70年目のサクラサク   作:あんだるしあ(活動終了)

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 短いですがこれにてキバ編を畳みます。
 これ以上やりたいことを詰め込んだら終わらないと判断しました。


Syndrome90 おれはきみにどれくらいの罪を問おう? ②

 私とウォズさんが、湖畔のチャペルに到着した時には、すでに戦端が開かれていました。

 

「ウォズ! 先生! こっちよ!」

「ツクヨミさんっ。ソウゴ君とゲイツ君は?」

「ゲイツはアナザーキバの手下の怪物たちと戦ってる。ソウゴは……北島祐子を追ったわ」

「ゲイツ君の援護には私が行こう。王母には」

「ソウゴ君ですね。任せてください。ツクヨミさん、一緒に来てくれますか?」

「もちろん」

 

 素早く分担を決めた私たちはすぐさま別行動を開始しました。

 

 チャペルに乗り込んで、逃げ惑う人波に逆らって、聖堂に出たところで、見つけました! 新郎新婦に襲いかかろうとしているアナザーキバと、それを食い止めたジオウです。

 

『祐子さん、やめてくれッ!』

『…オマエは有罪だ…有罪……有罪…』

 

 床に尻餅を突いて、ウェディングドレスのせいで上手く立てない新婦。何とか助け起こそうとする新郎。

 そんな二人にツクヨミさんが駆け寄って、新婦を助け起こして、彼らに逃げるように言いました。新郎新婦は一目散に走っていきました。

 

 ジオウがライドウォッチを取り出した。

 今までに見たことがないデザイン。ソウゴ君、すでに仮面ライダーキバのライドウォッチを入手してたんです?

 

 ジオウはキバウォッチのガワを回して、リューズを押す寸で、指を止めた。手は、震えていました。

 

「何してるのよ! 迷ってる場合じゃないでしょ! アンタの気持ちはその程度のものだったの!?」

 

 ツクヨミさん、ナイスエール。光ヶ森高在学中なら内申点が右肩上がりでした。

 

 ジオウは力強くキバウォッチのリューズを押して、ジクウドライバーの左側に装填して、バックルを逆時計回りに回しました。

 

《 アーマー・タイム  KIVA 》

 

 それは、今までに見たアーマーに比べればシンプルな装甲。特徴的なのは右足がバラ色の蝙蝠をデザインしてる点でしょうか。

 

『止めてみせる。これ以上、あなたが罪を重ねることのないように!』

 

 ――そうです。それでいいんです。

 さあ、常磐君。

 彼女に、()()()()()()()()()()()()()()

 

《 フィニッシュ・タイム  Wake up  タイム・ブレーク 》

 

 ほぼ水平に蹴り上げたジオウの右足の踵で、バラ色の蝙蝠の翼が開いた。

 ジオウはその態勢のまま、左足だけでジャンプして。

 

『どぉッ――りゃああああああッッ!!』

 

 アナザーキバに右足で踵落としを決めた。

 

 大理石の床がエンブレム状に陥没する威力の踵落としでした。

 当然ですが直撃したアナザーキバには大ダメージ。アナザーキバの変身は解けて、排出されたアナザーキバウォッチも砕け散りました。

 

 赤いドレスを着た北島さんが、講壇の段差に転げて倒れた。

 

 ……そういうこと、でしたか。

 北島祐子は自分の“嘘”を本気で信じる“病人”。それを踏まえて事件を再検証して、ようやく真実が見えた。

 

 アナザーキバは一度、地球に飛来したばかりの仮面ライダーギンガからエナジープラネット砲をまともに食らいました。傍目にもあれは相当なダメージでしたが、その後に接触した彼女はぴんしゃんしてました。

 

 加えて、今着ている、赤いドレス。

 ――ドレスの赤は、出血を紛らわすため。

 

 「なかったことにする」という“嘘”の陥穽に落ちた北島さんは、苦痛を感じてはいてもそうと理解できなかった。

 もう彼女自身、自分の言うこと思うことのどれが嘘でどれが真実か、区別がつかないのかもしれない。

 

 ソウゴ君が変身を解除して、倒れた北島さんを抱き起こしました。

 

「祐子さん」

「……お前は変わらないな、ソウゴ。小さな頃から泣き虫のまま……居場所がない者同士、惹かれる部分があったのかもしれない」

「! 俺のこと、覚えて……」

 

 最善を尽くした結果が最悪だったとしても、受け止めなければいけない時はあります。

 問題が恋ならなおのこと、当事者の男女が運命を決すべきです。

 

 このままなりゆきを見守って、結果的に北島祐子の死を看取るとしても、私の覚悟は完了しています。

 だから――今回だけは、ソウゴ君に全てを委ねます。

 

「居場所がないなら俺が作る」

 

 ソウゴ君は北島さんの手を取って、笑いかけました。

 

「あなたを俺の王室の、法務大臣に任命する!」

 

 ……、……。やられた。

 

 これは予想外です。ええ、ええ、嬉しい予想外。絵に描いたようなハッピーサプライズ。

 

 ああもう、君を悲劇的結末へ後押しするんだって震え出しそうだったのに、こんなエンディング、もう笑うしかないですよ。

 

「祐子さんは、冤罪に泣く人を無くすために正しい法を制定するって言った。本当なら大歓迎だし、“嘘”なら、俺が王様になった時に“嘘”でなくしてみせるから」

 

 参りました。それと、よくぞ言いました。

 

 私はスマホを出して、119番をタップ。まずはパトカーより救急車を呼ばせていただきます。傍目にも北島さんは大ケガですからね。

 

 ここで死んでおしまいなんて、認めてあげません。生きていないと償いも何もありません。

 北島さんは田上さんの最初の恋人と、裁判に関わった人たち、合わせて4つもの命を奪ったんです(後者は現行法で罪に問えない可能性大ですが)。

 今度こそ服役して身綺麗にしてから、将来“王様”になったソウゴ君の下で、立派に法の番人をやってください。

 

 

 

 

 

 その後、北島祐子は重傷につき、刑務所ではなく病院行き。快復次第、再逮捕が決まったとニュースで報じられました。

 これ以降は司法機関の管轄です。私たちの誰にも手を出せません。

 

 ソウゴ君は入院した北島さんに会いたがりましたが、面会謝絶につきしょんぼりとクジゴジ堂に帰ってきたそうです。

 それでも法務大臣登用を諦めてないのですから、私は複雑な心境で苦笑しました。

 

 

 ――ごたごたが片付いたタイミングを見計らったかのように、私にもう一つのニュースが入りました。

 職場に電話連絡という形で。

 門矢士さんから。

 

 

 妹の小夜さんが()調()()()()()から、彼女を休学させたい。

 

 

 ――これが、一つの大きな流れの呼び水であることを、私も、士さんも、まだ誰も知らない。




 リアタイの話。
 ウール~~~~!!!!(ノД`)・゜・。
 そりゃねえよオーラさん! ウールは君のことを当然のように連れて逃げてあげて、一緒に行動するのもやめなかったじゃないか! あんまりだよぉ…(T_T)
 せっかくのパラドクスロイミュード登場に感動する暇すらなかった! うわあああん!(´Д⊂ヽ

 余談ですが、アナザーの変身者が女性でも容赦なく凹るシナリオが多くなって、男女の概念と価値観が時代によって変わりつつあるのかも、と神妙に考えてみたり。

 追伸。
 作者は劇場版未視聴につき、TV本編のみで本作を書くことにしました。
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