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「ジオウ連載をやめるのを、やめた」
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打ち切り前言撤かーい!!( ゚Д゚)
貯水槽の底へ落ちた常磐君に、無情にもカッシーンがビームの砲口を向けた。
でも、その発射を、ツクヨミさんが許しませんでした。ツクヨミさんはファイズガンでカッシーンを銃撃してこちらに注意を逸らしたのです。
「ソウゴはやらせない!」
ツクヨミさんは、私を小夜さんのほうへ押し出してから、単騎でカッシーンを引き付け始めました。そんなっ、無茶ですよ、ツクヨミさん!
追いかけようとした私の、手首を、小夜さんが握って引き留めました。
「ツクヨミちゃんは大丈夫。彼女は平成最後の
「ですが……!」
「それでも心配なものは心配、でしょ? 安心して。わたしがツクヨミちゃんのフォローに回る。美都さんは、ここにいて。見届けてあげてほしいの。歴史の転換点を――ううん、ソウゴ君とゲイツ君、二人の決断を」
小夜さんは何の危機感も感じさせない笑顔で、ツクヨミさんを追いかけて行きました。
常磐君と明光院君の、決断――
私は腹を括って、貯水槽の底にいる彼らを見下ろしました。
「どうして変身しなかった!! すぐそばに先生がいたのに!!」
明光院君が常磐君に掴みかかっている。常磐君は苦しげに歪めた顔を明光院君から逸らした。
「ジオウに変身、したら……俺はオーマジオウに……!」
「お前はッ!! “最高最善の魔王”になると言った。みんなの自由を護る王になると言った。俺やツクヨミだけにじゃない。歴史に伝説を刻んだ仮面ライダーたちに! そして誰より、先生に! お前は、お前自身の夢だけじゃなく、お前の進む
やめて。明光院君、もう言わないで。いいの。私のことはいいんです。私は常磐君が悪いなんて思ってません。
常磐君も、どうか私のことを気にして、怖いものを無理に戦わなくていいんです。
それを言うために口を開きかけた時でした。
私を帯状の何かが囲んだ。ミニチュアの道路だった。
そのミニチュアロードを走ってきたのは色とりどりのトイカーの群れ。
私を閉じ込めた小さな環状線で、触れるか触れないかギリギリを走ったトイカーが、腕や頬に擦り傷を付けた。
「きゃああっ!」
「せんせー!?」
トイカーたちの駆け戻る先には、ディケイド・ドライブ態がいます。
初エンカウントと同じ、私個人に狙い定めていました。ディケイドだけには、非力な一般市民には手を出さないっていうヒーローの鉄則は、適用されないみたいです。
「せんせー、どうしたの!? 美都せんせー!!」
怖い。とても怖い、けれど。
人生で勇気を出さなきゃいけない場面は、きっと、今この時だと思った。
私はほとんど縁にしがみつく体たらくで、立ち上がって、ディケイドと対峙しました。
後ろから見上げる私の背中が、常磐君や明光院君の目に、頼りなく映っていませんようにと願って。
あの日。二人のライダーの間に割り込んで勝手に大ケガして、彼らを不安がらせた分。
もうすぐ教師を辞めるんですから、ちょっとだけでも、取り返させてくださいよ。
「――ゲイツ。
「
「そうだな。変わることも、怖がるものも、何一つだってなかったのに」
私に再び伸びてくるミニチュアロードと、それを走るトイカーの群れ。
今度は威嚇じゃありません。明確に私を傷つけるための攻撃だと分かりました。
遠くから、ツクヨミさんの悲鳴みたいな呼び声がします。ごめんなさいね。私じゃとても避けられません。挽回どころか、って話ですね。
《 ZI-O 》
「変身!!」
《 ライダー・タイム カメンライダー ZI-O 》
瞬き一つの次。
私の視界を覆い尽くす、黒銀のセラミックボディ。
『でりゃああッ!!』
仮面ライダージオウが、ジカンギレードでミニチュアロードを断ち切り、駆けてくるトイカーの群れを薙ぎ払った。
「ときわ、君」
『ごめん、美都せんせー。進路希望、今からでも訂正利くかな?』
私をふり返ったジオウのフェイスマスクに、常磐君のいつもの笑顔が重なった気がしました。
『王様になるのをやめるのっていうの、やめにすることにした』
私の答えも聞かず、ジオウは、ツクヨミさんたちの救援に走りました。
…………
……なんか、ずるい。
若い子の立ち直りって速すぎ。キリキリ舞いした私が馬鹿みたいじゃないですか。
後ろで水を弾いた音がしたかと思うと、またも、私に背中を見せる向きで着地した、ゲイツが。
『大丈夫か?』
「おかげさまで」
『! アンタ、その傷……!』
「このくらい、消毒して絆創膏貼っとけばすぐ消えちゃいますから。それよりも、明光院君」
ゲイツが私をふり返ったところで、私は彼に歩み寄って、彼の片手を両手で握りました。
「つらい役回りをさせてしまうことになりましたね」
『ああ。ジオウが魔王に堕ちたらどうするかの話か。逆に聞くが、アンタは俺が将来的にジオウを葬ると分かって、それで終わりか?』
「そんなことないです! 明光院君が常磐君を斃すのはもちろんですが、常磐君が“最低最悪の魔王”にならないよう一層指導に励み……! ――あ」
私ってば、どこまで、馬鹿なんでしょう。
教師の仕事に、未練たらたらな自分を、今この時、初めて、ようやく、自覚したんですから。
『俺たちにはアンタが要る。だからこれからもよろしくな。
――今。初めて。
――明光院君から、面と向かって「先生」って、呼ばれた。
『おい。そこの未来ライダーと女教師。
『誰が青春だッ!』
『じゃあ月9』
あ、あはは……士さん、意外と地上波のドラマを観るタイプです?
青春ものはまだいいとして、月9だと明光院君のヒロインが私っていうのは無理がありますよ、もー。
からかわれて怒ったのか、ゲイツはジカンザックス片手にディケイドに突っ込んで行きました。
……君は君でずるいですよ、明光院君。
離す直前、少しだけ強く握り返された手が、そこに心臓があるみたいにドキドキと脈打って、熱い。
「先生!!」
私は駆け戻ってきたツクヨミさんを迎えました。とっさに、両手を後ろに隠して。
「先生、大丈夫? ケガしてる」
「このくらいならすぐ治ります。痕も残りませんよ。ツクヨミさんこそケガしてませんか? 痛いとこはないですか?」
「私は平気。小夜の援護もあったから」
ツクヨミさんと一緒に戻ってきた小夜さんが笑顔で
さて、と小夜さんは私とツクヨミさんの体を、くるん、と戦場に向かせました。鮮やかなお手並みでした。
「ラストスパートよ。しっかり見ててあげて。ジオウとゲイツの
「ちょ!? わ、私、ソウゴの
「いーからいーから」
「よくないからー!」
向こうでは、タイムジャッカー側のタイムマシーンを撃破するジオウとゲイツのタイムマジーンと、湾岸に残ったジオウ・エグゼイドアーマーがカッシーンを倒すカットインが、はっきりと見えました。
あんなにかっこいいヒーローたちが、私の教え子たちなんですね。
どうしましょう。冬休みに入ってすぐの補講、生徒たちの前でニヤニヤを我慢できる自信がありません。
冒頭にも書きましたが。
あんだるしあ、あいるびーばっく!! 打ち切りやめます!!
何故かって? 本編で平成ライダーで二番目に好きな龍騎編に入ったからだよ!(`ФωФ') カッ
というわけで連載続けます。
「もういいよ」とお思いの方はBM解除を、「よっしゃあ!」と思ってくださる貴重な読者様方はコメントとか感想とかお待ちしてます!