70年目のサクラサク   作:あんだるしあ(活動終了)

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 書く上で一番大変なのが、「常磐」を「常盤」と打ち間違えないよう注意することだったりします。


Syndrome7 戦士の闘い、医者の闘い ①

 

 

 現実世界復帰後の宝生先生の第一声は、こうでした。

 

「えぐぜいど? 何それ」

 

 宝生先生は覚えていませんでした。

 仮面ライダーエグゼイドに変身して、常磐君や明光院君と戦ったことはもちろん、ご自分が仮面ライダーであることさえ。

 

 ゲームの世界でタイムジャッカーという女の子がアナザーエグゼイドに何かしたことと、宝生先生が仮面ライダーでなくなったこと。二つに因果関係があるのでしょうか。

 

「それより、僕を追ってゲームエリアまで来るなんて、どうして――」

「もちろん、意識不明になってる被害者たちを助けるため。あなたもだよね? 協力してほしいんだっ」

「見ただろう、あのアナザーライダー。奴を倒せば全てが解決するんだ」

 

 宝生先生の顔から――すう、と温度が引いた。

 

「君たちはこの件から手を引いてくれ。僕のやるべきことは、君たちとは根本的に違うから」

 

 ……予想された答えではありました。

 仮面ライダーでなくなった宝生先生はひとりのお医者様です。その医者という仕事人に対して、怪人退治を手伝え、と高校生の子どもたちが言ったってまずイエスとは言わないでしょう。

 蛇足ですが、常磐君と明光院君のお願いの態度もちょーっとだけ! よろしくなかったですし。

 

 去っていこうとする宝生先生に、私は慌てて、お借りしていたメモをお返しした。

 大丈夫です、キー操作は暗記済みです。

 

 今度こそ芝生の中庭を去った宝生先生。表向きは行方不明だったようなので、溜まった業務は多いでしょう。がんばってください。

 

 そこで私のスマホに着信アリ。クラス副主任の大谷先生から。電話に出ると、大谷先生は、クラスの生徒の手荷物検査を無事終えて二時限目の授業に入ったことを報告してくれました。

 さらには、笠間先生のご家族への連絡も別の先生がしてくれたそうで。間もなくご家族が来院するので、笠間先生の荷物をご家族に渡して学校に戻ってくれ、との話でした。

 ――ご家族が付くなら、笠間先生の安否はお任せしていいかな?

 

 私は通話を終えてから常磐君を向き直った。

 

「常磐君。先生は学校に戻ります。午後からは授業がありますので。常磐君は、早退のままにするなら自宅まで送りますけど」

「いいの?」

「ここまで連れてきたのは先生ですから。そこはしっかりしますよ?」

「じゃあ、俺んちまで、いい?」

「はい。明光院君とツクヨミさんは――そういえば常磐君の家に下宿していましたね。全員同じ目的地でいいですか?」

 

 明光院君とツクヨミさんは曖昧に頷いた。

 では。行きと同じく私の車に四名仲良く乗車して、町に帰りましょうか。

 

 

 

 

 運転中。常磐君たち三名は、宝生先生について議論していました。

 

「何なのあの人。協力どころか邪魔するなんて」

「アイツに頼ってても埒が明かない。2016年に飛んで、俺がアナザーエグゼイドを倒す」

「じゃあ俺も――」

「ジオウ。お前はこれ以上、首を突っ込むな」

 

 喧々諤々とする車内。

 常磐君の自宅の時計屋“クジゴジ堂”に着くまでそれは続きました。

 

 車を降りてクジゴジ堂に入る若人たちの中、明光院君だけがクジゴジ堂に入らずにどこかへ歩き出した。

 私はとっさに車を降りて――明光院君のほうを追いかけていました。

 

「待ってください! 明光院君っ、明光院君!」

 

 明光院君が速度を緩めてくれたおかげで、私はようやく彼に追いつくことができた。

 これしきで息切れするんだから、寄る年波を感じずにはいられません。はあ。

 

 息を整えてから、ちゃんと明光院君の目を見て、と。

 

「これからどうするんですか?」

「言った通りだ。2016年へ飛んで、まだ仮面ライダーだった頃の宝生永夢にコンタクトする」

「君一人でですか?」

「……ジオウまで過去に行けば、奴はまたその時代のライダーの力を奪う。オーマジオウへの因果線がさらに強固になる。だから俺だけだ」

 

 うーん。事態の始まりが2016年なら、その過去へ飛んで根本原因を取り除かなければいけないのは分かるんですが……

 

 なんだか放っておけないですね、この男の子。つっけんどんなくせに、実は義理堅いという、ある種テンプレートな性格のようです。

 

 なんて思う内に、私と彼と二人、適当な空き地に着いた。

 明光院君が空を見上げたので私も真似てそうしたら――唖然。「ろぼ」と胸にロゴが入ったロボットが目の前に降り立ったのです。

 

「これで時空を超えるんですか?」

「ああ。タイムマジーン。俺たちの2068年では量産されていた時空転移装置搭載のマルチロボットだ」

 

 タイムマジーンと呼んだロボのハッチが開いた。

 

 これ、付いて行っていいんでしょうか? い、いえいえだめでしょう! 同伴したら午後の担当授業が……あ、タイムマシンなんだから授業前の時間に戻るように調整してもらえば――なんて考えている内に、明光院君が歩き出してしまった!

 

「アンタはもう付き合わなくていい。常磐ソウゴの“先生”で居たいなら尚更な」

 

 ……かっちーん。

 

 確かに常磐君は私の教え子ですよ。でもですね、今回の一件で倒れた小和田君だって変わりません。どちらの若者も私のクラスの生徒です。

 今回こそ常磐君を特別扱いしちゃいましたけど、そこんとこを誤解されると、私だって立つ腹の一つや二つあるんですから。

 

 というわけで、私は明光院君を追いかけて、後ろからタックルしました。体罰じゃないです、愛の鞭です。

 

「少しは先生の話を聞きなさい!!」

「ぐほぁ!?」

 

 全力でぶつかったせいで、まさにハッチ前に着いた明光院君ごと私もタイムマジーンのコクピットへIN。おまけにハッチが閉じたので、私が引き返す道は絶たれました。

 

「アンタなあ――っ!」

「す、すみませ……」

 

 立ち上がろうとして近くのレバーに掴まると、レバーがガコン! と大きく下りたので、また転がるハメになってしまいました。

 

「おい! それ、時空転移システムのハンドル……!」

 

《 タイムマジーン 》

 

「……、……はい?」

「どけ! ――座標は2016年か。時空のトンネルを突き破らない限りはパラレルワールドに出ることもないが……出現ポイントだけでも今から修正が利けば――」

 

 明光院君は左右のハンドルのボタンと光学ディスプレイをいじくっています。

 

 ……どうやらこれ、織部美都の人生、最大のやらかし案件になりそうです。




 今回に限り、二番目は永夢の変身シーンの音声でしたが。

 美都せんせーがゲイツに同行する展開が強引だったことは承知している。すみませんでしたm(_ _"m)
 ソウゴの担任の先生として出しておきながら、おそらく今後増えるのはゲイツとの絡みと思われ。
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