まさか真正面から響鬼編をやるとは思わなかった!!Σ(゚Д゚)
信じてよかった公式様! 実は響鬼も大好きです!(≧∇≦)
Syndrome66 おこがましい未来人、元祖
チクタク、チクタク――パッポー♪ パッポー♪
「「どーゆーことだーーーー!!!!」」
ゲイツ君とツクヨミさんが息ぴったりに噴火しました。
「うわわっ、二人とも落ち着いて! ここ病室! 医療の現場! ああもう純粋に手が足りない! 飛流、手伝って!」
「何で俺!? やるけど!」
未来組の噴火は3分と経たずして、即席ジオウコンビによって鎮圧されました。
ソウゴ君はともかく、飛流君も大健闘でした。アナザーとはいえジオウになっただけはあります。
とはいえです。この、お風呂上がりのネコみたいに意気軒昂なゲイツ君とツクヨミさんを、どうしたらよいでしょうか?
「あー、なんだ。そこの未来人」
「ウォズと申します。仮面ライダーX、神敬介」
「美都を救えると言ったな? 具体的にはどうすんだ」
つい身を竦めてしまいました。神のおじさまのオーラ、今まで見たことないくらい怖いんですもの。
「先ほども言った通り、彼女に2070年に来ていただく。アナタの知るミトという女性の跡を継いだ、明光院ゲイツ君と共に」
(飛流君に取り押さえられたままの)ゲイツ君が面食らった。
「俺も? 何故だ」
「それが我が魔王の思し召しだからさ。聞かれる前に言っておくが、私も王母織部が何故死んだかを知らない。我が魔王のご指名は、キミと、織部美都の2名のみ。それ以外の誰かを伴った場合、王母の延命措置は一切行わないと仰せだ」
私とゲイツ君の二人だけ。私たちの共通項なんて、お母さんである明光院ミトさんが“親”ってことくらいですけど。もしかしてお母さんがその延命とかに関係しているんでしょうか。
「では王母から。改めて意思を伺いたい」
――私なんかのためにそこまでしてもらっておいて、断るなんてできません。
お母さん。生きると決めることって、こんなにも大変なんですね。
「黒ウォズさん。私を2070年へ連れて行ってください」
「――と、いうことだが。キミはどうする? ゲイツ君」
私とゲイツ君の目が合った。
ゲイツ君の同意が得られるかは分からない。
彼が人命を見捨てるような少年じゃなくても、彼にとってオーマジオウは憎い仇で、そんな敵からの提案をすぐに呑み込めというほうが無理です。
「あの、黒ウォズさんっ。私一人だけを連れて行くのはダメですか? 無理にゲイツ君に同行してもらわなくても」
「残念ながらどちらか片方でも無理なんだよ。二人揃って、と厳命されている」
そ、そんなぁ。未来のソウゴ君、融通が利かないです。
「ゲイツ。何ですぐ答えないんだよ」
「ソウゴ?」
「オーマジオウが信用できないなら、“今”の俺を信じてよ。何十年後でも俺が俺である限り、美都せんせーを尊敬する気持ちは変わらない。助けたいと思ったら絶対にやり通す。だから、大丈夫」
ソウゴ君は私に向かって笑った。
「俺を大勝ちさせてくれるんでしょ。こんなところで、リタイヤしないで」
そう――そう、でしたね。君自身の未来に賭けるように、君は私の気持ちにも賭けるだけのものがあると言ってくれましたもんね。
常磐ソウゴ君という生徒の“進路”を見届けずして、おちおち死んでなんかいられません。
「別にもったいつけたんじゃない。俺はお前みたいに能天気じゃないんだ。――お前が持つライドウォッチをいくつか貸せ。オーマジオウと戦うことになった時を想定するなら全部貸せと言いたいが、それでこの時代のお前を丸腰にしたら意味がないからな」
「りょーかいっ」
ゲイツ君は立ち上がると私のいるベッド脇まで来ました。
「ありがとうございます、ゲイツ君。私的な事情に巻き込んですみません」
「礼も謝罪も、要らない。アンタに死なれたくないのは俺だって同じだ」
言って、そっぽを向くゲイツ君。彼の横顔から、私は目を逸らせない。
――ねえ、私。まだ分からないでいるの?
いいえ、いいえ。きっと私はとっくに分かってる。私がゲイツ君に向ける感情の正体を。
鍵を開けても傷つくだけだから、心の隅に封印した。
どうして今になって溢れ出てしまったの?
夜明けを迎える前――世界が4月1日になる前に、俺たちはタイムマジーンに搭乗して時空転移を決行した。俺自身は自前の機体で、先生と同乗して。黒ウォズはソウゴが乗るタイムマジーンを借りていた。
時空のトンネルを抜け出た位置を確認して、俺はまず我が目を疑った。
屋内。それもタイムマジーン2機が着陸して余りある大空間だ。ぽつぽつと天井が見えないほど高い柱が見受けられるから、人の建造物で間違いないが、何のために?
俺がハッチを開けると、黒ウォズのほうでもタイミングよくそうしたところだった。
「さて。ようこそ客人、我が魔王の御坐す“離宮”へ。付いて来たまえ。我が魔王の玉座まで案内しよう」
黒ウォズがタイムマジーンのコクピットから飛び降りて、危うげなく着地を決めた。ひょろい外見のくせして、運動神経抜群なのがこの男だ。
俺も、先生を両腕に抱えて、先生が俺にしがみついたと確認できてから、跳び下りた。
「ありがとうございます、ゲイツ君」
さすがに俺も、先に自分が降りて、次に飛び降りた先生を地上で受け止める、なんて器用な真似はできないからな。一緒に降りたほうが効率的だっただけだ。
しがみついた先生から感じた柔らかさとか温度とか、早く忘れろ俺。
黒ウォズを追って歩き出そうとしたところで、先生が俺の手を掴んだ。先生の顔色は暗いこの場にあって分かるほど青白い。俺は掴まれた手を握り返した。
石の床だけがほの白く灯る通路を進んで、何分経っただろう?
先生と繋いだ手がじっとりと汗ばんでいる。二人分の手の中にだけ熱があった。
この場を流れる気流はそれほどに冷たい。まるで霊安室だ。
「本当に、この先にオーマジオウがいるんだな?」
「ああ。我が魔王はこの離宮にてキミたちを待っている。それはもう永い歳月を、ずっと、ね」
相変わらず暗いままの建物を進んでいくと、一つの空白地帯に出た。
御簾を下ろした簡素な御座所。奥に控えるのは、年老いた一人の男。
全身にぶわっと警戒心が波及した。本能的にジクウドライバーを取り出した俺を、しかし、先生が俺の手を掴んで止めた。
「我が魔王。臣下ウォズ、ただ今戻りましてございます」
御簾の向こうにいた男が、老いてしゃがれた声をウォズにかけた。
「よく帰った、ウォズ。まずはその働きを労おう」
「恐悦至極に存じます、我が魔王」
「して、お前を2018年へ遣わした目的。果たせたか?」
「お喜びくださいませ。この通り、2019年3月31日時点での仮面ライダーゲイツと王母織部を連れて参りました」
おお――と。声に初めて感慨らしきものが滲んだ。
「今日まで50と2年。私は待った。待ち続けた。――
心臓を鷲掴みにされた気分だった。しゃがれていた声が唐突に瑞々しさを取り戻した上に、その声の質は聞き間違えられないほどにアイツのものだったから。
消えた御簾の向こうで、玉座を降りてくる男。いや、俺と同年代なんだから、少年か青年と言うべきだろうか。
「今でも覚えている。平成最後の3月。季節外れの大雪の中を、“俺”は走った。土星館パーキングで決着をつけようと、そう約束したから、飛流の妨害も掻い潜って、死に物狂いで向かったのに」
氷柱より鋭く凍てた声が、喉を、掻き割いた。
我が家の士が言った「1.5番目の未来」が始まります。