女子大生こいし【完結】   作:指ホチキス

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夢と現に関するお話は夢違科学世紀に拠るものです。
最近ハイペース投稿なので、矛盾点や気になった点があったら是非感想欄で聞いてください。私にとっても勉強になる事が多いです。
評価も感想もお待ちしております。私の励みになります。


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アラームの音に、目が覚めた。

寝袋から顔を出せば、心地よい風が頬を撫でる。

重い瞼を上げれば、誰かの姿が目に入った。

 

「ん…」

「おはよう」

 

緑がかった銀髪が見える。

整った輪郭も、微かに浮き出た体のラインも見える。

 

「…うーん」

「蓮子ぉー起きてー」

 

寝返りを打てば、後ろから頬を揉まれた。

 

「セクハラ…」

「セクハラって何?」

 

もっちもっちと頬を揉まれながら、ゆっくりと身を起こす。

こいしの、綺麗な緑の瞳と目が合った。

 

「おはよ…」

「おそよう、寝坊助さん」

「いつ起きたって何処かでは早朝なのよ」

「それを言うと何処かでは夜だけどね。おはよう蓮子」

 

既に起きていたのか、メリーが視界に入る。

どうも仲間外れは私だけのようだ。

寝袋に下半身を突っ込んだまま、大きく伸びをする。

太陽の位置は未だ高くない。アラームから流れた音楽からして、多分9:30ぐらいか。

1時間おきぐらいにアラームがセットしてあり、9:30の最終アラームは特に耳に障る音にしてある。

 

「蓮子すごいよ。アラームが鳴るたびに寝惚けて消すんだから」

「そりゃ誰だって寝ているならそのまま寝ていたいわ?」

「あら、私はそう思わないけどね」

「夢でも起きてるような人間は珍しいの」

 

誰しも寝れば夢を見る。

記憶に残っていないだけで、微かな夢を見るのだ。

夢についての研究は数多いが、結局は何なのかよく分からないままである。

脳の記憶整理とも、記憶の反芻とも言われているが、メリーの夢を知っている私からすれば、そのどれもが見当違いに思えた。

 

「ま、最近は向こうに連れてかれる事も減ったけど」

「その代わり自分から行くようになった、ってね」

 

境界を見る瞳。

瞼を閉じている時は、何処を見ているのだろうか。

無意識に、妙な境界を注視している可能性は否めない。

 

「ハーンはその目に振り回されてるの?」

 

瞳のことを知ってはいるが、メリーの過去を知らないこいしが首を傾げる。

 

「今はそうでも無いよ。昔は酷かったけどね」

「ふーん」

 

昔は酷かった。

私が知っているのは、大学のメリーだけだ。

それより前の事は、あまり聞いたことも聞き出そうともしたことがない。

ただ、大学に入ったばかりのあの頃より酷かった時期があるのなら、それは本当に辛いことだろう。

以前は、“夢と現なんて同じ物”と言っているほど、彼女の中では起きている時と寝ている時の境界が無かったのだ。

 

「で、すっかり目が覚めたんだけど、何するんだっけ?」

「決まってるじゃない」

 

何処からか取り出したフリフリのエプロンをこいしに着せると、パッとメリーが目を輝かせた。

 

「breakfastよ!」

「もうbrunchでしょ」

「はいこれ。トーストとコンポタ」

「私のエプロンは何!?」

 

こいしのエプロン姿を端末で撮ると、何も言わずにコンポタを啜る。

 

「えっ、このエプロンは何…?」

「こいし、はいチーズ」

 

今度はバッチリウインクと目の横にピースを作った。

容姿も相まって反則的可愛さである。

 

「まぁまぁ、服を汚さないためのものと思いなさい」

「こんな可愛いナプキン知らない」

「そんな顔しないの。1足す1は〜?」

 

満面の笑顔の写真データが一つ増えた。

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