70年目のサクラサク   作:あんだるしあ(活動終了)

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 お待たせしましたジオウⅡです! 自分なりに頑張ってみました。
 信じられるか? ここまでで龍騎編の元のプロットの2割に過ぎんないんだ…ゼ?


Syndrome48 断絶した危機感

 まことに遺憾だが、俺は白ウォズのノートの力に頼り、アナザーリュウガと邂逅するよう仕向けた。城戸真司に決して類が及ばない場所を戦場として。

 

 だがやはり、アナザーリュウガの“反射”が厄介だ。どんな高エネルギーを籠めた攻撃であっても、アナザーリュウガは全てを跳ね返す。

 

 途中から白ウォズが参戦したが、アナザーシノビの影分身による全方位攻撃も、本体の白ウォズ一人を狙い定めて反射された。

 

 戦場はいつしか、壁一面がガラスのレクリエーション施設前に移った。

 

 これ以上のダメージ蓄積は、俺も、白ウォズでも命の危険に近づくだけだ。

 もはや俺のタイム・バーストを使うしかない。

 

 

 “生きてれば勝ちです”

 

 

 ――先生。アンタの“教え”は、俺には守れそうにない。

 

 俺はバックルを叩いて反時計回りに回転させた。

 

《 フィニッシュ・タイム  タイム・バースト 》

 

 高くジャンプする。俺の足裏が進むべき方向へ向けて「きっく」の文字が展開した。

 

「やめて、ゲイツ!!」

 

 因果固定帯(きっく)でのディメンションキックは、アナザーリュウガの胸部に直撃した。

 アナザーリュウガが爆散の兆しを見せた。つまり――

 

 鏡面が宙に展開して、俺自身がくり出したタイム・バーストをそのまま俺に叩き込んだ。

 

 内臓の位置がごっちゃになったような感覚と、骨があちこちで軋んだ自覚。

 変身が解けて、ゲイツウォッチが外れて砕け散った。

 

 ――ああ、もう、立っていることもできない。

 ろくに受け身も取れずに後ろに傾いで、地面に背中を叩きつける形で仰臥した。

 

「ゲイツ!」

『我が救世主……!』

 

 駆けつけたツクヨミが俺を抱き起こした。

 

 何か、せめて言い残したいのに、口を動かすことさえ重篤の体が許してくれない。

 ツクヨミ。レジスタンス仲間で一番親しくて、幼なじみみたいな仲だった俺たち。俺がオーマジオウを討つべく時間遡行した時も、お前だけは俺を追ってきた。お前のほうが先に常磐ソウゴと打ち解けて、なし崩しに俺も加えて“三人”になって。

 

 常磐ソウゴ。本当に“最低最悪の魔王”になったら俺が斃してやると約束したのに、その約束を反故にして俺は死ぬのか。

 

 声が出せない。ことばが思いつかない。ああ――

 意識が、断線した。

 

 ………

 

 ……

 

 …

 

 闇の中をたゆたう俺に、声が聞こえた。

 

“やっぱこうなるよね。でも、これは俺がすでに視た未来だ”

 

 …

 

 ……

 

 ………

 

 タイム・バーストをアナザーリュウガに叩き込むべくジャンプし、ディメンションキックに入った――その時。

 

 気づけば俺は元いた位置に突っ立っていた。

 

 どういうことだ? さっき俺は死んだじゃなかったのか? どうしてここに健在なんだ。

 

『まさか、時間が逆転したのか!?』

「見事だ、我が魔王! これぞオーマジオウの力」

 

 表情を爛々と輝かせる黒ウォズの登場。

 白ウォズは激昂して黒ウォズに掴みかかった。

 

『貴様の企みか! 黒ウォズ!!』

「いいえ。彼の選択です」

 

 それはいつもの先生の声、だったのに。

 耳にした瞬間、身の毛がよだつほどの畏怖を覚えた。

 

 ふり返った先には、ジクウドライバー装着済みの常磐ソウゴがいた。先生は常磐から一歩慎んだ位置にいた。

 

『魔王を唆したか……! この毒婦め!』

「私は何もしていません」

 

 先生の視線に応えて常磐がかざしたライドウォッチは、今までに見たどんなそれとも異なっていた。

 銀とマゼンタ。黒とゴールド。正反対のカラーのライドウォッチ二つが連結したウォッチ。

 

「表と裏。過去と未来。二つの世界を統べるウォッチだ。この力で俺は、未来を切り拓く!!」

 

《 ZI-O  “Ⅱ” 》

「変身!」

《 ライダー・タイム  カメンライダー・ライダー  ZI-O・ZI-O・ZI-O “Ⅱ” 》

 

 変身したジオウの姿は、カラーリングはジオウそのままでありながら、パーツのあちこちがオーマジオウと共通していた。

 いいや、外観だけじゃない。奴の放つ王気(オーラ)そのものが、オーマジオウを連想させずにらいられなかった。

 

『善も悪も、光も闇も、全て受け容れる。どちらも俺であることを認める。そんな“俺”が俺の中にいることを、誰でもない常磐ソウゴ自身が赦す!!』

 

 呆然として、言葉もなかった。俺も、ツクヨミも。

 

 挑んできたアナザーリュウガを押し留めたのは、黒ウォズの厳かにして高らかな宣言。

 

「王の凱旋である!! ――祝え! 全ライダーを凌駕し、過去と未来を()ろしめす時の王者。その名も仮面ライダージオウⅡ。新たな歴史の幕が開きし瞬間である!」

 

 ジオウⅡは感極まったように、黒ウォズに「なんか久しぶりだね」とはしゃいだ声をかけた。黒ウォズもまた喜色を隠さず、ジオウⅡに恭しく礼を取り、奴の前より退いた。

 

 ――俺のせいだ。

 常磐は最初から、俺の自滅戦法を止めるためにジオウⅡになろうとした。それが今この時に現実となった。

 他でもない俺が、常磐ソウゴをオーマジオウへの(みち)に後押ししてしまった!

 

 ジオウⅡはワンサイドゲームに等しい戦いをアナザーリュウガとくり広げている。

 ジオウⅡの攻撃エネルギーは、アナザーリュウガの反射スキルを以てしても反射できていない。

 

 今までのジカンギレードとは異なる、プリズムする刀身のブレードがジオウⅡの手に握られた。

 新しいブレードの一撃をアナザーリュウガは浴び、反射しようとしたが、反射するための鏡が砕け散った。攻撃エネルギーが大きすぎて跳ね返せないんだ。

 

 アナザーリュウガがどんな変則的な攻撃をくり出そうとも、ジオウⅡはそれこそ未来を読んでいるかのように的確に対処し、逆にアナザーリュウガにダメージを蓄積していく。

 

 ジオウⅡはジカンギレードと新しいブレードの柄と刀身をそれぞれに合体させた。

 刀身から迸るエネルギー波は、金を超えた金――ジョーヌ(輝ける)リリア(黄金)ント。

 

 天をも突くエネルギー波と「ジオウサイキョウ」のマゼンタ文字を、ジオウⅡは裂帛の気合を込めて、アナザーリュウガへと叩き落とした。

 

『おっ、りゃあああああ!!』

 

 アナザーリュウガは爆散した。排出されたリュウガウォッチが砕け散った。

 残ったのは、アナザーリュウガだった、鏡像の城戸真司のみ。

 

 その鏡像の城戸真司を、ジオウⅡは穏やかに諭す。

 

『真司はあんたを受け容れているよ。俺も裏の自分を受け止めた。あとはあんたが、城戸真司を受け止める番だ』

 

 鏡像は苦吟をくっきりと浮かべ、ビルのガラスから鏡の向こうへ入って、消えた。

 

 ジオウⅡが変身を解いて、今にも泣き出しそうな笑顔で俺たちをふり返った。

 

「生きててくれて、よかった」

 

 ――ああ。やっぱり俺のせいじゃないか。

 俺を死なせまいとして常磐はジオウⅡの力を行使した。

 他ならぬ俺が、こいつがオーマジオウへ進む(みち)を後押ししてしまった。

 

 後ろからパンプスの踵が鳴る音がして、俺は気だるくふり返る。

 

「よく頑張りましたね、常磐君」

「せんせーの話、すっごく参考になった。ありがと」

「どういたしまして」

 

 先生は気づいていないのか? 常磐ソウゴが踏み出した一歩が、未来に途方もない惨劇をもたらしかねないことに。

 

 その疑念は、次の一言で、衝撃的な形として明示された。

 

()()()()()()()()。常磐君の新しい力と、戦いぶり。目が離せませんでした」

 

 俺は、ようやく、彼女が“王母”と呼ばれる意味を理解した。

 

 アレは俺たちにとって、忌むべきオーマジオウの力だった。だが、先生はオーマジオウを直接知らない。単純に常磐がパワーアップしたことを祝福している。

 

 途方もなく深い溝が、俺たちと先生の間に横たわっていたことを、俺はこの時、初めて痛感した。




 美都せんせーの「とても綺麗でした」は作者が原作EP22を観た時の感想でもあります。

 どんな先生であれ、認識の共有がちゃんとされていないと、ゲイツとのようにとても乖離した見解を持ってしまう。そんな一幕でした。
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