私が憧れる仮面ライダーはどなたかって? また妙なことを気にしたものねえ。
ゲイツはレジェンド5・ブレイドで、ツクヨミはレジェンド8・電王だっけ。
ん? ゲイツ、ちがった? ――ああ、そういうこと。5世代目には仮面ライダーが四人いたね。厳密には、レジェンドご本人のブレイドじゃないってことか。はいはい。ごめんなさい。
といっても、前にも話した通り、私がゆかりある仮面ライダーはグレートダッドばかりだからねえ。うーん……
――じゃあ、一人の英雄の話をしよう。
――ライダーマン。結城丈二。
ははっ。二人とも面白い顔。聞いたことない、誰? って言いたいのが丸分かり。
そんな君たちに朗報です。聞いて驚きなさい。なんとライダーマンは最初“変身”ができなかったのです!
うんうん、信じられないでしょうとも。私もだったよ。若かりし日の私でもジクウドライバーで変身しないとまともに戦えなかったのに、結城丈二は半分生身よ!? 右腕だけの改造だったのよ!? とりたてて平凡な出生の純人間が、強化スーツだけを恃みに戦ってたの!
……ごめんなさい。熱くなっちゃった。実際にこの目で見てきたものの、当時は守秘義務で話せなかったから。
さて! すっきりしたところで本題に入ろうか。
――吐く息が白い、1974年2月の冬の日だった。
そのたった一日で、胸が痛む光景をいくつも見たよ。
中でも辛かったのは、一度悪事を犯した人間は光の下に戻れないと、当人が思い込んでしまう心理作用。
純然たる善人でないと仮面ライダーは務まらない? とんでもない! そんな人間、地球上あらゆる地平を探しても居るもんですか。
結城丈二――ライダーマンはその典型。
彼は元々、暗黒結社デストロンの科学者だったのよ。
彼は幹部の権力争いで濡れ衣を着せられて、右腕を失って瀕死にされた。彼は自分を陥れたデストロン幹部への復讐を動機にライダーマンとなった。そういういきさつから、方針の不一致でV3と敵対したこともあったらしい。
だから“仮面ライダー”にカウントされなかった、と言い切るとレジェンド諸兄の数名に土下座しなくちゃいけなくなるから、そこはグレーゾーン。
でも……ライダーマンだって、全く正義の心がない人物じゃなかったの。
だってね、東京全土を爆破するゼロアワー計画を知ったライダーマンは、自らプルトンロケットに乗り込んで、被害の出ない空中でロケットごと自爆したんだもの。
誰に強制されたわけでもなかった。
彼自身が心底やりたかったわけでもなかった。
ただ、まるで自分がそうすることが当然であると言わんばかりに。
「さらばだ、V3」――歯を食い縛ってから搾り出した、
私にとって、その在り方が覚悟を決めさせてくれたって意味では、ライダーマンは確かに“憧れの仮面ライダー”なの。
ん? なぁに、ゲイツ。どーしたの、泣きそうだぞ?
――ううん。涙を浮かべてなくてもね、それは泣き顔って言うのよ。
私がライダーマンと似た最期を迎える予感でもした?
――さあ、どうでしょうね。
預言者なら、私の運命を託宣できたんでしょうけど、私が預言に従うタマだと思ってたりする? 思ってないね。よろしい。
さて。そろそろ作戦会議の時間になる。切り上げようか。
ゲイツ、来なさい。
ツクヨミは、まだ出られません。もうちょい腕を上げてからね。かわいくむくれてもダメなものはダ~メっ。
さあ、行こうか。
私たちの現実、私たちの戦場に向き合いに。
典拠:仮面ライダーV3、第51話。
おそらく彼が仮面ライダー史上初の「サブライダー」でしょうか?
罠にかかったV3の安否を案じて「風見ーー!!」と叫ぶ声がすごく、平成のメインとサブのライダー同士の関係に通じてるなあと、しみじみ思いました。
などと、昭和ライダーのほうはにわかの作者が偉ぶってみたり。