― A W ―   作:sako@AWとか

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アフター・ウォー

深海棲艦との戦いは終結した。

 

 

太平洋、そして祖国日本の喪失という未曾有の被害を出しながら。

 

 

大撤退戦、というものが起ったのだ。

小笠原諸島近海を中心に半径五○○○キロの大穴が開いたのだ。

日本列島は虚空に消え、太平洋そのもの、何億立方メートルもの海水がその大穴に飲み込まれていった。

 

全鎮守府は在籍する艦娘全艦を使用し、失われゆく太平洋から人々を脱出させるべく、最後にして最大の撤退戦を行った。

だが、助かったのは僅かばかり。何百万、何千万という人命が失われ、多くの艦娘も消えた。提督も例外ではなく、辛うじて生き残ったものも己の無力を嘆き、先に逝った艦娘――戦友に申し訳がたたぬと自ら命を絶った。

 

太平洋はなくなり、日本はなくなり、海軍もなくなり、鎮守府もすべて失われた。

 

 

だが、艦娘のすべてが死んだわけではなかった。

生き残った艦娘は市井に散り、人間と同じように暮らし始めた。

 

ある艦娘は長距離バスの運転手となった――かつて豪華客船だった以前の自分に思いをはせながら。

ある艦娘は山岳ゲリラの指揮官となった――鎮守府時代に陸軍出身の提督に教えられた陸(おか)での戦い方を思い出しながら。

ある艦娘は農業を営んでいた――おしゃれな重巡なんて名乗りを忘れ、乾いた大地、照りつける陽光、水不足と戦いながら。

ある艦娘は娼婦となった――だが彼女は語る。兵隊の次に艦娘に似合っているのはそういう職業だと。

ある艦娘は国境警備員となった――索敵能力、連続稼働可能日数、攻撃力、ウチにはお似合いの仕事やと笑いながら脱走者を爆殺する。

ある艦娘はアニメグッズのショップを営んでいた――今は失われた日本の文化の一つ。当局によって禁止されつつあるそれを。

ある艦娘は孤児たちによるサーカス団を作った――アイドル、もう今の自分では出来ないことを子供たちに実現して貰うために

 

 

ある第二段階if改装を経た航空母艦艦娘は未だに戦い続けていた――深海棲艦は滅んでなどいない。否、彼女らを使役した真の敵は未だにいるのだと。

ある高速戦艦艦娘四姉妹はニューヨークを支配した――次は北米、次は世界。艦娘の艦娘による艦娘のための国家の樹立のため。

あるやんごとなき血統を素体として作り出された駆逐艦艦娘……否、完全なる真の艦娘は憂う。自分の産まれた意味、世界の行く末、艦娘とは何かを。

 

ある重巡は偽名を名乗り世界中を旅していた――戦後各地に散った艦娘へインタビューす旅を。

 

 

「どうも帝国ニュースネットワークの記者をしていますウンノといいます。一言お願いします」




pixivに投稿してた戦後艦娘小説です。
こちらにも投稿します。


一話、1万~3万字ぐらいの読み切りタイプ。
ワールドウォーZって小説を読んだときに「これ艦これでやったら面白そう」と思ったのが執筆のきっかけ。
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