70年目のサクラサク   作:あんだるしあ(活動終了)

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Syndrome74 レイズデッド;クロス・オブ・ファイア ①

 神さま。

 人の子がヒトでないモノに恋をしたら、罪ですか?

 

 

  …………

 

 

  ………

 

 

  ……

 

 

  …

 

 

 ツクヨミたちが山を登り切ったところで、奥の渓谷で爆発が起きた。

 

 吹き飛ばされてきたのは、仮面ライダー(ブレイド)と仮面ライダーカリスだ。

 爆炎の衝撃とダメージから変身は強制解除され、剣崎も始も地べたに転がった。

 

 ツクヨミは倒れた剣崎たちに駆け寄った。

 

「大丈夫!?」

 

 ツクヨミは剣崎を、小夜と美都が始を支え起こした。

 

「天音、ちゃん……」

 

 始は一心に前を――煙の向こうから現れたアナザーブレイドを、見つめている。手を伸ばそうとしている。

 

『始さん、始さん……始さぁん!』

 

 

 

 

 ――ごうっ、と。

 ――種火が、今、くべられた。

 

 

 

 

 小夜がツクヨミと美都の肩を手荒く掴んで、剣崎たちから距離を取らせた。

 

「か、門矢さんっ?」

「何するのよ!」

「近くにいちゃだめ。巻き込まれる」

 

 アナザーブレイドが剣崎と始から何らかの因子を吸い上げ始めた。

 

 両腕を水平に広げて、悲鳴を上げようともその行為をやめない彼女は、それこそ、火刑の聖女を連想させる。

 

「まさか、あれがミトさんの言ってた、“ラ=ピュセル補正”――?」

「ええ。わたしもこの目で見るのは初めて。世界の(ことわり)をも凌駕する、反則中の反則。仮面ライダーの身代わりとなって原罪に焼かれる、“ラ=ピュセル”の真骨頂――!」

 

 

 

 

 こうなって初めて分かったの。始さんが剣崎さんと離れ離れになって、どれだけ苦しかったか、つらかったか、そして――さびしかったか。

 

 それなのにわたし、ずっと自分の気持ちばっかりで。ハカランダを出ていった始さんが、わたしを思いやってくれてたことにも気づけなかった。

 

 ごめんなさい、始さん。

 

 あの頃はただの子供だったわたしだけど、今は始さんや剣崎さんと“同じ”になった。

 弱さに負けて怪物になっちゃったけど、だからできることがある。

 

 親友同士で戦うことが運命だなんて、わたしは認めたくない。

 

 見てて。始さんを泣かせるバトルファイトのルールなんて、わたしが変えてみせる。

 

 そのために、わたし自身が焼けて灰になったって構わない。

 

 始さんの、そして剣崎さんの背負った運命は全部、()()()()()()()()()()()()()――!

 

 

 

 

『くっ、ぅう、ああああああああああっっ!!!!』

 

 乙女の叫びが、天をつんざく。

 

 アナザーブレイドは剣崎と始から吸収したエネルギーと自身が持つそれを三重に解き放った。

 

 昼なのに空から太陽は逃げ去り、濁った夜天に降臨するは、太古より闇に息づく“統制者”の石碑。モノリス。

 

「小夜! これ、このままだとどうなるの!?」

「ツクヨミちゃんもその辺は教わったんじゃない? 史実、というか伝承のまんまよ」

「ダークローチが際限なく這い出て、地球の生態系をリセットさせるまで、止まらない……?」

「そんなとこ。天音さんがあの二人からアンデッドの成分を奪っちゃったから、それをパワーソースに闘ってたレジェンド5のライドウォッチは作れない。んで、ジオウⅡウォッチとリバイブウォッチは未だ白いほうのウォズから取り返せてない。戦力面だけ見たら、詰んでるわねこれ。でもまあ」

 

 

 

「ツクヨミ――っ!!」

 

 

 

「――どんな逆境でも、ピンチとあらば駆けつけちゃうのが“仮面ライダー”でしょ?」

 

 ソウゴが。ゲイツが。黒ウォズが。山頂にようやく登り着いたのだ。

 

「~~っ遅い!!」

「全力で踏破したのに怒られた!?」

「だいじょーぶよー、ソウゴくーん。ちょっとわたしが脅かしすぎちゃっただけだからー」

「なにぃ!? 貴様、ツクヨミを泣かせたのか! 泣かせたんだな!?」

「泣いてないッ!」

「あははは。じゃあソウゴ君、ポチッとやっちゃって。どーせⅡとリバイブ返してもらってるでしょー?」

「まあ返してはもらったけど! でも今はそっちより――こっちのほうがイケる気がする!!」

 

 ソウゴが構えたライドウォッチは、今までツクヨミが見たことのないものだった。小夜ならば知っているのかと窺えば、彼女も小首を傾げている。

 

《 ZI-O  “トリニティ” 》

 

 ――モノリスの出現による暗雲が晴れ、青空を超えたさらに天に坐すレグルスが強く瞬いた。

 

《 GEIZ 》

《 WOZ 》

 

 レグルスの星から、ゲイツとウォズ、それぞれに光が降り注いだかと思うと、二人はドライバーも装着していないのに仮面ライダーに変身した。変身に留まらず、()()()()

 

《 ライダー・タイム  カメンライダー  ZI-O 》

《 トリニティ・タイム 》

 

 そこからは、ツクヨミたち女性陣には、怒涛のショッキング・ドッキングだ。

 

 腕時計のようなフォルムになったゲイツとウォズが、ジオウの両肩に接合したのを皮切りに、ジョーヌブリリアントの光がジオウに巻きつき――弾けた。

 

 フェイスマスクに刻まれた「ライダー」の字は、それぞれがジオウ、ゲイツ、ウォズのカラーリングだ。光が晴れたことで見て取ることができた。

 

『なんかスゴイことになっちゃったー!』

『何なんだこれは!?』

『私たちが一つになるとは……』

『うぇえ!? ゲイツもウォズもいるってことぉ!?』

 

 奇しくもツクヨミは元クラスメートに吹き込まれたおかしな台詞を思い出していた。

 

 こういう時、どういう顔をしていいのか、わからないの。

 

 ――少なくとも笑える事態でないのは事実だが。

 

『とりあえず、祝わ(やら)ねば! ――祝え! どうやら三人のライダーの力が結集し、多分! 未来を創出する時の王者、その名も、仮面ライダージオウ・トリニティ! きっと、新たな歴史が創生された瞬間である』

 

 その口上は、果たして本当に祝っているのか?

 

 口にするのも馬鹿らしい文句を浮かべたツクヨミが見守る中、ジオウ・トリニティがアナザーブレイドに挑んだ。

 

 そして、いつの間にか小夜が、剣崎と始(色んな意味で衝撃的なものを見てしまった、という顔をしている)のすぐそばで楽しげにしゃがんでいた。あざといことにウィンクまでしている。

 

「ごめんなさいね、剣崎さんに相川さん。今からちょーっと荒っぽい攻め方するけど、天音さんを元に戻すためだから、目を瞑って?」




 やっとこのタイトルに持ってこれたよハラショー!(ノД`)・゜・。
 作中の天音の「代わりに引き受ける」が“ラ=ピュセル”という存在の全てを意味しています。
 今後もラ=ピュセルはサクラサクのサブテーマとして書いていきたいです。
 メインテーマ? 今はまだ、ひ・み・つ(^_-)-☆←小夜の真似っこ

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