信じられるか? ここまでで龍騎編の元のプロットの2割に過ぎんないんだ…ゼ?
まことに遺憾だが、俺は白ウォズのノートの力に頼り、アナザーリュウガと邂逅するよう仕向けた。城戸真司に決して類が及ばない場所を戦場として。
だがやはり、アナザーリュウガの“反射”が厄介だ。どんな高エネルギーを籠めた攻撃であっても、アナザーリュウガは全てを跳ね返す。
途中から白ウォズが参戦したが、アナザーシノビの影分身による全方位攻撃も、本体の白ウォズ一人を狙い定めて反射された。
戦場はいつしか、壁一面がガラスのレクリエーション施設前に移った。
これ以上のダメージ蓄積は、俺も、白ウォズでも命の危険に近づくだけだ。
もはや俺のタイム・バーストを使うしかない。
“生きてれば勝ちです”
――先生。アンタの“教え”は、俺には守れそうにない。
俺はバックルを叩いて反時計回りに回転させた。
《 フィニッシュ・タイム タイム・バースト 》
高くジャンプする。俺の足裏が進むべき方向へ向けて「きっく」の文字が展開した。
「やめて、ゲイツ!!」
アナザーリュウガが爆散の兆しを見せた。つまり――
鏡面が宙に展開して、俺自身がくり出したタイム・バーストをそのまま俺に叩き込んだ。
内臓の位置がごっちゃになったような感覚と、骨があちこちで軋んだ自覚。
変身が解けて、ゲイツウォッチが外れて砕け散った。
――ああ、もう、立っていることもできない。
ろくに受け身も取れずに後ろに傾いで、地面に背中を叩きつける形で仰臥した。
「ゲイツ!」
『我が救世主……!』
駆けつけたツクヨミが俺を抱き起こした。
何か、せめて言い残したいのに、口を動かすことさえ重篤の体が許してくれない。
ツクヨミ。レジスタンス仲間で一番親しくて、幼なじみみたいな仲だった俺たち。俺がオーマジオウを討つべく時間遡行した時も、お前だけは俺を追ってきた。お前のほうが先に常磐ソウゴと打ち解けて、なし崩しに俺も加えて“三人”になって。
常磐ソウゴ。本当に“最低最悪の魔王”になったら俺が斃してやると約束したのに、その約束を反故にして俺は死ぬのか。
声が出せない。ことばが思いつかない。ああ――
意識が、断線した。
………
……
…
闇の中をたゆたう俺に、声が聞こえた。
“やっぱこうなるよね。でも、これは俺がすでに視た未来だ”
…
……
………
タイム・バーストをアナザーリュウガに叩き込むべくジャンプし、ディメンションキックに入った――その時。
気づけば俺は元いた位置に突っ立っていた。
どういうことだ? さっき俺は死んだじゃなかったのか? どうしてここに健在なんだ。
『まさか、時間が逆転したのか!?』
「見事だ、我が魔王! これぞオーマジオウの力」
表情を爛々と輝かせる黒ウォズの登場。
白ウォズは激昂して黒ウォズに掴みかかった。
『貴様の企みか! 黒ウォズ!!』
「いいえ。彼の選択です」
それはいつもの先生の声、だったのに。
耳にした瞬間、身の毛がよだつほどの畏怖を覚えた。
ふり返った先には、ジクウドライバー装着済みの常磐ソウゴがいた。先生は常磐から一歩慎んだ位置にいた。
『魔王を唆したか……! この毒婦め!』
「私は何もしていません」
先生の視線に応えて常磐がかざしたライドウォッチは、今までに見たどんなそれとも異なっていた。
銀とマゼンタ。黒とゴールド。正反対のカラーのライドウォッチ二つが連結したウォッチ。
「表と裏。過去と未来。二つの世界を統べるウォッチだ。この力で俺は、未来を切り拓く!!」
《 ZI-O “Ⅱ” 》
「変身!」
《 ライダー・タイム カメンライダー・ライダー ZI-O・ZI-O・ZI-O “Ⅱ” 》
変身したジオウの姿は、カラーリングはジオウそのままでありながら、パーツのあちこちがオーマジオウと共通していた。
いいや、外観だけじゃない。奴の放つ
『善も悪も、光も闇も、全て受け容れる。どちらも俺であることを認める。そんな“俺”が俺の中にいることを、誰でもない常磐ソウゴ自身が赦す!!』
呆然として、言葉もなかった。俺も、ツクヨミも。
挑んできたアナザーリュウガを押し留めたのは、黒ウォズの厳かにして高らかな宣言。
「王の凱旋である!! ――祝え! 全ライダーを凌駕し、過去と未来を
ジオウⅡは感極まったように、黒ウォズに「なんか久しぶりだね」とはしゃいだ声をかけた。黒ウォズもまた喜色を隠さず、ジオウⅡに恭しく礼を取り、奴の前より退いた。
――俺のせいだ。
常磐は最初から、俺の自滅戦法を止めるためにジオウⅡになろうとした。それが今この時に現実となった。
他でもない俺が、常磐ソウゴをオーマジオウへの
ジオウⅡはワンサイドゲームに等しい戦いをアナザーリュウガとくり広げている。
ジオウⅡの攻撃エネルギーは、アナザーリュウガの反射スキルを以てしても反射できていない。
今までのジカンギレードとは異なる、プリズムする刀身のブレードがジオウⅡの手に握られた。
新しいブレードの一撃をアナザーリュウガは浴び、反射しようとしたが、反射するための鏡が砕け散った。攻撃エネルギーが大きすぎて跳ね返せないんだ。
アナザーリュウガがどんな変則的な攻撃をくり出そうとも、ジオウⅡはそれこそ未来を読んでいるかのように的確に対処し、逆にアナザーリュウガにダメージを蓄積していく。
ジオウⅡはジカンギレードと新しいブレードの柄と刀身をそれぞれに合体させた。
刀身から迸るエネルギー波は、金を超えた金――
天をも突くエネルギー波と「ジオウサイキョウ」のマゼンタ文字を、ジオウⅡは裂帛の気合を込めて、アナザーリュウガへと叩き落とした。
『おっ、りゃあああああ!!』
アナザーリュウガは爆散した。排出されたリュウガウォッチが砕け散った。
残ったのは、アナザーリュウガだった、鏡像の城戸真司のみ。
その鏡像の城戸真司を、ジオウⅡは穏やかに諭す。
『真司はあんたを受け容れているよ。俺も裏の自分を受け止めた。あとはあんたが、城戸真司を受け止める番だ』
鏡像は苦吟をくっきりと浮かべ、ビルのガラスから鏡の向こうへ入って、消えた。
ジオウⅡが変身を解いて、今にも泣き出しそうな笑顔で俺たちをふり返った。
「生きててくれて、よかった」
――ああ。やっぱり俺のせいじゃないか。
俺を死なせまいとして常磐はジオウⅡの力を行使した。
他ならぬ俺が、こいつがオーマジオウへ進む
後ろからパンプスの踵が鳴る音がして、俺は気だるくふり返る。
「よく頑張りましたね、常磐君」
「せんせーの話、すっごく参考になった。ありがと」
「どういたしまして」
先生は気づいていないのか? 常磐ソウゴが踏み出した一歩が、未来に途方もない惨劇をもたらしかねないことに。
その疑念は、次の一言で、衝撃的な形として明示された。
「
俺は、ようやく、彼女が“王母”と呼ばれる意味を理解した。
アレは俺たちにとって、忌むべきオーマジオウの力だった。だが、先生はオーマジオウを直接知らない。単純に常磐がパワーアップしたことを祝福している。
途方もなく深い溝が、俺たちと先生の間に横たわっていたことを、俺はこの時、初めて痛感した。
美都せんせーの「とても綺麗でした」は作者が原作EP22を観た時の感想でもあります。
どんな先生であれ、認識の共有がちゃんとされていないと、ゲイツとのようにとても乖離した見解を持ってしまう。そんな一幕でした。