ゲイツ。ただいま。いい子にしてたかー?
ガキ扱いするな? 残念、これからもコドモ扱いはしーまーすー。アンタが煙たく思おうが、私にとってアンタは“我が子”だもの。じゃあ稽古でライダーキックやめろ? それとこれとはまた別問題♪ ってね。
それより、これ。ハイ、お土産。
驚いたか。アンタが欲しがってた、
ん? ああ、盗んできた。オーマジオウとの戦闘中にこう、取っ組み合い? みたいな態勢に入った時に、ライドウォッチホルダーから蹴っ飛ばして、落としたとこをお持ち帰り。こら、ドン引きしないでよ。
昭和贔屓な私ですが、平成ライダーの力に頼らないとは言ってません。
欲を言うならレジェンド4・555のウォッチが欲しかったんだけど、そこは時の運よ。ドライブも全く狙い目でなかったって言えば嘘だし。
いや、5世代目じゃなくて。555はレジェンド4世代目の仮面ライダー。ツクヨミもだけど、そこよく間違うわね、アンタたち。
名前が「5」だから間違えやすい? まあ、そう言われたらオシマイだ。
……私は、555が4番目なのは、皮肉なくらいドンピシャだと思うけどね。
何でかを話し出すとまたグレートダッドライダー関係になるけど、聞いてく?
そっか――よし。じゃあ話してあげましょう。
その前に、ゲイツ、昭和の“10人ライダー”を言えるだけ言ってごらん?
1号、2号、V3、X、アマゾン、ストロンガー、スカイライダー、スーパー1、BLACK、RX。――うんうん、正解よ。
んじゃ、次は変身者諸兄、行ってみようか。
お、自力で気づいたね。えらいぞ。そう、
あ、電波人間タックルはカウントしちゃだーめ。ストロンガーが怒るから。
では、仮に
とまあ、ここまでが表向きの歴史。ここからは大人の事情のお時間です。
ここでレジェンド4・仮面ライダー555が重要なライダーになってくる。
そのまさかなのさ、青くなってるゲイツ君。私はね、555こそが“仮面ライダー4号”だったんじゃないかと考えてるの。
どんな生態系にも進化の階層構造がある。仮面ライダーと敵対する怪人だって例外じゃない。
というか、仮面ライダーと怪人は同じピラミッド構造の中に属する。
この進化の頂点を、ある怪人幹部は「イドの怪物」と称した。
そして、過去に出現した莫大な怪人たちで、この“イド”へ至ったのはショッカー大首領のみ。
……この歴史の証人になれる者は、私と仮面ライダーゼロノスと、ある一人の男。いいえ、ここはあえて、一名の男、と言っておこうか。
今から私が話すことは、他の大人たちには内緒。私とゲイツだけの秘密にしなさい。
私が幸運にも立ち会った一度きりの
いくつかの世代を跨いで仮面ライダーたちが交錯した死闘。
2015年4月4日。
ショッカーの歴史改変マシーンのせいで、その一日は永く新しい明日というものを迎えなかった。
当時の私は、現役のほうのゼロノスに拾われてドライブたちに合流して、なし崩しに共闘した。羨ましいでしょー?
……状況は過去最悪だったけどね。16歳の小娘だった私にとっては。
ライダー・シンドロームを授かっていてさえ、いや、授かったからこそ八方塞がりだった。オーマジオウとの決戦じゃなく、あの場で
もうお察しよ。その歪んだ時間の中での闘争によって、仮面ライダー555は
555はレジェンド4に序されたがためにイドへ昇華し、イド・ファイズとなった己をも滅ぼしたことで、グレートダッド4を冠する仮面ライダーとなってしまった。これは果たして悲劇か喜劇か。
―――。
―――――ぷっ。
あはははははっ!
ゲイツってば、もしかして本気にした? ざーんねんっ。9割は私の憶測で妄想で願望さ。1割は、まあ、事実だよ。そこは伝説に誓って嘘言わない。
どこが事実の1割分だったかは、まだ教えてあげない。ゲイツがもうちょっとだけ逞しくなるまで、お預け。
うーん……
最後で手の平を返したとはいえ、まさかドライブウォッチを叩き返されるとは。私にも想定外だったわ。
コレは後日、ゲイツの機嫌が直ってから改めて渡さなくちゃ。
――そうしなければ、“あなたたち”に合わせる顔がない。
“仮面ライダー”が正しい進化のピラミッドを辿り“イドの怪物”を生み出すシステムへ立ち返った、始まりの年のライダー。レジェンド4・555、乾巧。
“仮面ライダー”の定義が“正義の戦士”でなくなりゆく時代の過渡期、「最初から人類を護るために存在する者」としてシステムを刷新したライダー。レジェンド16・ドライブ、泊進ノ介。
過酷な闘争だったのに、あなたたちと“くり返す時間”の、なんと輝かしかったことか。
宙に指をかざして無形の数字を描く。
“4×4=16”
“16÷4=4”
はてさて。
ねえ、巧、進ノ介。本当の“仮面ライダー4号”は、あなたたちのどちらだったのだろうか?