70年目のサクラサク   作:あんだるしあ(活動終了)

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 先に書いたもん勝ちだと誰かが言ったから。


過去編?
Möbius1 2050年の仮面ライダーの昔語り


 私がジクウドライバーを託された理由はシンプルで。

 当時の――西暦2050年のオーマジオウ抵抗戦線において、私が最も出来のいい兵士だった。

 本当に、ただ、それだけ。

 ――その選別基準がそもそも間違ってたことに気づいた時には、あとの祭りってね。

 

 

 

 

 

 2000年(ミレニアム)より前の時代の仮面ライダーたちが戦った“敵”は、総じて異形の怪物だった。私も知識としては知っていた。

 醜く、恐ろしく、血も涙もない、悪の権化。

 仮面ライダーの力は本来、そういった外敵を排除するために行使するのが正しいんだと教わったし、私自身、それが正義だと信じてた。

 

 昭和の世代に戦った仮面ライダーを、私たちの世代では畏敬を込めてこう呼んだ。

 

 グレートダッドライダー。

 偉大にして父なる戦士たち。

 

 彼ら10人の力を全て継承し、その強大な力を以てオーマジオウを斃す。

 それが私に下された任務だった。

 

 まだ量産されていなかったタイムマジーンの一機に搭乗して、西暦1989年に転移するはずだったんだけど、これがまた笑い話でね。マシントラブルを起こしたの。

 笑い話で合ってるよ? オーマジオウと一刻も早く決着をつけるための任務だったのに、焦り過ぎて技師がマシンチェックをミスったんだから、笑う以外に何があるっていうの。

 

 話を戻そうか。

 

 機能がイカれたタイムマジーンのおかげで、私はいくつかの時代にまろび出ては、その時代での人間模様をこの目で見るハメになった。

 

 ある時代では、自分たちが助かるためだけに、改心してくれた怪人を敵怪人に引き渡した連中を見た。

 その怪人は悪事の償いのため、当代の仮面ライダーを匿って、蘇生措置を施したっていうのにね。最期に「ライダー。海を守ってくれ」と訴えて、敵怪人に見せしめに殺された。

 その怪人の生き様は、誰が何と言おうと、涙するほどに尊かった。

 

 また別の時代では、決戦兵器の怪人を前に、幼い息子と娘を逃がすため、命をかなぐり捨てて怪人を足止めして殺された父親と母親がいた。

 両親の死を、まだアンタたちくらいの子供たちが直視して、それでも兄さんは妹を守るために涙を我慢して当時の仮面ライダーのもとまで走った。

 

 そんないくつもの光景を回り道だと決めつけてじれったさを感じた日もあった。

 今にして思えば、“そんな光景”こそが私に欠けていたものだったのにね。

 

 グレートライダーたちの力さえ継承すればいいんだと思い込んで、視野狭窄になって、心の余裕を失っていた。

 

 ん? ああ、継承の儀はちゃんと受けたよ。でなきゃこうしてこの時代に戻ってきてないってば。

 レジェンド(平成)ライダーにはできなくて、グレート(昭和)ライダーたちにはできる儀式――ライダーシンドロームによってね。

 

 10人のグレートダッドが一堂に会す日は、1989年9月20日しかなかった。

 やっとその座標、その現場に転移できた時に、私がした注文といったらそれはもう理不尽だった。

 

 何て言ったかって?

 

 

 その場の仮面ライダー全員のエネルギーを全て私に託してほしい。

 アナタ方という仮面ライダーが歴史から消えるのは承知の上で、2050年を救うためにアナタ方の力を譲渡してほしい。

 

 

 “空白の10年間”くらいはアンタたちも知ってるでしょう? 実はあれ、グレートダッドたちの力を全て私が奪ったから、次の仮面ライダー……クウガが現れるまで守護者が誰もいなくなったからなの。

 その10年間は、仮面ライダーとはまた別の守護者(ヒーロー)たちが地球の平和のために戦ってくれたからよかったものの……今になって思い返せば、やっぱり胸が塞ぐよ。

 

 私が任務のために時空転移したのは16歳だったっけ。

 2050年に帰投した私は、すぐさまオーマジオウとの決戦に備えて“調整”を受けて、オーマジオウとの一騎討ちに臨んだ。

 

 どっちが勝ったかは、今もオーマジオウが君臨している時点でお察しでしょう?

 私はオーマジオウに負けた。当然のごとくね。

 

 オーマジオウは、無様に地面に転がる私に向けて、私の敗因が何だったかをご丁寧に教えてくれたよ。

 

 

“10の力を持つ一人より、一の力を持つ10人のほうが強い。そんなことも分からず、強大な力を一人に集約しただけで挑んだ貴様らの傲慢が敗因だ”

 

 

 いやはや、まったくごもっとも。耳に痛い指摘だったね。

 

 私がグレートダッドたちから継いだ技や能力は、個々としては優れていたけど、10の力を一人掴んだだけで舞い上がった私に非があった。

 

 初戦で完膚なきまでに負けた私がこうして生き恥を晒しているのは、私が死んだら昭和時代を戦い抜いたグレートライダーの力までオーマジオウに渡してしまうから。

 そうなったらオーマジオウは本当に手の付けられないバケモノになる。

 

 幸いにしてグレートライダー10人の力は、ライドウォッチでなくジクウドライバーに宿っている。このドライバーを死守するか壊すかすれば、オーマジオウはグレートダッドたちの力を手に入れられない。

 

 ただ力のみを継承した、思い上がりの末路がこの私。明光院ミトって女さ。反面教師にしなさい。

 

 この先、アンタがレジェンドライダーの力を継ぐ時が来るでしょう。その時、相手のレジェンドライダーの意志を決して蔑ろにしちゃいけない。

 

 いいね? ゲイツ。ツクヨミ。血の繋がりはなくても、私にとっては大事な我が子たち。




 まだたった2話しか放映されていないのに勝手に過去捏造した上、昭和ライダーに失礼甚だしい展開にしました。
 投石はお一人様お一つまででお願い致しますm(_ _"m)

 ミトが例に挙げたのは、一つ目は仮面ライダーBLACK、二つ目はBLACK RXの終盤にあったEPを参考にしました。
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