70年目のサクラサク   作:あんだるしあ(活動終了)

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 短くまとめました。


Syndrome100 命短し恋するオトメ ②

 2017年11月5日。モールイマジンが大澄ヒロユキを介して跳んだ過去に、俺たちもタイムマジーンで不時着した。道中はウォズとモモタロスが同乗したため非常にパニックした道行きだったが割愛する。

 

 遠藤サユリが入院している病院に行くと、予想外の光景に出くわした。

 

 医者も看護師も患者も、我先にと院内から飛び出しては逃げ去っていくのだ。

 

 モモタロスが勇んで、逃げる一人に「どうした!?」と聞いたが、その相手は「ここにも怪物が!」と悲鳴を上げて逃げ去ってしまった。

 

「ここにも、ということは、中にもイマジンやアナザー電王がいるね」

『確かに臭うぜ。イマジンのニオイだ』

 

 これまた勇んで院内に突入したモモタロスに待ったをかける。何せこいつもイマジンだ。目立ちすぎる。よけいな混乱を招きかねない。

 

『だったら~!』

 

 モモタロス憑依を察知した俺は、隣にいたウォズを引っ張って盾にした。

 モモタロスはウォズに憑依した。よし、俺の身の潔白はこれで守れた。

 憑依後にウォズの口調ががらりと変わったことはノーコメントで。

 

 

 俺とウォズ(inモモタロス)で病院の中に駆け込んだ。憑依されたウォズがハイエナのごとくモールイマジンを目指して走ってくれたおかげで道中は案内要らずだ。

 

 俺が追いついた時には、ウォズはすでに仮面ライダーウォズ・ギンガファイナリーに変身して、モールイマジンと交戦していた。

 

 ……加勢すべきなんだろうが、モモタロスの猪突猛進ぶりを見ていると別に助けは要らないのでは? と、どうしても思ってしまったが。

 

 それに、ウォズがモールイマジンを引きつけている今であれば、俺はアナザー電王に集中できる。

 

 まさに遠藤サユリの病室前にいたアナザー電王を認めて、俺はダッシュしてから跳び蹴りを見舞ってやった。

 

「お前の相手は俺だ」

《 ライダー・タイム  カメンライダー  GEIZ 》《 “リバイブ” 剛烈 》

「変身!」

 

 ゲイツ・リバイブへの変身を完了次第、俺はアナザー電王を蹴飛ばし、背負い投げの要領で渡り廊下の窓から外へ突き落した。

 そして、俺も割れた窓から病院の芝生広場に飛び降りた。

 

 

 

 

 そこからは俺とアナザー電王でがむしゃらな取っ組み合いだ。

 

『俺にはお前なんかに構ってる暇はないんだ!!』

『知ったことか!!』

 

 こうしている間にも、大澄ヒロユキが遠藤サユリを外出させるタイミングが来るだろう。そっちは全面的に、あとから合流するソウゴに任せる。

 俺とウォズの役目はあくまでモールイマジン及びアナザー電王の足止めだ。

 

 リバイブウォッチの砂時計を逆転。疾風モードにアーマーチェンジ。

 

 まさに場外に出ようとしたアナザー電王の前に立ちはだかり、ジカンジャックローで敵の胸板を抉って後退させた。

 このままチャージ連打でトドメだ!

 

 クローから放った衝撃波は、しかし、空から飛来したデンライナーの車体に遮られて、アナザー電王に届くことはなかった。

 

『何だと!?』

 

 アナザー電王は傷口を押さえながら後退し、ジャンプしてデンライナーに飛び乗った。

 デンライナーごと敵は一息で消え去ってしまった。

 

 

 

 

 

 俺が遠藤サユリの病室に顔を出すと、ウォズとモモタロスもいた。お互い取り逃がしたらしい。

 

 だが、今はソウゴもいる。過去の遠藤タクヤに事情を説明して、説得している。実直に、真摯に。

 

 最初は激した遠藤タクヤも、ソウゴの話を聞いて事情を呑み込んでいった。

 

「止めてくれ。未来の俺を!」

「分かった」

 

 ソウゴは頼もしい笑みを刷いて、大仕事を請け負った。

 

『お前、なかなかイイ奴だな』

 

 モモタロスのストレートな誉め言葉に、ソウゴは「えへへ」と表情をだらしなくした。

 

 幸運にもウォズが見つけた遠藤サユリと大澄ヒロユキのツーショット写真のおかげで、二人の行き先は特定できた。ならば俺たちは急行するだけだ。

 

 ソウゴやウォズに続いて病室を出たところで、ふと、疑問が頭をもたげた。

 

 

 遠藤サユリは、遺していく弟と恋人が、自分の最期の願いのせいで不仲になることを、少しも想像しなかったのか?

 それとも、承知の上で、大澄ユキヒロとの束の間の逢瀬を選んだのか?

 

 

 ――ふいに、先生の、3月31日までの行動が想い起された。

 

 あの時点で先生は「織部美都は2019年中に死ぬ」と気づいていた。

 気づいて、俺やソウゴに言わなかった。普通に泣いて笑っていた。死期を知った悲壮感なんてみじんも気取らせなかった。

 

 死を前にして、自分より他人を優先した。それ自体は賛美されるべき徳なんだろう。

 けれども、よくよく思えばひどく寒々しくないか?

 

 遠藤サユリみたいに近しい者にワガママを言うほうが、まだ理解できる。だってそれは血の通った人間らしい考え方で……

 

 ――ちがう。

 

 そうじゃない。同じだ。先生だって遠藤サユリと何も変わらない。

 命を使い果たしてでも貫きたい、本気の“何か”がある。それが内に向かうものか外に向かうものかの差でしかない。

 

 ようやく分かったかもしれない。

 

 なあ、ミトさん。途方もない熱量を秘めた生き物なんだな。――女、って。

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