※作者もうっかり書きたくならないよう、連載終了までは劇場版ジオウを観に行きません。
以上の事情により、コメ欄でのネタバレをご容赦頂ければ幸いですm(_ _"m)
これはまた……珍しい人がお訪ねですこと。
でも残念。もてなそうにも酒も肴も持ち合わせがない。
というかこの時代にはそんな贅沢な嗜好品、概念からして存在しないけど。
いや、泳ぐほうの魚じゃなくて。
酒が飲料だった時代での、一緒に食べる定番メニューをそう呼ぶんだってさ。こういう字を書くんだけど。
いけない。脱線した。
ごめんね、私の悪い癖が出た。いつになったら昭和にいた頃の感覚が抜けるんだか。
それで? 明日からスパイとしてオーマジオウの下に潜入予定の隊長どのは、私などにどんなご用でいらしたのかしら。
私でいいならお付き合いしますよ、ウォズ隊長。
失敬な。私がアナタを茶化す意味で「隊長」と呼んだ時なんて一度もありません。
事実、アナタは信頼できる指揮官じゃない。
明日から長く不在ってことで、ゲイツもツクヨミも割と不安がってるの、気づいてない?
って、私が人を褒めたら雪が降るってどういう理論展開なの。ねえちょっと。
夢見が悪くて寝付けない?
その夢の中で、アナタはこの部隊の隊長じゃない、そもそもレジスタンスでもこの時代の人間でもなく、時の管理者とかいう組織の一員だと。
ん、笑わないよ? そりゃあ他人からすれば「どうせ夢じゃん」だとしても、見た本人はその瞬間を“体感”してる。私からすれば軽く笑い飛ばすほうがマジョリティってとこに納得いかない。うん。
――――。
ウォズ。『胡蝶の夢』って知ってる? 夢の中の自分が現実か、この現実こそが夢なのかっていう故事。認識論の最古の喩え、だっけか。私も記憶が怪しいな。
要は、アナタにとっての“現実”は、ここの部隊長と、どの時空にも地に足のついてないクォーツァーってのと、どっちなのかってことよ。
そんなぶっ飛んだ夢を見るくらいに現実に耐えられないってアナタが言うなら、それは聞き逃していいサインでは断じてない。
オーマジオウの密偵を交替できないか、本部に掛け合いに行こう。今からでもすぐに。
――任務内容そのものは覚悟完了してる、と。
じゃあ忘れて。年増教官の冷や水だった。
へ? 何で今さら、私の既婚歴を確認するの? 何かにつけて、夫と娘が一人いるって言い触らしてるのに。
いくら夜が明けたら命懸けの任務に出かけるからって、その線引きは守るからね、私は。一夜限りの過ちとかアナタが相手でもナイナイ。私の操はダンナ様に立ててるの。
それに、不安をごまかすために惚れてもない女に手ぇ出したって、あとから空しいよ。
そういう“初モノ”は男女問わず大事にしろって、昭和で会ってきたグレートダッドライダー諸兄に耳タコってくらい言われたんでね。
出来るって。ウォズにも必ず、“大事な人”が。いつかは分からないけど、絶対逢うの。
だって、ひとがこの世に産まれてくるのは、運命の人に逢いたいからなんだから。
「逢いたいから産まれてくる」
みと母娘の数少ない共通項。この世に人が産まれるのは何故か? のアンサー。
お察しとは思いますが、今回はウォズがまだレジスタンスの隊長だった頃のエピソードです。任務的には決戦前夜って心境です。
拙作に限り、ウォズが原作とも劇場版とも異なるポジションであることが伝われば幸いです。
公式でもウォズって不思議なくらいに女っけないですからねー。こういう場でくらいはね。
ちなみに部隊での地位は、ミトさんよりウォズが上です。