70年目のサクラサク   作:あんだるしあ(活動終了)

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 ただいま必死で平成ライダーシリーズを追いかけ視聴中。


Syndrome4 聖都大学附属病院へ ①

 小和田君が意識を失った次の日。

 職員会議の結果、全校で抜き打ちの持ち物検査が行われることが決まりました。

 

 全校生徒の一時限目の授業を潰して、クラス主任と副主任の教員が二人で生徒に鞄と机の中身を全て出させる。その中に例のゲーム機があれば問答無用で没シュート。返却期限は未定。

 表向きは、ゲーム内容に視覚・聴覚的に有害な波長が見られるため、病院から申し送りがあったということで。

 

 そして、決行の朝――と、なるはずだった。

 

 校舎の裏門から自家用車で出勤した私は、職員用の通用口に救急車が横付けされているのを目撃してしまった。

 私は急いで車を駐車場に停めてから、走って生徒の人垣を掻き分けた。

 

 担架に横たえられて搬送されようとしているのは、生活指導の笠間先生だった。小和田君とは別の生徒から、例のゲーム機を没収した先生。

 

 救命士に事情を聞かれているのは、常磐君です。きっと常磐君が倒れた笠間先生の第一発見者だったんでしょうね。

 

 笠間先生を収容した救急車が、学校を出て行った。

 先生方が生徒たちに校舎の中に戻るように声を張っている。それを受けて生徒たちがぱらぱらとこの場から離れていく。

 

 私は急いで常磐君に事情を聞くべく、彼に歩み寄ったのだけど、その私より早く常磐君に声をかけた人がいた。

 

 ファッションセンスが現代とは異なる男性が一人。

 彼はハードカバー製本を片手に、常磐君の顔を至近距離から覗き込んだ。

 

「やあ、我が魔王。元気そうで何よりだ」

「また出た! いま君に構ってる場合じゃないんだっ」

 

 本を持つ男性は、常磐君の不機嫌に気づいていないのか、分かっていてのスタンスなのか。

 ふいに本の男性の視線が私に向いた。

 

「そして(おう)()にはお初にお目にかかる。私はウォズ。彼を魔王へと導くべく助力する預言者の一人だ。以後、お見知り置きを」

「王母って……私、常磐君のお母さんじゃないんですけど」

「失礼。オーマジオウが唯一『我が師』と呼び敬意を捧げた恩師という意味で、未来のアナタはそう呼ばれている」

「――小和田君や笠間先生のことは、あなたの仕業ですか?」

 

 ウォズさんはヒョイと肩を竦めた。

 

「いいえ、まさか。笠間(かえで)は自発的に例のゲームに手を出した。一刻も早く事態の解決を。そして、生徒からまた被害者がまた出ないように、彼女なりに謎を追うべくゲームに挑戦して、クリアに成功した」

 

 私は常磐君に、ウォズさんの語る所に間違いがないか確認した。

 常磐君は正しいと答えた。……笠間先生、そこまで思い詰めてたなんて。

 

「この本によれば、彼女は聖都大学附属病院へ運ばれることになっている」

「最寄りの清愛病院ではなく、ですか」

 

 私は常磐君と顔を見合わせた。どうして、とお互い顔に書いてある。

 

「彼女を見舞いたいなら急いだほうがいい。彼女こそアナザーエグゼイドが探し求めた“適合者”。今までにゲームクリアによって倒れた人々とは訳が違う。“二度目”の襲撃があるだろう」

 

 常磐君が青ざめた。

 私だって同じ気持ち。原因不明で意識を失っているだけでも大事(おおごと)なのに、笠間先生にはまだ次の段階がある?

 それは、()()()()? 命の危険ほどのレベルだとしたら?

 嫌な方向での想像ばかり膨らんでいく。

 こんな胡散臭い人の言うことなんて、それこそ信用できないと切って捨てればいいのに、本当に的中したならどう責任を取るの?

 

「美都せんせー、ごめん! 俺、今日は早退する!」

「待ってください! 聖都大学附属病院はここからそれなりに遠いんですよ? どうやって追うつもりですか」

「大丈夫、バイク乗ってく」

「君は原付の免許も持ってないでしょう――って、まさか。常磐君、無免許運転、したことがあるんですか?」

 

 常磐君がさっと頭を明後日の方向へ逸らした。

 はい、イエローカード。

 

 ――、今日の時間割、日本史のコマは午後からでしたね。一時限目は手荷物検査で潰れましたし。

 

「早退ですね。分かりました。ただし! 下校は朝のHR後にしてください。HRが終わったら先生は病院へ行きます。笠間先生の財布と保険証を届けるのと、診断書もろもろ手続きがあるので」

「連れてってくれるってこと?」

「無免の君をバイクに乗せるわけにはいきませんので。あくまでタイミングが重なっただけです」

「ありがとー! 美都せんせー!」

 

 クラスの生徒29人を放って常磐君一人のために時間を割くのが不公平だとは自覚している。

 今回だけ。せめて同僚の安否確認だけ。終わったらちゃんと学校に帰ってきて、午後からの授業をやるから。

 そうやって自分を宥めすかした。

 

 

 

 

 

 

 朝のHRを終えて職員室に戻ってから、私は、副担任の大谷先生に手荷物検査を一任しました。大谷先生、迷惑をおかけしてすみません。代打に清水先生が名乗りを挙げてくださったので、よろしくお願いします。

 

 それから、笠間先生のデスクから鞄を失敬した。

 鞄の中には財布もスマホもあった。よし。財布があるなら中に保険証や免許証も入れてあると信じる。

 

 医療費が発生したら私が立て替えましょう。この件、公務災害の申請が通るか怪しいから、十割負担も覚悟します。

 

 

 いざ。自分と笠間先生の荷物を持って、職員用駐車場へ行くと――

 いた。常磐君。と……あと二人? 昨日、小和田君が倒れた体育倉庫でも居合わせた子たちです。

 

「あ、美都せんせーっ」

「お待たせしました。彼らは? 光ヶ森の生徒じゃないみたいですが」

 

 常磐君が私の横に、すすす、と来て耳打ち。

 

「――ウチに下宿してる同居人。男子のほうが明光院ゲイツ、女の子がツクヨミ」

「ああ。前に話してくれた、あの」

「今朝の騒ぎ、二人も見てたんだ。二人も、その、せんせーがよかったら……あー、ツクヨミのほうは移動手段ないしで……だから……」

「いいですよ。一緒に送ります。ここまで来たら一人も三人も同じです」

 

 常磐君の表情が安堵に緩んだ。

 

 改めて、常磐君紹介の、明光院君とツクヨミさんを見てみる。

 笠間先生がいたら両名、指導室に連行間違いなしの制服の着こなしですね。はい。

 

「初めまして……じゃないですね。こんにちは。この学校の教職の織部です。どうぞ。乗ってください」

 

 私は車のキーのボタンを押してロックを解除し、運転席に乗り込んだ。

 

「ゲイツ。ドアは手で開けるんだぞ。この時代の車は待っててもドア開かないからな」

「そのっ、そのくらい知ってるとも!」

 

 明光院君の声は裏返っていました。

 

 常磐君は助手席。明光院君とツクヨミさんは後部座席に(恐る恐るのおっかなびっくりで)乗った。

 ――さあ、発進です。




 ウォズさん書きやすいのは何ゆえ?(´・ω・`)
 解答編が放映されたのでようやく載せられます。実にもだもだした一週間でした。

 オリ主に割と重心を置いた展開な分、コケた時が怖いです(((;゚Д゚)))ガタブル
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