70年目のサクラサク   作:あんだるしあ(活動終了)

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 もういっちょーーー⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡━━━━!!!!


Syndrome41 “観測者” ②

 ――明光院ミト。

 

 明光院君やツクヨミさんのお師匠さんで親代わりだった人。明光院君の前の代で仮面ライダーゲートだった人。

 その女性が、私のお母さん――

 

 ん? ということは、時間軸があべこべだけど、同じ女性が“親”である私と明光院君は――きょうだい?

 

 私は明光院君を窺った。明光院君とばっちり目が合った。彼もどうやら私と同じ考えに至ったようです。

 

 明光院君は青ざめて大きく後ずさりして、壁にぶつかった。

 声にならない声で頭を抱えているのは、単に壁で後頭部を強打したからですね。分かります。

 

「落ち着け、ゲイツ! あくまで義理! 義理だから!」

「落ち着ける要素がどこにもない! ほ、他でもないミトさんの、じ、実の娘を相手に、俺は……俺は今日までどれほど馬鹿な真似を――っ!」

 

 自ら壁におでこを打ち付け始めた明光院君。「死ね! 4ヶ月前の俺死ね!」とか叫んでいる。ツクヨミさんが宥めようとしてますけど、このままだと本当にタイムマジーンに乗り込みかねないテンションです。

 

 私は……嬉しいんだけどなあ。

 だって私、一人っ子ですから。お母さんの養い子の()()()()には親近感が湧きます。

 

 ツクヨミさんの(ファイズガンで脇腹を殴るという)制止でようやく落ち着いてくれたゲイツ君に、私はちょっとドキドキしながら尋ねてみた。

 

「あのあの、ゲイツ君っ。私のお母さんがゲイツ君のお師匠だったんですよね。お母さんはどんな人でしたか? ゲイツ君の目には、お母さんがどんなふうに映ってました?」

「と、とにかくタフ……だった。何度オーマジオウに負けても挫けなかった。単に懲りないだけだって言う奴もいたが、そんなことを言って呆れる大人たちだって、結局は挫けないミトさんにどこかで救われてた――と、俺は、思ってる」

 

 わ、わあぁ。ゲイツ君にここまで言わせるなんて、私のお母さん、すごい人だったんですね。なんだか我が事のように口元がにやけます。

 

 ここに至って、ツクヨミさんが頭を抱えてストップをかけた。

 

「ミトさんが若い頃に、オーマジオウとの決戦のために過去に飛んだのは、私たちも知ってる。その任務で先生のお父さんと会って、色々あって、先生が産まれた。ここまでは分かった。でもそれと、お父さん……織部教授が、仮面ライダーの歴史を一から十まで知ってることが、どう繋がるのかが――」

「いい質問です、ツクヨミさん。――僕がライダー史に詳しくなった理由。一つはタイムパラドックスを回避するためでした。僕と会った時点で、ミトさんは昭和(グレートダッド)ライダーの知識を全て持っていました。未来人のミトさんが知っている、つまり昭和(グレートダッド)ライダーの歴史を詳細に記録して、遺物として後世に伝えた“誰か”が存在していないと因果がおかしくなります。その“誰か”に、僕は名乗りを挙げたんです。なりゆきとはいえミトさんのタイムマジーンに同乗させてもらえたことで、僕はあらゆる昭和世代の仮面ライダーをこの目で“観測する”機会を得ました。僕は“特異点”でしたから、“語り部”としては最適とも言えました」

「「特異点!?」」

 

 明光院君とツクヨミさんが揃って身を乗り出しました。

 

「二人とも知ってるの? 特異点」

「レジェンド8・電王がまさにその特異点だったらしいわ。歴史改変、時間干渉による記憶の書き換えを受け付けない人間、って意味に、私たちは取ってるけど……」

「大まかな理解はそれで結構ですよ。どんな過去改ざんが起きようが、僕の」

 

 ここは、とお父さんは自分の頭を指でつっつきました。

 

「ごまかせません」

 

 お父さん。それって見方を変えると、未来のお母さんに宛てて史料を残すことで、お母さんとの縁を保とうとしたってことですよね。未来のお母さんと繋がってたくて、お父さんは“ライダー史の観測者”になったんですね。

 

「じゃ、じゃあ、私たちが知ってる平成(レジェンド)ライダーの歴史的知識も……!」

「はい。僕が2000年以降に観測し、記録に残したものかと思われます」

 

 ずっとだんまりだった小夜さんが話題に参加しました。

 

「計都さんはあっさり言ってるけど、公正で緻密な史料を20世代分も書き続けるって、大事業よ。“観測者”は『戦いそのものに干渉してはならない』が大原則。観測中にどんな悲劇や惨劇が起きようが、観測を中断しちゃいけないし、だからってライダーたちに助言や協力もしちゃいけない。計都さんにとって、それを辛く思う過去は何度もあった。それすら押し殺して、不干渉の原則を逆手に取って美都さんの防波堤にしてきた」

 

 私の、防波堤?

 

「あなた本人にだけは自覚されないよう、計都さんや、光太郎さんたち昭和(グレートダッド)ライダー諸兄が奔走してたから。美都さん自身は知らない秘めたる力はね、暗黒結社や侵略者にとっては、喉から手が出るほどのご馳走なの」

 

 今度は南のおじさまが沈黙を終わりにした。

 

「1989年――俺たち10人ライダーは昭和最後の闘争を終えて、ライダー・シンドロームで全員の力をミトに継承した。その時は俺も、先輩ライダーの中の誰も、ミトが織部教授の子を身籠っていたのを知らなかった。結果、ライダー・シンドロームはミトだけでなく、お腹の中の赤ん坊にも継承されてしまったんだ」

 

 はっとしたように明光院君が目を小さく瞠った。

 

「ミトさんが若い頃にオーマジオウとの決戦で負けたのは、グレートダッド10人から受け継いだ力が先生にも及んだ分、ミトさん側はエネルギー不足だったから――」

「ご明察。で、詳細はどうあれ、昭和ライダー全員分の莫大なエネルギーが失われたことで、“ライダー不在の10年間”が生じた。その間には、ライダーとは別の正義の系譜が戦ってくれたから、美都さんに類が及んだのは一度か二度で済んだ。2000年にクウガが生まれてからは、計都さんが“観測者”を再開したから、相互不干渉の原則に守られて、美都さんはどの仮面ライダーの闘争とも無関係に育った。このまま平成(ブレイクスルー)を超えれば問題なかったんだけど」

 

 小夜さんは言葉を切って常磐君を見やりました。

 

 ――私はどんな因果か、高校教師になって、高校三年生になった常磐ソウゴ君のクラス担任になった。

 ウォズさんの言葉が正しいなら、私は“王母織部”なんて二つ名を付けられるくらいに、オーマジオウに縁深い存在になる未来が待っていることになります。

 

「美都さん。教授はな、本当は君の30歳の誕生日に全てを明かして、胎児の君にも継承されたライダー・シンドロームの制御スペルもきちんと教えるつもりだったんだ。俺も同席して、俺が知るミトの戦いを語るつもりでいた。――騙したんじゃない。ただ、隠そうとした。それを罪だと君が思うなら、教授ではなく、片棒を担いだ俺たち昭和ライダー全員を恨んでくれ」

「……いいえ、おじさま。頭を上げてください」

 

 お父さんも南のおじさまも、みんな私の安全のためにやったことなのでしょう? 寂しい想いをしない日が皆無だったと言えば嘘だけど、それ以上に、お父さんやおじさまたちがうんと可愛がってくれたのを覚えてる。責めたりなんかできません。

 

「ありがとう。本当に、いい子に育ったな。美都さん」

 

 私は首を横に振った。

 

 ふいに小夜さんが、ソファーに腰かけた私の足下にずり寄ってきた。小夜さんは私の腕に手を添えた。

 

「現実問題、美都さんは今日までに二回、ライダー・シンドロームを開放してる。10人ライダーから授かったエネルギーは目減りしてる。あなたの奇跡は無限じゃない。それだけ、忘れないで」

 

 私は小夜さんに対して固く頷きました。




 原作放映3話目の時点で一番に書き上がっていたシーンが冒頭のゲイツのご乱心だったという辺り、作者がオリ主とゲイツの関係をどう扱いたかったかお察しというねww
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