確かにスマホだと読みにくいなと思いましてチョチョイと弄って面白い感じに修正してみました。
「じゃ、お風呂借りまーす」
「え?蓮子泊まるの?」
「逆にメリーはこんな時間に年若い乙女を外に追い出すの?」
「……泊まっていきなさい」
「寝巻きはいつもの借りるわね。今日は何色がいいかなあ」
ハーンの下着や寝巻きが収納された小さな箪笥の三段目。
自分専用の寝巻きを漁り始めた蓮子を横目に、ハーンがミルクを啜った。
「酒を辿れって…やっぱりあの結目の事よね」
「あれ黒煉瓦の店主から貰ったんだけど、それ含めて鬼の仕込みだったのかな」
「違うと思うけどね。そもそもこいしがあそこに行ったのって伊吹の…伊吹…」
ハーンが大きく目を見開いた。
「伊吹結香の、提案だった…」
「名前、似てるよね」
「待って、じゃあ伊吹は鬼の関係者って事?」
「知らない。偶然かもしれないし、偶然じゃないかもしれない。でも以前鬼について訊いた時は…」
───何故、私はあの時に伊吹に鬼の事を訊いたのだ。
彼女に初めて出会い、名前を聞いた時。
私は彼女に「鬼って信じる?」と尋ねた。
何故彼女の名前を聞いて、その言葉が出たのだ。
何の意味もなく尋ねるような事ではない。
脈絡も無くそんなことは言わないし、ましてあの時は初対面だ。
───まさか。
まさかあの時、あの瞬間。私は伊吹萃香の存在を知っていた…?
「…こいし?」
「ん、んん…前聞いた時は何も知らなそうな顔してたよ」
「むしろ何でそんな事聞いたのよ。まさかとは思うけど境界暴きの事とか話してないでしょうね」
「全く話してないよ。何で聞いたんだかは思い出せないけど」
「なら、いいんだけどね」
「メリー、私のナイトブラどこしまったー?」
「え、そこにないの?おかしいなあ」
ソファから立ち上がって蓮子と一緒に下着を探し始めたハーンを意識の外に追いやって、考え込む。
伊吹萃香の事を、以前は知っていた。
そう考えれば伊吹結香に鬼の事について尋ねた意味がわかる。
名前が似ていたから、そう尋ねた。
なんの脈絡も無く意味も無く尋ねたよりは、余程現実味がある。
ならば何故忘れている?
そもそも鬼は私の事を知っていた。
かなり親しげで、私の姉についても───
姉?
私に姉なんていただろうか。
「あれー?どこにしまったっけ。蓮子持ち帰ったりしてない?」
「2つ置いてるし絶対1つはあると思うんだけど」
「うーん仕方ない、お風呂入ってていいよ。その間探しとく」
「お願い。まあ最悪ニップレス貼って寝ればいいでしょ」
「えぇ…」
ふと、二人の会話に思考が途切れる。
記憶が定かではない事が判明した。
今は、それだけ覚えておけばいいだろう。
「安心して蓮子、見つからなかった時は私が昔使ってたサラシ巻いてあげる」
「よし、じゃあ安心して風呂に入れるわね!行ってきまーす!」
意気揚々と脱衣所に向かって行った蓮子を見送り、ミルクを啜る。
チョコの甘味が、さっきより苦く口内に残っていた。
───最終的にナイトブラどころかサラシも見つからず、ニップレスすら切れていて。
風呂上りの蓮子は、擦れるのが嫌だからと全裸で寝た。
それでいいのか。