃避交じりに娘のことを思い出した彼は、いったん落ち着くためにその場にドカリと腰を下ろした。そうして、溜息を吐く。

 

だいたい、男だってできることならあのよく出来た次女を仕方がなかったとはいえ王に嫁に出したくなんてなかったのである。出来ることなら近隣の、頻繁に行き来が可能な貴族のところに嫁にでも行ってこの父の助けをしながら家の基盤を強固なものにするという計画があったのだ。もちろん王の嫁、牽いては世継ぎのうまみも捨てがたいが、後継やらの問題の現状を見るにイチかバチかというより最早万が一くらいしか勝率が無かった。

だからこそ、王宮との繋ぎとしては多少我儘すぎるのが目に余るが根っからのお嬢様としてしか教育してこなかった長女を上げようとしたというのに……。

結果、迎えが来る3日ほど前に「真実の愛を知った。探さないでください。」という置手紙とともに長女は失踪。残るは次女と長男、三女だが次女を覗けば女は三女のみ。

しかし、この三女がまだ齢10にも届かぬ幼子でどうしようもなかった。

それから十数年の月日が流れ、突如連絡もなしに娘が帰ってきた。

 

王宮に召し上げられたはずの次女が、男が何度か見たことのある尊き者そっくりの青年を連れて。

 

その尊顔を見た時、不敬にも男は絶叫し、その場で気絶した。

後で妻に聞いたところ、そのまま青年に抱えられてベッドに横たえられたのだと教えられたときは本当に絶望した。

その件の青年は現在このあたり一帯の住民に慕われ、何故かよこされる武装集団を千切っては投げを繰り返しているが……。

男は他の民衆とは違い、一時期王宮に詰めていたこともあるからこそわかる。

 

(なぜあなた様が此処にいらっしゃるのですかああああっオジマンディアス様あああああっ!?)

 

何故か数年前に見た時と姿が変わっていないが、神王と称される彼の事である、きっと極当たり前に何らかの力が働いているのだろう。

この出来事の更に数日後に自称真実の愛に破れてこれまた出戻った長女の姿を見てぶっ倒れることになる。

男の心労はまだ始まったばかりであった。

 




太陽王と主人公の外見について

少々ぶっ飛んだ説明になりますが、主人公は一応余所の神話の神様なので現在の枠組みは人間ではなく神様枠になります。オジマンディアスは、というかオジマンディアスの神性はどっかの神性の説明書きのとこにもありましたが生前神の子として信仰されたから高い神性を獲得できた。らしいので一応生前はちゃんと歳をとっていくという事にしたいと思います。

……ということで現在は主人公は青年姿ですが太陽王自身はあの青年姿からいくらか歳くった姿をしてるってことで。
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