カウントダウン
3…2…1…
「フォイヤ」
爆音。衝撃。閃光。
半ば地面に埋まるような形で作られたコンクリート製の部屋の中にいても震動を確かに感じる。サングラス越しでもそうとハッキリと分かるまばゆい光を放ちながら小型ロケットは真っ直に上昇していった。
「スゴい。成功ですね」
「いえ、まだわからないです」
飛んでいったロケットが残す白煙を眺めながら伊号潜水艦8号――ハチは呟いた。
ここは人類発祥の地、アフリカ大陸。北西部。だだっ広い平原のど真ん中にある研究所だ。
研究所といっても試験管や精密機器、科学薬品などが整然と並んでいる、ということはない。むしろ明石の工廠のように混沌としている。乱雑に置かれている金属パーツ。植物の根のように伸びるケーブル類。付箋だらけで横に積み上げられた書類や書籍。恐らく定位置ではない場所に直されている各種工具。長年ここで作業していなければ何が何処にあるのかすぐには分からないだろう。
そんな混雑の体をなしている研究所でハチは働いているそうだ。提督指定のスクール水着は今は脱いでカッターシャツに少し汚れた白衣を羽織っている。ただ、トレードマークの眼鏡は外していない。
ハチはその眼鏡越しにタブレットの画面を見つめている。横から覗きこむとグラフや常時数値が変動する表などがみえた。たった今まさに地球重力を越える勢いで飛び出したロケットの各種パラメーターを表しているのだろう。ロケット工学に全く知識のない私はグラフや数値にどんな意味があるのかわからないが、ハチは「表層温度が高い」「速度は十分」となにやらデータについて所感を口にしている。
「はい。お待たせしました」
十分ほど経ってから、ハチはそう声をかけてきた。
「もう、大丈夫なんですか」
「ええ。取りあえずは大きなエラーが出ない限りは」
ハチはタブレットPCを散らかったデスクの上に置くと私に向き直った。
「じゃあ、インタビューを再開しましょうか」
ハチに促され、折り畳みの椅子に腰かける。ハチも椅子の代わりに書類束が詰め込まれた段ボールに腰を下ろした。
「いやぁ、それにしてもスゴいですね。宇宙ロケットなんて」
まぁね、とハチは紙コップから湯気立ち上るコーヒーに口をつける。私もそれに習う。うん、不味い。研究所の隅に備え付けられたサーバーから抽出したものだが、異様に苦く強烈な酸味を感じる。パパイヤの根コーヒーの方がまだマシに感じられる味だ。
豆が古いのだろう。多分、忘れ去られた倉庫から見つけ出してきたもので、製造年月日は戦前。消費期限も戦前のものだろう。
「ごめんなさい。お客さんにこんなものしか出せなくて」
「あーいえいえ。すいません」
私の表情から心中を読み取られたのだろう。慌てて取り繕うが、いらぬ気づかい或いは不快感を感じさせてしまった。
「戦争の前でしたら、おいしいコーヒーをご馳走できたと思うんですけど」
「おかまいなく」
「でも、もう少し待っててください。コーヒーと言わず紅茶でもジュースでもお酒でも、また、好きなだけ飲めるようになりますから」
そう秘密めいたことをいうハチ。どういうことですか、と私は問い返す。
「最初のインタビューの時、私、青葉さんの質問に答えませんでしたよね。『どうしてロケットを飛ばすんですか』っていう質問に」
「ええ」
私のメモには自分がしたその質問は書いてあったが回答は書かれていなかった。
「ロケットを飛ばす目的がこれです」
「おいしいコーヒーを淹れる事がですか?」
私の回答にハチは小さな声で笑った。
「違います。えっと、おいしいコーヒーを飲むためには何が必要ですか?」
「腕のいいバリスタ、ですか」
また、クスクスと笑うハチ。
「そうですね。カッコいいとなおいいですね」
でも、とハチは眼鏡の向こうの瞳を細める。
「優秀なバリスタがいてもコーヒー豆がなければおいしいコーヒーは飲めませんよね」
ふむ、と私は頷く。燃料がなければ出撃できないのと同じだ。当時は優秀なバリスタもいなかったが。
「で、コーヒー豆も湧いて出るものじゃありません。焙煎して、ミルにかけて…それ以前に」
「コーヒーの木から豆を収穫する必要がありますね」
ヤー、とハチ。コーヒーにも明るくないので他にも行程があるのかもしれないが取り敢えずハチの言いたいところには近づいてきているらしい。
「それはつまり、コーヒーの木を宇宙で育てる、ということですか?」
私の推測を聞いた後、ハチは眼をしばたかせた後、お腹を押さえうつむき、肩を震わせ始めた。
「アハハハ、ち、違いますよ」
声をあげて笑うハチ。すこしムッとしてしまう。
「ああ、ふふふ、あはは。し、失礼しました」
高揚した身体を静めるためかハチはまたコーヒーを飲む。噴き出しはしないかと身構えたがそうはならなかった。
「確かに前世紀、そういう研究は行われていました。来るべき星間航行、他の惑星への移民のために」
不意に出たスケールの大きな話に私は嘆息を漏らすしかできなかった。
私たちがまだ船だった頃、地球の裏側に行くだけでもそれは大冒険だった。艦娘になった頃はもう少し危険度は下がったがそれでもそれなりの大旅行だった。
それが宇宙空間どころか他の星まで? まるでSF……サイエンス・フィクションの世界だ。
「……」
サイエンスフィクション。その単語に私は目眩を覚える。立ちくらみのような感覚。
「どうしました?」
唐突にハチは心配そうに声をかけてきた。
「いえ、大丈夫です。ちょっとした発作です。気にせず続けて貰えますか」
ハチにそう促す。発作。そう。発作だ。私の来歴に由来するちょっとした発作だ。
彼女はええ、と頷いてくれた。
「えっと、そうですね。戦前は人口増加が問題でした」
「ええ」
深海棲艦との戦い以前はそれが世界が抱えていた解決すべき命題だった。当時は七十億の人間が狭い地球にひしめき合っていたのだ。
だが、
「今は逆です。一説には現在の地球の人口は二十億に満たないと」
この数値は太平洋戦争以前の数値です、と補足の説明を入れるハチ。
「ですから移民なんてまだまだ先の話。むしろ今は減ってしまった人口をもとに戻すことが世界の命題です」
ため息をつくハチ。オリョール・クルージングに出掛ける前のような態度だ。
「幸か不幸か、不幸ですね、深海棲艦との戦いと大平洋の喪失が、かつての人口増加の問題をリセットしてくれました」
そういえば深海棲艦の正体は増えすぎた人類を減らすために地球意思が使わした使徒だ、という話を聞いたことがある。そのことをハチに伝えると彼女は小さな子供が何か間違った話を得意げに語るのを聞く教師のような顔をした。
「そうですね。それ以外にも住処を追われた海底人の復讐説や外宇宙からの侵略者説もあります。ですが、明確な証拠は…っと、話が逸れましたね。でも、まぁ、住処を追われたという話も侵略者という話も、新天地を求めると意味では、そう大きく逸れてしまう話題でもありません。私がロケットを飛ばす目的も大本では同じ方向性ですから」
「と、いいますと」
「そうですね。大航海時代、コロンブスやバスコ・ダ・ガマは大きな目的をもって大海原に漕ぎ出しました。太平洋戦争時、私たち帝国も同じく。そうです。必要とする物資を手に入れるために遠征を行ったのです」
「ええと、つまり……」
尻すぼみになる。宇宙にコーヒー豆を採りに行くのかと思ったのだが、流石にそれは荒唐無稽に過ぎる。そこまで行くとサイエンス・フィクションではなくスペース・ファンタジーだ。
「どういうことなんでしょう。宇宙に何を採りに行くっていうんです」
結局、そう素直に問う私。ハチはその言葉が聞きたかったのだろう。ふふふ、と笑った後、今日一番いい声でやっと答えを教えてくれた。
「水です」
けれど、答えはそんなとても簡単なものだった。
「宇宙に水があるんですか?」
「ええ。ほら、ハレー彗星ってご存知でしょう。あれの主な成分は水……正確に言えば氷なんですよ」
えっ、と驚きの声がつい漏れてしまう。
「宇宙を飛ぶ氷ですか。成る程。綺麗なのも頷けますね」
「いえ、実際は不純物だらけで『汚れた雪玉』なんて言われていますけれど」
「はぁ」
現実は時に非常である。
「しかし、水にはかわりありません。そして、その重さはハレー彗星サイズで数兆トンあります。つまり」
言ってハチは立ち上がる。コーヒーが入っていた紙コップを手にそのまま部屋を横断。コーヒーマシンに紙コップをセットし、スイッチを押す。
「こうやって持ち帰ることが出来れば全地球規模の水不足解消に役立てることができます」
湯気のたつ紙コップを私に示すハチ。お代わりはいかが、とハチはついでに聞いてきたが私は首を振るった。
「そうですか。まぁ、話が長くなりましたが私がロケットの研究をしているのはそのためです。地球をもう一度、青い星にしたい。おいしいコーヒーが好きなだけ飲める星に、ですね」
語り終え、コーヒーを、今はまだおいしくないコーヒーに口をつけるハチ。その態度は宇宙に行き、時速何千キロで飛翔する雪玉を回収する任務なんてどうということもない、といっているようだ。かつて彼女のオリジナルは地球を一周し欧州往復の旅をなし遂げたが、この計画も成せば成る、と考えているのだろう。
「いや、すごい計画ですね。本当にSF……サイエンスのフューチャーを感じます」
「ええ、完遂の暁にはおいしいコーヒーを淹れますよ。この辺りは戦前、コーヒーの名産地でしたから」
その成功を祈り、私は握手を求める。紙コップをデスクの上に置いてから、ハチはそれに応じてくれた。
「……そう言えば」
インタビューも終わり、帰り支度をしているとき、はと聞きそびれている事を思い出した。
「すごい設備と技術ですけれど、どこからか資金援助を受けているんですか?」
今日日、生きている人々の殆どは今を生きるのに精一杯で未来の事をまともに考えているのはわずか一握りの人だけだ。それは国家や企業も同じ。今日より明日、そういって一握りの種籾を守る人は驚くほど少ない。
ハチはその中の数少ない人だ。けれど、現実問題、先立つものがなければ未来もなにもないのも事実。かつての宇宙開発は国家主導で行われるような一大事業だった。だとすれば、この雪玉回収計画もハチの独力で資金を賄っているとは思えない。
「えっと、ですね……」
私の質問に対し口ごもるハチ。はてな、と私は疑問符を浮かべる。
「この国の政府か大学の研究機関じゃないんですか?」
相対的な話ではあるが欧米の弱体化にともない南米、アフリカ諸国はむしろ戦前より国力を付けてきている。そのうちの一国が将来の世界制覇のため宇宙開発を推し進めようと考えているのでは、という予測。だが、ハチの曖昧な態度はそれを否定した。
「その…不審に思ったりしないでくださいね」
妙な前置きをし、困ったように眉をハの字に曲げるハチ。
「援助をしてくれてるのは艦娘…BismarckやZ1たちドイツ艦の娘なんですけれど」
「それが?」
ハチは言葉を探すよう、眼鏡の向こうの視線を彷徨わせる。
「その…不審に思ったりしないでくださいね」
同じ台詞をハチは繰り返す。どういうことでしょう、と問いかけるとハチは応える代わりにタブレットPCをなにやら操作し、私に手渡してきた。
画面に映し出されていたのは白黒で解像度の低い写真だった。何が映っているのか、よく分からない。強いていうなら、
「まんじ…マーク?」
カタカナのクを点対称に四つ組み合わせたそれに見えた。
地図記号からも分かるように、卍は仏教のシンボルマークだ。そちら方面には明るくないので意味までは分からないが、タブレットの画面に映し出されているのはどうやら卍の形をした建造物を空撮した写真のようだ。
ハチが口ごもっているのはそれが理由なのだろうか。つまり宗教関係だと。
科学と宗教なんて水と油のような関係だ。科学者のハチはそんな相容れぬ相手から援助を受けているのを恥じた、ということだろうか。
けれど、ハチは私の間違いをすぐに指摘する。
「いえ、まんじとは逆廻りです。卍は左回り、その写真の建物は右回りです」
「ああ」
写真を見たときに覚えたわずかな違和感はそれか。しかし、逆回りといわれ今度は既知感を覚える。
「このマークって」
「はい。ハーケンクロイツ。ドイツ労働者党のシンボルマークです」
ああ、と合点する。どこかで見たことがあると思えばそれだ。ドイツ労働者党――ナチスのシンボルマークだ。
「当時…オリジナルの私がドイツ占領下のフランスにたどり着いた時もこの旗に出迎えられました。あの時、このマークは国旗と同じように扱われ、力強いドイツの象徴でした」
ですが、とハチは言葉を句切る。
「現在、このシンボルマークが公共の場で大々的に掲げられていることはありません。戦時中のナチスの所業故にハーケンクロイツは逆さ十字や数字の13と同じように忌み嫌われるシンボルとして扱われています」
自分の中の感情を御しきれていないのだろう。ハチの語り口調は先ほどの宇宙進出と違い抑揚が付きすぎている感があった。その感情は私も識っている。
「しかし、そのヨーロッパやユダヤの人たちの間ではタブーとされるマークを好んで掲げている団体もあります。ええ、私の宇宙開発の支援団体は極右民族主義的な思想を持ち、人種や性的指向に対し差別的な主張を行うナチス信奉者――いわゆるネオナチなんです」
「ほう」
興味深い話題が出てきた。帰ろうとしていた私の足は再びハチに向き直る。
「繰り返しになりますがアナタの支援者であるビスマルクやレーベは、そのネオナチ団体に所属していると」
「はい」
耳寄りな情報だ。ドイツ艦は絶対数が少なく、このインタビューの旅においても私もほとんど出会ったことがなかった。メモ帳にドイツ艦、ネオナチとメモをする。居場所や団体名など詳しい話を聞きたいところである。が、流石に今すぐにそれを聞くのは失礼だ。先に自分が投げかけた研究資金の出所についての答えを聞かなければならない。
「資金援助は第三帝国つながり、という事でしょうか。旧友のよしみ、といいますか」
「いえ、ああ、いえ。それもあるかも知れませんが」
わずかに言いよどむハチ。はてな、と私は首をかしげる。
「彼女たちが私を支援してくれる理由の大本はその建物なんです」
その、とハチはタブレットPCの画面を指さす。
「彼女たちがいうにはその建物は月にあるそうなんです。地球側からは見えない月の裏側に」
「はいぃ?」
ハチの思わぬ発言に妙なところから声が出てしまう。
「大戦中…第二次世界大戦です。大戦中、ドイツの敗色が濃厚になった頃、ナチス高官は連合の手の及ばない宇宙に逃げるためのロケットを作成。敗戦直前、影武者をたてたヒットラーと共に月面に逃げ延び、そうして、極秘裏に作り上げたのがその建物だと」
「それは…」
コメントに困る話。まるでSF、サイエンスフィクションだ。いや、どちらかといえばファンタジーか。南米に逃げ延びただとか、北極や南極の氷の下の秘密基地に隠れている、なんてゴシップも聞いたことがあるが、それらを超える荒唐無稽な話だ。
「彼女たちの目的はそのナチス残党との接触です。そのために私に宇宙ロケットを作るよういってきているのです」
肩を落とし、大きなため息をつくハチ。
「戦時中、ああ、こっちの戦時中は深海棲艦との戦いという意味です。戦時中、フィンランドの映画監督がまさしくそんな話を映画にしていました。写真はその映画のワンシーンではないかと思うんです」
その映画なら知っている。アイアンスカイだ。面白いエンターテイメント映画だった。
画像の解像度が低いのは違法アップロードされた動画をキャプチャーしたからだろうか。
「つまり、ええ、私の宇宙開発の支援団体はそういう人たちなんです。水不足の解消の必要性も理解してくださっっているし、科学技術発展への興味も高い。資金以外にもいろいろとよくしていただいているのですが…」
言葉尻にいくに従って声を小さくさせていくハチ。自分を援助してくれる相手を悪く言いたくないのだろう。何かいうべきだろうか。気にするな、とか分かります、とか。そう私は考えていたが、続くハチの一言に思考は完全に中断されてしまう。
「ファシスト政権を再び樹立させるなんて危うい目的がどうにも理解できなくて…」
困ったような笑みを浮かべるハチ。同意を求めている。けれど、今の私の精神状態ではそれはとても無理だった。
「海野さん?」
機関部に異常が発生したかのように硬い表情をしている私におずおおずとハチが声をかけてくる。
「あの、その本当にいい人たちなんですよ。いえ、ちょっと排他的ではありますけれど、艦娘に対しても友好的ですし、団体の目的にはあまり同意できませんが、それ以外の部分では私たちは同じ考えを持っています。決して悪い団体じゃないんです。
そ、それに、や、やはり、これだけの施設を維持していくにはどうしたって資金が必要なんです。ですので…」
「あの、いえ、大丈夫です」
はやし立てるハチの言葉を遮る。
私の態度を自分や支援団体に対する過剰な拒否反応と受け取ってしまったのだろう。
「まぁ、こういうご時世ですからね。大丈夫です。きれい事だけじゃ世の中渡っていけないことぐらい分かりますよ。大切なのは目的を果たすことなんですから」
ハチの懸念を払拭するために同意するような言葉を投げかける。いや、事実、私の中の常識はハチの考え方に納得している。
「いわゆるwin=winの関係じゃありませんか。アナタは資金を援助してもらう。ビスマルクさんたちは月に行く。それぞれお互いにお互いの目標を叶えるために力を合わせている、というだけの話ですよ」
私の言葉に納得いったのかいっていないのか、ハチは曖昧に「そうですね」と頷いた。
「ですが、その後が怖いんです。月に行って、月の裏側にロケットを飛ばして何もないという事実をあの人たちが知ったとしたら」
私は、どうなってしまうのか。心にわだかまっている恐ろしさを吐露するハチ。そこには支援してくれる相手を信用しきれない自責の念も含まれているようだった。
それに私は「そうですね」と困ったような顔をしながら返した。
コメントに窮したから。それもある。けれど、本当のところは私もハチと同じ危惧を抱えていたのだ。
いや、正確には真逆。
本当に月の裏側にナチスの秘密基地がある。
そういう危惧。そうして、私はその可能性はある、と思っている。いや、ある可能性が高いことを知っているのだ。
似た例があるのだ。枢軸国政権復活を目論む悪の組織があるのだ。鬱屈した十代の少年の様に鍵十字や反政府運動に憧れるネオナチや極左極右団体、テロ組織の様なチンケなグループなどではない。まるで娯楽映画か三文小説、漫画のように、歴史の闇に葬られることなく、世界の裏側で暗躍する“帝国再建の野望を抱く軍姫”―――1945年の8月15日から活動を開始している連中が実際に、いるのだ。
今では組織の主力の殆どは艦娘に代わっていると聞いたが、日章旗を掲げる私たちの帝国側にもそういう組織があるのだ。総統閣下の第三帝国側にもあると考えるのが妥当だろう。ドイツ艦やイタリア艦の艦娘がいるのが証左に思えてくる。
「いやぁ、まぁ、でも今時ファシズムなんて流行らないですよ」
そんな心中の不安を私は真逆の言葉を冗談めかすことでぼやかす。
そうだ。冗談じゃない。今更、一世紀近く前の勢力を復活させようだなんて。もう一度、第二次世界大戦を、そうして、深海棲艦との戦いをやり直したいというのか。
過去の亡霊である私たち艦娘こそが未来を見据え創造っていくべきでは。宇宙開発に熱意を燃やすハチの姿を見ているとそう思えてならないのだ。
END
元ネタは言わずもがなアイアン・スカイ