現場までの道は、ゲイツに変身した明光院君のバイクにタンデムさせてもらいました(彼の免許所持の有無はちゃんと確認しましたよ)。
アナザーエグゼイドを認めるや、ゲイツはバイクを停めて私を降ろして、バイクのままアナザーエグゼイドに挑んだ。
ゲイツがドライバーを逆時計回りに回した。
『食らえ!』
《 タイム・バースト 》
バイクがマシンスペックを超えた速度で走って、急速回転する車輪がアナザーエグゼイドに三撃。緋色のソニックブームで爆散させた。
爆散した――はずだったのに。
そのアナザーエグゼイドは、人間の姿に戻ることさえなく、装甲を再構築して立ち上がった!
こういうのって、必殺技を食らったら爆散するパターンじゃないんですか!? 現に私たちの時代のアナザーエグゼイドは、そうやってやっつけられたのに!
私はスマホを取り出して、もつれる指で常磐君のスマホに電話した。
《美都せんせー!? どうしたの!?》
「急ですみません。いま私、明光院君と一緒に2016年に来てるんです。それで、明光院君がこちらの時代のアナザーエグゼイドと戦って――」
――思えば、この時点で、私は疑問に思うべきだったのです。ここ2016年の彼ではなく、
《実は、俺たちのほうでも調べてみたんだ。永夢の目的っていうか、アナザーエグゼイドの目的。聞いて、美都せんせー。実は――》
常磐君は、宝生先生が協力を断った訳と、アナザーエグゼイドがゲームを使って被害者を出してきた事情を、語った。
「ドナー探しの、ため……それじゃあ、もし小和田君たちの中の誰かの心臓がケイスケ君に適合したら、心摘出をするつもりってことですか? みんなまだ生きてるのに!?」
息子さんのためにアナザーエグゼイドになった父親。飯田さん。
気持ちは痛いほど分かりますし、きっと間違いではない。
けれど、その行いはどうしようもなく罪深い。
《たったさっき、永夢からライドウォッチを受け取った。俺も今からそっちの時代に……うわ!?》
「常磐君!?」
《ってて……大丈夫! ちょっとタイムジャッカーの横槍が入っただけ! すぐに行く! ――患者を救うのは医者の仕事。民を救うのは
常磐君のほうから電話が切られた。
時同じくして、ゲイツがアナザーエグゼイドによって劣勢に追いやられていく。
あちこちの建物の屋根を縦横無尽に跳び回るアナザーエグゼイドに対し、ゲイツ単騎の機動力じゃ追いつけない。
それでも果敢に挑むゲイツを、アナザーエグゼイドが殴って、ゲイツが地べたに転がった。
「明光院君ッ!」
私はとっさにゲイツに駆け寄って、傍らで膝を突いた。
――怖い。とても怖い、けど。
人生で勇気を出さなきゃいけない場面は、きっと、今この時だと思った。
「飯田さん!! もうやめてください!!」
アナザーエグゼイドの動きが止まった。
「きっとケイスケ君、不安でさびしがってます! 息子さんのそばに帰ってあげてください! こんな……っ、他人を犠牲にするやり方で命が助かったって、あとから知ったケイスケ君は、そのことで苦しむんじゃないんですか!?」
私の言葉が届いたかは分からなかった。
何故なら、襲いかかってきたアナザーエグゼイドを、空から飛来したセラミックボディのタイムマジーンが撥ね飛ばしたから。
そのタイムマジーンから降りてきた、常磐君。
「ゲイツ! 美都せんせー! お待たせ!」
『っ、何故来た!! 首を突っ込むなと言ったはずだろう!!』
ゲイツが立ち上がって常磐君の胸倉を掴み上げた。
『オーマジオウへの
「違う。俺は、そんな路は行かない」
『俺の言っていることが信じられないのかッ!』
「信じるよ。ゲイツも。ツクヨミも。だからこそ」
常磐君はゲイツの手を、優しく、外させると、自らアナザーエグゼイドの正面に立った。
「俺は戦う!」
“俺、王様になります!”
――そうですか。
仮面ライダーになっても、不吉な将来を知っても、彼はブレない。普通の高校三年生なら大混乱の疑心暗鬼でしょうに。
――そんなとこが、担任教師イチオシの、常磐ソウゴ君、最大の長所ですけどね。
「変身!」
《 ライダー・タイム カメンライダー ZI-O 》
黒銀のセラミックスボディ。顔面には「ライダー」と刻んだルビーの
――君の雄姿がいつまでも“そのまま”で在りますように。
――彼が自分で決めたのなら、“先生”はひたすらに、そう祈る。
ジオウとアナザーエグゼイドの戦闘が始まった。
見守ることに不安はなかった。ジオウは負けないし、アナザーエグゼイドも悲劇的な敗北者にしたりしない。そう信じられるから。
「織部先生!」
この声――宝生先生? 追いかけて来たんですか?
宝生先生はアナザーエグゼイドを見て眉をひそめた。
「僕の偽者……? とにかく僕も――! 大変身!」
《 マイティマイティアクションX 》
エグゼイドがジオウに加勢した。
なんだか、エグゼイドのほうが、ジオウやゲイツよりダメージをアナザーエグゼイドに通しているように見える。
その光景を目にして、ジオウが先に解答を導き出した。
『アナザーライダーには、本物のライダーの力が効くんだっ!』
「よくぞ辿り着いたね、我が魔王」
『うぉおぉおぉお!?』
ジオウはその場から飛びのいて、いつの間にか至近距離にいたウォズさんと距離を空けた。――あれ、ウォズさん? ここ、過去の時代ですよね。ウォズさん、どうやって来たんですか?
ウォズさんは意味深なあれこれをジオウに語ってから、礼を取りつつジオウの前から
ジオウは腕から、ネオンイエローとネオンピンクに彩られたライドウォッチを外した。ガワを回してリューズを押したウォッチを、バックルの左に装填すると、仮面ライダーエグゼイドのマネキンじみたものが現れた。ジオウが蹴ったそれはバラバラになって、高くジャンプしたジオウの四肢を装甲した。
「祝え! 全ライダーの力を受け継ぎ、過去と未来を
すると、宝生先生が来てジオウと肩を並べて。
「ノーコンティニューで――」
『なんかクリアできる気がする!』
ジオウが勇んでアナザーエグゼイドへ挑みかかった。