70年目のサクラサク   作:あんだるしあ(活動終了)

5 / 121
Möbius5 仮面ライダー“4号”は誰だったのか?

 ゲイツ。ただいま。いい子にしてたかー?

 ガキ扱いするな? 残念、これからもコドモ扱いはしーまーすー。アンタが煙たく思おうが、私にとってアンタは“我が子”だもの。じゃあ稽古でライダーキックやめろ? それとこれとはまた別問題♪ ってね。

 

 それより、これ。ハイ、お土産。

 驚いたか。アンタが欲しがってた、平成(レジェンド)ライダーのライドウォッチよ。レジェンド16・ドライブのね。

 

 ん? ああ、盗んできた。オーマジオウとの戦闘中にこう、取っ組み合い? みたいな態勢に入った時に、ライドウォッチホルダーから蹴っ飛ばして、落としたとこをお持ち帰り。こら、ドン引きしないでよ。

 

 昭和贔屓な私ですが、平成ライダーの力に頼らないとは言ってません。

 欲を言うならレジェンド4・555のウォッチが欲しかったんだけど、そこは時の運よ。ドライブも全く狙い目でなかったって言えば嘘だし。

 

 いや、5世代目じゃなくて。555はレジェンド4世代目の仮面ライダー。ツクヨミもだけど、そこよく間違うわね、アンタたち。

 名前が「5」だから間違えやすい? まあ、そう言われたらオシマイだ。

 

 ……私は、555が4番目なのは、皮肉なくらいドンピシャだと思うけどね。

 

 何でかを話し出すとまたグレートダッドライダー関係になるけど、聞いてく?

 そっか――よし。じゃあ話してあげましょう。

 

 その前に、ゲイツ、昭和の“10人ライダー”を言えるだけ言ってごらん?

 1号、2号、V3、X、アマゾン、ストロンガー、スカイライダー、スーパー1、BLACK、RX。――うんうん、正解よ。

 んじゃ、次は変身者諸兄、行ってみようか。

 

 お、自力で気づいたね。えらいぞ。そう、()()()()()()のよ。

 あ、電波人間タックルはカウントしちゃだーめ。ストロンガーが怒るから。

 

 では、仮に()()()()()()4()()とするけど、そんな仮面ライダーはそもそも存在したのか? 答えは×(ペケ)。グレートダッド4は、昭和ライダー史では欠番扱いよ。史実上はライダーマンを迎えて10人ライダーとすることが多かったみたいだけど。

 

 とまあ、ここまでが表向きの歴史。ここからは大人の事情のお時間です。

 

 ここでレジェンド4・仮面ライダー555が重要なライダーになってくる。

 そのまさかなのさ、青くなってるゲイツ君。私はね、555こそが“仮面ライダー4号”だったんじゃないかと考えてるの。

 

 どんな生態系にも進化の階層構造がある。仮面ライダーと敵対する怪人だって例外じゃない。

 というか、仮面ライダーと怪人は同じピラミッド構造の中に属する。

 この進化の頂点を、ある怪人幹部は「イドの怪物」と称した。

 そして、過去に出現した莫大な怪人たちで、この“イド”へ至ったのはショッカー大首領のみ。

 

 ……この歴史の証人になれる者は、私と仮面ライダーゼロノスと、ある一人の男。いいえ、ここはあえて、一名の男、と言っておこうか。

 

 今から私が話すことは、他の大人たちには内緒。私とゲイツだけの秘密にしなさい。

 

 私が幸運にも立ち会った一度きりの平成(レジェンド)

 いくつかの世代を跨いで仮面ライダーたちが交錯した死闘。

 

 2015年4月4日。

 ショッカーの歴史改変マシーンのせいで、その一日は永く新しい明日というものを迎えなかった。

 

 昭和(グレートダッド)ライダーからシンドロームを授かって帰還するだけって時に、私のタイムマジーンはその歪みで立ち往生。

 当時の私は、現役のほうのゼロノスに拾われてドライブたちに合流して、なし崩しに共闘した。羨ましいでしょー?

 ……状況は過去最悪だったけどね。16歳の小娘だった私にとっては。

 ライダー・シンドロームを授かっていてさえ、いや、授かったからこそ八方塞がりだった。オーマジオウとの決戦じゃなく、あの場で(シンドローム)を開放すべきかと本気で悩んだくらいに。

 

 もうお察しよ。その歪んだ時間の中での闘争によって、仮面ライダー555はイドの怪物(ショッカー大首領)になった。

 555はレジェンド4に序されたがためにイドへ昇華し、イド・ファイズとなった己をも滅ぼしたことで、グレートダッド4を冠する仮面ライダーとなってしまった。これは果たして悲劇か喜劇か。

 

 

 ―――。

 ―――――ぷっ。

 あはははははっ!

 

 ゲイツってば、もしかして本気にした? ざーんねんっ。9割は私の憶測で妄想で願望さ。1割は、まあ、事実だよ。そこは伝説に誓って嘘言わない。

 

 どこが事実の1割分だったかは、まだ教えてあげない。ゲイツがもうちょっとだけ逞しくなるまで、お預け。

 

 

 

 

 

 うーん……

 最後で手の平を返したとはいえ、まさかドライブウォッチを叩き返されるとは。私にも想定外だったわ。

 コレは後日、ゲイツの機嫌が直ってから改めて渡さなくちゃ。

 ――そうしなければ、“あなたたち”に合わせる顔がない。

 

 

 “仮面ライダー”が正しい進化のピラミッドを辿り“イドの怪物”を生み出すシステムへ立ち返った、始まりの年のライダー。レジェンド4・555、乾巧。

 

 “仮面ライダー”の定義が“正義の戦士”でなくなりゆく時代の過渡期、「最初から人類を護るために存在する者」としてシステムを刷新したライダー。レジェンド16・ドライブ、泊進ノ介。

 

 過酷な闘争だったのに、あなたたちと“くり返す時間”の、なんと輝かしかったことか。

 

 

 宙に指をかざして無形の数字を描く。

 

 “4×4=16”

 “16÷4=4”

 

 はてさて。

 ねえ、巧、進ノ介。本当の“仮面ライダー4号”は、あなたたちのどちらだったのだろうか?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。