オラリオで暗躍するのは間違っているだろうか 作:チョウハジメ
シン「久しぶりに一人でダンジョンに潜ったな」
ここはダンジョン20階層、今シンは一人で【ミアハ・ファミリア】ナァーザからのクエストをしていた。
【ミアハ・ファミリア】の主神ミアハはデメテル経由で知り合い、今では【ミアハ・ファミリア】が経営している『青の薬舗』のお得意様になっている。
ラウルはフィンからの呼び出しで来れなかった(ラウルからしたら嬉しいかもしれないが……)。
シン「それにしても20階層ってこんなとこ有ったんだな」
シンは20階層の正規ルートから外れた奥深くのルームまで潜っていた。ルームには草の緑と小輪からなる花畑が随所に広がり、至る所に濃緑の
シン「なんかあそこの群晶おかしいような」
そう呟きながらシンは群晶に近寄った。
シン「それにしてもこの石英いいな。もって帰ろ」
シンは群晶を砕いた。
シン「ん?なんだ?この穴」
群晶を砕いたそこから穴が露出した。
シン「え?なにこの石英、復元速くね?まぁ『未開拓領域』かもしれないし行くか」
シンは魔石灯を掲げながら復元が始まる穴に入っていった。
******
シン「次は泉か……」
穴に入り、薄暗い樹の洞窟を歩いたら先には、清冽な蒼い泉があった。大きさは奥行きと横幅、深さともに5mといったところで、池とも呼べる程度のものだ。
シン「それにしてもこの泉、綺麗だな……。ん?なんかあそこに横穴があるような……」
シンは魔石灯で泉の水底を照らした。そして水面上では行き止まりとなっている壁の奥に続く、横穴を見つけた。
シン「おー!なんかリアル『アンチャーテッド』やってるみたい!」
横穴を見つけた事でシンは興奮していた。
シン「行きますか、テレポート」
シンは横穴の入り口に転移した。そして横穴の突き当たりまでまた転移したシンは柔らかい緑光が差し込む真上を仰いだ。
シンは水底を蹴り、一気に浮上する。
シン「ふー、水のベクトル演算難しいんだよな」
そう呟きながらシンは周りを見渡す。周りは先程の樹洞から様変わりした鍾乳洞に似た洞窟だった。黒い岩盤で構成されており、天井や壁から生える石英の光だけは変わらない。
そしてシンは、薄闇が蔓延る道──奥へと伸びる岩盤の通路を見つめた。
シン「さぁ、行くか」
シンは岩盤の通路に入っていった。
通路は石英の光源がほとんどなく、持っている魔石灯の光が頼りだ。
ばらく歩き続けると、細い通路が終わりを迎えた。
出た場所は広いルームがあった。通路と同じく光源が無く、魔石灯の光が細部まで届かない。
シン「こんにちはー、俺を見てる人たち」
???『『『っ!?』』』
シンの言葉を聞いた者たちは一瞬肩を震わせた。そして
ザザザザザザッ!!
瞬時、いくつもの足音が周囲からシンに向けて接近してくる。同時にばさっという複数の羽を打つ音も宙を舞った。
シン「ん?『
シン【天衣無縫】のスキルで数秒先の未来を見て攻撃してくる者の正体を見破った。
蜥蜴人『ルォオオオオオッ!!』
キーンッ!
シンの『反射』に蜥蜴人らしき者の攻撃が当たり、かんだかい音が響いた。
蜥蜴人『グハッ!』
シン「それに武装したモンスター、ね。あっ、あれか。ダンジョンのイレギュラー。前にダンジョンの法則を解析した時に解析出来た数少ない情報の中に『理性を有するモンスター』なんていたよな。もしかしてそれかな?
まぁ、とりあえずこのルーム暗いから」
シンはポケットから
シン「ほーん、思ったより沢山いるな」
ルームには
種族の異なるモンスター達の間で共通しているのは、
シン「あんたら喋れるだろ?お話ししようぜ?」
モンスター達『『『……。』』』
シン「喋らない、か。それならお前ら全員……殺しちまうぜ?」ニヤ
シンはモンスター達に『殺意』を向けた。
蜥蜴人「……分かった。オレっちたちは降参する」
蜥蜴人がシンの前に来て、降参した。途端にシンは殺意をおさめ、周囲から安堵の息が広がる。
シン「おー、本当に喋るんだ。あとさっき嘘だからね」
蜥蜴人「……は?」
シン「さすがに俺もそんなに外道じゃないから」
蜥蜴人「良かった……」
シン「いやー、脅して悪かったね。
それで君たちはどういう存在なの?一応ダンジョンには君たちみたいな存在が居るって事は知ってたんだけど、そこまで詳しくないから教えてくれると幸いだな」
蜥蜴人「とりあえず自己紹介だな。オレっちはリドだ」
シン「名前が有るんだ。俺は最上 シン。」
リド「最上 シン……どっかで聞いた事あるような……」
シン「【一方通行】って言えば分かるかな」
リド「【一方通行】!?前にフェルズのやつから聞いたオラリオ最強の冒険者の!?」
シン「俺まだオッタルと会ったこと無いから最強がどっちから分からないんだけどね。あとフェルズって誰?」
フェルズ「私がフェルズだ」
突如ルームの出入り口から中性的な声が響いた。
シン「へぇー、あんたがフェルズ、ねぇー」
フェルズ「ここからは私が説明しよう」
シン「その前になんであんたは骸骨なの?あんたもモンスター?」
フェルズ「いいや、私はモンスターでは無い。人間、いや
シン「なるほどね。モンスターでは無い、骸骨の容姿、そこから察するに前読んだ本の『賢者の石』を使ったと。そしてあんたは『賢者』様なのかな?」
フェルズ「ほぅ」
シン「それに『フェルズ』のフェルはfell『落ちる』って意味だ。落ちる賢者──『愚者』。いやー、自分で『愚者』と名乗るとは良い趣味してるね」
フェルズ「素晴らしい推理力だな……。そうだ、私は『賢者』と呼ばれた者の成れの果てだ。
後世……現代に伝えられている通り、あの『石』を憎き主神に砕かれた私は、妄執に取り付かれた。無限の知識を求めるあまり永遠の命に執着し、不死の秘法を編み出したものの……この様だ」
あれは私の
フェルズ「秘法の反動で全身の肉は腐り落ち、今ではモンスターより醜悪な存在となった。腹の飢えや喉の渇きを感じることもできない……生きる亡霊だよ、私は。
今は『
シン「それで、なんで元賢者様はここに?」
フェルズ「私はウラノスとリド達『
シン「『オラリオの創設神』ウラノスも関わってるのか。あとその『異端児』ってのを詳しく教えてくれない?」
フェルズ「分かった。我々は彼等を……理知を備えるモンスター達を、そう呼んでいる。
彼等には共通した特徴がある。通常のモンスターより高い知能……知性を有し、何より心を持っている。人類と何ら遜色のない、意志と感情の総体を。
そして理性を宿している『異端児』は通常のモンスターにさせ襲われる。疎外と排斥だ。彼等の居場所は地上にも、ダンジョンにも存在しない」
シン「ふーん、それでウラノスは『異端児』をどうしようとしてるの?」
フェルズ「私たちは人類とモンスターの共存を望んでいる」
シン「共存、ねぇ」
フェルズ「そこで君にも協力してほしい」
シン「まぁ、いいんじゃない?面白そうだし」
フェルズ「!ありがとう!」
シン「それで?他に関わっている人はいるの?」
フェルズ「他には【ガネーシャ・ファミリア】と【ヘルメス・ファミリア】に協力してもらっている」
シン「なるほどね。これからの予定は?」
フェルズ「2月の中旬に『
シン「なるほど。モンスターを身近に置くことで、モンスターの脅威の意識を軟化させ、緩衝材の役割を果たさせようって訳か。
良い案何じゃない?それなら俺からは資金を援助するよ」
フェルズ「それは助かる」
シン「よし、それなら俺は帰ろうかな。暇になったらまたここに来るからねー」
リド「いつでもオレっちは歓迎するぜ!」
シン「了解!皆バイバーイ。テレポート」
シンは地上に転移した
これは2月の初めくらいです