「過去編?」に投稿しましたが、ある意味2019年編でもありますたい。
どしたの、ツクヨミ? ゲイツなら見てないけど。……え、私だけに用事? 前に話したこと?
――フム。これは女同士の内緒話の流れね? よーし、こっちいらっしゃい。
さて。じっくり聞いてあげるから、言ってごらん。
――――――はい?
えーと……
ごめん、ツクヨミ。いっこ聞かせて。
私は仮面ライダーの
そこからどうして「わたし、ゲイツとケッコンする!」って台詞に着地するの?
いやまあね、うん。歴代
だからってね、最初っから恋し合う男女としてスタートしなきゃいけないわけじゃないんだよ!?
お願いツクヨミ、自分を大事に! 私みたいなろくでもない出自の女ですら、ちゃんと好きな男と結婚できたんだから!
アンタは間違いなく美少女に育つし、その頃には器量良しの引く手数多だから! せめてそれから考えよう!? ね!?
って、揺さぶり過ぎた!? あわわわっ、ツクヨミ、帰っておいで~っ!
……はい、スイマセン。揺さぶってゴメンナサイでした。反省してます。
でもよかった。ほんっとよかった。事前に私に相談しに来てくれて。
ゲイツにさっきの宣言まんましようもんなら、私が「娘が欲しくば私を倒せ! 変身!」モードになってたし、あとから動機が「ゲイツの
「娘」で合ってるよ? 私的には。今日までどいつがアンタを育ててきたとお思いかネ?
――そこで照れ顔されると、なんか私まで照れくさくなってきちゃうんだけど。あはは。
んー、そうだなあ。
私もラ=ピュセル補正に興味を持って、あの時点で手持ちの史料をざっとおさらいしたんだ。
読み込んでみると、はて、おかし。確かに“仮面ライダーに寄り添う乙女”に違いないのに、むしろ不吉な運命を呼んでないか? と思えるポジションの女性が何人かいたのよ。
最初は単に、そのレジェンド世代には
疑問が再燃したのはレジェンド3・龍騎の代の史料が
そこで私は、ダンナ様を真似して、一つ仮説を立ててみたわけです。
ねえ、ツクヨミ。「ラ=ピュセル」の名前の由来は覚えてる?
オルレアンの聖女。その通り、正解です。
聖なる乙女がいるなら、対となる魔性の女だっているのでは?
その“魔女”は仮面ライダーが背負うクロス・オブ・ファイアをより強めてしまうのでは? もちろん、本人の望むと望まざるとによらず。
そんな存在を、私は“ファタール”と呼んでみることにしました。
そりゃあ初めて聞く単語でしょうよ。教えてないから。これ、フランス文学史が元ネタだもん。ピンポイントにも程があるじゃない。
……それにさ、紙の本なんて、こんな時代じゃ手に入りっこないもん。読みたい、知りたいと思っても、持ってきてあげられないから。ごめん。黙ってやり過ごそうとした。
――ファム・ファタール。和訳だと「運命の女」が多かったそうだけど、運命は運命でも、それは破滅のめぐりを意味する。
“彼女たち”は望んでファタールになったわけじゃなかった。むしろ愛されすぎたがためにファタールに祭り上げられた。
クロス・オブ・ファイアを緩和するどころか、逆にそれと知らず火力を強める存在になってしまった。
少なくとも私にはね、“彼女たち”がそう見えたのよ――
前置きが長くなったけど、そうね。ツクヨミ、こっちにおいで。
はい、捕まえた。ぎゅー。
――アンタはラ=ピュセルにもファタールにもならなくていい。
レジスタンス所属で何言ってんだって感じだけど、平凡な女の幸せを得て生きてってほしいよ。
親心ってヤツだよ。もぉ、言わせんじゃないっ。ふふ。
…
……
…………
トリガーにかけた指を、ほんのひと瞬きの間だけ押し留めた、ささやかな回顧。
ねえ、ミトさん。
私、若いオーマジオウの“乙女”なんだって。友達がそう言ってたの。
どちらにもならないで、ってミトさんは言ったね。――ごめんね。
でも、
私はソウゴの
きっと口元をいびつな笑みに歪ませて。
私は、ファイズガンのトリガーを引いた。
「過去編?」に「?」と銘打ってる時点でお気づきの方もいらしたかもしれません。
過去編は最初から現代編とリンクさせるために書いてきたのでした。
もちろんこの1回のみならず、今後も隙あらば現代編への伏線となります。そこらへん誤魔化すためにミトさん一人称を貫いたんですから。
ラ=ピュセルが仮面ライダーへの不運を肩代わりする乙女ならば、ファタールは文字通り仮面ライダーを破滅させる女です。
メタなぶっちゃけをすると「ヒロインこそが戦いの元凶だった」パターンですね。
龍騎世代の史料が後になってから“届いた”のは、2019年編にあったように、計都教授の編纂作業が難航したからです。ここもちゃんと繋がってます。