ちょっといらっしゃい、ツクヨミ。
そ、アンタだけ。ゲイツは今回抜きです。女同士の内緒話、しましょ?
一人で来たね。よーしよし、いい子。
さて、と。――ツクヨミ。ゲイツにジクウドライバー適性があると判明したことは、もう聞いてるね。
ゲイツはいずれドライバーを手にして、この時代で最も新しい仮面ライダーになる。
変身できたなら、あの子は迷わず志願兵としてオーマジオウ抵抗戦線の最前線に立つでしょう。今の私みたいにね。
“その時”が来たら、ツクヨミ、アンタはどうしたい?
ゲイツと一緒にオーマジオウと戦うに決まってる――ね。聞くまでもない答えだったか。
じゃあやっぱり教えておかなきゃね。
何故どの代の仮面ライダーにも、必ず傍らに支援者となる“女”が居たのか。
“乙女”が“仮面ライダー”に寄り添う、その意味を。
仮面ライダーの力の源を“クロス・オブ・ファイア”と言う。これはこの前、教えたね?
――炎の十字架。悪から生まれたという罪の証。
私たちライダーは、怪物や怪人を生み出す力と源泉を同じくしている。仮面ライダーは“怪人のなり損ない”だと言った怪人も過去にはいたくらい。
レジェンドライダーの中には、敵である怪人に自ら望んで成り果てた方々もいたでしょう? 仮面ライダーを一つの生命種と捉えるなら、むしろそれが正しい進化の系統樹なの。悪を以て悪を制す、なんて人類には1000年ほど早すぎたんだから――
変身した瞬間、ライダーはクロス・オブ・ファイアに焼かれる。そういう運命。
――本当はまともに教えられるような口承じゃないんだけど、時間の強制力は邪魔しないみたいだし、アンタには教えておくね。可愛いツクヨミ。
仮面ライダーがクロス・オブ・ファイアから逃れる手段が、実は一つだけ、ある。
ここで仮面ライダーの傍らに存在する“乙女”にクローズアップ。
あとはシンプル。仮面ライダーの傍らに立つ“女”は、自ら原罪の十字架に飛び込んだも同然。
彼女たちはクロス・オブ・ファイアをライダーに替わってその身に受ける。そうすることで仮面ライダーが負うはずだった非業の運命を軽減する。
この関係性と補正効果を、私のダンナはこう名付けた。
――“ラ=ピュセル”。
由来はフランス史を紐解けば言わずもがな。聖霊の子のごとく十字架に括られ、炎に焼かれた聖なる乙女――あ。まだ世界史じゃそこまで教えてなかったっけ。ごめん。
……ラ=ピュセル効果を受けられず死んだ仮面ライダーもいれば、仮面ライダーのラ=ピュセルとなることで乙女自身がとんでもない不遇をかこったこともあったんだって。
レアケースだけど、バカ高いラ=ピュセル効果を発揮して、乙女自身も仮面ライダーたちもみんなグランドフィナーレって世代も、あるにはあるよ?
女の仮面ライダーが少ないのもこれに関係してる。
変身しようとして失敗するのだって、ある種の救済措置なのよ。
女ライダーの場合、クロス・オブ・ファイアのクッションになってくれる“乙女”が居ないんだから。
大抵は原罪に焼かれて非業の死を遂げる。
有名どころだと、そうね――レジェンド3世代目のファムが最初かしら?
戦乙女でも仮面ライダーにカウントするかは今なおあやふやなわけよ。
話を戻そうか。
ツクヨミはゲイツが仮面ライダーになっても一緒に戦うと言ったね?
なら、ツクヨミ。アンタはゲイツを焼くクロス・オブ・ファイアに、代わって我が身をくべていいと思える?
ゲイツの苦境と非業の運命を肩代わりする覚悟は、ある?
…………。脅し過ぎた、かなあ。
帰る時のツクヨミの顔色、あんまり良くなかった……
あーあ。教える側って、ほんっと損な立場。
――ねえ、あなた?
「仮面ライダーシリーズに必ずヒロインがいるのは何故か?」をメタとネタを混在させて屁理屈にした話でした。
例として挙げたラ=ピュセルはどのライダーのヒロインに該当するのか、振り返ってみるのも楽しいかもしれません――と読者様に無茶振りをしてみる。
そしてジオウではヒロインのツクヨミ。最終的に彼女はソウゴとゲイツ、どちらの
こればかりは作者も原作放映正座待機でございますよ。わくわく。