オラリオで暗躍するのは間違っているだろうか   作:チョウハジメ

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閑話 英雄(ヒーロー)とは

突然だがシンはこの異世界に来る前は、普通の学生では無かった。

 

シンの両親は世界屈指の暗殺者である。両親共に日本出身であるが、拠点にしている場所は違った。

父親はアメリカを拠点に活動し、母親はヨーロッパを拠点に活動していた。

父親は体術のスペシャリストで、母親は武器・毒物のスペシャリストだ。

両親の出会いは偶然仕事が重なり、その時に一目惚れだと言っていた。それからとんとん拍子に話が進み、出会ってから半年で結婚。その一年後に子供──最上 シンが生まれた。

両親はシンが幼い頃からあらゆる暗殺技術を叩き込み、自分たちにつぐ暗殺者に育て上げようとした。

シンは技術の吸収が速く、体術・武器に関しては僅か6歳で両親に匹敵する技術を身に付けた。それに世界の言語や歴史、文化などのありとあらゆる莫大な知識を持ち、頭の回転速度や洞察力は大人顔負けなほど優れている。そして人心掌握の術も覚えた。

 

そんなシンは幼くから漫画や小説に出てくる『英雄(ヒーロー)』に憧れていた。色々な漫画や小説を読み、英雄とは何かを追求した。

しかしシンは英雄とは何かを追求していく内に自分では英雄になれない事を察し、他者に英雄の姿を求めた。

だが時が過ぎても自分の求める英雄が現れる事も無く、シンは世界に落胆した。

 

そんなおりに、シンはこの異世界に召還されたのだ。

シンはこの異世界では自分の求める英雄が見つかると思った。しかしこの異世界に来て一年足らずで『偽物の英雄』もしくは『人工の英雄』しかいない事実を理解した。シンの求める『本物の英雄』は存在しなかったのだ。

またしてもシンは世界に落胆した。

 

シンは神々と同じように『本物の英雄』に飢えているのだ。

どんなに犠牲を払おうとも、どんなに巨額の富を捨てようとも、自分の積み重ねてきた名声を捨てようとも、シンは『本物の英雄』を求めているのだ。

シンにとっては冒険者も、神々も、このオラリオも、この世界だろうとも、『本物の英雄』をつくりだす道具でしか無いのだ。

 

 

英雄とは…

自分の志を何があろうとも愚直に信じ、どんな壁でも人々が想像だにしなかった方法で越えていくで英傑ある。

 

英雄とは…

「大を救い、小を捨てる」ような選択肢は最初から持っておらず、「盗人だろうが殺人魔だろうが全ての者を助ける」という選択肢しか考えていない愚者である。

 

英雄とは…

無意識で自分の魅力を他者に魅せ、自然に人々が集まってくる人気者である。

 

 

英雄とは…

『英雄』である。

 

 

 

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