70年目のサクラサク   作:あんだるしあ(活動終了)

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 リアタイの話。
 飛流君改心回の制作求む。あれは、酷い。


Syndrome87 ジュピターS1より入電

 今日も変わらず、私は日本史Aの授業をつつがなく終えて、職員室に帰ってきました。その前は一コマ挟んで日本史Bでした。

 ここのとこ仮面ライダー関係で授業に穴を空けることが多かったので、普段の4割増し忙しいこの頃です。

 いえ、振り替え授業をすることは自業自得なのでいいのです。振り替え授業になることは事前に生徒にお知らせしてますが、それでも普段通りの教科書で登校した生徒がゼロではありませんから、私の都合で割を食わせて生徒にすまなく思うのです。

 

 プルルルル。プルルルル。

 

「もしもし。光ヶ森高校です」

《1年G組担任の織部先生と話したいんだが》

 

 この声は、もしかして。

 

「私が織部です。……門矢士さんですか?」

《よく俺だと分かったな》

 

 保護者面談で話したあとでしたら、ある程度はどの生徒の保護者さんか覚えるという特技がある織部美都、今年で教職5年目です。

 

《まあいい。今日、妹は休みだ。体調を崩したから、俺のほうで面倒見る》

「小夜さんが、ですか。――分かりました。ゆっくり休んで治してください」

 

 私もそう鈍くはないつもりです。小夜さんは実際に私の前で倒れたんです。あれが特別な症状なのは承知しています。そして、少なくとも士さんのほうが、私やお父さんより正確に処置できるでしょう。

 

「お大事に。士さんもご無理はなさいませんよう」

《ああ。それじゃ》

 

 電話が相手側から切られました。私は受話器を固定電話に戻しました。

 

 次の授業までに、少しでもデスクワークを減らしておきましょう。机に積まれたプリントや郵便物をチェックします。

 FAXは、全て教材案内ですね。あとから見ても大丈夫、と。郵便はひのふのみの……あれ? 一つだけ、消印どころか切手もない封筒があります。「織部美都様」とあるので私宛てなのでしょうが。裏返して差出人を読むと――懐かしい名前でした。“おじさま方”の一人です。

 

 力を加減して封を破かず開けて、中身をざっと拝読。

 

 

 ――――どうしましょう。

 大変なことが、いっぱい書いてあります。

 

 

 ここが職員室でなければ、私は大声を上げていたでしょう。いえ、内心では今からでも叫びたいくらいパニクってるんですがっ。

 

 一人あたふたしていた私の頭に、昨夜の出来事が蘇りました。もうすぐ世界が終わる、と藤ヶ崎さんに語った“常連さん”――

 

 

 窓の外を、炎が走った。

 

 

 気づいた何人かの先生方と一緒に、私も外向きの窓に大股で歩いて行って、炎の正体を見ました。

 隕石、でした。燃えながら徐々に落下して、山に激突、めり込んで止まりました。

 

 現実離れしたシーンはたくさん見たのに、ショックを受けている私がいる。

 

 ――行かなきゃ。

 

 窓際に集まった先生たちに背中を向けて、自分のデスクからショルダーバッグを回収。例の手紙もバッグの中に入れます。

 職員室を出る前に、自分の名札欄に「休」の赤いマグネットを貼って、いざ現場に急行です。

 

 

 

 

 

 アナザーキバとの戦闘中に落下した隕石を追って、俺とソウゴは落下地点となった山に急いだ。

 

 現場は酷い有様だった。隕石の衝撃が山肌を半ば削ぎ落として、あちこちで火の手が上がっている。人がいなかったのが不幸中の幸いか。

 

 駆けつけたのは俺たちだけじゃなかった。ツクヨミとウォズ、果てはタイムジャッカーのウールとオーラまで。

 全員が、この隕石が只ならぬモノだと感じている。

 

「――生きてる」

 

 隕石が内側から割れた。

 内側には、二足歩行のヒト型の“何か”がいた。

 

『仮面ライダー――ギンガ』

 

 仮面ライダー、だと? ギンガなんてライダー、俺は見たことも聞いたこともない。シノビやクイズ、キカイのように異なる歴史の未来ライダーか?

 

 仮面ライダーギンガは浮遊を保ったままゆっくりと着地すると、両手で象った極彩色のエネルギーボールを俺たちに放った。

 

 連続爆発。

 熱気と衝撃波で、その場にいた者全員がまとめて吹き飛ばされた。

 

 とっさに変身するだけの隙がなかった。いや、変身できていても、ダメージは大差なかったか。規格外の破壊力だ。

 

『静まれ!』

 

 高い位置の岩で、アナザーキバが仁王立ちしている。

 

『私はこの世を統べる唯一の法律』

『私は宇宙のモノ。この地球(せかい)の法は通用しない。全宇宙を束ねる絶対の法はただ一つ』

 

 ギンガは両手で極彩色のエネルギーボールを形成し、それをアナザーキバに無造作に放った。

 

『うああああああああ!?』

「祐子さん!?」

 

 アナザーキバの下へ走ろうとしたソウゴを強引に引っ張り戻した。

 他者の心配はソウゴの美徳だが、今はお前だって絶体絶命なんだぞ。

 

 ソウゴはジオウウォッチとトリニティウォッチを両手で取り出した。

 

「みんな、行くよ! 変身!」

《 ZI-O  “Trinity” 》

 

 いや待て緊急事態だしトリニティウォッチ使用は妥当だがせめて変身前に俺たちに許可を取れ! 割と気分悪いんだぞ合体前の変形!

 

《 ZI-O・GEIZ・WOZ  カメンライダー  ZI-O “Trinity” 》

 

 文句を連ねようが結局はこうなるわけかっ!

 

『全てのモノは滅びゆく』

 

 ひとまずの主導権はソウゴが握った。ジオウ・トリニティはギンガに向かって走った。

 右ストレート。アッパー、ストレート、スピン、ラッシュ。次々と打撃をくり出すが、どれもギンガに入る前に不可視のクッションに阻まれた。

 

 ギンガは返す手で、同じ不可視のショックをジオウ・トリニティのどてっ腹に叩き込み、こちらを大きく後退させた。

 

 トリニティアーマー最大の短所が、これだ。攻撃を受けた時、俺とソウゴとウォズの3人ともが同時にダメージを食らう。

 動かしてる人間が3人いようが、痛みは分散されないし、主導権を握った一人のみが傷つくでもない。要はハイリターンハイリスクなのだ。

 

 だとしても、ギンガの防御は異様だ。物理的に止められた、あるいは弾き返された手応えじゃなかった。一瞬だけ泥沼に手足を掴み取られて抜けなくなる、そんな得体の知れない感触だ。

 

 思い浮かぶ反撃は二手。リバイブ・疾風で加速してギンガの謎防御を掻い潜る。ジオウⅡのサイキョーギレードで謎防御をぶった斬って諸共本体も両断。――トリニティアーマーなら後者の一手のほうが有効、か?

 

『それが唯一絶対の法!』

 

 っ、まずい! 来る、あの極彩色のエネルギーボール……!

 

 真っ先に動いたのは、ジオウ。

 

『かっとばせーっ!』

 

 ジオウがサイキョーギレードを左脇に撓めて構え、エネルギーボールを刀身で受けた。

 受けた上で、まるで野球バッドみたく、エネルギーボールを右上に向けて勢いのまま()()()()

 エネルギーボールは虚空で派手に爆発した。

 

『っしゃあ! 上手く行った!』

『さすがは我が魔王。しかし根本の解決になっていない』

『うん、知ってる! あとウォズのそーゆーズケズケした言い方、割と好き!』

 

 軽くヤケ入ってるな、ソウゴ。そして場を選んで発言しろ。いや断じて、俺には言ったことないくせに、とか思ったわけではなくだな!?

 

 

 パッパー!! プアーーーーー!!

 

 

 ……クラクション?

 

 首を傾げた直後、一台の軽自動車が現場に飛び込んでドリフトブレーキ。

 

「皆さん!!」

 

 なっ――んで、よりによって未知の強敵との交戦中に、先生が来るんだ!!

 

「そのライダーのエネルギー源は太陽光です! 日の差さない土の下深くに閉じ込めてください!!」

 

 何故かを問う余裕はない。勝ち筋が無い現状、蜘蛛の糸でも縋るしかない。

 

『ソウゴ!! トリニティを解除しろ!』

『何するつもり!?』

『説明はあとでする! 急げ!』

『――よし。頼んだからな、ゲイツ!』

 

 ジオウ・トリニティと分離した俺は、自分のタイムマジーンを呼んで、ゲンムウォッチをバックルにセットした。

 

《 アーマー・タイム  GENMU 》

 

 ゲンムアーマーに換装して、飛んできたタイムマジーンにジャンプして乗り込んだ。

 

 ゲンムアーマーでの搭乗時、タイムマジーンに追加装備されるスキル“ドカンゲート”を発動。狙いは仮面ライダーギンガの頭上と足下。

 

『消えろぉッ!』

 

 上下から現れたドカンゲートの中にギンガを閉じ込めて、この山の土中深くへ転送。

 ゲートを消すと、ギンガは姿を消していた。

 

 コクピットの中で一人、長く息を吐いた。どうにかワープ成功だ。今思いつく手はこれくらいしかない。

 

 俺はタイムマジーンを降りて変身を解除した。

 

 ソウゴもウォズも同じく変身解除済み。

 先生は、煤で汚れたツクヨミを助け起こしながら、溜息をついている。

 ――聞かせてもらわないといけない。あの仮面ライダーギンガをなぜ知っていたか。

 

「ツクヨミ! 大丈夫!?」

「なんとか無事……ソウゴは?」

「ギリギリアウトって感じ。はぁ~」

 

 ソウゴもウォズも肩の力が抜けたと言わんばかりにその場にへたり込んだ。俺も仲間入りしたわけだが。

 

「ところで美都せんせー、何で知ってたの? あのギンガとかいうライダーのこと」

「教えてくださった方がいたんです。その方が調べた限りでも、仮面ライダーギンガは正体不明で、分かるのはスペックだけってことでしたけど」

「え、だれだれっ?」

「沖一也さん。仮面ライダースーパー1だった方です」

 

 本人が来なくてよかった。俺は心からそう思った。南光太郎と神敬介でその手のショックはたらふく浴びたから、これ以上は勘弁してほしいのだ。

 

「手紙が届いたのは本当についさっきでした。ギンガの設計や搭載機能について詳しく書いてありました。太陽光を遮ると一時停止するというのも、沖のおじさまの手紙に書いてあったことです」

 

 先生はショルダーバッグから無地の便箋を取り出した。確かに差出人に「沖一也」と手書きしてある。

 

「ねえ、ウォズ。スーパー1っていつの仮面ライダー?」

「西暦1980年。今から39年前に闘っていた、昭和(グレートダッド)ライダーの一角だ。Xの神敬介よりあと、BLACKとRXの南光太郎よりはだいぶ前だね。ライダー史では“宇宙ライダーの祖”と語られることもある」

 

 スーパー1はもともと惑星開発用のサイボーグとして誕生した。その技術が当時の暗黒結社ドグマに目をつけられ、緊急避難的に仮面ライダーに変身し、使命を帯びた。少なくともミトさんはそう言っていた。

 

「沖のおじさまも……南のおじさまや神のおじさまと同じ、父と私を援助してくださったお一人です。今は遠くにいますが、その“遠く”から届いた一報です。何が何でも伝えなくちゃ、って」

 

 そこまで言って、先生の(おもて)が低温を呈した。

 

「君たちはもちろん、タイムジャッカーの皆さんにも」

 

 ツクヨミと先生を背中に庇ったソウゴ、身構えた俺とウォズ。

 

 誰あらぬ先生の車の陰から、最初からいたウールとオーラに加えて、スウォルツまでもが現れた。

 

「あえて詳細を語らない言い回しだとは思ったが、確信犯か。王母織部ともなると魔性も格が違う」

 

 ニヒルに笑うスウォルツ。

 確かこういう時、3Gのクラスメート連中は何て言えといったんだったか――思い出した。「殴りたい、この笑顔」だ。

 

「それで? 我々とも情報共有すべきだというようなことを言った気がするが、狙いは何だ?」

「狙いというほど邪な腹積もりはありません。――そちらにはウール君とオーラさんがいます。見た限りですが、どちらも未成年ですよね? 日頃教えている生徒たちと同じ年頃の子たちが危険だと分かっていて見過ごせるほど、私は身贔屓じゃないんです。情報共有の理由なんてそれだけです」

 

 俺たちのみならずタイムジャッカーたちも呆気に取られる中で、先生は平然と「読み上げます」と前置きして手紙を音読した。授業中に教科書を読む時と大差ないトーンだ。

 

「――、以上です。質問があっても私には、ここに書いてある以外のことはお答えできません。そこは、すみません」




 スーパー1の視聴と裏取りに時間を取られて遅れました。どうも、あんだるしあです。
 ご本人様登場も考えたのですが、わちゃわちゃするので中止しました。あくまでこのお話は「初恋」がテーマですからね。タイトルで匂わす程度に留めました。

 そして同志諸兄、おわかりいただけただろうか?
 オーラは前回、小夜の絆創膏パワー(?)で顔の傷が治っています。よって、ゲイツ視点の始まりでのアナザーキバとの交戦で、オーラが登場した描写はありません。
 バタフライがエフェクトの仕事を始めました(`ФωФ') カッ
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